ドイツGPから2週連続開催となる第10戦アメリカGPが、7月22日から24日の3日間、カリフォルニア州のラグナセカ・レースウェイで開催されます。ヨーロッパラウンドからアメリカGPに続く2連戦は、2006年から6年連続。シーズン前半戦をしめくくる大陸移動の連戦として定着しました。
ラグナセカでアメリカGPが開催されたのは1988年が最初で、94年までの7年間で6大会が開催されました。2005年に復活してからは今年で7年連続、通算13回目を迎えます。
ラグナセカは、シーズンを通じて最も短いサーキットで、一周3.610km。ラグナセカに次いで2番目に短いドイツGPの行われたザクセンリンク同様、アップダウンに富むショートコースですが、スピード感あふれるレイアウトで、迫力あるバトルが繰り広げられます。特に急こう配を駆け上がり、上りきったところから急降下するS字コーナー「コークスクリュー」は、ラグナセカを象徴する、世界で最も有名なコーナーの1つ。ここから最終コーナーまでの下りセクションが、このサーキットの勝負どころとなります。
グランプリが復活した05年、06年は、当時Hondaのライダーだったニッキー・ヘイデン(現ドゥカティ)が2年連続優勝。06年には、Honda勢が表彰台独占を果たしました。その後、タイヤパフォーマンスが勝敗に大きく影響したことで優勝から遠ざかりますが、ブリヂストンの1社供給となった09年には、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝しました。
ペドロサは、最高峰クラスにデビューした06年に2位。09年に優勝。昨年の大会ではトップを快走、アメリカGP2年連続優勝が期待されましたが、痛恨の転倒を喫して、リタイアに終わっています。しかし、ラグナセカとの相性はよく、ドイツGPからの2連勝と2年ぶりのアメリカGP優勝が期待されています。
総合首位のケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)も、ラグナセカでは好成績を収めてきました。ドゥカティ時代の07年に優勝。08年に2位。09年は4位と表彰台に立てませんでしたが、昨年は2位になり、ラグナセカでは3回の表彰台に立っています。Repsol Honda Teamに移籍した今年は、9戦を終えて4勝を含む8回の表彰台。過去2戦は連続3位と優勝を逃していますが、今大会は今季5勝目を狙う戦いとなります。
前戦ドイツGPでは、優勝争いからわずかに遅れて4位。4戦連続の表彰台獲得を逃したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が、ラグナセカ初の表彰台に闘志を燃やしています。最高峰クラスにデビューした08年に4位。09年も表彰台圏内でバトルをするも痛恨の転倒。昨年は3位争いをするもわずかに届かず4位と表彰台を逃しました。今年は8戦を終えてここまで4回の表彰台。今季4勝のストーナー、前戦ドイツGPで今季2勝目を挙げたペドロサとの差を着実に詰めているだけに、今大会は、Repsol Honda Teamの表彰台独占が期待されます。
前戦ドイツGPで、ドヴィツィオーゾとし烈な4位争いを繰り広げ、最終的に6位に終わったマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、今季初の表彰台、初優勝に気合を入れています。昨年の大会では、フリー走行、ウオームアップ、決勝と3度の転倒を経験。シーズンを通じて攻略の難しいサーキットといわれるラグナセカに苦戦しましたが、今年は2年目。昨年の経験を生かし、フロントローはもちろんのこと、今季3回目のPPと初表彰台が期待されています。
昨年、ケガのためにアメリカGPを欠場している青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、今大会が初めてのラグナセカとなります。前戦ザクセンリンクも、昨年欠場しているためにMotoGPマシンでは初の走行となりましたが、MotoGPクラスのみの開催となるアメリカGPは、250ccクラスでの走行経験もないだけに、なにもかもが初めての大会となります。初体験となるラグナセカでどんな走りを見せてくれるのか。注目されます。
昨年、Moto2クラスに参戦、MotoGPマシンでラグナセカを走るのが2年ぶりとなるトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)は、ラグナセカを得意とするだけに気合を入れています。09年には6位でフィニッシュ。今年も、今季ベストリザルトを狙っています。今大会は、マイケル・ジョーダン・モータースポーツとジョイントし、アメリカのAMAスーパーバイク選手権に参戦しているベン・ボストロムがLCR Honda MotoGPからワイルドカードで参戦、2台体制で挑みます。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング1位)「ラグナセカへ行くのを楽しみにしています。このサーキットはこれまでいい成績を残してきたし、楽しみです。コースはとてもタイトでテクニカル。アップダウンが多くて、ブラインドコーナーも多いので慎重に走らなければなりません。そして、このサーキットは、あまり攻めすぎてもいけません。過去3戦、表彰台には立っていますが、優勝から遠ざかっているので、今回は優勝を狙いたい。この数週間は、連戦が続いているので疲れがたまっています。そして今週も2週連続のレースとなります。でも、アメリカへ行くのは好きだし、前半戦のしめくくりのレースなので、ベストを尽くしたいです。モントレーは本当に美しい。ファンはいつもとても歓迎してくれるし、雰囲気も最高です」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位)「ラグナセカでレースをするのを本当に楽しみにしています。このサーキットでは、いつも気持ちよく走れています。そして、グランプリ全体の雰囲気も好きです。ザクセンリンクのあと、すぐにレースができるのもいい。高いモチベーションをキープしてレースに挑みたいです。ザクセンリンクでは表彰台に立てませんでしたが、アベレージを上げることができたのでうれしい。ラグナセカでは表彰台争いをする自信があります。できれば優勝したい。目標はチャンピオンシップに向けてポイントを獲得することです。そしてロレンソとケーシーとの差を縮めたい。ラグナセカはヨーロッパのサーキットとだいぶん違いますが、ファンはすばらしい。カリフォルニアでレースをするのはいつも楽しいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング5位)「わずか数日ですが、バルセロナに戻って、家族や友だちとドイツでの勝利を祝うことができてよかったです。アメリカGPは自分にとっては、さらなるチャレンジとなります。ラグナセカにはたくさんのハードブレーキングのポイントがあり、素早い切り返しが必要とされるので、より厳しいと思います。でも、それもまた1つのレースだから、ザクセンリンクと同様に楽しみたいです。ヨーロッパのサーキットとはまるで違いますが、雰囲気は独特ですばらしいです。昨年のレースで転倒したことと、08年にケガで欠場したことを除けば、ラグナはいつも楽しいです。09年の優勝はとても興奮しました。これが前半戦最後のレースになりますが、今シーズンの後半も、可能な限り、いい結果を残したいです。とにかく、いい感触でシーズン前半を終えたいと思います」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング8位)「ザクセンリンクで4位だったら、最高の気分でラグナセカに来られたと思います。残念ながら6位だったけれど、自分のパフォーマンスには満足しています。アメリカへはモチベーションを高く保って向かいたいです。先週のザクセンリンクでは、30周ずっとペースを保てなかったのが残念でした。残念ながら、リアタイヤの左側に問題があり、強くプッシュできませんでした。残念だったけれど、ラグナセカではドイツの分もがんばりたいです。ラグナセカはユニークでとても好きです。サーキットは魅力的だし、コークスクリューはスリリング。そして熱狂的なファンがいて、大きな力になります。チームと一緒になってがんばって、さらに安定した走りをしたいです。そしてリーダーたちとの差を縮めたいです」
青山博一(MotoGP ランキング10位)「アッセンで背中を痛めて、ムジェロに続いてザクセンリンクでも、とても苦しみました。ベストを尽くして、いい結果を残したいと思いましたが、マシンの感触をつかむのがとても難しかったです。チームに対しては申し訳ないと思っています。今週のラグナセカで埋め合わせをしたいです。このサーキットは今回が初めてなので、コース攻略に全力を尽くします。できるだけ早くペースをつかんで、攻めの走りをしたいです」
トニ・エリアス(MotoGP ランキング14位)「ベン・ボストロムと一緒に戦えるのがうれしい。ベンはラグナセカのことをよく知っているので、このすばらしいサーキットを攻略する助けになってくれることを願っている。ラグナセカでは、初日にいいリズムを見つけて、いい仕事をしたい。ベストリザルトを目指して、チームとともに全力を尽くしたいです」
ベン・ボストロム(ワイルドカード参戦)「ホームサーキットでMotoGPクラスに参加できる機会を与えられて、とてもうれしいです。この興奮を、うまく言葉に表すことができません。実現してくれたマイケル・ジョーダン・モータースポーツとアメリカン・スズキに感謝したい。LCRとMJMのコラボレーションが実現して、本当にすばらしいです。トップグループにできる限り近づけるように、ベストを尽くします」