2011年7月1日(金)・1日目フリー走行 会場:ムジェロ・サーキット
天候:晴れ/曇りときどき雨 コースコンディション:ドライ/ウエット 気温:26℃
第8戦イタリアGPの1日目フリー走行は、午前中は夏の空が広がる絶好のコンディションとなりましたが、午後になると雨雲が空を覆い、MotoGPクラスの2回目のセッションのみが、ウエットコンディションになりました。しかし、雨量が少ない中途半端なコンディションとなり、ほとんどの選手が感触を確かめるだけの走行で切り上げることになりました。
そのため、この日の総合順位は午前中のベストタイムで決まり、ホームGPでの勝利に闘志を燃やすマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)がトップタイムをマーク。僅差でケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が続き、Honda勢がトップ3を独占しました。
前戦オランダGPでも、フリー走行と予選を制したシモンチェリは、得意とするムジェロで快速ラップを連発します。周回数も最多の21ラップを刻み、1分49秒台を連発。最後は、ただひとり1分48秒台に入れて首位に浮上し、地元ファンを喜ばせました。中途半端なコンディションとなった午後は、走行しませんでした。
今季4勝を挙げて総合首位を快走するストーナーが、シモンチェリから、わずか0.040秒差の2番手で続きました。前戦オランダGPのフリー走行の転倒で、首と左肩を痛めているストーナーは、まだ痛みが残っているため、着実にペースを上げていきました。走り出しは慎重でしたが、次第にペースを上げ、1分49秒台の好タイムを連発。16ラップと少なめの周回数でしたが、2年ぶりのイタリアGP制覇と、今季5勝目に向けて、自信を感じさせる初日となりました。午後は、シモンチェリ同様、走行しませんでした。
ホームGPに気合満点のドヴィツィオーゾは、シモンチェリとストーナーに僅差で続く3番手と好調なスタートを切りました。この日のドヴィツィオーゾは、ストーナーとランデブー走行をして、タイムを上げていきました。ウエットから、セッション終盤にかろうじてドライコンディションになった午後のセッションでも、セッション終盤にコースイン、ただひとり1分49秒台という午前中とほぼ同じタイムをマークして、サーキットに集まった地元ファンから大きな拍手を送られていました。
第4戦フランスGPのケガから4戦ぶりに復帰したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、初日7番手でした。1カ月半ぶりに乗るRC212V。その感触を確かめるように、着実にタイムを上げていったペドロサ。1回目のコースインでは7ラップをこなして1分52秒台。2回目のコースインで1分50秒台へ。そして3回目のコースインで1分49秒台へと確実に前進しました。この日は1カ月半ぶりの走行、ブレーキング時と右コーナーで右鎖骨に痛みを感じていましたが、2日目に向けて自信をみなぎらせていました。
前戦オランダGPのフリー走行で転倒、背中を痛めている青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、マシンの切り返しとブレーキング時に痛みを感じながらも、順調にタイムを上げていきました。オランダGPは、Repsol Honda Teamから出場しましたが、今回はペドロサが復帰したことで、本来のチームに戻っての出場となります。セッション序盤、マシンの乗り換えにとまどいますが、ロングランをこなし、9番手で初日を終えました。
トニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)は、午前中に19ラップ、午後の走行で10ラップをこなして15番手。チームのホームGPだけに2日目のポジションアップに闘志を燃やしています。
Moto2クラスは、午前、午後の走行ともにドライコンディションとなり、マルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)がトップタイム。以下、1秒差に10台という接戦になり、総合首位のステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)、アレックス・デ・アンジェリス(JIR Moto2)、アンドレア・イアンノーネ(Speed Master)と続きました。チームのホームGPとなる高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)は、セッティングが決まらず、20番手と大きく出遅れました。2日目はセットアップを変えて、一気にポジションアップを狙うことになります。
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 1番手)「今朝の走行は、最初から速く走れたので、とてもポジティブな一日でした。マシンの状態はよく、明日が楽しみです。午後は、ウエットともドライとも言いがたいコンディションでした。リスクを負う必要は全くなかったので、走行しませんでした。しかし、125ccもMoto2クラスもドライで走れていましたので、残念でした。新しい路面になったムジェロで走るのは、楽しかったです。明日はドライになって欲しいです。マシンのセットアップは、アッセンのときとほとんど同じですが、すごくいい感触でした。電子制御で少し調整しなければなりませんが、全体的には満足しています」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 2番手)「オランダGPで転んだときのケガが完全に治っていないので、今朝のセッションはかなり厳しかったです。首に少し問題があるようです。そのため、メインストレートでは、風が頭にあたって苦しかったです。いいセットアップを見つけるためには、もう少しタイムを上げたかったのですが、思ったように周回することができませんでした。しかし、マシンの状態は全体的にとてもいいし、チームには感謝しています。今の状態でもそれほど不満はありません。コーナーの切り返しで、いくつか改善したい部分はありましたが、午後はそれを試すことができませんでした。午後のセッションは、ウエットタイヤで走るには雨量が少なく、完全にドライになったときには、すでに時間が足りなかったので、走行しませんでした。だから明日は、今日の続きから始めたいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 3番手)「新しいアスファルトになったムジェロで走るのを楽しみにしていました。そして、期待通りの路面になっていて、とても楽しかったです。新しい舗装はとてもスムーズになり、以前の基準があてはまらなくなり、今までと少しラインが変わりました。だから今朝は、新たな気持でコースを学びました。マシンのベースのフィーリングはいいけれど、自分のライディングスタイルでは、このサーキットではフロントタイヤが熱くなりすぎるので、この課題をなんとかしなければなりません。午後は、雨のためにセッションが無駄になってしまいました。それでも、今朝のラップタイムから0.1秒ちょっとしか違わない1分49.272をラクに出せたのでうれしかったです。ホームグランプリを速いタイムでスタートできたので、すごく自信になりました」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 7番手)「こうして再びマシンに乗れて、サーキットを走れたことがうれしいです。もちろん右肩に痛みはあります。特にハードブレーキング時と右コーナーは痛かったです。でも、それは当然のことですし、マシンに触れずに1カ月半過ごしたことを考えれば、今朝のできは悪くなかったです。レースは23周。このサーキットは体力的にとても厳しく、常にマシンを方向転換させていかなければなりません。それはとても大変だと思うし、きっと痛むでしょう。でも、明日もセットアップができるし、予選ではいいグリッドを獲得したいです。がんばると痛みが増しますが、明日はプラクティスの合間に治療をしたり、休んだりしながら、できる限り周回を重ねたいです。気持ちはポジティブです。午後は、雨が降ったことで休む時間が増えたのでラッキーでした。明日は、みんながラップタイムを上げてくるので、もっと大変になるでしょう。もっとがんばらなければなりません」
青山博一(MotoGP 9番手)「午前中は気温も高く路面コンディションもよかったです。前回はRepsol Honda Teamのダニのマシンに乗ったので、自分のマシンに慣れるのに3、4周かかりました。だけど、感じは悪くなく、走り出しとしてはまずまずでした。前回のオランダGPは天候が悪かったです。コンディションは違うけれど、こうして2台を乗り比べてみると、ダニのマシンの方が全体的にフィーリングがよく、今回はそれを自分のマシンに生かしたいと思いました。背中の状態は、今回も変わらず、コーナーの切り返しとブレーキングで痛みがあります。しかし、徐々によくなっていると思います。午後の走行は、雨になり、その後、乾き始めていくというなんとも中途半端なコンディションでした。そこで、レインタイヤの皮むきをしただけで走行を止めました。明日は、一日天気がいいことを願っています」
中本修平|HRCチーム代表「今回はダニが復帰しました。1カ月半、マシンに乗っていなかったので、今日は慣熟走行をメインとし、徐々にペースを上げていきました。マシンに問題はなかったので、明日はセッティングを進めていきたいです。ケガの方は、ほとんど回復しているようですが、ブレーキング時に痛みが出ているようです。なので、ライディングポジションなどで負担を減らしていきたいです。ケーシーは順調にマシンのセットアップを進めています。アンドレアも問題なくセットアップをしています。今日は、午後の走行が中途半端な路面のためにほとんど走れませんでした。第2戦以降、必ず雨になっているので、ドライで走れるときにしっかりセットアップを進めたいです」
高橋裕紀(Moto2 20番手)「ムジェロに合わせて、フロントのセッティングとリアのスイングアームを変更しましたが、セッティングを変えると大きく変わりすぎて、なかなかまとめることができませんでした。課題はフロントのフィーリングで、大きなコーナーではそれほど悪くないのですが、前半区間のS字区間などコーナーの進入でカチッとラインを決めたいところでうまく走れませんでした。そのため、全体的にスピードに乗れず、タイムに影響しました。新しい路面はいいと思います。セッティングが決まれば、一気にタイムを上げられると思いますので、チームと相談し、明日はフリー、予選と2回のセッションをうまく使いたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | 1:48.987 |
2 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.040 |
3 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.101 |
4 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.264 |
5 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.377 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.823 |
7 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.117 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.216 |
9 | 7 | 青山博一 | Honda | +1.642 |
10 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.671 |
11 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +1.696 |
12 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +1.742 |
13 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.793 |
14 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +2.166 |
15 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.881 |
16 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +2.889 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | 1:53.241 |
2 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | +0.121 |
3 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +0.230 |
4 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +0.281 |
5 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.769 |
6 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +0.776 |
7 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +0.874 |
8 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +0.893 |
9 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +0.895 |
10 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +0.937 |
11 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | +1.068 |
12 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +1.090 |
13 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +1.093 |
14 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +1.222 |
15 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | +1.321 |
16 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +1.322 |
17 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.330 |
18 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +1.379 |
19 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +1.385 |
20 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +1.385 |
21 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | SUTER | +1.438 |
22 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +1.458 |
23 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.467 |
24 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +1.475 |
25 | 25 | アレックス・バルドリーニ | SUTER | +1.503 |
26 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +1.849 |
27 | 88 | リカル・カルダス | MORIWAKI | +1.910 |
28 | 18 | ジョルディ・トレース | SUTER | +1.983 |
29 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +2.197 |
30 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +2.512 |
31 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +2.628 |
32 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +2.640 |
33 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +2.757 |
34 | 31 | カルメロ・モラレス | MORIWAKI | +2.864 |
35 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +3.524 |
36 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +3.679 |
37 | 70 | マティア・タロッジ | SUTER | +4.112 |
38 | 24 | トンマーゾ・ロレンツェッティ | FTR | +4.370 |
39 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +4.995 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 1:58.673 |
2 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +0.864 |
3 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.006 |
4 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +1.206 |
5 | 52 | D.ケント | アプリリア | +1.770 |
6 | 25 | M.ビニャーレス | アプリリア | +1.895 |
7 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +1.984 |
8 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +2.094 |
9 | 26 | A.マーティン | アプリリア | +2.201 |
10 | 23 | A.モンカヨ | アプリリア | +2.252 |