round 1

March 17/18/19/20 2011 MotoGP Commercialbank Grand Prix of Qatar 第1戦 カタールGP

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2011年カタールGPプレビュー

ロードレース世界選手権(WGP)第1戦カタールGPが、17日、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕する。カタールGPは、2004年に第1回大会が行われた。08年からはグランプリ史上初のナイトレースが開催され、ナイトレースは今年で4回目を迎える。昨年は4月上旬に開催された。今年は約3週間早い3月中旬となり、夜間は長袖が必要な気候となっている。

カタールGPプレビュー

今年は2月上旬と下旬にマレーシア・セパンで2回6日間、今大会直前にはロサイルで2日間と通算3回8日間のテストが行われ、Honda勢はすばらしい結果を残した。この8日間のうち、今季Repsol Honda Teamに加わったケーシー・ストーナーが5回、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が2回、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)が1回と、事前テストすべてのセッションでトップタイムをマーク、さらに上位を独占するなど、今季のHonda勢の活躍に期待が膨らむ。

2011年型のRC212Vは、昨年から大きな変更はないが、10年型をベースに、エンジン、車体など、すべての面で徹底的に改良を加え、全体のレベルを押し上げた。

その中でも、06年以来、5年ぶりにHondaに復帰したストーナーは、昨年11月の最終戦後の合同テストでトップタイムをマークしたのを皮切りに、2月上旬のマレーシアテストでも連日好タイムをマーク。2回目のマレーシアテストでは3日連続で首位に立ってライバルを圧倒。カタールテストでもベストタイムを刻み、両サーキットの合同テストを制した。マシンの仕上がりに大きな自信を感じているストーナーにとって、過去3回優勝しているカタールは必勝のコース。Repsol Honda Teamのデビュー戦で表彰台の頂点を狙う準備は整った。

チームメートのペドロサも好調だ。マレーシアテストでは、異なる2つの車体のテストを行い、11年型のマシン作りに多くの時間を割いた。このテストでベースセッティングを見つけたペドロサは、カタールテストでは実戦に向けてロングランを実施、ストーナーとともに大きな手応えを感じての開幕戦となる。セパン、そしてロサイルの合同テストでストーナーとともに3位以下に大きなリードを築いた。開幕戦からRepsol Honda Teamのチームメート同士の優勝争いに期待がかかる。

この2人に刺激を受けているのが、Repsol Honda Teamで3年目を迎えるアンドレア・ドヴィツィオーゾ。MotoGPクラスのデビュー戦となった08年には表彰台にあと一歩に迫る4位。Repsol Honda Team入りした09年は5位だったが、昨年は3位表彰台。ウインターテストでは、チームメートの2人をピタリとマークして常に上位につけているだけに、開幕戦からRepsol Honda Teamの表彰台独占の可能性もある。

MotoGP2年目のシモンチェリもウインターテストで好調だ。マレーシアテストではMotoGP初のトップタイムを記録したのを皮切りに、常に上位につける快走を見せた。昨年から今年にかけて大きな成長を感じさせ、今季の大ブレイクが期待される。チームメートでシモンチェリ同様2年目のシーズンを迎える青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)も、ウインターテストで好走を見せた。マレーシアテストでは連日上位につけた。そして、ロサイルでは1日目にMotoGPクラスではベストリザルトとなる3番手につけて今季の活躍に期待が高まった。シモンチェリと青山は、250cc時代にし烈なチャンピオン争いを広げたライバル同士。08年の250ccチャンピオンのシモンチェリと09年チャンピオンの青山の戦いに注目が集まっている。

昨年のMoto2チャンピオンで、今季、MotoGPクラスに復帰のトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)は、ここまでマシンの乗り換えにやや苦労しているが、テストをこなすごとに徐々に調子を上げている。昨年は激戦のMoto2チャンピオンを獲得。力のある選手だけに、ここからの巻き返しに期待される。

そのエリアスに続き、今季Moto2クラスに「Gresini Racing Moto2」から挑む高橋裕紀の活躍にも熱い視線が注がれている。好調のままウインターテストを終えた高橋は、「チャンピオンチームにチャンピオンマシンとプレッシャーはさすがに大きいが、それだけにやりがいはある」と開幕戦から優勝を狙う意気込み。さらに、昨年の125ccチャンピオンで、ウインターテストですばらしい走りを見せたマルク・マルケス(Team Catalunya Caixa Repsol)にも大いに注目が集まっている。

今年は、夜間走行によるスタッフの負担を軽減するために、本来3日間のスケジュールを4日間に振り分ける。また、3月11日(金)に発生した「東北地方太平洋沖地震」の影響で、第3戦日本GPが10月に延期されることになった。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP) 「ここまでテストに集中してきたが、今年がどんなシーズンになるのか、楽しみで仕方がない。今年のウインターテストはとても充実していたし、いい仕事ができたと思う。マレーシア・セパンでは、とてもいい状態に仕上げられた。そして、カタール・ロサイルでもそれは変わらず、とても満足している。今年は戦闘力が高いレベルでシーズンのスタートを切られることがうれしい。今年はRC212Vの最後のシーズンになるが、今年のマシンは昨年の後半から大きく変わっていない。しかし、完成度は高い。今回は4日間といつもより1日長いので、いままで以上に集中しなければならない。今年はRC212Vはもちろん、自分自身の体調もいい。日本には多くの友人がいる。いま日本で起きていることを思うと、本当に心が痛む。1日も早く、復興することを願っている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP) 「シーズンの開幕戦であり、加えてナイトレースということで、カタールGPはいつも特別なレースになる。ロサイルは、MotoGPのデビューシーズンの08年に4位になり、昨年は3位表彰台に立つことができた。ウインターテストも調子がよかったし、ここで開幕戦を迎えられることがすごくうれしい。今年は、ケーシーとダニがHondaのレベルを引き上げた。僕も今年はとても状態がよく、いいシーズンにできるはずだと信じている。ロサイルは、スリッピーで、このコースに合ったセッティングがとても重要になる。ここのレースはフィジカル面でも厳しいものを要求されるが、楽しみで仕方がない。日本GPの延期は、正しい判断だと思う。地震と津波で大きな被害を受けているし、とても数週間で回復できるとは思わない。いま、一番大事なのは、多くの被災者の救済と、1日も早い復興だと思う。日本の方々の悲しみや苦労を思うと、とても心が痛い」

ケーシー・ストーナー(MotoGP) 「日本GPが中止になったけれど、日本の厳しい状況を考えれば仕方ないことだと思う。日本人の抱えている困難と悲しみは想像を絶する。とにかくいま、我々にできることは、HondaとHondaの従業員のためにベストを尽くすことだけ。いいレースをしたい。ウインターテストはとても順調だったし、いい状態に仕上げることができた。満足できる結果だった。この状態を維持して開幕戦を迎えたい。決勝では、みんながどんな走りをするのか見ることになると思うが、自分のペースで走りきりたい。これまでロサイルではいい成績を残して来た。今回はRepsol Honda Teamで初めてレースになるが、いい結果を残せると信じている」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP) 「今年のウインターテストはとてもフィーリングがよかったし、その成果を開幕戦から発揮したい。2月のマレーシア・セパン。そして、開幕前にロサイルで行われたテストで、Honda勢はすばらしい結果を残した。マシンの進化はもちろんのこと、自分も大きく前進することができたと思う。エンジンはパワフルで速くて、とても気持ちよく乗ることができる。Hondaは本当にすばらしいマシンを作ってくれた。昨年のシーズン後半戦の延長線上で開発してきたが、すばらしい。ここで表彰台に立てるようなことがあったら、最高だと思う。最低でもトップ5に入れると思うし、そこからシーズンのスタートを切りたい」

青山博一(MotoGP) 「今年のウインターテストは、すばらしいテストだった。マレーシア・セパンは最初のテストから順調で、2回目のテストを終えたときには、予定していたすべてのメニューを消化できた。結果もトップ6、トップ7に常につけていた。開幕前にロサイルで行われたテストも順調で、初日に3番手。2日目は、いろいろテストしているうちに路面温度が下がってタイムを更新できず10番手だったが、昨年とは比べものにならない仕上がりになった。カタールの合同テストに向かう日に、日本が大きな地震に見舞われた。カタールに入ってからも被害の状況が刻々と伝えられているが、想像を絶する大きな被害だ。今、こうして海外にいて何もできないのが歯がゆい。何か力になれることがあればと思うが、自分にできるのは、日本の人たちにいい結果を届けることだと思っている。日本GPが延期になったけれど、正しい判断だと思う」

トニ・エリアス(MotoGP) 「今年のウインターテストは、本当にたくさんのことにトライした。しかし、まだいい状態を見つけられていないし、日曜日のレースまで、さらにセットアップに取り組まなければならない。それは簡単なことではないが、チームとともに全力を尽くしたい。ロサイルは大好きなサーキット。ナイトレースということで独特な雰囲気がある。とにかく一日一日前進するだけだ。いま、日本で起きていることは、本当に悲しい。1日も早い復興を願っている」

高橋裕紀(Moto2) 「今年のウインターテストは、バレンシア、エストリル、ヘレスで行った。エストリルは天候が悪くて思ったように走れなかったが、バレンシアとヘレスでは、周回数もこなせたし、しっかりと走り込むことができた。マシンの状態もよく、テストの進め方もよくて、さすがにチャンピオンチームだと感じた。今年はチームの2連覇、モリワキの2連覇がかかっている。もちろん、僕もタイトルを取る大きなチャンスだと思っている。東日本大震災が発生したときは日本にいて、被害の大きさを目の当たりにした。本当に大勢の方が亡くなり、想像を絶する大勢の人たちが被災している。こんなときにカタールに向かうのはつらかったが、今自分にできるのはいい結果を残すことだと感じている」