最終戦バレンシアGPの予選は、初日トップタイムのケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がPPを獲得。ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が0.263秒差で2番手につけた。3番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。4番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。以下、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)、ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)と続き、ここまでがトップから1秒差以内という接戦となった。7番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)、8番手にトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)、10番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)と、4台のHonda勢がトップ10に入り、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)12番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)17番手という結果だった。
この日もバレンシアは、終日、青空が広がった。しかし、前日よりも風が強く、選手たちを悩ませることになった。初日、風の影響を受け、セクター3でタイムロスしていたペドロサは、2日目はこの区間の改善に全力を尽くした。午前中のフリー走行では、トップタイムをマークしたストーナーとわずか0.168秒差の2番手。午後の予選でも0.263秒差の2番手と、着実にタイムを上げて今季10回目のフロントローを獲得した。一昨年は優勝。昨年は2位。今大会は惜しくもフロントローを逃したが、2年ぶりの優勝に向けて絶好のグリッドを獲得した。
初日5番手と好調なスタートを切ったデ・ピュニエは、この日も快調にラップを刻んだが、セッション終盤に転倒を喫し7番手へとポジションを落とした。しかし、レースラップではトップグループに肉薄する好タイムを連発。3列目からの追い上げに期待が膨らんだ。初日14番手と苦しいスタートとなったエリアスは、この日、8番手に浮上した。初日はタイヤのグリップに苦しんだが、この日はセットアップが進み、気温と路面温度が上がったことも追い風となり、一気にタイムを上げた。
対照的にドヴィツィオーゾは、初日の8番手から10番手へとポジションを落とした。ドヴィツィオーゾは、2日間、サスペンションのセットアップに集中、着実にペースを上げることに成功したが、ソフトタイヤでのアタックがうまくいかなかった。4列目という厳しいグリッドから決勝に挑むドヴィツィオーゾだが、追い上げのレースに闘志を燃やす。初日6番手のデ・アンジェリスも予選タイヤのアタックが決まらず12番手。タルマクシは17番手だった。
250ccクラスは、アレックス・デボン(アプリリア)がPPを獲得。Honda勢は、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が好走を見せて初のフロントローを獲得。タイトル王手の青山博一(Scot Racing Team 250cc)はトップから0.540秒差の5番手とフロントローを逃すも、念願のタイトル獲得に向けて大きく前進した。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10番手。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)11番手。富沢祥也(CIP Moto-GP250)16番手、青山周平(Racing Team Germany)はセッティングが決まらず20番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:32.256 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.263 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.281 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.666 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.829 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.898 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.135 |
8 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.219 |
9 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +1.283 |
10 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.422 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.553 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.588 |
13 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.841 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.851 |
15 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.932 |
16 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +2.052 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.101 |
18 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.281 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 6 | A.デボン | アプリリア | 1:36.116 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.334 |
3 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.354 |
4 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.447 |
5 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.540 |
6 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.869 |
7 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.155 |
8 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.162 |
9 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.187 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.202 |
11 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.249 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +1.969 |
20 | 73 | 青山周平 | Honda | +2.679 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.167 |
DNQ | 33 | W.ダンロップ | Honda | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:41.472 |
2 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.004 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.358 |
4 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.519 |
5 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.561 |
6 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.620 |
7 | 78 | M.シュローター | Honda | +0.639 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.690 |
9 | 45 | S.レディング | アプリリア | +0.761 |
10 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.774 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「今日のセッションは順調で、フロントローを獲得できてとてもうれしい。しかし、昨日から課題になっているセクター3の問題はまだ完全に直らず、今日もこの区間で多少タイムをロスしてしまった。ここを解決できれば、PPを狙えたと思うし、もっと速いペースを刻めたと思う。ライバルたちはとても手ごわいし、優勝するのは決して容易なことではない。明日のコンディションがどうなるかわからないが、チームのためにも、優勝争いに加わってシーズンを締めくくりたい。バレンシアのレースはいつもモチベーションが高い。大勢のファンがかけつけてくれるし特別な大会。いいレースにしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 7番手)
「7番手という結果には満足していないが、Honda勢で2番手だったことは自信になった。今回はいいスタートが切れたし、昨日も今日も安定して走ることができた。予選もセッション序盤から快調に走れたし、順調にタイムを上げることができたが転倒してしまった。しかし、全体的に仕上がりもよく、レースペースも悪くなかった。明日はトップグループでレースをしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 8番手)
「昨日から大きく前進することができた。セッション終盤のアタックで渋滞にひっかかりロスしたが、それがなければ、5、6番手に入れたと思う。明日はいいスタートを切ってトップグループについていきたい。今日は路面コンディションがよくなったが、風が強くて難しかった」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 10番手)
「フリー、予選とセットアップは進んだが、ソフトタイヤのアタックがうまくいかず10番手に終わった。トップグループに加わるためにも、あと1秒タイムを短縮しなければならない。フリー走行よりもトップとの差が開いてしまったことにもがっかりした。明日のウオームアップでさらにセットアップを進めなくてはいけない。4列目なので、いいスタートを切ってベストを尽くしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12番手)
「昨日からあまり進歩することができなかった。タイトコーナーで思うように向きが変わらず、決勝に向けて、この問題を解決しなくてはいけない。今日は、ソフトタイヤのアタックよりも、レースタイヤの方がタイム差が小さかったので、決勝では前のグループについていきたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「今日の結果には満足している。最下位じゃなかったし、ハードタイヤでアベレージもよかった。もし、これが初めてのMotoGPクラスのレースだったら最高の内容だったと思う。バレンシアは大好きなサーキットだが、MotoGPマシンではいろんなことにトライしなければならなかった。今日は、MotoGPクラスで走れることを証明できたと思う。シーズン途中からの参戦だったが、1つの目標を達成できたと思う」
山野一彦|Repsol Honda Team監督
「全体的に順調だった。PPは獲得できなかったが、ダニが今季10回目のフロントローを獲得してくれた。ダニは、昨日、今日とT3に課題を残しているので、決勝に向けてこの問題を解消したい。この区間のタイムが上がれば、優勝に向けてさらに大きな自信になるはずだ。ドヴィツィオーゾは、セットアップは進んだが、予選のアタックがうまくいかず4列目に終わってしまった。厳しいグリッドになったが、本番に強い選手なので追い上げのレースに期待したい。シーズン最後のレースなので、優勝で締めくくりたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 4番手)
「初めてフロントローを獲得して、本当にうれしい。バイクの状態がよく、今日は気持ちよく走ることができた。一番の問題は強風で、ラインをキープするのが難しかった。しかし、リズムよく走れているし、明日は表彰台を目標にベストを尽くしたい。ファンはもちろんのこと、スポンサー、家族、そしてチームに心から感謝したい」
青山博一(250cc 5番手)
「フリー走行から予選にかけてセッティングを変えたのだが、風が強くて、それがいいのか悪いのかなかなか評価ができず、走り込むことにした。しかし、なかなかタイムを上げられず、午前中の状態に戻し、タイムを上げることができた。昨日より風が強く、風向きも変わり、難しいコンディションだった。明日の決勝に向けて緊張はないし、それ以上に、フロントローに並べなかったことが悔しい。僕だけじゃなく、みんな風の影響を受けてタイムがばらついている。明日のコンディションを見て、決勝のセッティングを決めたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 10番手)
「バレンシアはこの季節、強い風が吹くが、今日は特に風が強くて難しいセッションとなった。セッション終盤にアタックしているとき、転倒者がいて、アタックが不発に終わった。10番グリッドなので、トップグループについていくためにはいいスタートを切らなければならない。明日は最終戦。そして250cc最後のレース。地元ファンのためにも200%の走りをしたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 11番手)
「今日は風が強く、ときどき、突風が吹くのでとても難しかった。目の前でほかのライダーが転んだこともあって慎重になった。予選のアタックは、いくつかミスをしたし、100%のアタックができなかった。明日はいい気象条件になってほしい」
富沢祥也(250cc 16番手)
「フリー走行は順調だったが、予選は転倒者が多く、すごく難しかった。リアのグリップも悪くて、コーナーの立ち上がりでスライドが激しかった。そのために向きが変わらずタイムをロスした。明日のウオームアップは、違うセッティングにトライしてみたい。今年最後のレースになるので、シングルフィニッシュを目標にベストを尽くしたい」
青山周平(250cc 20番手)
「昨日から今日にかけて大きくセッティングを変更したのだが、結果的にあまりよくなく、思ったようにタイムを更新することができなかった。一番の問題はアクセレーション。コーナーの立ち上がりで思ったようにアクセルを開けられなかった。それが影響して、コーナーの脱出スピードが遅く、ストレートでロスしていた。決勝は厳しいレースになるが、最後まであきらめずポイントを獲得したい」