第17戦 バレンシアGP

バレンシアGPプレビュー

第17戦バレンシアGPが、6日、バレンシア・サーキットで開幕する。バレンシアGPは1999年にスタートし、今年で11回目。最終戦の舞台としてすっかり定着した。バレンシアGPは、シーズンを通じて最も観客が集まる大会の1つ。毎年、3日間で20万人を超える大観衆が集い、シーズン最高の熱気に包まれる。そして、Hondaファンにとっても思い出の多いグランプリとなっている。2006年には最終戦決着となったチャンピオン争いでニッキー・ヘイデン(現ドゥカティ)がタイトルを獲得した。07年にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝。2連覇を目指した昨年は優勝を逃すも2位表彰台と、地元ファンの期待に応えてきた。今年もファンの声援を一身に集めるペドロサの走りに注目が集まっている。

今季、ケガに苦しんだペドロサは、体調が回復した中盤戦から着実に表彰台に立ってきた。第8戦アメリカGPで今季初優勝を達成し、以後8戦で6回の表彰台とシーズン終盤戦に向けて調子を上げている。RC212Vのセットアップも進み、持てるパフォーマンスを着実に引き出せる状態が整ってきた。ペドロサは、過去、スペイン大会では圧倒的な強さを見せてきたが、今年はヘレスのスペインGPで2位、カタルニアGPでは6位と勝利を逃している。それだけに今大会は必勝態勢。地元スペインの大観衆の期待に応える意気込みだ。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も第10戦イギリスGP以来、優勝から遠ざかっているだけに、最終戦を表彰台で飾る意気込みだ。前戦マレーシアGPでは、ペドロサとともに表彰台争いに加わるも、中盤に痛恨の転倒を喫した。今大会はその雪辱を期する戦いとなる。MotoGPクラスに初めて参戦した昨年は、予選9番手から決勝4位と表彰台にあと一歩と迫った。今大会はペドロサとともに、優勝、表彰台獲得に闘志を燃やしている。

最終戦を迎え、ランキング争いもし烈になっている。最も厳しい戦いとなっているのが、総合7位争い。16戦を終えて7位のマルコ・メランドリ(カワサキ)から7点差以内に6人という大接戦となっている。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)はメランドリから3点差の9位。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)もデ・アンジェリスと同ポイントの10位。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は7点差の12位。今大会の結果で大きく順位が入れ替わるだけに、今季最高のバトルは必至の状況。最終戦で総合7位浮上を狙うHonda勢3選手の走りにも注目される。デ・アンジェリスは第12戦インディアナポリスGP以来、エリアスは第11戦チェコGP以来、デ・ピュニエも第10戦イギリスGP以来となる今季2回目の表彰台獲得に気合満点で挑む。

250ccクラスは前戦マレーシアGPで今季4勝目を挙げた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、タイトル王手で最終戦を迎える。タイトルを争うのは、昨年のチャンピオンであるマルコ・シモンセリ(ジレラ)で、21点差。青山博一は11位以内でフィニッシュすれば自力タイトル獲得。シモンセリが優勝しなければ順位に関係なくタイトルが決定する。タイトル獲得となれば、01年の加藤大治郎選手以来、8年ぶりの日本人チャンピオン誕生、Hondaとしては05年のペドロサ以来のタイトル獲得となる。今年は250ccクラス最後のシーズン。念願のタイトル獲得に大きなアドバンテージを築いて最終戦を迎える青山博一の250ccラストランに大きな注目が集まっている。

総合7位のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)も今季2回目の表彰台獲得に向け気合満点。総合9位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)もホームGPで今季2回目の表彰台を狙う。以下、総合13位のラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)、総合18位の富沢祥也(CIP Moto-GP250)、総合20位の青山周平(Racing Team Germany)など、最終戦でランキングアップを狙う250ccクラスのHonda勢が、ラストレースに闘志を燃やしている。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「バレンシアのグランプリは毎年楽しみにしている。今年もそれは変わらないし、地元ファンの期待に応えたい。バレンシアはタイトなコーナーが続く独特なレイアウトだが、好きなコース。とにかく、どこを走っていてもファンの熱烈な声援を感じとることができるし、大きな力になる。過去、バレンシアではいいレースをしてきたし、今年もいい形でシーズンを終えたい。この季節のバレンシアは雨が降ることも多い。しかし、前回のマレーシアでは、初めてウエットレースで表彰台に立てたし、今大会に向けて大きな自信になった。とにかく開幕が楽しみだ」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「バレンシアGPの盛り上がりのすごさにはいつも圧倒される。とにかく最終戦にふさわしいすばらしい大会だ。バレンシアは、タイトでスローコーナーが多く、決して得意ではないが、シーズン終盤にかけて調子が上がっているので楽しみにしている。前回のマレーシアは、転ばなかったらいい結果を残せたと思うし、本当に残念なレースだった。今回は自分のために、そしてチームのためにも、結果につなげたい。昨年は4位といい結果を残せた。今年もこれが最終戦なのでいいレースをしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング9位)

「今年はシーズンを通して低速コーナーの安定性に苦しんできたので、バレンシアは、厳しいレースになることが予想される。ここは、ハイスピード区間がなく、タイトなコーナーが続く。今年に限らず、過去の大会でも、バレンシアではグリップの問題に苦しんできた。しかし、06年には250ccで優勝することができたし、この数年は、このサーキットを攻略してきたという実感がある。今大会は、このチームでMotoGPクラスを走る最後のレースになる。悔いのないよう、そして総合7位を目標にベストを尽くしたい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング10位)

「オーストラリアとマレーシアの2連戦は、完ぺきなレースはできなかったが、最終戦に向けて大きな手応えをつかめた。今年はシーズンを通してリアのグリップに苦しんできた。タイトなコーナーが連続するバレンシアは、これまでのデータでは苦しい戦いが予想される。しかし、自分にとってバレンシアはホームGPであり、ファンの声援に応えられるようベストを尽くしたい。シーズン最後のレース。バレンシアはいつも最高の雰囲気。日曜日にみんなが喜んでくれるようなレースにしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング12位)

「前回のマレーシアで転倒していなければ、今大会は、最高のモチベーションで挑めるレースだった。それだけに今回は、マレーシアの雪辱を期す戦いになる。そしてレースが終わったときに、自分にとって、チームにとって、みんなが喜べるリザルトでシーズンを終えたい。250ccクラスでは、過去いいレースをしてきた。今年は、そんな結果になることを期待しているし、トップグループで戦いたい」

ガボール・タルマクシ(MotoGP ランキング17位)

「バレンシアは得意なサーキット。昨年もすばらしいリザルトを残すことができた。今大会は今年最後のレースなので、ベストリザルトで一年をしめくくりたい」

青山博一(250cc ランキング1位)

「もう何度も聞かれているが、タイトルがかかっている最終戦も、これまで同様、優勝を狙って戦いたい。チャンピオンシップはシモンセリとの戦いになっているが、ポイント差を計算せず、全力で戦いたい。前回のマレーシアは、久しぶりに優勝できたので、とてもうれしかった。バレンシアは大好きなサーキットなので、250cc最後のレースを優勝で飾れるようにがんばりたい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング7位)

「250cc最後のレースになるので、納得のいくレースにしたい。目標は2つ。1つは、250cc最後のシーズンで、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得すること。ポイント差は接近しているし、このタイトルを取ることに集中したい。もう1つは250cc最後のレース。250ccには1年間しか乗れなかったが、自分にとってのベストレースにしたい」

ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング9位)

「今回はホームGPであり、最終戦なので、ベストを尽くしたい。チャンピオンシップも総合5位のパシーニ(アプリリア)とは23点差だが、それからは数点差の接戦になっているので、できるだけポジションを上げたい。バレンシアGPの開幕に向けていくつかのイベントにも参加してモチベーションは高い。2ストローク250cc最後のレース。とにかく、ファンの期待に応えられるようベストを尽くす」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング13位)

「マレーシアGPから今大会までの間、ケガをしている背中の治療を行い、状態はかなりよくなってきた。今大会は今年最後のレースで、2ストローク250ccクラスのラストランになるので、いいレースにしたい。250ccクラスがなくなるのは残念だが、それだけに悔いのないレースにしたい」

富沢祥也(250cc ランキング18位)

「シーズン最後のレースで250cc最後のレースになるので、悔いのないようにベストを尽くしたい。今年は、本当に多くのことを学べた。失敗も多かったが、最終戦では、今年の成果を発揮できるような戦いにしたい」

青山周平(250cc ランキング20位)

「バレンシアは嫌いなサーキットではないが、セッティングを出すのが難しいコース。前回のマレーシアとはかなり違ったセットアップが要求されるし、金曜日、土曜日の走行でしっかりとバイクを仕上げたい。前回のマレーシアは、このチームのベストリザルトとなる10位でフィニッシュできた。今回は、目標のシングルを狙ってベストを尽くしたい」