ペドロサが雨のレースで2位、4戦連続で表彰台に立つ
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2009年10月25日(日)
決勝
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会場:セパン・サーキット
天候:曇り/雨
気温:31℃(125cc、250cc)、27℃(MotoGP)
コースコンディション:ドライ/ウエット
観客:5万9206人(3日間:10万2255人)
第16戦マレーシアGPは、125ccと250ccクラスはドライコンディションで決勝レースが行われ、MotoGPクラスはスタート直前に激しいスコールとなり、ウエットレースとなった。決勝日朝のウオームアップまですべてのセッションがドライコンディションで行われた中、ぶっつけ本番のウエットレースとなり、選手たちにとっては厳しい戦いとなった。
優勝したのはケーシー・ストーナー(ドゥカティ)で、オープニングラップに首位に浮上すると21ラップを走りきった。2位にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)。そして3位でチェッカーを受けたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が、シリーズタイトルを獲得した。以下、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)、クリス・バーミューレン(スズキ)と続き、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が7位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)12位、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)14位という結果だった。中盤過ぎまで3番手を走行したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は転倒リタイア。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も序盤に転倒してリタイアに終わった。
MotoGP クラス決勝は、250ccクラスの決勝レースが終わった直後に激しい雨になり、スタート時間を35分間延期して行われた。決勝レースがスタートする時点では、激しい雨こそ止んだが、断続的に小雨が降り続いた。ぶっつけ本番のウエットセッティングを強いられる難しい戦い。Repsol Honda Teamは、これまでの経験を生かしたセットアップでグリッドに並び、序盤から好位置につけた。
オープニングラップを制したのはストーナー。そのストーナーにジリジリと引き離されたが、ペドロサが終始、2番手をキープした。中盤まではチームメートのドヴィツィオーゾが背後に迫った。後半はロッシの猛追撃を受けるも、安定した走りで後続を抑えきった。これまでウエットレースでは表彰台のないペドロサだったが、初めて雨のレースで表彰台に立った。そのペドロサを中盤までピタリとマークしたドヴィツィオーゾは、予選11番手からのオープニングラップで3番手に浮上。2番手のペドロサに迫ったが、痛恨の転倒を喫した。
予選6番手のエリアスは7位でチェッカーを受けた。今年は雨のレースで思うような結果を残せていない。今大会も突然のウエットレースになり、一度は落胆するも、決勝では7位でフィニッシュ。総合ランキングでも11位から10位に浮上した。この日は、予選6番手から好スタートを切るとオープニングラップに4番手に浮上、その後、ヘイデン、バーミューレンらに抜かれたが、苦手とするウエットレースでの7位フィニッシュに明るい表情を見せた。デ・アンジェリスは、セットアップが決まらず12位。タルマクシは14位だった。
250ccクラスは、総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が今季4勝目を達成。2位にヘクトール・バルベラ(アプリリア)、3位にマルコ・シモンセリ(ジレラ)と続いた。今季2回目のPPから絶好のスタートを切った青山博一は、中盤まではシモンセリとし烈なバトルを繰り広げたが、ラスト8周でトップに浮上すると後続を引き離し、20周のレースを走りきった。5位にはヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)。6位にはラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)で、タイからの応援団の声援に応えた。青山周平(Racing Team Germany)は、チームのベストリザルトとなる10位でチェッカーを受けた。中盤まで10位争いに加わった富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、ブレーキングミスで痛恨の転倒。再スタートを切るもポイント獲得は果たせなかった。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 47:24.834 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +14.666 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +19.385 |
4 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +25.850 |
5 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +38.705 |
6 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +41.061 |
7 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +48.555 |
8 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +55.557 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1:00.303 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1:00.440 |
11 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +1:01.655 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1:01.847 |
13 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1:10.778 |
14 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +1:15.851 |
15 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1:50.672 |
RT | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +7Laps |
RT | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +20Laps |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 4 | 青山博一 | Honda | 42:55.689 |
2 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +6.397 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +6.397 |
4 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +14.871 |
5 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +19.177 |
6 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +19.567 |
7 | 6 | A.デボン | アプリリア | +20.255 |
8 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +34.561 |
9 | 25 | A.バルドリーニ | アプリリア | +50.937 |
10 | 73 | 青山周平 | Honda | +1:04.186 |
|
13 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:17.945 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +1Lap |
RT | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +4Laps |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 42:50.916 |
2 | 38 | B.スミス | アプリリア | +1.114 |
3 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +6.293 |
4 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +8.003 |
5 | 18 | N.テロール | アプリリア | +8.485 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +10.188 |
7 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +15.114 |
8 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +22.151 |
9 | 6 | J.オリベ | デルビ | +26.388 |
10 | 8 | L.サネッティ | アプリリア | +27.113 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
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1 | V.ロッシ | ヤマハ | 286 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 245 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 220 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 209 |
5 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 152 |
6 | C.エドワーズ | ヤマハ | 148 |
7 | M.メランドリ | カワサキ | 108 |
8 | L.カピロッシ | スズキ | 108 |
9 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 105 |
10 | トニー・エリアス | Honda | 105 |
11 | C.バーミューレン | スズキ | 105 |
12 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 101 |
13 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 93 |
14 | J.トーズランド | ヤマハ | 88 |
15 | M.カリオ | ドゥカティ | 64 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 38 |
17 | ガボール・タルマクシ | Honda | 19 |
18 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | 13 |
19 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 12 |
20 | 高橋裕紀 | Honda | 9 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
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|
1 | ヤマハ | 366 |
2 | Honda | 272 |
3 | ドゥカティ | 261 |
4 | スズキ | 131 |
5 | カワサキ | 108 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
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1 | 青山博一 | Honda | 252 |
2 | M.シモンセリ | ジレラ | 231 |
3 | H.バルベラ | アプリリア | 214 |
4 | A.バウティスタ | アプリリア | 198 |
5 | M.パシーニ | アプリリア | 128 |
6 | T.ルティ | アプリリア | 107 |
7 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 106 |
8 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | 105 |
9 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 105 |
10 | A.デボン | アプリリア | 101 |
|
13 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 70 |
18 | 富沢祥也 | Honda | 26 |
20 | 青山周平 | Honda | 22 |
21 | V.ドゥビーズ | Honda | 17 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
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|
1 | アプリリア | 314 |
2 | Honda | 271 |
3 | ジレラ | 238 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 264 |
2 | B.スミス | アプリリア | 203.5 |
3 | N.テロール | アプリリア | 173.5 |
4 | P.エスパルガロ | デルビ | 158.5 |
5 | S.ガデア | アプリリア | 141 |
6 | A.イアンノーネ | アプリリア | 125.5 |
7 | S.コルテセ | デルビ | 122 |
8 | M.マルケス | KTM | 94 |
9 | S.ブラドル | アプリリア | 85 |
10 | J.オリベ | デルビ | 81 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
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1 | アプリリア | 348.5 |
2 | デルビ | 200 |
3 | KTM | 96 |
4 | ロンシン | 17 |
5 | Honda | 14 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2位)
「これまでウエットレースは自分のウイークポイントだったし、長い間、雨のレースを克服しようと努力してきた。何度もいいレースをしたが、いつも限界を超えてしまった。しかし今日はウエットレースで初めて表彰台に立つことができた。難しいコンディションとなったが、ベストを尽くしてくれたスタッフに感謝したい。今日の表彰台は決して簡単ではなかった。中盤までアンドレアに差を縮められていたし、プレッシャーも掛けられた。その後、アンドレアが転倒したが、今度はバレンティーノが迫ってきた。しかし、最後までいいリズムで走ることができた。今日の結果には本当に満足している。今日、タイトルを獲得したバレンティーノに祝福の言葉を贈りたい。9回のタイトル獲得というのは、本当にすばらしいことだ。次のバレンシアは、好きなサーキットだし、何よりも多くのファンがいる。地元スペインで開催される最終戦を楽しみにしている」
トニー・エリアス(MotoGP 7位)
「スタート直前に雨になり、正直、がっかりしてしまった。今年は雨のレースでいいリザルトが残せていないし、ウイークポイントの1つだったからね。しかし、思っていたよりもグリップがよくてそれほど苦悩することはなかった。トップグループについていくことはできなかったが、7位でフィニッシュできたことに満足している」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12位)
「雨のレースに自信はあるのだが、今日は何が悪かったのか、気持ちよく走ることができなかった。リアのスピニングに悩まされて、ポイントを獲得するのが精一杯だった。本来の走りができていたらいい結果を残せたと思うし、それだけに残念だった。総合ポイントで7位から9位に落ちたが、わずか3点差。最終戦バレンシアで再び、7番手を目標にベストを尽くしたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 14位)
「スタートがよくてポジションを上げることができたが、序盤はグリップしなくてペースを上げられなかった。その後、徐々にフィーリングはよくなり10、11番手争いに加われた。同じグループのライダーたちと同レベルの走りができた。しかし、グループから遅れ始めてからはペースをキープできなかった。9回目のタイトルを獲得したロッシにおめでとうと言いたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP リタイア)
「リズムよく乗れていたし、あのまま走っていれば表彰台に立てたと思う。本当に残念な結果に終わった。今日は決してスムーズなライン取りではなかったが、ブレーキングで差を縮めることができた。ブリヂストンのウエットタイヤはとてもよかった。ダニに追いついているときは限界に近い走りをしていた。今日はどうしても表彰台に立ちたかったし、こんな結果になって、チーム、スタッフには申し訳ない気持ちでいっぱいだ」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP リタイア)
「昨日の予選でいい状態を作れたし、今朝のウオームアップでも調子はよかった。雨が降ってコンディションは変わったが、それでもいいリズムで走ることができた。スタートもよく5番手につけていたが2周目の3コーナーでハイサイドで転んでしまった。何が起こったのか分からなかったのだが、後で自分の転倒をテレビで見て、ケガがなくてよかったと思った」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日の結果は、素直に喜ぶことはできないが、これまで雨のレースを苦手にしていたダニが表彰台に立てたことは、大きな収穫だった。本人も今日の結果をすごくポジティブに受け入れている。優勝できなかったことは残念だが、とてもいいレースだった。バイクに問題はなかったし、もっとプッシュしていけるようにならないといけないと言っていた。ドヴィツィオーゾは攻めている状況での転倒だった。11番グリッドから3番手に浮上した。ブレーキングがよくて、いい位置でレースを戦えたことは次につながると思う。今日は突然の雨になったが、チーム全体としては、最良の判断だったと思う。新たなデータも得ることができた。今年のタイトル争いは決着したが、チャンピオンになったバレンティーノには心からおめでとうと言いたい」
青山博一(250cc 優勝)
「今日は厳しいレースだった。とにかくいったん遅れたらついていけないと思ったので、抜けなくても、離されないようにしようとプッシュした。中盤まではシモンセリとクルーゼル(アプリリア)が絡んで苦しかったが、次第にタイヤがスライドし始めていたので、チャンスはあると思った。シモンセリとのバトルは厳しかったが、前に出てからはとにかく全力でプッシュした。最後は自分との戦いだった。仕掛けるのがちょっと早いかなと思ったけれど、いけるところまでいこうと決めた。今回は、フリー、予選、決勝と完ぺきな走りができた。ファステストラップもレコードも更新できてよかった。最終戦もポイントを計算しないで優勝を目標にがんばりたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 5位)
「序盤はあまりよくなかったが、セカンドグループにとどまろうと全力を尽くした。今日は暑くて厳しいレースになったが、最終ラップ、チームメートとデボン(アプリリア)を抜いてチェッカーを受けることができた。これで総合9位に上がることができた。大混戦になっているし、総合6位のルティ(アプリリア)と2点差なので、最終戦バレンシアでは6位を目標にベストを尽くしたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 6位)
「序盤はすばらしいレースができた。そして中盤までトップグループについていけたことに、自分でも驚いている。しかし、徐々にリアのタイヤのグリップがなくなって苦しい走りになった。今回は熱対策のためにラジエーターを新しいスペックにしたのだが、それもよかった。今日はタイから駆けつけてくれたファンに心から感謝したい」
青山周平(250cc 10位)
「昨日の予選を終えて、スイングアームをスタンダードに戻すことに決めた。朝のウオームアップでは、その効果があってすごく乗りやすくなったのだが、これまで使ったことのないタイヤで決勝に挑み、それが結果として裏目に出てしまった。リアのグリップがなくて接地感がまるで感じられなかった。今日は転倒者が多く10位になれたが、内容はよくなかった」
富沢祥也(250cc 16位)
「スタートもよく、序盤はセカンドグループの大集団の中で戦えた。次第にグループから遅れてしまったけれど、転倒者も多く、10位争いのグループで戦うことができた。しかし、中盤過ぎに9コーナーで転んでしまった。再スタートできたのだが、転んでからはエンジンの調子が悪く、完走するのがやっとだった」