第16戦 マレーシアGP

マレーシアGPプレビュー

第16戦マレーシアGPが、23日、クアラルンプール郊外のセパン・サーキットで開幕する。マレーシアGPは1991年にスタートして今年で19回目を迎える。セパンでは99年に第1回大会が行われ今年11回目となる。サーキットが完成してからこの11年間、セパンはMotoGPクラスのウインターテストの舞台として定着している。チーム、選手が持つ情報量が最も多いサーキットの1つで、初日からレベルの高い走りが繰り広げられる。

一年を通じて高温多湿のマレーシア。暑さと湿度は、選手、バイク、タイヤにとって厳しい条件となるが、気候が安定しているためセッティングに悩むこともなく、走りに集中できる。スローセクション、高速セクションの織り交ぜられた一周5.542kmのロングサーキットは、コースレイアウトの点で選手たちの評判も高い。過去18回開催されたマレーシアGPでは、Hondaはこれまで8回の優勝を達成している。しかし、セパンで行われた過去10回の大会では、まだ2度しか優勝がなく、今年は6年ぶりの優勝を目指す。

前戦オーストラリアGPで3位に入ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)にとって、セパンは最も得意とするサーキットの1つ。最高峰クラスにデビューを飾った2006年から3年連続で表彰台に立っているが、優勝にあと一歩届かない悔しいレースが続いている。125ccクラス、250ccクラス時代には優勝を経験している大会。今年は3クラス目の制覇に闘志を燃やす。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今大会は6戦ぶりの表彰台と今季2勝目を目指す戦いとなる。昨年の大会はペドロサに続き3位になり、MotoGPクラス初表彰台を獲得した。Repsol Honda Teamにとって今大会は、シーズン初のW表彰台と1-2フィニッシュに期待がかかる。ドヴィツィオーゾは、前戦オーストラリアGPで予選10位に終わったことで決勝は6位にとどまった。しかし、決勝ではバイクのセットアップも決まり、すばらしい追い上げを見せただけに、今大会の走りが注目される。

シーズン中盤戦以降、すばらしいパフォーマンスを見せているアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、今大会はさらに上位を狙う。フィリップアイランドでは、トップグループに加わり4位でチェッカーを受けた。バイクの状態もレースをこなすごとに仕上がっているだけに、第12戦インディアナポリスGP以来となる2度目の表彰台獲得が期待される。

デ・アンジェリスとともに、大接戦のランキング7位争いに加わるランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、今季2度目の表彰台に闘志を燃やす。前戦オーストラリアGPは、予選、決勝ともに8位とまずまずの結果だった。しかし、序盤の遅れがなければ、さらに上位を狙える走りだっただけに、今回はその雪辱に気合を入れている。デ・アンジェリス、デ・ピュニエとともに総合7位争いの一角につけるトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)も、ここからの2戦で一気にポジションを上げる意気込み。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)も、125ccクラスで2度優勝経験のある得意のサーキットで今季ベストリザルトを狙っている。

250ccクラスは、青山博一(Scot Racing Team 250cc)がタイトルに王手をかけて今大会を迎える。セパンは、07年に優勝、昨年2位と、最も得意とするサーキットの1つ。総合2位のマルコ・シモンセリ(ジレラ)に12点差。総合3位のアルバロ・バウティスタ(アプリリア)に29点差。総合4位のヘクトール・バルベラ(アプリリア)に33点差。タイトルの可能性を残す4選手の戦いに大きな注目が集まっている。前戦オーストラリアGPでは、4番手までポジションを上げながら赤旗中断のために7番手でレースを終えていた。今大会は、その雪辱を期す戦い。今季4勝目とタイトル獲得が期待される。

前戦オーストラリアGPで250ccクラス初表彰台となる3位になった総合6位のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)も2戦連続表彰台に闘志満々。総合8位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)も、デ・ロサとともにし烈なランキング争いを繰り広げているだけに、全力を尽くす意気込み。総合14位のラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も隣国タイからの地元応援団の声援を受けてベストリザルトを狙う。ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)、復帰3戦目となる青山周平(Racing Team Germany)も今季ベストリザルト獲得に向けて気合を入れている。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「セパンはすごくいいサーキットで、いつも楽しみにしている。125ccと250ccで優勝しているし、MotoGPでも優勝したい。しかし、この数戦のライバルたちの速さをよく知っているので、そう簡単ではないし、厳しい戦いになることは間違いない。ケーシー(ストーナー、ドゥカティ)との総合3位争いもし烈になっているし、優勝を目指したい。セパンは湿度が高くて体力的に厳しいサーキット。先週のフィリップアイランドとはあまりにも対照的なコンディションとなるが、決勝に向けて万全な状態を作り出すために、初日のフリー走行からベストを尽くしたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「セパンは大好きなサーキット。これまでもいい思い出がたくさんある。昨年の大会では、MotoGPクラスで初めて表彰台に立つことができた。今大会もいいレースができると確信している。先週のオーストラリアGPでは、最終的にバイクのフィーリングがとてもよくなったので、今回は初日のフリー走行から気持ちよく走りたい。オーストラリアはグリッドの悪さが決勝に影響した。トップグループで戦うためにもいいグリッドを得なければならない。セパンはコース幅が広く高速区間の安全性も高い。MotoGPクラスにとってはすばらしいサーキットだ」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング7位)

「高速コーナーが多かった先週のフィリップアイランドに比べて、セパンは、今シーズン最も苦手としてきたヘアピンやスローコーナーが多い。これまでのデータからいえば苦手なサーキットになるが、バイクの状態はよく、どんな走りができるのか、楽しみにしている。大接戦のランキング争いでも7位にいる。この激しい戦いも楽しみにしている」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング8位)

「先週のオーストラリアGPとセパンは、あまりにも対照的なサーキットになる。フィリップアイランドは最高気温が16℃だったけれど、セパンは35℃まで上がると思う。タイヤにもバイクにも厳しいサーキットになるし、すべてのフィーリングが変わることになる。金曜日、土曜日のセッションがとても重要になる。フィリップアイランドでは、ドヴィツィオーゾ、カリオ(ドゥカティ)、メランドリ(カワサキ)とすばらしい戦いができた。今週はもっといいレースになることを期待している」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング11位)

「先週のフィリップアイランドは、リアのトラクション不足に苦しんだ。厳しい戦いになることは予想できていたし、その通りの展開となった。しかし、セパンはテストもこなしているしデータもあるので、心配はない。ランキング7位争いが接戦になっている。残り2戦で7番手に浮上できるようにベストを尽くしたい」

ガボール・タルマクシ(MotoGP ランキング17位)

「セパンは125cc時代に2度優勝している大好きなサーキット。今週はいいリザルトを残したいし、そのために先週のオーストラリアGPのデータを徹底的に分析した。先週のレースは大きな自信になった。セパンは暑いけれど、いいセッティングを見つけられたら、何も問題はない」

青山博一(250cc ランキング1位)

「先週のフィリップアイランドは厳しい戦いになった。ライバルにポイントを詰められ、タイトル争いも厳しくなったが、今回もベストを尽くすだけ。マレーシアは得意なコース。昨年もPPを獲得して2位表彰台に立っているので、今年もいい結果を残したい。アプリリア、ジレラ勢との戦いは、ますます厳しくなると思う。とにかく、ベストを尽くしたい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング6位)

「先週はすばらしいレースになった。気持ちよくマレーシアに移動することができたし、今週もいいレースにしたい。正直、これまではセパンはあまり好きなサーキットではなかったが、大会が終わったときには好きになっていると思う」

ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング8位)

「チャンピオンシップは厳しさを増しているし、トップ10を狙うためにも、ここからの2戦がとても重要になる。ここは気温が高いレースでエンジンにも厳しい。ベストな状態で戦えるように全力を尽くしたい」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング14位)

「自分にとってこの大会がホームGPになる。タイからは、家族はもちろん、大勢の友人たちが応援に来てくれる。いままでと同じようにベストを尽くし、チェッカーを受けることが目標になることに変わりはないが、フランスGPの5位をしのぐリザルトを目標に戦いたい」

富沢祥也(250cc ランキング17位)

「セパンを訪れるのは初めてになるが、このサーキットはMotoGPクラスのテストが多く、情報もたくさんあるので、実際に走ってみたらどんなサーキットなのか、すごく楽しみにしていた。一年で一番暑い大会になると思うし、それがどのくらい暑いのかを知るのも楽しみ。天気の心配もなさそうなので、とにかく、たくさん走ってコースを攻略して、決勝に挑みたい」

青山周平(250cc ランキング20位)

「前回のオーストラリアGPはタイヤに厳しいレースだったが、ここもタイヤに厳しい条件がそろうので、接戦になると思う。気温が高く湿度も高いのでエンジンにも厳しい条件となる。フィリップアイランドはスタートに失敗して、追い上げるレースになった。それがタイヤを消耗させた原因の1つにもなったので、今回は予選でミスをしないようにがんばりたい」