オーストラリアGPの予選は、雨雲の流れが速く、断続的に雨になる不安定な一日となった。しかし、MotoGPクラスの予選は幸いにもドライコンディションで行われ、地元のケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がPPを獲得。僅差でバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が続き、初日3番手のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が予選でも3番手をキープした。
ペドロサは、午前中のフリー走行で着実にセットアップを進め、ラップタイムも向上して2番手に浮上。予選では3戦ぶりのPPを狙ったが、セッション中盤に2コーナーで痛恨の転倒、2号車に乗り換えてアタックを継続して何とか3番手をキープした。ペースを上げていく段階でフロントのグリップを失ったペドロサは、グラベルを激しく転がった。しかし、大きなケガはなく、スタッフとファンは胸をなで下ろした。この転倒の影響で、PP獲得のストーナーと2番手のロッシにやや差を広げられたが、レースペースはいい。決勝では今季2勝目を狙う。
初日4番手につけたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も好調をキープ、2列目スタートとなる6番手につけた。悔やまれるのは、ペドロサ同様に予選で転倒したこと。決勝に向けてやや不安を残す結果となったが、2日連続で見せた好走は今季2回目の表彰台を期待させる。
初日12番手と出遅れたランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、午前中のフリー走行で転倒を喫したが、午後の予選では快調にラップを刻み8番手に浮上。初日8番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、10番手へとポジションを落としたが、セットアップを進め、決勝でのばん回に期待される。以下、セットアップが思うように進まなかったトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は11番手。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)16番手という結果だった。
2日目は、午前中のフリー走行でセッション後半に激しい雨が降り、午後の予選はセッション終了と同時に雨になる不安定な天候となった。2日連続で雲が多く、雨が路面を濡らしたかと思えば、時折り青空がのぞき、路面温度も急激に変化。選手たちを悩ませることになった。
250ccクラスは、午前中のフリー走行がウエットからドライ。午後の予選もウエットからドライになる微妙なコンディションとなった。その中で、初日2番手と好調なスタートを切ったラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)が、250cc初のPPを獲得。総合首位でタイトル獲得の期待が膨らむ青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、初日11番手から3番手へと一気にポジションを上げた。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)7番手。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)9番手と、トップ10に4台のHonda勢が名前を連ねた。青山周平(Racing Team Germany)は16番手。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は18番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:30.341 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.050 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.729 |
4 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.730 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.755 |
6 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.919 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.984 |
8 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.039 |
9 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.043 |
10 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.131 |
11 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.299 |
12 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.381 |
13 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.532 |
14 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.849 |
15 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.997 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.411 |
DNQ | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 1:33.389 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.225 |
3 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.244 |
4 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.497 |
5 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.539 |
6 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.641 |
7 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.725 |
8 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.803 |
9 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.896 |
10 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.199 |
16 | 73 | 青山周平 | Honda | +1.998 |
18 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.322 |
22 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.595 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | 1:37.770 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.279 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.297 |
4 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.366 |
5 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.385 |
6 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.522 |
7 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.782 |
8 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.798 |
9 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.808 |
10 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +0.818 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「どのサーキットでもフロントローに並ぶことは重要だ。今日は転倒したにもかかわらず、フロントローを獲得できてよかった。転倒したのは2コーナーで、スピードも出ていたが、ケガをしなくてよかった。すぐにピットに戻ってセカンドバイクでセッションをこなせた。どうして転んだのかはっきりしたことは分からないが、ブレーキをかけた途端にフロントから転んでしまった。今日はトップの2人にやや離されてしまったが、優勝争いに加わるためにも、明日のウオームアップで少しでもいい状態にしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 6番手)
「今日はセッティングもよくて、ハードタイヤで1分31秒台前半のラップを刻むことができた。とにかく、気持ちよく乗れていたし、転倒したときはセッティングのいい方のバイクだったので本当に残念だった。明日は2台のバイクのいいセッティングを組み合わせて挑みたい。転んでしまったことで6番手に終わったが、今日の自分のパフォーマンスには満足している。決勝に向けて自信にもなった。明日はいいスタートを切ってトップグループについていきたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 8番手)
「昨日はリアのセッティングに苦しんだが、今日は本来のポジションに戻ることができた。フリー走行では、リアのグリップを失いコースアウトして転倒してしまった。しかし、予選はフィーリングがよくて、ラップを重ねるごとにペースアップできた。昨日から今日にかけて、セットアップはうまくいったと思う。しかし、決勝に向けてタイヤのチョイスができていないので、明日のウオームアップではそれに集中したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 10番手)
「予選は10番手だったが、昨日から今日にかけて、セットアップを進めることができた。予選では違うセッティングにトライしたが、それがよかった。最初はハードタイヤで走行していたが、硬すぎる感じだったのでソフトに切り替えた。これで走りのリズムはよくなったのだが、タイムを上げることはできなかった。明日はいいスタートを切って、少しでも上のポジションでフィニッシュしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 11番手)
「フリー走行、そして予選と、思ったようにセットアップは進まなかった。明日の決勝レースまでに、あとどのくらいいい状態にできるのか分からないが、とにかくいいスタートを切って速いグループについていきたい。課題はトラクション不足。天気がよくなれば、トラクション不足を解消できるかもしれない。昨日、今日と不安定な天候だったが、明日は晴れてほしい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 16番手)
「MotoGPマシンに乗ってから、フィリップアイランドが最も難しいサーキットのような気がする。しかし、セッションをこなすごとにタイムを短縮できたし、トップグループとのギャップも少ない。セットアップの方向性も間違っていないし、順調な2日間だった。明日の決勝はさらに前進したいし、今回の成果をマレーシアとバレンシアにつなげたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「予選でダニが転倒したが、打撲程度で大きなダメージがなくてよかった。今日の転倒はオーバーペースが原因だが、攻めているときの転倒であり、決勝に向けて学習になったと思う。バイクのダメージも大きくないので、明日のウオームアップで確認して決勝に挑みたい。トップの2人はいい仕上がりだが、十分に戦えるレベルにあると感じている。ドヴィツィオーゾも、FP1、FP2と着実にタイムを伸ばし、アベレージも順調に上がっている。レースになればすばらしいファイティングスピリッツを発揮してくれる選手なので、決勝の走りに期待している」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc ポールポジション)
「250ccクラスで初めてのPP。125ccを含めて2回目のPPを獲得できて本当にうれしい。明日の決勝は、シモンセリ(ジレラ)や青山(博一)といいレースがしたい。しかし、チャンピオン争いをしている選手たちのことは意識しなければならないし、彼らの邪魔になるようなレースはしたくない。今年はチェコGP以後、すごくいい感じで走れているし、シーズン前半とは見違えるようだ。明日のレースが本当に楽しみだ」
青山博一(250cc 3番手)
「フロントのフィーリングがよくなくて、今週は難しいスタートになったが、最終的にセットアップが決まった。ただ、午後の予選は、セッション開始直後に雨が降ったために、その後、ドライになっても路面温度が上がらず、タイヤのフィーリングが伝わりにくかった。最後のアタックでちょっと失敗したけれど、何とかフロントローに並べてよかった。今回はチームメートもいい走りをしているので、明日は負けないようにがんばりたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 7番手)
「2列目に並べたことはよかったが、朝のフリーで転倒しなければ、もっと上を狙えたと思う。予選はセッション序盤に雨になり、その後、ドライになった。ラスト10分、いい走りができたのだが、クリアラップが取れなかった。明日はいいスタートを切って、オーストラリアのレースファンに印象に残るようなレースがしたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 9番手)
「今日はウエットコンディションでとても気持ちよく走ることができた。ドライコンディションも悪くなかったのだが、ニュータイヤを入れてアタックしているときに渋滞にひっかかってしまった。いくつか上のポジションは狙えたと思うし、残念だった。しかし、バイクの状態はいいので、決勝でばん回したい」
青山周平(250cc 16番手)
「フリー走行から予選にかけて、高速コーナーでタイムを稼げるようなセッティングにしたのだが、それが結果的によくなくて、タイムを上げられなかった。エンジンも思ったように走らず、それもタイム短縮を果たせなかった理由の1つだ。フリー走行が8番手だったので、予選もそれと同じくらいの結果を出したかったが、ポジションを落としてしまい残念だった。明日の決勝は、今日の午前中のセッティングに戻して挑む。前回のポルトガルが12位だったので、それ以上を目標にしたい」
富沢祥也(250cc 18番手)
「昨日は風が強くてうまく走れなかったが、今日は風の影響を感じることなく走ることができた。同じくらいの風だったと思うのだけれど、ペースが上がって全体的にリズムよく走れるようになった。フリー走行はウエットからドライ。予選もセッション開始直後に雨になって、一日を通じてちゃんと乗れなかった。それを思えば18番手になれてよかった。明日はスタートをしっかり決めて、速いグループについていって完走したい」