2日連続で快晴となったエストリル。最高気温も2日連続で25℃と、絶好のコンディションの中で予選が行われた。PPを獲得したのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)で、2番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。この3選手とし烈なアタック合戦を繰り広げたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、わずかの差で4番手と、惜しくもフロントローを逃した。ペドロサは午前中のフリー走行でセットアップにやや苦しんだことが、午後の予選に影響した。しかし、アベレージではフロントローに並んだ3選手とそん色なく、決勝での巻き返しが期待される。昨年は難しい天候の中で2位になり、エストリル初優勝に届かなかった。今年は決勝日も安定した天候となりそうで、シーズン中盤戦からの上り調子を、好結果につなげたい。
初日7番手と好調なスタートを切ったランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)が、予選では1つポジションを上げて6番手につけた。第10戦イギリスGPで今季初表彰台となる3位になった後、トレーニング中に左足首を骨折。その影響でチェコ、インディアナポリス、サンマリノと苦しいレースを強いられてきたが、足の復調に併せグリッドを上げた。第9戦ドイツGP以来、5戦ぶりの2列目スタート。体調もよく、気分ものっているだけに決勝での快走が期待される。
初日6番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、この日、セットアップに苦しんで8番手へポジションを落とした。エストリルは自身が最も得意とするサーキットの1つ。今大会はサスペンションをオーリンズに変えて2戦目ということもあり、セットアップに多くの時間を要した。2日目のセッションを終えて、マシンの状態は依然として完全ではないが、決勝日のウオームアップでセットアップを決めて、追い上げのレースに挑む。
以下、カゼで体調を崩していたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が、セッション終盤にセットアップを決めて11番手。チームメートのトニー・エリアスは、午前中のフリー走行で8番手にポジションを上げ、午後の予選でも終始トップ6を快走した。しかし、セッション終盤のアタックの際にクリアラップが取れず13番手へと順位を落とした。しかし、セッションをこなすごとにバイクの状態がよくなっているだけに、決勝では追い上げのレースが期待される。一方、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は、この日セットアップが進まず苦戦。17番手に終わった。
250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がPPを獲得。初日10番手と出遅れた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、フリー走行、予選と調子を上げて4番手へと浮上し、7戦連続でフロントローを獲得した。今大会、新しいセットアップに取り組んだという青山博一。2戦連続PPこそ逃したが、今季4勝目に向け、気合を入れていた。以下、Honda勢は、青山博一のチームメートのラファエレ・デ・ロサが、第2戦日本GP以来となる予選6番手。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が8番手と、4戦ぶりに2列目を獲得した。初日7番手と好調なスタートを切ったヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は11番手へとポジションを落とすも、アベレージではトップグループに肉薄する好走。決勝では追い上げのレースが期待される。ここまでがトップから1秒差。今季最も激しい予選となった。今大会からWGP復帰の青山周平(Racing Team Germany)は15番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は17番手。ともに追い上げのレースに挑む。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:36.214 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.260 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.314 |
4 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.488 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.928 |
6 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.234 |
7 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.275 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.327 |
9 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.440 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.599 |
11 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.608 |
12 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.609 |
13 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.697 |
14 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1.828 |
15 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.128 |
16 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.324 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.106 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:40.596 |
2 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.058 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.088 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.283 |
5 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.412 |
6 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +0.573 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.586 |
8 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.594 |
9 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +0.609 |
10 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.757 |
11 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.941 |
15 | 73 | 青山周平 | Honda | +1.598 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +1.752 |
19 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +2.831 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:45.199 |
2 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.540 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.576 |
4 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.857 |
5 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.857 |
6 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.900 |
7 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.988 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +1.108 |
9 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.111 |
10 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +1.243 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)
「今日はバイクのセットアップに苦労した。フリー走行ではいくつかの問題を解決するの手こずり、午後も引き続きセットアップに取り組んだ。今日のベストタイムはソフトタイヤでマークした。フロントローに並べたらもっとよかったが、4番手なのでそれほど悪くはない。午前から午後にかけてアベレージを上げられたが、もう少し上げられたら、いいレースができるはず。明日は今日より気温が下がると思うし、難しいレースになりそうだ。リズムよくラップを刻めるかどうかわからない。今日のケーシー(ストーナー)の速さには驚いていないが、3戦欠場していた後としてはすばらしいパフォーマンスだった。残り4戦。総合3位をキープすることが目標なので、明日は、その目標に向けてしっかりと戦いたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 6番手)
「今回はいいスタートが切れたし、こうして予選を6番手で終われたことも最高だった。昨日は、コーナーの出口でリアのトラクションに苦労したが、今日は、その問題をかなり改善することができた。決勝に向けてまだ改良したい部分はあるが、全体的にいい状態に仕上がっている。足のケガのためにこれまで厳しいレースをこなしてきたが、今回は自分でも驚くほどいい走りができた」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「ここは路面がバンピーなので、セットアップに集中した。明日のウオームアップでも引き続きセットアップを続けるが、もしバイクの状態がよくなったとしても、8番グリッドなので厳しいレースになるはずだ。現状では、自分よりいいタイムをマークしている選手たちと対等に戦える状態ではないので、明日の決勝に向けてセットアップを進め、レースではベストを尽くしたい。前回のミサノで抱えていた課題が、ここではより顕著に出てしまった。しかし、オーリンズのポテンシャルは高く、必ずよくなると信じている。まだオーリンズで1レースしか戦っていないので、すべてはこれから。いいリザルトを残せるように全力を尽くしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 11番手)
「カゼの状態はかなりよくなった。今日は昨日に比べたら格段に気持ちよく走ることができた。しかし、どこのコーナーでもアンダーステアに苦しみ、それを改良するために多くの時間を使ってしまった。最終的にセットアップも進み、タイムを上げることもできた。明日は、天候を見てタイヤの選択を決めたい」
トニー・エリアス(MotoGP 13番手)
「セットアップが進み、今日のアベレージにはとても満足している。チームはすばらしい仕事をしてくれた。今年は金曜日がダメで土曜日に劇的によくなるというレースを何度か経験しているが、今日もバイクの状態がすごくよくなってうれしかった。セッション中、5、6番手につけていたし、時折り、4番手まで上がれた。最後のアタックでも、このあたりのポジションをキープできると思っていたが、ソフトタイヤのアタックがうまくいかなかった。アタックしている周回で、トーズランド(ヤマハ)とドヴィツィオーゾに引っかかってしまった。そのため13番手になってしまった。明日は追い上げのレースに挑みたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「普通なら、1回目のフリー走行からタイムが上がっていくはずなのに、まるで前進することができなかった。悪い流れに入ってしまったようで、何が悪いのか原因を見つけなくてはいけない」
山野一彦|Repsol Honda Team監督
「フロントローを逃したが、バイクの仕上がりは決して悪くはない。昨日、今日と、決勝に向けて順調にセットアップが進んだ。確かに、今日のロレンソは速くて、アベレージでも抜きんでているが、なんとかついていって、勝ちを狙っていけるようにしたい。ドヴィツィオーゾは、セットアップが遅れている部分もあるが、明日のウオームアップで改善したい。ドヴィツィオーゾは、レースになれば、より力を発揮してくれるライダーなので、その力を引き出せるように、明日のウオームアップでバイクを仕上げたい。厳しいレースになると思うが、両選手ともにいいレースができるよう、全力でサポートしていく」
青山博一(250cc 4番手)
「昨日から今日にかけて新しいセッティングにトライしていたが、最終的にいい感じに仕上がった。自分としては満足いく状態になったと思うが、今回はアプリリア勢が速くて、厳しいレースになると思う。正直、まったく予想がつかないし、やってみないと分からないという状態だ。しかし、タイヤも決まっているし、あとは自分の力を出しきるだけ。明日は積極的に前に出ていきたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 6番手)
「今日はチームがすばらしい仕事をしてくれた。予選では最初からいいペースで走れたし、今日の結果に満足している。正直、もう少しいいタイムをマークできたと思うが、渋滞にひっかかってベストタイムを更新できなかった。今回は、これまで見せられなかった自分のパフォーマンスを見せるレースにしたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 8番手)
「今日はセットアップに苦労したが、結果的にいい状態に仕上がった。今日はフロントローも狙えると思ったが、スリップに入って走っている時間が長すぎて、アタックのチャンスを逃してしまった。2列目からのスタートになるが、決勝に向けていい状態を作れたし、いいレースができると信じている。明日はドライでレースを戦いたい」
青山周平(250cc 15番手)
「昨日に比べると、バイクの状態ははるかによくなった。やっと250ccらしくなったし、自分の感覚も戻ってきた。昨日課題になっていたエンジンも、フリーから予選にかけてスピードが上がった。すべてがジャンプアップした感じだ。明日の決勝はどんなレースになるのか予想できないが、とにかく、このチームで最初のレースなので完走してポイントを獲得したい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「序盤からいい感じでタイムを出すことができた。最後のアタックのときに、前にいた選手がハイサイドになり、ぶつけられてしまった。それで1秒くらいロスしてしまった。それがなければ41秒台には入れたと思うし、残念だった。今日はコースをだいぶ攻略できたと思うが、1コーナーが最後までうまく走れなかった。しかし、タイヤも決まったし、明日は速いグループについていってベストを尽くしたい」