ペドロサ3位で今季7回目の表彰台獲得
ドヴィツィオーゾは3戦連続の4位
- 2009年9月6日(日)
決勝
-
会場:ミサノ・サーキット
天候:晴れ
気温:24℃
コースコンディション:ドライ
観客:5万5103人(3日間8万3371人)
第13戦サンマリノGP決勝は、フロントローに並んだ3選手の戦いとなり、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が優勝、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が2位。前半、トップを快走したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が3位でフィニッシュした。4位にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)。5位にロリス・カピロッシ(スズキ)。序盤トップグループを快走したトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が6位、以下、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)12位。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)14位。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)はオープニングラップで転倒し、リタイアに終わった。
3日連続で快晴に恵まれたミサノ・サーキット。連日30℃を超える猛暑だったが、決勝日は、最高気温が24℃まで下がった。そのために朝のウオームアップは、気温の変化に合わせるためのセットアップに集中しなければならず、今年になって最も選手たちのタイヤの選択が分かれることになった。予選3番手。ウオームアップで順調にセットアップを進めたペドロサは、今大会も目の覚めるような好スタートを切って、オープニングラップを制した。その後もトップを快走。今季2勝目の期待が膨らんだ。しかし、8周目にロッシ、14周目にロレンソにかわされ3番手へとポジションを落とした。この日は、ロッシ、ロレンソのヤマハ勢が、ブレーキングとコーナリングでややアドバンテージがあり、ストレートのスピードで勝ったペドロサだが、惜しくも3位に終わった。これで今季7回目の表彰台を獲得。総合ポイントでも3位に浮上した。
その後方では、好スタートからトップグループに絡みながら、オーバーランでグループから遅れたドヴィツィオーゾが、終盤、カピロッシとし烈な4位争いを繰り広げ、最終ラップにカピロッシをかわし4位でフィニッシュした。ドヴィツィオーゾはこれで、チェコ、インディアナポリスに続き3戦連続の4位。初優勝したイギリスGPから3戦連続で表彰台を逃しているが、安定した速さを見つけたことを証明した。今大会からサスペンションをオーリンズに換え、初めて挑むレースとなったが、着実にセットアップを進めて次戦に期待をつないだ。
そのドヴィツィオーゾと中盤までバトルを繰り広げたエリアスが6位でチェッカーを受けた。今季ベストグリッドとなる4番手から絶好のスタートを切ると、オープニングラップで2番手に浮上。ペドロサに続いて4周目まで好位置をキープした。その後、ロッシ、ロレンソ、ドヴィツィオーゾ、カピロッシにかわされて6位に終わるも、前半の快走はミサノをホームとするTeam San Carlo Honda Gresiniのファンを喜ばせた。
一方、予選7番手から好スタートしたチームメートのデ・アンジェリスは、スタート直後の2コーナーでコーリン・エドワーズ(ヤマハ)に接触して転倒、ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)を巻き込んで3選手がリタイアした。ブレーキングミスで多重クラッシュを招いたデ・アンジェリスは、両選手に謝罪した。
その混乱で最後尾にポジションを落としたのがデ・ピュニエだった。予選9番手から絶好のスタートを切った。多重クラッシュこそ逃れたが、このアクシデントを回避するために大きく遅れ、12位になるのがやっとだった。予選17番手からオープニングラップ8番手と好スタートを切ったタルマクシは、中盤にペースが上がらず14位だった。
250ccクラスはヘクトール・バルベラ(アプリリア)が優勝。マティア・パシーニ(アプリリア)が2位。その後方で、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)、 マイク・ディ・ミリオ(アプリリア)とし烈な3位争いを繰り広げた青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、最終ラップの最終コーナーで3番手に浮上するも、フィニッシュラインでバウティスタにかわされ4位だった。その差、わずか1000分の6秒差。今季初PPから4勝目を狙っていただけに、悔しい結果となった。これで3位になったバウティスタに3点、リードを縮められたが、13点差でポイントランキング首位をキープ。念願のタイトル獲得にまた一歩前進した。
以下、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)8位。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)9位。富沢祥也(CIP Moto-GP250)12位。デ・ロサ、ファウベルとバトルを繰り広げたラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は、転倒リタイアだった。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
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|
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 44:32.882 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +2.416 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +12.400 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +26.330 |
5 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +26.539 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +28.286 |
7 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +30.184 |
8 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +31.757 |
9 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +31.909 |
10 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +38.347 |
11 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +46.673 |
12 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +52.041 |
13 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:03.198 |
14 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +1:22.347 |
RT | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | - |
RT | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | - |
RT | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | - |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 43:23.353 |
2 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.040 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.691 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +1.697 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.921 |
6 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +9.202 |
7 | 6 | A.デボン | アプリリア | +10.483 |
8 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +11.360 |
9 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +18.953 |
10 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +24.480 |
|
12 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +51.521 |
14 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:11.675 |
RT | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +5Laps |
RT | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +23Laps |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
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|
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 40:15.301 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.573 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +5.474 |
4 | 93 | M.マルケス | KTM | +9.378 |
5 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +9.665 |
6 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +11.755 |
7 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +23.044 |
8 | 6 | J.オリベ | デルビ | +26.936 |
9 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +32.851 |
10 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +34.439 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
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|
1 | V.ロッシ | ヤマハ | 237 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 207 |
3 | ダニ・ペドロサ | Honda | 157 |
4 | C.ストーナー | ドゥカティ | 150 |
5 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 133 |
6 | C.エドワーズ | ヤマハ | 123 |
7 | L.カピロッシ | スズキ | 97 |
8 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 88 |
9 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 88 |
10 | M.メランドリ | カワサキ | 87 |
11 | C.バーミューレン | スズキ | 84 |
12 | トニー・エリアス | Honda | 80 |
13 | J.トーズランド | ヤマハ | 78 |
14 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 73 |
15 | M.カリオ | ドゥカティ | 51 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 35 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 12 |
18 | ガボール・タルマクシ | Honda | 12 |
19 | 高橋裕紀 | Honda | 9 |
20 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | 8 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | ヤマハ | 305 |
2 | Honda | 220 |
3 | ドゥカティ | 191 |
4 | スズキ | 120 |
5 | カワサキ | 87 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | 青山博一 | Honda | 205 |
2 | A.バウティスタ | アプリリア | 192 |
3 | M.シモンセリ | ジレラ | 165 |
4 | H.バルベラ | アプリリア | 158 |
5 | M.パシーニ | アプリリア | 120 |
6 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 90 |
7 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 86 |
8 | A.デボン | アプリリア | 82 |
9 | T.ルティ | アプリリア | 80 |
10 | R.ロカテリ | ジレラ | 78 |
|
15 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 43 |
17 | 富沢祥也 | Honda | 25 |
21 | V.ドゥビーズ | Honda | 11 |
22 | 青山周平 | Honda | 10 |
28 | バスティン・シェゾー | Honda | 1 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 254 |
2 | Honda | 217 |
3 | ジレラ | 172 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 210 |
2 | N.テロール | アプリリア | 152.5 |
3 | B.スミス | アプリリア | 147.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 112 |
5 | A.イアンノーネ | アプリリア | 109.5 |
6 | P.エスパルガロ | デルビ | 104.5 |
7 | M.マルケス | KTM | 87 |
8 | S.コルテセ | デルビ | 76 |
9 | S.ブラドル | アプリリア | 72 |
10 | J.フォルガー | アプリリア | 69 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 282.5 |
2 | デルビ | 143 |
3 | KTM | 89 |
4 | ロンシン | 17 |
5 | Honda | 14 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3位)
「今日はバイクのポテンシャルをフルに発揮できたし、最終的に表彰台に立ててよかった。スタートもよかったし全力でプッシュした。とにかく激しいライディングで、しばらくの間、トップをキープすることができた。その後、バレンティーノ、ホルヘに抜かれたけれど、彼らのブレーキングはハードで、コーナリングもよく、ついていくことができなかった。チェッカーを受けてから、ガソリンを使い果たし、スローダウンしたが、それもラッキーだった。トニー・エリアスに乗せてもらいピットに帰ってきた。今日のレースは、前を走る2人についていくことはできなかったが、3位という結果には満足している。これでランキング3位に上がれた。今大会中に再び、Hondaと契約を交わせたことにも、とても満足している」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「1周目から100%でプッシュした。バイクの状態はよかったが、7周目の11コーナーでミスをして、トップグループから遅れてしまった。このミスで厳しい状態に陥ったし、最終ラップには、カピロッシと4位争いをすることになった。カピロッシのブレーキングはハードだったけれど、彼を抜くことができた。今回の結果には満足している。オーリンズと初めて戦うレースだった。完ぺきなセッティングにはできなかったが、これからがすごく楽しみな結果だった。今年はワークスチームで初めてのシーズン。まだ自分のポテンシャルを発揮できていないし、Hondaと契約を更改できて、とてもうれしい」
トニー・エリアス(MotoGP 6位)
「今日は複雑な気持ちだ。6位という結果には満足しているが、いいスタートを切って序盤のポジションを思えば、もっといい結果が残せたんじゃないかと思う。金曜日は厳しいスタートになったが、昨日はすばらしい状態に仕上がった。しかし、今日はそれほど完ぺきではなかった。序盤のペースはよかったし、その原因を調べたい。次のエストリルは2006年に優勝しているサーキットなので、いい結果を残したい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 12位)
「スタート直後の多重クラッシュに巻き込まれずラッキーだった。しかし、その影響で最後尾に落ちてしまい、そこから追い上げるのは厳しかった。正直、今回はもっといい成績を期待していた。それでもケガをしてからの3レースすべてでポイントを獲得できたことはよかった。これから3週間のインターバルで、足の状態はよくなると思う。次のポルトガルGPから、総合順位を上げるためにベストを尽くしたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 14位)
「オープニングラップに8番手まで上がれたし、メランドリ(カワサキ)についていくことができた。しかし、レース中盤はペースが上げられずポジションを落とした。終盤はラップを改善することができた。昨日、体調を崩していたが、今日は問題はなかった」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP リタイア)
「スタートはよかったし2コーナーもいい位置につけていた。しかし、ブレーキングが深すぎたため、コーリンが目の前に出てきたときには避けることができず、フロントが接触してしまった。そのためにニッキーも巻き込んでしまった。2人には謝罪したい。今回はホームGPだったし、大勢のファンが来てくれていた。その期待に応えられず本当に残念だった。今回はいいレースができると思っていた。結果は残せなかったが、この数戦の好調を、次のエストリルにつなげたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「両選手ともにいい仕事をしてくれた。優勝することはできなかったが、これからの後半戦に向けて大きな収穫があった。ダニはとても強いレースをしてくれた。好スタートを切ってしばらくの間、トップを走ってくれた。ライバルに対して何が足りないのか、これからどう改善していけばいいのか、という方向性を示してくれた。ドヴィツィオーゾは、初めてのサスペンションを使い、貴重なデータを残してくれた。初めてのレースとは思えないほど高いレベルでセットアップを進めることができた。今日、来季に向けて両選手と契約を結べたことで、来季をにらんだ継続的なバイク作りができることもうれしい。今回は勝てなかったが、次戦ポルトガルでは、再び、優勝を目指したい」
青山博一(250cc 4位)
「昨日に比べて気温が下がったことで、エンジンにもタイヤにもよかった。しかし、今日は風が強く、グループの前に出るとスピードが乗らなかった。序盤、トップグループについていこうとしたのだが、コースアウトして遅れてしまった。それから、バウティスタとディ・ミリオとバトルになったが、ストレートで速い2台のバイクと戦うのは厳しかった。コース後半で自分の方にアドバンテージがあったので、最終ラップに勝負しようと決めていた。最終コーナーでバウティスタの前に出られたが、フィニッシュラインでわずかに抜かれた。表彰台に立てなくて残念だった」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 8位)
「プラクティスで電気の問題を抱えていたので、ウオームアップは、電気系のセットアップに努めた。そのためにバイクのセットアップを十分にできなかった。タイヤのフィーリングがとてもよかっただけに、残念。もっといいリザルトを残せたと思う」
ヘクトル・ファウベル(250cc 9位)
「ウオームアップでエンジンに問題があったので、スペアのバイクでセットアップを進めた。しかし、昨日に比べて路面温度が低く、コンディションが違っていたので、セットアップが完全にできなかった。そのため、コーナーの出口のグリップに問題があり、ポジションをキープできなかった。スタートもよく、序盤は4番手まで上がれただけに、残念な結果だった。体調も完全ではなく、最後は腕上がりに苦しんでポジションを落としてしまった」
富沢祥也(250cc 12位)
「朝のウオームアップが終わったときに、ミッションを変更することにした。自分の判断、リクエストだったのだが、決勝では、それが悪い方向に行った。スタートはよかったが序盤で遅れてしまった。中盤は単独の走行になってペースを上げられなかった。しかし、今回は3日間を通じて一度も転倒がなく、最後まで走りきれてよかった」
ラタパーク・ウィライロー(250cc リタイア)
「今回もノーポイントに終わって残念だった。しかし、今日は10位で終わりたくなかったし、全力でプッシュした。ファウベルを抜いて8番手まで上がった。その後、デ・ロサに抜かれるのだが、彼と接触するのを避けるために転んでしまった。あのまま走っていればと思うと残念で仕方がない」