2日連続で快晴に恵まれたミサノ。前日よりやや気温が下がったことでタイムは一気に上昇、激しいアタック合戦が繰り広げられた。PPを獲得したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2番手には、0.222秒差でダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)。3番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。4戦連続で同じ顔ぶれがフロントローに並んだ。以下、4番手にはトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)、7番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)、8番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、9番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)と、トップ10に5台のHonda勢が名前を連ねた。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は17番手だった。
初日のフリー走行で3番手だったペドロサが、予選で1つポジションを上げた。午前中のフリー走行では前日より1秒のタイムアップ。予選ではさらに、0.5秒タイムを短縮して、順調にセットアップを進めた。しかし、PP獲得のロッシにわずかに届かず、2戦連続PPを逃した。前戦インディアナポリスでは、トップを快走するも痛恨の転倒を喫した。再スタートを切ったペドロサは、すばらしい追い上げを見せて10位。転ばなければ優勝できたことを証明する快走だったが、その好調を今大会もキープした。「決勝に向けてさらにアベレージを上げられる」と自信を見せるペドロサ。悔しいレースに終わった前戦の雪辱に闘志を燃やしている。
初日、セットアップに苦しんで12番手に終わっていたエリアスが、4番手へと一気にポジションを上げた。夏休み明けの第11戦チェコGPでは予選4番手から決勝3位と好走を見せた。前戦インディアナポリスも、序盤のコースアウトがなければ、表彰台を狙える走りだったが、今大会も好調をキープした。初日に抱えていた問題をほぼ解消したと明るい表情のエリアス。2戦ぶり今季2回目の表彰台の期待が膨らむ。
対照的に、初日4番手と好調なスタートを切ったデ・アンジェリスは、この日、満足のいくアタックができず、7番手へとポジションを落とした。しかし、レースタイヤでのアベレージはよく、前戦インディアナポリスからの2戦連続表彰台を狙っている。予選終了後には、悔しそうな表情を浮かべていた。この日、地元ファンの期待に応えられなかったデ・アンジェリスだが、この悔しさを決勝にぶつける意気込みだ。初日5番手のドヴィツィオーゾも、ソフトタイヤでのアタックが決まらず、8番手へとポジションを落とした。しかし、デ・アンジェリス同様、レースタイヤでのアベレージでは予選2番手のペドロサとそん色ない仕上がり。決勝では、デ・アンジェリス同様、地元ファンの期待に応える走りを目指す。さらに、左足首を骨折して以来、これが3戦目となるデ・ピュニエが、大接戦の中で9番手。完ぺきな体調にはほど遠いが、デ・アンジェリス、ドヴィツィオーゾとともに、3列目から追い上げのレースに挑む。
250ccクラスは、総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、今季初PPを獲得した。この日も31℃を記録する猛暑。エンジンにもタイヤにも厳しい条件となったが、ホームGPとなる、アプリリア、ジレラ勢を抑える好走をみせた。決勝も接戦が予想されるが、今季4勝目の期待が膨らむ。以下、Honda勢は、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)が7番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が10番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)が16番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)が17番手と、後方からの追い上げに期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:34.338 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.222 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.470 |
4 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +0.569 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.846 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.885 |
7 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.005 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.154 |
9 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.216 |
10 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.223 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.263 |
12 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.447 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.452 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.732 |
15 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +1.890 |
16 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1.926 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.753 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 4 | 青山博一 | Honda | 1:38.867 |
2 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.008 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.171 |
4 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.201 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.530 |
6 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.549 |
7 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.735 |
8 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.958 |
9 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.048 |
10 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.102 |
16 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.965 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.562 |
18 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.036 |
21 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +4.090 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:43.727 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.016 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.163 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.260 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.335 |
6 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.444 |
7 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.452 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.622 |
9 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.929 |
10 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.202 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「このサーキットでフロントローを獲得できた意味は大きい。相変わらずライバルたちは手ごわいけれど、タイム差はそれほどない。今日も、フリー走行、予選とレースに向けてセットアップに集中した。ロングランのアベレージも悪くない。まだ改善できる部分もあるし、決勝は、さらにペースを上げられると思う。今日はセッション終盤に向けてペースを上げられてフロントローを獲得できた。フロントローからスタートすることで、優勝するチャンスも生まれてくる。今日は暑くて、風も強く、厳しい一日だった。この大会の雰囲気は特別なものがある。明日のレースを楽しみにしている」
トニー・エリアス(MotoGP 4番手)
「昨日のセッションが終わったときに、こんなにタイムを上げられるとは思ってもいなかった。昨日から2秒以上も速かったし、自分でも驚いている。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝したい。昨日の走行が終わったときに課題をチームに伝えているが、これほど問題が解消しているとは思わなかった。まだ、いくつか解消したい部分はある。フロントローに並んだ3選手とのギャップを縮めるために、もうワンステップ前進したい。明日のレースが楽しみになってきた。とても興奮している」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 7番手)
「全体的にいい一日だった。フリー走行の走り始めから順調だったし、レースタイヤでのペースもよかった。しかし、ソフトタイヤを履いてのアタックで力を十分に発揮することができず、2列目を逃してしまった。本当に残念だった。それでもバイクの状態はいいし、いいレースをする自信はある。明日は地元ファンの期待に応えたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「フリー走行から予選にかけて、レースペースを上げられたし、トップとのギャップも縮めることもできた。グリッドは8番だが、アベレージでは、ダニとそれほど差はなかった。しかし、ソフトタイヤで行ったアタックがうまくいかず、望んでいたポジションを得ることができなかった。このグリッドにはがっかりしているが、明日の決勝は、よいスタートを切りたい。グリッドの悪さをリカバリーするのは簡単ではないが、不可能ではないと思っている」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 9番手)
「昨日から1.7秒もタイムを短縮できてとてもうれしかった。アベレージも悪くなかった。しかし、セッション終盤にクリアラップが取れず、満足のいくアタックができなかった。それでも5番手以下は大接戦だし、左足首の骨折が治っていないことを考えれば、納得できる結果だった。まだ足の状態は完ぺきにはほど遠いが、本来のポジションであるセカンドグループに帰ってこれたと思う。明日のレースは厳しい戦いが待ち受けているが、楽しみで仕方がない。ミサノは大好きなコース。何もかもよい方向に向かっている」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「足回りを担当するスタッフが今回からチームに加わったが、この2日間でよいコミュニケーションが取れるようになった。この2日間、いろいろなことにトライしたが、よい方向に向かっていると思う。今日はストレートの安定性とスローコーナーに課題を残した。今日は体調があまりよくなくて、クリニカ・モービルのお世話になった」
山野一彦|Repsol Honda Team監督
「PPは取れなかったが、現状ではまずまず納得のいく結果だったと思う。アベレージではトップの2人とそん色はないし、レースを戦えるところまできている。ダニは前戦インディアナポリスで、調子はよかったけれど転んでしまった。その反省もあって、今回は着実にセットアップを進めている。明日のウオームアップで試したいこともあるし、優勝争いに加われるようにベストを尽くしたい。ドヴィツィオーゾは、セットアップが思ったほど進まず8番手に終わった。しかし、アベレージはそれほど悪くはない。ここは彼にとってホームGPであり、地元ファンの応援も多いので、それが大きな力になってくれるはずだ。チームのモチベーションは高い。明日は2人とも表彰台に立てるようにがんばりたい」
青山博一(250cc ポールポジション)
「今年はもう少しでPPという予選が多かったし、やっとPPを取れたという感じだ。本当にうれしい。しかし、相変わらずの接戦で、決勝はトップ5台くらいの厳しい戦いになると思う。今日は気温がやや下がったが、走っているときの感じは、昨日と変わらなかった。ただ、エンジンの水温は昨日よりやや下がっていたし、エンジンにはよかったと思う。今日は日差しが強かったせいで、予想以上に路面温度が高く、タイムを出すのが難しかった。PPは取れたが、自分の望むセッティングにはならなかった。明日のウォームアップでペースを上げられるように、さらにセットアップを進めたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 7番手)
「大会前に医者から、2週間の休養が必要だと言われていた。今日のセッションも集中するのが大変だったけれど、こうして2列目グリッドを得ることができてうれしい。バイクの状態はいいし、あとは若干の調整をするだけの状態だ。明日はいいレースをしたい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「昨日と同じ車体で走ったが、サスペンションのセッティングを変えて、かなり走りやすくなった。バイクのセッティングはほぼ満足いくものになったが、最後までコースを攻略できなかった。走っていて楽しいコースだが、タイムを出すのが難しかった。しかし、今回は2日間3セッションをきっちりと走れたし、明日の決勝では、今日の課題を克服したい」