第13戦 サンマリノGP

サンマリノGPプレビュー

インディアナポリスGPから2週連続の開催となる第13戦サンマリノGPが、9月4日から6日までの3日間、イタリアのミサノ・サーキットで開催される。一昨年、コースの全面改修を受け、14年ぶりにグランプリが復活した。今年でGP復活後3年目を迎える。以前、左回りだったコースは、コースの改修を受けて右回りに変更された。一周4.226km。コースに高低差はないが、低中速、高速コーナーと、バラエティに富んだテクニカルコースである。

過去2年、サンマリノGPはHonda勢にとっては、厳しい戦いとなっている。一昨年は、Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサとニッキー・ヘイデン(現ドゥカティ)が他車の接触に巻き込まれる不運で優勝戦線から脱落した。昨年はケガから回復中のペドロサがHonda勢最上位の4位と健闘したが、Repsol Honda Teamは、2年連続で表彰台を逃している。

現在、総合4位につけるペドロサは、シーズン中のケガもほぼ回復して前戦インディアナポリスGPでは今季2回目のPPを獲得した。決勝ではトップを快走したが痛恨の転倒、再スタートを切ると猛烈に追い上げて10位でチェッカーを受けた。予選で見せた速さ。転倒を喫するもハイペースで追い上げたすばらしい走り。今大会は、前戦インディアナポリスGPの雪辱はもちろんのこと、最高の仕上がりを見せているペドロサが、今季2勝目に闘志を燃やしている。

第10戦イギリスGPでMotoGPクラス初優勝を達成したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、第11戦チェコGP、第12戦インディアナポリスと連続の4位。あと一歩で表彰台を逃している。ミサノは、ドヴィツィオーゾにとってホームサーキット。前戦インディアナポリスGPでは決勝レースで「バイクのセットアップが決まった」と語っているだけに、3戦ぶりの表彰台と優勝に気合が入る。250ccクラスに参戦していた一昨年はトラブルでリタイアするも、トップを快走した。昨年は予選14位、決勝8位と悔しいレースに終わっている。2年連続で地元ファンの期待に応えられていないだけに、Repsol Honda Teamのライダーとして初めて迎えるホームGPに並々ならぬ闘志をかきたてている。

前戦インディアナポリスGPで2位。MotoGPクラスで初めて表彰台に立って気力充実のアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も2戦連続表彰台を狙っている。デ・アンジェリスはサンマリノ出身。地元ファンの熱狂的な応援の中で「最も重要な戦い」と闘志を燃やす。昨年は予選13番手、決勝では転倒リタイアを喫している。今年はその雪辱を期す戦い。大健闘のインディアナポリスGPから2週連続の開催となり、地元に凱旋するデ・アンジェリスへの声援も、これまでになく大きなものになりそうだ。

デ・アンジェリスのチームメートのトニー・エリアスも、得意のミサノに闘志を燃やす。前戦インディアナポリスGPではスタート直後に他車と接触、最後尾から猛烈に追い上げて9位でチェッカーを受けた。「何もなければ表彰台に立てた」と、悔しいレースに終わっているだけに、今回は2戦ぶりの表彰台に闘志を燃やす。第11戦チェコGPではドヴィツィオーゾとのし烈な戦いを制して、今季初表彰台に立った。ミサノでは昨年、3位表彰台に立っているだけに、2戦ぶり、そして2年連続の表彰台を狙う。ミサノを本拠地とするTeam Sun Carlo Honda Gresini。デ・アンジェリスとエリアスの活躍に大きな注目が集まる。

前戦インディアナポリスGPで12位と苦戦したランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)が、得意とするミサノにファイトをかき立てている。昨年は予選4位。好グリッドを獲得するも、決勝は転倒リタイアに終わっている。今年は、第10戦イギリスGP後のトレーニング中に左足首を骨折。以来、第11戦チェコGP、前戦インディアナポリスGPと厳しいレースを強いられているが、足は日ごとに回復。今大会も体調は完ぺきではないが、再び、シングルフィニッシュを狙う。LCR Honda MotoGPにとっても今季2回目のホームGP。シーズンを通じて最も重要な戦いとなる。

ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)が所属するScot Racingも今大会はホームGPとなる。今季、シーズン途中から参戦のタルマクシ。この数戦はバイクのポテンシャルを確実に発揮するも、タイヤが消耗してからのレース終盤の走りが課題となっている。今大会もその課題に取り組む。

MotoGPクラスに参戦するHonda勢4チームのうち3チームがホームGPを迎える第13戦サンマリノGP。Honda勢にとっては、最もモチベーションの高い大会となりそうだ。

250ccクラスも今季最高のリザルトが予想される。一昨年の大会では、ドヴィツィオーゾがトラブルでリタイアするも、トップを快走した。昨年の戦いでは高橋裕紀が2位表彰台に立っている。Honda勢にとって相性のいいサーキットだけに、総合首位につける青山博一(Scot Racing Team 250cc)も今季4勝目の期待が膨らむ。前戦インディアナポリスGPでは、青山がトップグループに加わって2位。青山の所属するScot RacingにとってはホームGPとなるだけに、チーム一丸となって優勝を目指す。

総合6位につけるチームメートのラファエレ・デ・ロサにとっては、自身にとってもホームGPとなるだけに気合満点。前戦インディアナポリスGPは予選の転倒で厳しいレースを強いられたが、今大会はベストリザルトを狙う。総合7位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は今季2回目の表彰台を目標にする。前戦は好走するも他車との接触によるマシントラブルでリタイアしたラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も今季ベストリザルトを狙っている。前戦インディアナポリスGPのフリー走行で転倒、マシンの修復ができず決勝を欠場した富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、その悔しさを今大会にぶつける。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「インディアナポリスの転倒は本当にがっかりした。しかし、再スタートを切ってからのペースは、転倒したことを忘れさせるほど速かった。時間を置かず、こうしてサンマリノGPを迎えられてうれしい。金曜日からインディアナポリスのような走りをしたい。ミサノは、熱狂的なファンが多く、独特な雰囲気がある。多くのファンはイタリアの選手を応援することになるが、それでも、ここのレースは特別なものだ。ミサノはブレーキングの安定性とそこからの素早い立ち上がりが重要となる。今週も優勝争いができると信じている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング6位)

「ミサノは自分にとって特別なレースであり、この日が来るのを楽しみにしていた。ミサノは自分がレースを始めたサーキットであり、イタリア選手権でも走った。レースを始めたころから、いつかはこのサーキットに、Hondaのワークスライダーとして帰ってくるのが夢だった。それを実現できて本当にうれしい。前回のインディアナポリスGPはいい状態でレースを終えることができた。そこから今大会のスタートを切られるのもうれしい。今回は自分にとってホームGP。いいレースにしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング7位)

「インディアナポリスですばらしいレースができたし、その次週にホームGPを迎えられることが本当にうれしい。表彰台に立ったあとのレースとして、ミサノ以上のサーキットを思い浮かべることはできない。ミサノは、正直、得意とするコースではないが、地元ファンが大勢かけつけてくるので、それが自分にとっては大きな力になる。過去2年は期待に応えられていないので、今年は期待に応えたい。いますぐにでも走り出したい気持ちだ。前回のような戦いができることを願っている」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング9位)

「インディアナポリスからの連戦ということで、今の自分の体調を考えれば、今大会も厳しい戦いが待ち受けている。しかし左足首の状態は日ごとに回復しているので、前回よりいいレースができると信じている。インディアナポリスは左回りのサーキットで左足への負担が大きかった。ミサノは右回りのサーキットなので、前回ほど左足に負担はかからないと思う。今回は再びトップ10以内でフィニッシュすることを目標にベストを尽くしたい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング14位)

「インディアナポリスはいい状態にバイクが仕上がっていた。オープニングラップで他車と接触してコースアウトするというハプニングがなければ、すばらしい結果を残せたと思っている。日曜日の夜は本当にがっかりした気分だった。アメリカからイタリアの2連戦は、ハードなスケジュールだが、インディアナポリスがあんなレースだったので、いまは早く戦いたい気分だ。今回はチームのホームGP。自分にとってもチームにとっても特別なレースになるのでベストを尽くしたい」

ガボール・タルマクシ(MotoGP ランキング18位)

「ミサノは125cc時代に勝っているサーキットなので、今週のレースをすごく楽しみにしている。MotoGPを走るようになってから毎戦ベストを尽くしているが、今回も100%の走りをするだけだ。この数戦、レース後半のパフォーマンスに課題を残しているが、今回はそれを改善したい」

青山博一(250cc ランキング1位)

「ミサノは、スコット・チームにとってホームGPとなるので、今回も優勝を目標に全力を尽くしたい。ミサノは好きなサーキットの1つ。2007年に表彰台に立っている。Hondaのバイクでレースをするのは初めてだが、サーキットとの相性がいいと思う。いいレースができることを期待している。前回のインディアナポリスは悔しいだけでなく納得のいかないレースだった。今回はベストを尽くし、最高のリザルトを得たい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング6位)

「2週連続の開催なので、インディアナポリスで転倒したときに痛めた肩の治療に全力を尽くしている。250ccで走るのは初めてだが、昨年表彰台に立ったチームのマシンで走れるから今回はいいレースができるはず。チームのホームGP。自分にとってもムジェロに続いて2回目のホームGPなので、ベストを尽くしたい」

ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング7位)

「インディアナポリスは背中に痛みがあって苦しい戦いだった。その治療をこの数日続けてきたし、万全な体調でサンマリノGPに挑みたい。バイクの状態はかなりよくなっているし、今回はいいレースができると信じている」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング14位)

「前戦インディアナポリスは不運なレースだった。他車と接触してマフラーが破損、その影響でエンジンにトラブルを抱えてしまった。いい走りができていたし、本当に残念だった。昨年のサンマリノGPは8位だった。今年はもっといい成績を残せると思っているし、5位以内を目標に戦いたい」

富沢祥也(250cc ランキング18位)

「前回のインディアナポリスGPは、本当に悔しかった。サーキットにいてレースに出られなかったのは初めて。フリー走行で転倒、フレームを曲げてしまったことが原因だったが、自分だけじゃなく、チームには本当に迷惑をかけてしまった。今回も初めてのサーキットだが、フリー、予選としっかりコースを攻略して決勝に挑みたい」