第12戦インディアナポリスGPの予選は、初日から好調だったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、ライバルを圧倒する速さで今季2回目のPPを獲得した。2番手にはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、3番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。そしてロッシとし烈な3番手争いを繰り広げたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が、自己ベストとなる4番グリッドを獲得した。以下、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)7番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)8番手と、4台のHonda勢がトップ10入り。今季3勝目に向けて好調な走りを見せた。左足首の骨折が完治していないランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は12番手。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は17番手だった。
第4戦フランスGP以来、8戦ぶりにPPを獲得したペドロサは、決勝に向けて今季最高の状態を作り出した。ウエットコンディションとなった初日にトップタイム。ドライになった2日目のフリー走行では、2番手に1秒以上の大差をつける快走で首位をキープした。午後の予選でも、2番手のロレンソに、0.506秒のリードを築く速さだった。前戦チェコGPから今大会にかけてバイクのセットアップが大きく前進した。「特別好きなサーキットではない」と語るインディアナポリスだが、ウエット、ドライともに縦横無尽の走りを披露。今季2勝目を期待させた。
MotoGPクラスで2年目のシーズンを迎えるデ・アンジェリスが、自身ベストグリッドとなる4番手につけた。雨になった初日に5番手。ドライになった2日目のフリー走行では、ペドロサ、ロレンソに続いて3番手。予選ではロッシとし烈な3番手争いを繰り広げ、わずかの差でフロントローを逃した。この数戦アンラッキーなレースが続いていたデ・アンジェリス。今大会は、フリー走行、予選の好走を決勝の結果につなげる意気込み。MotoGPクラス初表彰台も期待される。
初日14番手に沈んでいたエリアスは、予選で7番手に浮上した。初日はウエット。天候が回復してドライコンディションとなった2回目のフリー走行では、セットアップが決まらず苦悩していた。しかし、予選でセットアップが進み、一気にポジションを上げた。今大会はチームメートのデ・アンジェリスに常に後れをとった。デ・アンジェリスの快走に刺激を受けているエリアス。前戦チェコGPからの2戦連続表彰台に闘志を燃やす。
8番手にはドヴィツィオーゾ。フリー走行では初日の9番手から2日目に6番手と確実にポジションを上げてきたが、予選では、ややポジションを落としてしまった。前戦チェコGPでは、惜しくも表彰台を逃す、僅差の4位。今大会は、2戦ぶりの優勝と表彰台獲得に向け、気合満点。3列目からの追い上げが期待される。
前戦チェコGPの直前に左足首を骨折し、依然として厳しい状態のデ・ピュニエは14番手。左コーナーの多いインディアナポリスでは、左足の負傷が大きなハンディキャップとなった。タルマクシは17番手。予選でトップ10入りを逃した両選手の追い上げに注目したい。
250ccクラスは、マイク・ディ・ミリオ(アプリリア)がPPを獲得。最終ラップまで首位に立っていた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、わずか0.120秒差で2番手につけた。今季初PPを逃した青山だが、第7戦オランダGPから5戦連続でフロントローを獲得。万全のセットアップから今季4勝目を狙う。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)9番手。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10番手。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)15番手。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は初日の転倒でフレームを破損。マシンを修復できず、今大会を欠場することになった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:39.730 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.506 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.879 |
4 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.890 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.231 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.337 |
7 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.553 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.579 |
9 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.800 |
10 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.890 |
11 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +2.012 |
12 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.043 |
13 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.180 |
14 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.308 |
15 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.520 |
16 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +2.847 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.006 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | 1:44.341 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.120 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.212 |
4 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.284 |
5 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +0.519 |
6 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.614 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.817 |
8 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.851 |
9 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.055 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.097 |
15 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.854 |
17 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.497 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.547 |
DNS | 48 | 富沢祥也 | Honda | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:49.337 |
2 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.050 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.200 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.240 |
5 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.248 |
6 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.291 |
7 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.324 |
8 | 7 | E.バスケス | デルビ | +0.366 |
9 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.515 |
10 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.516 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP PP)
「PPを取れてうれしい。昨日、今日とすべてのセッション、コンディションで速かったことが何よりもよかった。ラップタイムも安定していた。ペースも速かった。とにかく気持ちよく乗れている。何か大きな変更をしたわけではないが、すべての歯車が合ったような感じがする。しかし、ライバルたちも決勝に向けてペースを上げれくるはず。彼らの速さ、強さをよく知っているし、明日のウオームアップでさらに調整を進めて万全の状態で決勝を迎えたい。明日の天気もよさそうだし、昨年とはまるで違う決勝日になるはず。明日の決勝が本当に楽しみだ」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 4番手)
「フロントローには並べなかったが、それでも自分にとってはすばらしい一日だった。チームも全力を尽くしてくれたし完ぺきな2日間だった。フロントローに並んだ3選手と一緒に戦うのは容易ではないが、昨日、今日と楽しく乗ることができた。セッション終盤のアタックでは、もっとタイムを出せたと思う。しかし、電気系にちょっと問題を抱え、アタックを中断しなければならなかった。しかし、トップグループとのタイム差はわずか。このチャンスを生かすためにもアグレッシブに戦いたい。今日は自分のパフォーマンスをきっちり発揮できてよかった」
トニー・エリアス(MotoGP 7番手)
「フリー走行から予選にかけて大きく前進することができた。正直、まだ自分の好みには仕上がっていない。セッション終盤、バレンティーノ(ロッシ)についていこうとして転んでしまった。それでも7番手だったのだから、状態は悪くない。レースは厳しい戦いになると思うが、明日はトップグループについていきたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「もっと上のグリッドを獲得したかった。今日の結果は、我々のポテンシャルを発揮したとは言えない。明日の決勝に向けて万全な状態に仕上げなくてはならない。今日は7コーナーで軽い転倒を喫した。そのためにすべての予定が狂ってしまった。転倒したのは、アスファルトが変わる場所で、もっと注意深くブレーキをかけなければならなかった。フロントのフィーリングが完ぺきではないので、ウオームアップでいい状態にしたい。おそらくトップグループの戦いは1分41秒台。トップグループに加わるためには、3列目からいいスタートを切らなければならない。厳しい戦いになると思うが、自信はある」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 12番手)
「前回のチェコより左足の状態はいい。リザルトも前回以上のものを期待していたが、思ったよりも厳しかった。このコースは左コーナーが多く、左足への負担が大きい。そのために思うように乗れない。ステップワークがうまくいかず、力も入らない。そのためバイクの向きを変えるときに腕への負担が大きく疲労感も大きい。チームはその状態を改善するためにベストを尽くしてくれているし、決勝では今回もトップ10を狙っていきたい。総合順位をキープするためにも明日のレースでポイントを獲得しなければならない」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「午前中のフリー走行から午後の予選にかけてよくなったが、もっといい状態にしたかった。タイムは更新できたが、アベレージをもう少し上げたかった。明日のウオームアップでいいセットアップを見つけなくてはいけない。大きな変更が必要なら、リスクを覚悟でやってみなくてはいけない」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日のPPはダニ(ペドロサ)のがんばりに感謝したい。前回のチェコGPと事後テストで、ライダーとメカニック、開発陣の方向性が合うようになってきたのが今回の好走につながった。フリー走行から予選に向けてのセットアップの流れもよかった。このいい流れを明日の決勝につなげたい。ドヴィツィオーゾは、セッション中に軽い転倒を喫しリズムに乗れなかった。そのためにトップグループとギャップが開いてしまったが、明日の決勝に向けてウオームアップでセッティングを決めたい。チームの雰囲気はレースを追うごとによくなっている。今大会はPPこそ取れたが、チャレンジャーという立場に変わりはなく、両選手がいい結果を残せるようにさらにがんばっていかなくてはいけない。アメリカはHondaファンが多いので、その期待に応えたい」
青山博一(250cc 2番手)
「午前中のフリー走行は、あまりいいフィーリングではなく、いろいろなセッティングにトライした。最終的にかなりよくなったが、完ぺきにはならなかった。明日のウオームアップでもう少しセッティングを詰めたい。午前中のフリー走行から午後の予選にかけて、ライン上のグリップは上がったが、タイヤのチョイスも今回は難しい。ソフトだとタイヤが荒れるし、硬めだとグリップしない。決勝はタイヤをいかに保たせるかが大きなポイントになると思う。予選では終盤にトップに上がれたが、PPを取るために全力でプッシュした。ラストラップにベストを更新したが、そのとき後ろにディ・ミリオがいるのを知らなかった。彼を引っ張ることになり、結果として2戦連続でPPを逃し、すごく悔しい。この悔しさを決勝で晴らしたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 9番手)
「午前中のフリー走行は快調で4番手だった。しかし、午後の予選は気温が上がり、セッティングをかなり変更しなければならなかった。エンジンのセッティングも変えた。予選では、6コーナーで何人もの選手が転び、自分もそのコーナーを攻めきれなかった。セッション終盤に向けてだんだんペースを上げられたが、今度は渋滞にひっかかってタイムを伸ばせなかった。それでも9番手。いいグリッドから決勝に挑むことができてよかった。明日のレースは、納得のいくリザルトを残したい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 10番手)
「セッション開始直後からペースを上げた。しかし、気温が上がったことでフィーリングがまるで変わり、フロントから転んでしまった。運よくピットに戻れたし、フロントのセッティングを変えて再び走り出すことができた。それからペースを上げていけたが、セッション終盤は渋滞がひどくてタイムを上げられなかった。転倒してしまったが、明日の決勝はいいレースをする自信がある。ただ、天候の変化に合わせてしっかりとセッティングをしなければならない」
富沢祥也(250cc DNS)
「昨日の転倒でフレームを破損。そのために走ることができなかった。チームは、フリー、予選に向けて全力を尽くしてくれた。しかし、フレームを交換しないと走れないことがわかり、準備ができなかった。自分も残念だが、こんなことになってチームには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。この悔しさを次のレースにぶつけたい」