今年で2回目の開催となるインディアナポリスGP。初日のフリー走行、125ccクラスはドライコンディションで行われたが、MotoGPクラスと250ccクラスはウエットコンディションとなった。2年連続で雨の中で開幕となる中、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が快調にラップを刻んでトップタイムをマーク。ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と続き、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が5番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)9番手と、難しいコンディションの中で、Honda勢の3選手が、まずまずのスタートを切った。
トップタイムで初日を締めくくったペドロサは、セッション序盤こそセットアップに時間を費やしたが、中盤から終盤にかけて快調にラップを刻み、地元大会に闘志満々のヘイデン、2連覇を狙うロッシを抑える好走を見せた。昨年の大会は、初めて使うブリヂストンタイヤのセットアップに追われて、ドライ、ウエットともに不完全燃焼の走りだった。しかし、今年はウエットコンディションとなった初日のフリー走行でライバルたちを圧倒。ドライコンディションが予想される土曜日の予選に向けて自信をみなぎらせていた。
5番手につけたデ・アンジェリスも好調なスタートを切った。昨年もフリー走行では2番手と快調だったが、予選では予選タイヤのアタックがうまくいかずに12番手に低迷。決勝もハリケーンのために赤旗中断、結果は10位というフラストレーションの溜まる戦いだった。今年はその雪辱を期す戦い。初日フリー走行で見せた、豪快に水しぶきをあげるアグレッシブな走りは、今季ベストリザルトとなる初表彰台を期待させる。
9番手のドヴィツィオーゾも数字以上に内容のある一日となった。不安定な天候を予想して、ウエットタイヤを温存。セットアップを進めながら1セットのタイヤで1時間を走った。そのために終盤にタイムを上げられず9番手だったが、予選、決勝に向けて満足いく走りだった。ドライでもウエットでも、2日目の予選ではタイムもポジションも上げる意気込みだ。
一方、前々戦イギリスGP開幕前に左足首を骨折、依然として完全な状態ではないランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、雨の中で慎重に走って14番手。しかし、前戦チェコGPより足の状態がかなり回復していることもあり、2日目の予選がドライコンディションになれば、一気にポジションアップを狙う。MotoGPマシンでインディアナポリスを走るのが初めてとなるガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は16番手。デ・ピュニエとともに、2日目の好走に期待が集まる。
250ccクラスは、ジュール・クルーゼル(アプリリア)がトップタイム。以下、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)、マルコ・シモンセリ(ジレラ)、カレル・アブラハム(アプリリア)、マイク・ディ・ミリオ(アプリリア)と続いた。Honda勢は、得意のサーキットで今季2回目の表彰台を狙うヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)が6番手と好調なスタートを切った。以下、エンジンの慣らしに時間を割き、セッティングが決まらなかった青山博一(Scot Racing Team 250cc)14番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)16番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は転倒を喫して17番手だった。
この日は、125ccクラスのセッション終盤に雨となり、MotoGPクラスはセッションを通してフルウエット。250ccクラスは中盤に向けて路面が乾き始めたことで、タイムが上がっていった。しかし、終盤になって再び激しい雨となり、アタックのタイミングを逃す選手が多かった。総合首位の青山もその1人だけに、2日目のポジションばん回に期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:51.507 |
2 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.155 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.307 |
4 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.387 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.757 |
6 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.381 |
7 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.421 |
8 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.621 |
9 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.644 |
10 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.083 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.460 |
12 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +3.047 |
13 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +4.167 |
14 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +4.281 |
15 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +4.697 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +5.087 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +6.737 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | 1:53.512 |
2 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.732 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.187 |
4 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.495 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.602 |
6 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.871 |
7 | 6 | A.デボン | アプリリア | +1.969 |
8 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.989 |
9 | 25 | A.バルドリーニ | アプリリア | +2.013 |
10 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +2.047 |
13 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +2.498 |
14 | 4 | 青山博一 | Honda | +2.731 |
16 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +3.212 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.394 |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +5.667 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +7.407 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 1:50.603 |
2 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.111 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.275 |
4 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.293 |
5 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.360 |
6 | 7 | E.バスケス | デルビ | +0.503 |
7 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.553 |
8 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.607 |
9 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.616 |
10 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.768 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 1番手)
「決勝に向けていいスタートが切れた。今日はウエットコンディションになったが、バイクの状態はよかった。セッションを通じて雨が降り続き、大きな水たまりもできたが全体的にグリップはよく、自信を持ってプッシュすることができた。ずいぶん前からウエットでも自信ある走りができるようになっているが、今日は限界まで攻めることができた。もし、明日のセッションがドライなら、ドライでセットアップを進めて、決勝がどんなコンディションになってもいいようにしたい。しかし、今日の路面コンディションはひどかった。いくつかのコーナーの立ち上がりでは、とても不思議なフィーリングだった。インディアナポリスは、雨が降っていても独特の雰囲気がある。ここは特別なサーキットなんだということを感じた」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 5番手)
「ウエットコンディションになると、このサーキットは不思議なフィーリングになる。アスファルトの種類がいくつもあって、それぞれフィーリングが異なる。今日は水たまりも多くて、グリップの状態もどんどん変わっていった。セッション中にセットアップを進めたが、走り出しから好調だったので調整程度だった。今日は気持ちよくプッシュすることができた」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 9番手)
「セッション序盤からいいペースで走れたし、セッションを通じても、今日の走りには満足している。しかし、難しいセッションだった。雨の量も多かったし、路面のフィーリングも、ほかのサーキットとは違っている。特に水たまりには気をつけて走った。明日以降も雨が降ることを考えて、今日は1セットのタイヤで通した。そのためにセッション終盤に最終的にポジションを落としたが、全体的にいいリズムで走ることができた。だから、順位のことはあまり気にしていない。明日と明後日は天候がよくなると聞いているし、そうなれば、バイクの状態をさらによくすることができると信じている」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ウエットコンディションになったが、今日は2人ともにいい走りをしていたし、よい仕事をしてくれた。しかし、土曜、日曜はドライコンディションになることが予想されるので、明日の2回のセッションがとても重要になる。昨年もドライコンディションで走れた時間は少なかった。やらなくてはいけないことがたくさんあるので、天候に合わせてセットアップをさらに進めたい。チームのモチベーションは高く雰囲気もいい。みんな、やる気に満ちている。アメリカのすべてのHondaファンのためにも、今回はいいレースにしたい」
ヘクトール・ファウベル(250cc 6番手)
「セッションを通じて雨が降り続いたが、走り出しからバイクの状態はよかった。セッション中盤にミッションを変えたこともよかった。今日はとにかく転ばないように注意深く、それでいてできるだけプッシュした。初日6番手で終われたことで気分はいい。昨年はレースが中止になったが、今年はいい結果を残したい」
青山博一(250cc 14番手)
「あまりいいスタートとは言えない。走り出しのフィーリングがよくなくて、最後までいい状態にならなかった。前回のチェコGPでエンジンに問題があったので、今回は新品のパーツに組み替えた。そのため、全体的には慣らしで終わってしまったという感じだった。セッション中盤は、路面が乾き始めてタイムを出すのにいい状態だったが、そのときにタイムを出せなかったこともポジションを下げてしまった理由の1つだった。限界まで攻められなかったし、攻めてもいないのでなんとも言えないが、今日のデータをチェックして明日はセットアップに集中したい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「初めて走るインディアナポリスは、とても楽しかった。ウエットコンディションだったけれど、走り出しから順調だった。残念だったのは、セッション終盤に転んでしまったこと。バイクが思ったよりもひどく壊れてしまったのが痛かった。明日に向けてバイクを完全に直して、タイムもポジションも上げたい」