ペドロサ2位、エリアス3位
2人のHondaライダーが表彰台に立つ
- 2009年8月16日(日)
決勝
- 会場:ブルノ・サーキット
天候:晴れ
気温:29℃
コースコンディション:ドライ
観客:13万8096人(3日間21万7907人)
後半戦のスタートとなったチェコGP決勝は、終日青空が広がる絶好のコンディションとなった。最高気温も29℃まで上昇、3日間で最も暑い一日となり、選手はもちろんのこと、エンジンにもタイヤにも厳しい条件となった。この数年、大観衆が集まるブルノ。今年も13万人を超える大観衆がスタンドを埋め尽くし、熱い声援が選手たちに送られた。優勝したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。予選3番手から好スタートを切ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が2位。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が3位と、2人のHondaライダーが表彰台に立った。エリアスとし烈なバトルを繰り広げたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が4位。以下、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)8位。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)10位。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)13位という結果だった。
好スタートからホールショットを奪ったペドロサ。オープニングラップでロッシにかわされたが、そのままロッシをピタリとマーク。序盤は2番手を走行した。しかし、その後ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に抜かれ3番手へとポジションを落とす。前を走る2人にはジリジリとリードを広げられたが、4位以下のグループに対しては大きなリードを築いた。そして終盤、ロッシと首位争いを繰り広げていたロレンソが転倒したため2位でチェッカーを受けた。今大会は、ニューパーツを投入。優勝こそ逃したが、次戦以降につながる好結果となった。これで総合4位は変わらないものの、総合3位で今大会欠場したケーシー・ストーナー(ドゥカティ)まで15点差に迫った。
予選4番手から決勝に挑んだエリアスは、今季ベストリザルトとなる3位でフィニッシュ。今季初の表彰台を獲得した。エリアスは、2列目から好スタートを切ると、オープニングラップで4番手につけた。その後、前を走る3選手からは遅れたが、ドヴィツィオーゾ、ロリス・カピロッシ(スズキ)とし烈な4位争いを繰り広げた。終盤はロレンソが転倒したことで、3台の戦いは表彰台争いへと発展。ドヴィツィオーゾと最終ラップまで繰り広げたし烈な戦いを制したエリアスが表彰台に立った。ドヴィツィオーゾは、エリアスを激しく追ったが届かず。しかし、後方から襲いかかるカピロッシを抑えて4位でフィニッシュ。2戦連続表彰台は逃したが、壮絶なバトルは、サーキットに集まった大観衆を喜ばせた。
以下、ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)6位、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)7位。この2人とバトルを繰り広げたデ・アンジェリスは、ヘルメットの中に蝶が入るトラブルでペースを落とし8位。今大会直前に左足首を骨折したデ・ピュニエは、ミカ・カリオ(ドゥカティ)、マルコ・メランドリ(カワサキ)、ジェームス・トーズランド(ヤマハ)を追う熱走を披露。終盤、カリオとメランドリが転倒リタイアしたため10位でフィニッシュ。その後方では、母国ハンガリーから駆けつけた大応援団の声援を受けたタルマクシが13位でチェッカーを受けた。
250ccクラスは、マルコ・シモンセリ(ジレラ)が優勝。2位にマティア・パシーニ(アプリリア)、3位にアルバロ・バウティスタ(アプリリア)という結果だった。この3台と中盤までトップグループを形成、し烈な優勝争いを繰り広げた青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、終盤、水温上昇に悩まされてペースを上げられず4位に終わったが、総合首位をキープ。念願のタイトル獲得に一歩前進した。セカンドグループで青山を追ったチームメートのラファエレ・デ・ロサは、ロベルト・ロカテリ(ジレラ)とし烈な5位争いを繰り広げて6位。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10位、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)11位。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は13位でポイントを獲得した。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 43:08.991 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +11.766 |
3 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +20.756 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +21.418 |
5 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +21.538 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +25.544 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +25.676 |
8 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +34.109 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +35.617 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +39.824 |
11 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +40.776 |
12 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +50.661 |
13 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +59.188 |
RT | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2Laps |
RT | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2Laps |
RT | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +5Laps |
RT | 84 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | +16Laps |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 41:06.490 |
2 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.684 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +4.381 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +8.746 |
5 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +9.721 |
6 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +10.870 |
7 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +15.639 |
8 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +18.411 |
9 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +18.563 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +19.958 |
|
11 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +20.084 |
13 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +37.118 |
15 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:24.684 |
RT | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +8Laps |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 40:57.378 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.168 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +8.719 |
4 | 38 | B.スミス | アプリリア | +12.443 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +16.006 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +16.066 |
7 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +17.105 |
8 | 93 | M.マルケス | KTM | +17.202 |
9 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +17.223 |
10 | 6 | J.オリベ | デルビ | +17.244 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
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1 | ヤマハ | 255 |
2 | Honda | 184 |
3 | ドゥカティ | 166 |
4 | スズキ | 100 |
5 | カワサキ | 79 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
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|
1 | 青山博一 | Honda | 172 |
2 | A.バウティスタ | アプリリア | 160 |
3 | M.シモンセリ | ジレラ | 140 |
4 | H.バルベラ | アプリリア | 123 |
5 | M.パシーニ | アプリリア | 100 |
6 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 77 |
7 | A.デボン | アプリリア | 73 |
8 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 71 |
9 | R.ロカテリ | ジレラ | 67 |
10 | T.ルティ | アプリリア | 67 |
|
14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 43 |
18 | 富沢祥也 | Honda | 21 |
21 | 青山周平 | Honda | 10 |
23 | V.ドゥビーズ | Honda | 6 |
27 | バスティン・シェゾー | Honda | 1 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 213 |
2 | Honda | 184 |
3 | ジレラ | 147 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 174 |
2 | N.テロール | アプリリア | 119.5 |
3 | B.スミス | アプリリア | 111.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 111 |
5 | A.イアンノーネ | アプリリア | 109.5 |
6 | P.エスパルガロ | デルビ | 79.5 |
7 | S.コルテセ | デルビ | 65 |
8 | M.マルケス | KTM | 64 |
9 | J.フォルガー | アプリリア | 58 |
10 | S.ブラドル | アプリリア | 53 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 237.5 |
2 | デルビ | 107 |
3 | KTM | 66 |
4 | ロンシン | 15 |
5 | Honda | 14 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2位)
「トップグループにとどまるために、序盤は激しくプッシュした。何周かはついていけたが、毎周少しずつ離されてしまった。今日はトップグループでペースをキープすることができなかった。終盤は、後ろとの差もあったので、ミスをしないように全力を尽くした。トップグループから遅れてしまったことは残念だが、2位になれたことは、自分にとってもチームにとってもよかった。表彰台に立つのは気分がいいものだ。体調も本来の状態に戻っている。厳しいコンディションだったが、最後までベストを尽くせた。明日のテストでは、改善しなくてはいけない部分の改良に全力を注ぎたい」
トニー・エリアス(MotoGP 3位)
「今回は金曜日から調子がよくて、土曜日の予選でもいいグリッドを得ることができた。そして今日は表彰台に立てて、言葉もないくらいうれしい。今日は、トップの3台が絶対に表彰台に立つと思っていたし、ホルヘ(ロレンソ)が転んでからは、表彰台に立つために全力を尽くした。シーズン終盤に表彰台に立つシーズンが続いているが、次のインディアナポリスでも表彰台に立てるようにがんばりたい。この調子を最終戦まで続けられたらうれしい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「今日は全力を尽くした。終盤は3位になるために激しいバトルも繰り広げた。序盤はダニ(ペドロサ)とともにトップグループにとどまろうとがんばった。しかし、今日はついていくことができなかった。エリアスはペースがほとんど同じで、抜くことができなかった。終盤、タイヤのグリップは多少落ちていたが、エリアスに追いつくために全力を尽くした。今日は表彰台に立ちたかった。後ろにいたカピロッシのプレッシャーも激しかった。4位は悪い結果ではないが、満足することはできない。明日のテストでは、次のレースに向けてバイクのセットアップに集中したい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 8位)
「今回は8位以内に入ることが目標だったし、それを果たせてうれしい。しかし、本当はもっといい結果を残せたと思っている。エドワーズとヘイデンと一緒に走っているときは快適に走れていたが、ヘルメットの中に蝶が入ってきて、目の前でぐるぐる回って集中することができなかった。そのうち落ち着いたけれど、そのときにはすでに、グループから遅れてしまった。今日は背中に痛みがあってあまり快適ではなかったが、次のレースもいい結果を残せるようにしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 10位)
「今日は奇跡を起こしたような気分だ。2週間前、自分は病院にいた。それが、今大会を終えてチャンピオンシップでひとつポジションを上げて7番手にいる。左足首の手術をしてくれた医師、そしてクリニカモービルのスタッフに心から感謝したい。手術では7本のボルトを入れた。とても走れるとは思っていなかった。レース終盤は、息ができないくらい疲れきっていた。ピットに戻るのも大変だった。本当に信じがたいリザルトを残せた。次のインディアナポリスに向けて足の治療に努めたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 13位)
「スタートに失敗したが、前を走る3人のライダーに追いつくことができた。タイヤがスライドして厳しいレースになったが、最後までリズムある走りができた。フリー、予選と同じ状態でリアのコントロールがとても難しかった。最後まで問題を解決できなかったが、今日はいいレースができた」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニ、ドヴィツィオーゾともに、今日は全力を尽くしてくれた。2位と4位という結果は、チームのがんばりを反映してくれた。今日は2人のHondaライダーが表彰台に立ってくれてうれしい。チーム監督としては、できることなら、Repsol Honda Teamの2人が立ってほしかった。そういう意味では、ちょっと複雑な心境だった。今日、アンドレア(ドヴィツィオーゾ)は表彰台にわずかに届かなかった。チーム以上に、彼自身が表彰台に立てなかったことに落胆していた。明日は、ライバルとの差を縮めるためにテストに集中したい」
青山博一(250cc 4位)
「今日は厳しいレースだった。スタートはよく、序盤は予定通りの走りができたが、次第に水温が上がり始めてエンジンのパワーがなくなった。今日は気温も高く、混戦の中でエンジンをうまく冷やせなかった。ギリギリのセッティングにしていたことも影響した。終盤はとにかく完走しようと決めて、後ろとの差を確認しながらチェッカーを受けた。レースだから仕方がないが、今日は苦しかったし、残念な結果だった。今日のデータ、経験を、同じような状況になったときには生かしたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 6位)
「ベストリザルトではないが、ドライになったレースでは、今年になって最もいい成績を残せた。トップグループに追いつくのは簡単ではなかった。しかし、バイクの状態もよく、気持ちよく走れた。ラップタイムもよかった。今回は予選もよかったし、3日間を通じて楽しかった」
ヘクトル・ファウベル(250cc 10位)
「今回はバイクのセットアップが進んで決勝レースを楽しみにしていたが、思ったようなリザルトを残せなかった。レース終盤、エンジンのパフォーマンスが落ちてしまい、ストレートで伸びなかった。予選のペースをキープできたらもっといい結果になっていたと思う。本当に残念だった。次のレースに向けて今回の問題点を解決したい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 11位)
「今日は気温が高く、エンジンパワーもなくて、車速が伸びなかった。ブルノはストレートが多いので、とても厳しいレースだった。それでもベストを尽くせたし、ポイントを獲得することができた。次のインディアナポリスではベスト8に入れるようにがんばりたい」
富沢祥也(250cc 13位)
「スタート直後の1コーナーで2台が転倒した。その影響で3、4コーナーまでスピードが乗せられずポジションを下げてしまった。その後はペースを取り戻せたしグループに追いついたが、ジリジリと離されてしまった。前のグループについていけたらもっといいタイムで走れたと思う。これで3戦連続で完走することができた。次はトップ10内を目標にがんばりたい」