第11戦 チェコGP

チェコGPプレビュー

第11戦チェコGPが、8月14日から16日までの3日間にわたってブルノで開催される。前戦イギリスGPから2週間のインターバル。例年に比べて短いサマーブレークとなったが、休養を取り、トレーニングで体調を整えた選手たちが、元気いっぱいにサーキットに集結する。

ブルノサーキットは、一周5.403km。中速コーナーが連続するリズム感あふれるコースで、選手たちの評判はいい。コース中盤からは下りのコーナーが続き、終盤はメインストレートに向けて一気に駆け上がるレイアウト。パッシングポイントも多く、ファンの間でも人気あるサーキットの1つとして知られる。

ブルノは、スピードのアベレージも高く、タイヤにも厳しいサーキットとなっている。昨年は、タイヤのパフォーマンスがレースの勝敗に大きく影響したが、今年はブリヂストンのワンメーク。これまでにない接戦が予想される。

チェコGPは、1965年にブルノ郊外の公道コースでチェコスロバキアGPとしてスタート、77年まで続いた。その後、10年のブランクを経て、87年から現在のブルノ・サーキットに移り、チェコとスロバキアに分離した93年からは、チェコGPとして開催されている。過去4年、チェコGPの優勝から遠ざかっているHonda勢。今年は5年ぶりの優勝と、前戦イギリスGPからの連勝を狙う。

シーズン前半戦をランキング4位で終えたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、今大会は万全の体調で挑む。昨年の大会は、ドイツGPの転倒で手と足を負傷、厳しい体調で大会に挑んだ。さらに、タイヤメーカーのパフォーマンスがリザルトに大きく影響し、15位という厳しい結果に終わっていた。今年は対照的に、シーズン中のケガもほぼ回復して100%の体調で挑む。タイヤもブリヂストンのワンメーク。昨年のような不安要素もなく、2003年の125cc、05年の250ccに続き、今年は3クラス制覇を目指す。前戦イギリスGPは、不安定な天候の中で着実に走って9位でチェッカーを受けたが、不完全燃焼のレースとなった。今大会は、今季2勝目の期待が膨らむ。

前戦イギリスGPでMotoGPクラス初優勝を達成したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今季2勝目を目指す。前戦イギリスGPは、不安定な天候の中で常にトップグループに加わり、ライバルたちが難しいコンディションの下で次々に脱落する中、すばらしい走りを見せた。シーズン中盤の手応えをやっと結果につなげただけに、後半戦のブレイクに期待が集まる。ドヴィツィオーゾにとってブルノは、もっとも得意とするサーキットの1つ。125cc、250cc時代に優勝はないが、安定した速さで表彰台に立ってきた。昨年の大会はタイヤのパフォーマンスに苦しんで9位に終わっているが、今年は優勝候補の1人として大きな注目を集めそうだ。

前戦イギリスGPで今季ベストリザルトとなる4位に入ったアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が、後半戦のスタートとなるチェコGPに闘志を燃やす。ブルノでは過去、125cc時代に1度表彰台に立っているだけだが、得意なサーキットの1つ。これまでブルノでは、なかなか結果につながる走りができていないが、イギリスGPの好調をブルノにつなげる意気込みだ。昨年の大会は予選5位。決勝は序盤の遅れが響いて8位だったが、今年は表彰台の期待が膨らむ。チームメートのトニー・エリアスも、昨年は、ドゥカティ・チームで2位表彰台に立っている得意なサーキット。前戦イギリスGPでは、序盤にトップを快走するも痛恨の転倒と悔しい結果に終わっている。中盤になって調子を上げているエリアス。今大会は、デ・アンジェリスとともに好リザルトが期待される。

シーズン途中からMotoGPクラスに参戦しているガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)も今大会で6戦目を迎える。チェコGPは、母国ハンガリーからの応援団が多く、ファンの声援に気合満点。目標はトップ10、今季ベストリザルトを狙う。この数年、チェコGPの観客動員数の増加に大きな貢献をしているタルマクシの活躍に注目が集まる。一方、前戦イギリスGPで3位表彰台に立ったランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、トレーニング中に左足首を骨折、一時は出場が危ぶまれたが、必死の治療とリハビリで出場にこぎつけた。250cc時代の03年に優勝、04年に2位になっている得意なサーキット。ケガを押しての熱走に注目したい。

250ccクラスは、前戦イギリスGPで今季3勝目を挙げて総合首位をキープする青山博一(Scot Racing Team 250cc)の走りに注目が集まる。2週間のインターバルも、ベースとするスペイン・バルセロナで夏休み返上でトレーニングに励んできた。残り7戦、念願のタイトル獲得に向けて万全の体調で後半戦を迎える。ブルノでは、06年に3位表彰台に立っている。これまで優勝はないが、今年はチェコGP初制覇と自身初の2連勝に挑む。チームメートで総合8位のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)は今季初の表彰台に闘志を燃やす。総合9位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は、第4戦フランスGP以来2度目の表彰台を狙う。前半戦、ケガのために完全な体調で挑めなかったラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も、フランスGPの5位を超えるリザルトに闘志。ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)も目標とするトップ10入りを目指す。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「短い夏休みだったが、しっかりトレーニングもできたし、本来の体調に戻すために十分な時間が取れたと思う。これから始まる後半戦に向けて、いい状態を作れたと思う。ここからは自分のパフォーマンスをきっちりと発揮できるのではないかと楽しみにしている。この2週間、自転車のトレーニングに集中したが、身体に痛みを感じるところもなく、とてもよかった。ブルノは大好きなサーキット。独特なレイアウトで、バイクのセットアップも高いレベルを要求される。ブルノはいつも天気がいいので、今週末もいいコンディションで走れることを期待する。レース後の月曜日にはテストもあるので、これまでできなかったことをきっちりとやりたい。後半戦のスタートとなるチェコGPを楽しみにしている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング6位)

「前回のイギリスGPで優勝しているので、今大会は、これまでにない高いモチベーションで初日を迎えられる。自分もチームも、やる気満々だ。ブルノはアベレージスピードがとても速いサーキット。ロングコーナーも多く、攻略するのはとても難しい。しかし、バイクの状態はいいし、エンジンのパフォーマンスをしっかり引き出せれば、いいレースができると信じている。サーキットの雰囲気もよく、観客席に囲まれたサーキットの造りも大好きだ。この2週間、イタリアで友人たちとリラックスした時間を過ごせた。後半戦のスタートとなる大会だけに、いい結果を残したい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング8位)

「イギリスGPが終わった後、モトクロスのトレーニングをしているときにケガをしてしまった。手術を終えたときには、本当にがっかりしたし、今回のレースに出場するのは無理だろうと思っていた。しかし、足首の状態はどんどんよくなっているし、足首の動きもよくなっている。ブルノは大好きなサーキットの1つ。前半戦の好リザルトを、ここから始まる後半戦でもキープしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング11位)

「前回のドニントンパークで4位になれたことで、家族や友人たちと過ごした2週間の夏休みは本当にすばらしいものになった。ラリーにも出場して休暇を満喫した。もちろんトレーニングもしっかりこなし、ここからスタートする後半戦の準備もしていた。ブルノは大好きなサーキット。流れるようなリズムある走りが求められるし、ドイツGPが行われるザクセンリンクに似ているので楽しみにしている。ドニントンのようなリザルトを残すのは厳しいかもしれないが、ベストを尽くしたい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング14位)

「ブルノは流れるような走りが求められるレイアウト。そしていくつかのポイントではハードブレーキングが要求される。加えて、アップダウンがあって変化にも富んでいる。ブルノでは過去、いいリザルトを残してきた。転倒した前回のドニントンは本当に残念だったし、今回は、その雪辱を果たしたい。表彰台に立った昨年のようなリザルトを残すのは厳しいかもしれないが、不可能ではないと思っているし、チームとともにベストを尽くしたい。この2週間、ブルノのためにトレーニングに励んできた。今回はベストリザルトを残したい」

ガボール・タルマクシ(MotoGP ランキング19位)

「今年もハンガリーから大勢のファンが来てくれる。サーキットにハンガリーの国旗が打ち振られている光景は本当にすばらしい。ブルノは、コース幅が広く、リズミカルな走りが要求される。自分のライディングスタイルに合っているし、とても楽しみにしている。MotoGPでは、これまで経験してきた125ccとはまったく違うライディングアプローチが要求される。今回の目標はトップ10でフィニッシュすること。それが達成できたら、本当にすばらしいことだと思う」

青山博一(250cc ランキング1位)

「ブルノは大好きなサーキットだが、同時に、好リザルトを残すのがとても難しいコースだ。長いストレートとアップダウン。全体的にスピードのアベレージが高いので、厳しい戦いになる。しかし、中速コーナーが続くセクションでは、自分たちのアドバンテージを生かして、トップグループに絡んでいきたい。前半戦は自分にとっても周囲にとっても、期待以上の走り、結果を残せたと思う。ここからの後半戦も、一戦一戦、勝利を目指してベストを尽くしたい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング8位)

「中高速コーナーが続くブルノは、大好きなコース。イタリアのムジェロにすごく似ている。今年はいい状態でレースができているし、もっといいリザルトを自分もチームも求めている。今年は不安定な天候が続いているが、自分としては、ドライでもウエットでもかまわない。どちらでもベストを尽くすだけだ」

ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング9位)

「2週間の夏休みは、家族や友人とリラックスできる時間が取れたが、後半戦に向けてトレーニングも欠かさなかった。これまで長い間、アプリリアに乗ってきたが、Hondaに乗った今年はいろいろ学ぶこともあった。自分のライディングにも大きな影響を与えた。250ccでは、これまででベストのシーズンになっている。一戦一戦、自分の走りができるようになっているし、チェコGPの開幕を楽しみにしている。今回もベストを尽くしたい」

ラタパーク・ウイライロー(250cc ランキング14位)

「今年の中盤戦は100%の体調でレースに挑めたレースが少なかったので、この2週間、ベストな体調に戻すことに集中した。トレーニングもしっかりこなした。前半戦は自分が思っていたような成績を残せなかったので、後半戦は巻き返したい」

富沢祥也(250cc ランキング18位)

「ドイツ、イギリスと2戦連続で完走して夏休みを迎えることができた。短い時間だったが、日本に帰ってリフレッシュできた。後半戦も初めてのサーキットが続くが、前半戦の経験を生かし、着実にポジションを上げていきたい。ブルノは、シーズン中盤戦に経験してきたサーキットとは、かなり違う感じがするので、それも楽しみにしている。今回も完走してポイントを獲得したい」