第10戦イギリスGPの予選は、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)とダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)のし烈なPP争いとなり、ペドロサはわずか0.095秒及ばず2番手。今季4回目のフロントローから今季2勝目を狙う。以下、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)と続き、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が5番手につけた。
3戦ぶり今季4回目のフロントローを獲得したペドロサは、2日間のすべてのセッションで好調な走りを見せた。ウエットとなった初日のフリー走行でトップタイム、ドライになった2日目のフリー走行でもトップタイムをマークした。予選では最後のアタックでクリアラップが取れずタイムロス。わずか0.095秒差で2番手に終わった。しかし、決勝レースに向けてロングランを確実にこなし、優勝を期待させるアベレージを刻んだ。第8戦アメリカGPで今季初優勝、前戦ドイツGPではニュースペック・エンジンのデビュー戦で3位表彰台を獲得している。今大会はエンジンのセットアップも進み、ドニントンパーク・サーキット最後のグランプリを優勝で飾る意気込みだ。
初日のフリー走行で4番手、2日目のフリー走行で7番手とやや出遅れたドヴィツィオーゾが、午後の予選でベストタイムもアベレージも上げて5番手につけた。トップとのタイム差は、0.662秒。走るごとにセットアップが進んでいるドヴィツィオーゾ、ドニントンパークを得意とするだけに、決勝での追い上げに期待される。
初日9番手スタートのトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が、2日目のフリー走行と予選で順調にセットアップを進めた。午前中のフリー走行では6番手、午後の予選では大接戦の中で8番手へとポジションを落としたが、今季最高の仕上がりとなった。過去2戦では、6位でチェッカーを受けているエリアス。今大会はトップグループに加わる意気込みだ。
ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、ウエット、ドライともにセットアップに苦しみ10番手。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)は、後半のスローセクションで苦戦して12番手。完ぺきな状態ではないが、決勝ではともにトップ8を目標に追い上げのレースに挑む。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は、セッション中盤に転倒を喫して17番手だった。
唯一、2日間を通じてドライコンディションで走行した250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がPPを獲得。2番手にマルコ・シモンセリ(ジレラ)、3番手に青山博一(Scot Racing Team 250cc)が続いた。初日のフリー走行で2番手につけた青山は、2日目のフリー走行でギアボックスにトラブルを抱えて出遅れるも、午後の予選で一気にタイムを上げて3番手に浮上。前戦ドイツGPでは4位と惜しくも表彰台を逃したが、得意とするドニントンパークで今季3勝目を狙う。以下Honda勢は、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が、第5戦イタリアGP以来の2列目となる8番手。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)11番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)14番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)17番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:28.116 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.095 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.286 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.330 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.662 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.749 |
7 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +0.949 |
8 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.059 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.154 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.318 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.483 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.484 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.982 |
14 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +2.037 |
15 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.152 |
16 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.456 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.077 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:31.802 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.092 |
3 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.253 |
4 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.466 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.841 |
6 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.862 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.081 |
8 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.244 |
9 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.343 |
10 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +1.401 |
11 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.416 |
14 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.701 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.099 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.798 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +4.507 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:37.442 |
2 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.131 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.307 |
4 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.407 |
5 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.432 |
6 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.547 |
7 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.675 |
8 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.925 |
9 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.029 |
10 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.042 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「今日は、午前中のフリー走行も午後の予選も順調だった。PPを取ることよりフロントローに並ぶことが重要なので、それを果たせたこともよかった。セッション最後のアタックは、クリアラップが取れずリズムに乗れなかったのが残念。もう少しいけたと思う。しかし、フロントローに並べたのでなにも問題はない。明日の天気がどうなるか分からないし、決勝前のウオームアップでさらにセットアップを進めたい。もし決勝が雨なら、昨日のウエットよりペースを上げるように努力しなくてはならない。明日はドニントンパーク最後のレースなので、優勝で飾りたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「2列目からのスタートになったが、グリッドは悪くないし、明日の決勝はトップグループで戦える自信がある。とにかく、よいスタートを切ることが大事になるし、ミスのないようにしたい。このコースは大好きだし、明日はもっとペースを上げたい。そのためにはセットアップを完全にしなくてはならないし、コーナーの進入とトラクションをもう少しよくしなければならない。明日は雨になるかもしれないが、雨でもドライでも準備はできている」
トニー・エリアス(MotoGP 8番手)
「今日は2列目を獲得したかったし、並べる自信もあったのだが、残念ながら8番手3列目に終わってしまった。しかし、決して悪い順位ではないし、なによりも前回のドイツGPよりセットアップが大幅に進んだことがとてもうれしい。今日はフリー走行から順調でポジションも6番手だった。午後の予選はフィーリングがよくなく、ポジションを8番手に落としてしまったが、明日はよいスタートを切ってトップグループでレースを戦いたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 10番手)
「今日は厳しい一日だった。セットアップがなかなか決まらず、特に終盤の2つのヘアピンに苦しんだ。昨日のウエットもドライになった今日も、最後までいいペースをつかめなかった。今日は午前中から午後にかけていろいろとセッティングにトライした。コンマ数秒はタイムを上げられたが、期待したほどではなかった。今日は3列目に並びたいと思っていたので残念だった。決勝はあきらめずにトップ8を狙いたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12番手)
「今日はスローセクションでうまく走れなかった。この状態は前回のドイツGPから同じなのだが、ドニントンパークではシケインと2つのヘアピンでもスムーズに走れなかった。このセクションで大幅にタイムをロスしていた。今日はロレンソと一緒に走ったが、後半のスローセクションまで同じように走ることができた。それだけに残念だった。前回のドイツGPのようなリザルトは残せないかも知れないが、ドライでもウエットでもトップ8を目標に戦いたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「セッション中盤に転んでしまったが、ピットに戻ったときには、スペアのバイクの準備ができていた。それで時間をロスすることなくコースに出ることができた。チームには本当に感謝している。しかし、転倒の原因が自分には分からない。それまで同じペースで、前の選手と同じように走っていたからね。今日は、ブレーキングのときのリアのグリップに苦しんだ。明日のウオームアップでセッティングを見直したい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニがPPを獲得できなかったのは残念だが、今年はどのレースもスタートがうまくいっているので、フロントローに並べれば十分だと思う。明日のレースに向けて、セットアップも順調に進んだ。ペースもよかったし、明日はいいレースをしてくれるはずだ。天候がどうなるか分からないが、明日のウオームアップで最後の調整をしたい。ドヴィツィオーゾも今日は順調だった。決勝に向けてもう少しペースを上げなくてはいけない部分はあるが、明日のウオームアップでその問題の解消に努めたい。昨日のウエット、今日のドライでもまずまず。決勝に向けて準備は整った。明日の決勝も優勝を目標にチャレンジしていきたい」
青山博一(250cc 3番手)
「午前中のフリー走行は、ギアが入りにくいトラブルがあって思うように走れなかった。そこで車体のセットアップに集中したのだが、それが功を奏して午後の予選は順調に走り出すことができた。午前中のギアのトラブルも解消して気持ちよく乗れた。トップの2人に比べて少しペースが遅いので、明日のウオームアップでセットアップを見直したい。特に後半セクションでペースが遅いので、ここを重点的にやっていきたい。基本的にある程度はまとまっている。ただ天候が不安定なので、路面の状況に合わせていきたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 8番手)
「今日は午前中のフリー走行からあまりうまく走れなかった。午後の予選に向けてセッティングを変更したのだが、方向を間違えてさらに悪くなってしまった。そこで昨日の状態に戻し、なんとか2列目に並ぶことができた。課題は後半セクションで、もう少しセットアップを見直さなければいけない。明日は1分33秒台でラップできたら、いい結果を残せると思う」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 11番手)
「今日はギアボックスに問題を抱えていたが、まずまずセットアップは進んだと思う。しかし、リアのトラクション不足で思うようにアクセルを開けられなかった。明日のウオームアップでこれを見直したい。昨日のウエットはとてもスリッピーだったので、できることなら明日はドライでレースをしたい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「昨日の転倒ですべてが遅れてしまったので、今日は絶対に転ばないようにフリー走行と予選を走った。ドニントンパークは楽しいけれど難しいコースだ。特に前半の高速セクションはタイムに大きく影響する。今日はその区間を攻めきれず、タイムもロスしていた。明日は前半セクションでタイムを伸ばし、後半のシケインとヘアピンで勝負していきたい。明日も完走、ポイント獲得を目標にベストを尽くしたい」