前戦ドイツGPから2連戦となるイギリスGPが、7月24日、ドニントンパークで開幕する。イギリスGPは、マン島、シルバーストーンと舞台を移し、1987年からドニントンパークがグランプリの舞台となった。今年で23回目を迎えるが、来季から再びシルバーストーンで開催することが決まり、今年が最後の大会となる。
ドニントンパークは、一周4.023km。アップダウンに富み、前半はハイスピードセクション。後半はストレートとシケイン、ヘアピンが連続するストップ&ゴー区間。キャラクターのまったく異なる2つの要素を持ち、セットアップが難しいことで知られる。加えて雨の多い不安定な天候が、チーム、ライダーたちを悩ませてきた。こうして、常に厳しい条件をつきつけるサーキットだが、リズム感とスピード感にあふれるレイアウトは選手たちの評判もよく、最後のドニントンパークの戦いに選手たちは闘志を燃やしている。
前戦ドイツGPで3位表彰台に立ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、MotoGPクラスにデビューを飾った2006年に優勝。雨のレースになった07年は表彰台を逃したが、昨年は3位表彰台を獲得するなど得意とするサーキットの1つだ。今季、ケガが続いていたペドロサだが、第8戦アメリカGPで今季初優勝を達成、第9戦ドイツGPで3位表彰台と完全復活をアピールしているだけに、今大会は今季2勝目の期待が膨らむ。この大会が終わるとグランプリは夏休みに入る。気持ちよく夏休みに入りたいと語るペドロサ。ドニントンパーク最後のグランプリを優勝で飾る意気込みだ。
チームメートのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、ドニントンパークを最も得意としている。04年に125cc、07年には250ccで優勝を飾っている。MotoGPクラスにデビューを飾った昨年は5位と好走を見せているだけに、2年目を迎える今年は、今季初表彰台のみならず、初優勝にも期待がかかる。第7戦オランダGP、第8戦アメリカGPでは痛恨の転倒。前戦ドイツGPはトップグループにからむもタイヤの消耗に苦しんでリタイアとなった。過去3戦ノーポイントに終わっているだけに、今大会は、その雪辱に闘志を燃やす。
前戦ドイツGPで好スタートを切り、トップグループにつけながら痛恨の転倒を喫したランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、得意のサーキットで雪辱を果たす意気込みだ。250cc時代には、04年に3位、05年に優勝している。「好きなサーキットではない」と語るも、相性のいいサーキット。今季初のリタイアを喫した前戦ドイツGPの悔しさを今大会にぶつける意気込みだ。
ザクセンリンクで今季ベストリザルトの5位でフィニッシュしたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、上り調子で今大会を迎える。250cc時代は優勝経験こそないが表彰台の常連。チームメートで、第8戦アメリカGP、第9戦ドイツGPと2戦連続で6位のトニー・エリアスも好調なだけに、今大会はTeam San Carlo Honda Gresiniの両選手が台風の目となりそうだ。
250ccクラスは、総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、得意のサーキットに気合いを入れる。前戦ドイツGPは惜しくも表彰台を逃す4位。雨による中断でレース周回数が短縮されたことで、「本来の周回数ならみんなタイヤに厳しいレースになっていたし(優勝の)チャンスもあった」と悔しいレースに終わっているだけに、今大会は、今季3勝目に向けて闘志をみなぎらせている。8戦を終えて総合8位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)、総合9位のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)も今大会は表彰台獲得に気合十分。前戦ドイツGPで好走するも転倒リタイアに終わっているラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)、5戦ぶりに完走ポイント獲得した富沢祥也(CIP Moto-GP250)も、シーズン前半締めくくりのレースに闘志を燃やしている。
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)
「過去2戦、いいレースができているので、この勢いをドニントンパークにもつなげたい。先週のザクセンリンクは、表彰台に立ててよかったが、勝てるチャンスもあったと思う。ドニントンパークは過去優勝している。いいレースをする自信があるし、前回の雪辱を果たしたい。ドニントンパークは天候が不安定なので、どんな天候になってもいいように準備しなければならない。ザクセンリンクのウエットでは貴重なデータを得られたし、それを今回は生かしたい。ドニントンパークは好きなサーキットの1つ。いいレースをして夏休みに入りたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング7位)
「今年はドニントンパーク最後のレースになる。ドニントンパークはとても魅力的なサーキットなのでとても残念だ。ドニントンパークはこれまでいいレースを何度もしてきた。昨年もいいレースができたので楽しみにしている。過去2戦は、調子がよかったし、いい走りもできていたのだが、それを結果につなげられなかった。3戦連続のノーポイントなので今回は結果につなげたい。バイクの状態もどんどんよくなっている。ドニントンパーク最後のレースなので、自分の力を証明したい。ベストを尽くす」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング10位)
「前回のザクセンリンクは、スタートして1周目に転倒するまでは、完ぺきな状態だった。本当に残念なレースになったが、今回は気持ちを切り替えて挑みたい。ドニントンは正直、あまり好きではないが、独特なレイアウトでとても面白い。昨年は12位とあまりいい結果を残せなかったので、今年はトップ10フィニッシュを目標に戦いたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング11位)
「ドニントンパークは大好きなサーキットだが、天候が不安定なのが気がかりだ。とはいえ、前回のザクセンリンクは、ドライもウエットもいい走りができたので、その点では不安はない。昨年のレースは転倒して再スタートしたが、いい結果を残せなかった。今年は前回のドイツの好調をつなげたい。ドニントンパーク最後のレースなので、いいレースにしたい」
トニー・エリアス(MotoGP ランキング12位)
「前回のザクセンリンクの結果はよかったが、もっともっといいリザルトを残さなくてはいけない。前回は予選で転んでグリッドを悪くしてしまった。もっといいグリッドだったら違う結果になっていたと思うし、今回は予選でミスがないようにしたい。ドニントンパークは気温が低いときは特にグリップが悪いので、どんなコンディションにでも対応できるようにセットアップすることが重要だ」
ガボール・タルマクシ(MotoGP ランキング19位)
「ドニントンパークは、過去、あまりいいレースができていないが、MotoGPマシンで走るのは初めてなので、とても楽しみにしている。今回のレースも、一歩前進するためにステップを刻みたい」
青山博一(250cc ランキング1位)
「ドニントンパークは大好きなサーキットなので、すごく楽しみにしている。独特なレイアウトで、前半はハイスピード、後半はストップ&ゴー。2つの特徴を持っているが、Hondaのマシンにアドバンテージがあると思う。前回のザクセンリンク同様、ドニントンパークも天候が不安定なので、天候がレースのカギを握る。前回は赤旗中断で周回数が短縮されたことが自分には不利に働いた。今回はどんなレースになるのかわからないが、自分に追い風になるようなコンディション、状況になって欲しい」
ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング8位)
「2戦連続のレースなので休む暇もないという感じだが、気持ちを新たに挑みたい。前回のザクセンリンクは、いい走りができたしとても満足している。ドニントンパークもザクセンリンクと同じような特徴を持つサーキットなので、Hondaのマシンには合っているし思うし、きっといいレースができるはず。とても楽しみにしている」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング9位)
「今回もHondaの250ccで走るのは初めてになるが、ドニントンパークは大好きなサーキットなので楽しみにしている。前回のドイツと同じようにここも雨が多い。ドイツではウエットでそれほど悪くはなかったが、今回はできることならドライで走りたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング11位)
「ドイツGPの転倒で痛めた背中はかなり回復したので、今週のレースには問題はない。前回のザクセンリンクは、いいスタートが切れたし、フィーリングもよかっただけにとても残念だった。前回はとてもいい状態にバイクが仕上がった。今回も同じ状態で初日のセッションに挑みたい」
富沢祥也(250cc ランキング18位)
「ドイツGPは、5戦ぶりにポイントを獲得できて、本当にうれしかった。長い間、悔しいレースが続いていたし、チームにも申し訳ないと思っていたので、やっという気持ちだった。今回のドニントンパークも難しいサーキットだと聞いている。前回のザクセンリンクも難しかったけれど楽しく乗れたので、今回もコースを攻略できるようにがんばりたい」