ペドロサ3位で2戦連続の表彰台に立つ
デ・アンジェリスが今季ベストリザルトの5位
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2009年7月19日(日)
決勝
- 会場:ザクセンリンク
天候:曇り
気温:19℃
コースコンディション:ドライ/ウエット
観客:9万8159人(3日間21万4711人)
第9戦ドイツGPの決勝レースは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)、そしてダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の4台による優勝争いとなり、終盤、グループから抜け出したロッシが優勝。2位にロレンソ。ストーナーをかわしたペドロサが2戦連続、今季5回目の表彰台となる3位でチェッカーを受けた。
以下、Honda勢は、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)5位。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が6位と好走。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)が15位で初ポイントを獲得した。予選6番手から好スタートを切ったランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、オープニングラップで3番手を走行するも転倒してリタイア。序盤、トップグループにつけたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)もタイヤの消耗などでペースが上がらずレース終盤にリタイアした。
2戦連続表彰台となったペドロサは、今大会もすばらしいスタートを切った。予選8番手。3列目という厳しいグリッドから猛ダッシュを見せたペドロサは、1コーナーで2番手に浮上。ロッシをピタリとマークして快調にラップを重ねた。後方にはストーナー、ロレンソと続き、この4台がトップグループを形成した。しかし、転倒寸前の滑りを経験したペドロサはペースが上がらず4番手にポジションダウン。しかし、終盤にかけてペースアップに成功したペドロサは、ファステストラップを更新して猛追撃。ラスト5周でストーナーをかわし3番手に浮上。その後もロッシとロレンソのヤマハ勢を追撃したが、わずかに届かなかった。
今大会、Repsol Honda Teamは、ニュースペックのエンジンを投入。金曜日、土曜日とセットアップを進めながら決勝に挑んだ。雨の予選では慎重な走りで8番手だったが、決勝日朝のウオームアップではトップタイムをマーク。ニュースペックエンジンのパフォーマンスの高さを証明した。今大会は不安定な天候でバイクのセットアップが予定通り進まなかったが、次戦イギリス大会に向けて大きな手応えを感じ取る戦いとなった。
その後方では、今季ベストグリッドの5番手から好スタートを切ったデ・アンジェリスが、今季ベストリザルトとなる5位でチェッカーを受けた。オープニングラップは6番手。7周目にドヴィツィオーゾをかわし5番手に浮上。その後も、快調にラップを重ねた。予選17番手のエリアスが、周回を重ねるごとにポジションを上げるすばらしい走りで、前戦アメリカに続き2戦連続の6位でフィニッシュ。Team San Carlo Honda Gresiniの両選手が、上り調子をアピールした。
MotoGP4戦目を迎えるタルマクシは、オープニングラップは最下位だったが、2周目にニッコロ・カネパ(ドゥカティ)、3周目にクリス・バーミューレン(スズキ)をかわした。終盤はペースを落とし最下位となるが15位でフィニッシュ。MotoGP初ポイントを獲得した。予選6番手から絶好のスタートを切ったデ・ピュニエは転倒リタイア。序盤トップグループに絡んだドヴィツィオーゾは、タイヤの消耗と電気系のトラブルで25周目にピットに戻りリタイアした。
250ccクラスは、スタート直後に降り出した雨のために中断、29周のレースを19周に短縮して行われた。優勝したのはマルコ・シモンセリ(ジレラ)。2位にアレックス・デボン(アプリリア)。4台によるし烈な3位争いを制したアルバロ・バウティスタ(アプリリア)が3位。そのグループを終始リードした青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、最終ラップにバウティスタにかわされ惜しくも4位に終わったが、総合首位をキープした。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)6位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)9位。富沢祥也(CIP Moto-GP250)13位という結果だった。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は、中断した第1ヒートで転倒しリタイアした。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 41:21.769 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.099 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +2.899 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +10.226 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +21.522 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +30.852 |
7 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +31.301 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +31.726 |
9 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +32.865 |
10 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +43.926 |
11 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +57.375 |
12 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:00.539 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1:03.645 |
14 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1:04.155 |
15 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +1Lap |
RT | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +5Laps |
RT | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | - |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 27:11.034 |
2 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.479 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.528 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.866 |
5 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +1.260 |
6 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +5.972 |
7 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +8.721 |
8 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +8.762 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +19.176 |
10 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +27.950 |
|
13 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +51.940 |
15 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +1:06.786 |
19 | 66 | J.シュテンスモ | Honda | +2Laps |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4Laps |
DNS | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | - |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 39:57.337 |
2 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +9.415 |
3 | 6 | J.オリベ | デルビ | +17.559 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +17.587 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +19.740 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +20.778 |
7 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +20.908 |
8 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +38.221 |
9 | 77 | D.エジャーター | デルビ | +38.434 |
10 | 71 | 小山知良 | ロンシン | +40.085 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
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1 | ヤマハ | 210 |
2 | ドゥカティ | 148 |
3 | Honda | 139 |
4 | スズキ | 84 |
5 | カワサキ | 70 |
ライダー | 250cc
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 173 |
2 | Honda | 146 |
3 | ジレラ | 109 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
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|
1 | J.シモン | アプリリア | 129 |
2 | S.ガデア | アプリリア | 104 |
3 | B.スミス | アプリリア | 98.5 |
4 | A.イアンノーネ | アプリリア | 93.5 |
5 | N.テロール | アプリリア | 81.5 |
6 | P.エスパルガロ | デルビ | 62.5 |
7 | M.マルケス | KTM | 55 |
8 | S.コルテセ | デルビ | 55 |
9 | J.フォルガー | アプリリア | 54 |
10 | S.ブラドル | アプリリア | 44 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 187.5 |
2 | デルビ | 88 |
3 | KTM | 57 |
4 | ロンシン | 10 |
5 | Honda | 9 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3位)
「今日は表彰台に立ててうれしい。しかもトップグループと僅差だったし、前回の優勝が偶然じゃないことを証明できたと思う。今日はスタートが決まり、序盤、バレンティーノの後ろを走っているときはとても快適だった。しかし、6ラップか7ラップ目の最終コーナーで転びそうになりペースが落ちてしまった。その後、徐々にペースを取り戻し、攻めの走りができるようになった。ケーシーを抜き、トップに追いつこうと思ったが届かなかった。しかし、3位になることができてよかった。今回、優勝争いに加われる状態にバイクは仕上がっていたが、もう少しがんばらないといけない部分もある。チームのモチベーションは高いし、常に前進している。次のドニントンは、もっといい結果を得るために全力を尽くしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 5位)
「雨の予選で気持ちよく走れたが、ドライになってもそれは変わらないだろうと思っていた。その通りのレースができてうれしかった。前回のラグナセカも予選までは快調だったが、決勝はセッティングに失敗して後退してしまった。今回はそんな失敗がないように決勝に挑んだ。ドヴィツィオーゾとのバトルはとても楽しかった。次のドニントンも好きなサーキットなので、今回のような走りができると信じている」
トニー・エリアス(MotoGP 6位)
「今日はトップ10ぐらいでチェッカーを受けられるだろうと思っていたが、予想よりもはるかにいい結果だった。厳しいレースだったが、いいリズムで走れたし、順調にポジションを上げていくこともできた。しかし、メランドリに追いついた後、胃が痛くなり始めて苦しいレースになったが、メランドリとのバトルはとても楽しかった。終盤は痛みもやわらぎ、彼を抜いてチェッカーを受けることができた。予選グリッドが悪くなければ、もっといいリザルトを残せたと思う。次のドニントンでは、こんな失敗がないようにしたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 15位)
「今日のレースは自分にとって大きな意味を持つレースになった。MotoGPで初めてポイントを獲得することができて、とてもハッピーだった。フロントタイヤの消耗に苦しんでペースを落としたのは残念だが、それまではいいリズムで乗ることができた。もっともっと速いペースで走れると思っている。今日は自信になるレースだった。次のレースも全力を尽くしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP リタイア)
「今日は4列目からいいスタートが切れたし、序盤はトップグループの後方で本当にいいペースで走ることができた。3周目にはロレンソを抜いて4番手に上がったが、8コーナーでオーバーランしてしまった。それでグループから遅れてしまい、その数周後にはフロントタイヤのパフォーマンスが一気に下がってしまった。そのためにブレーキングが厳しくなり、コントロールも難しくなった。この時点で完走することを目標にしたが、電気系に問題が出てピットに戻ることにした。今日はとてもフィーリングがよく、序盤のラップタイムがよかっただけに残念だった。来週のドニントンでは、バイクのフィーリングのよさを結果につなげたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP リタイア)
「スタートもよくて、ペドロサに続いて3番手につけていたが、ハイサイドで転んでしまった。今日の結果には本当にがっかりした。左コーナーが続いた後の右コーナーで、ちょっとだけアクセルを開けるのが早かった。ケガがなくてよかったが、チャンピオンシップのことを考えるとチームには本当に申し訳ない気持ちだ。今回はいいアベレージで走れたし、転ばなければトップ5でフィニッシュできたと思う。総合ポイントで9位から10位に落ちてしまったが、気持ちを切り替えてドニントンに挑みたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニのペースは、優勝争いに加わるのに十分なものだった。もちろん、目標は優勝することだし、そのためにこれからも全力を尽くさなければならない。今回は、ニュースペックのエンジンを投入した。不安定な天候となったが、確実にセットアップを進めることができた。次のドニントンでも引き続き、さらにポテンシャルを引き出すためにセットアップに集中したい。ドヴィツィオーゾも序盤はとてもいいペースで走っていたが、残念な結果に終わった。原因をしっかりとつきとめなければならない。次のドニントンでは、いいレースができるように全力を尽くしたい」
青山博一(250cc 4位)
「今日はタイヤに厳しいレースだった。加えて、アドバンテージのあるはずだった下りのバックストレートでエンジンが伸びなかった。レース前は、そのポイントを勝負どころにしようと思っていたが、そこで何回も抜かれてしまった。今日は29周のレースが雨の中断で19周に短縮された。もし、29周で戦っていたら違う展開になっていたと思う。今日は表彰台に立てるチャンスがあると思っていたが、最終ラップにバウティスタに抜かれてしまった。バウティスタにポイントをつめらたが、それを最小限に抑えることができたし、総合首位をキープできてよかった。今回は悔しいレースに終わったので、次のドニントンでは今季3勝目を狙っていきたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 6位)
「今日はいいレースができた。エンジンパフォーマンスもよくて、6位争いのグループの中でもアドバンテージを感じた。唯一の失敗は、ウエットセッティングのままレースを戦わなければならなかったこと。タイヤの消耗も激しく厳しいレースとなり、ポジションもいくつか落とすことになった。しかし、ベストは尽くせた思う。次のドニントンがすごく楽しみだ」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 9位)
「17番グリッドから9位になるのは容易ではなかった。バイクは完ぺきに仕上がっていた。しかし、再スタートするときはウエットになると思っていたし、タイヤをスリックに替えただけで、ウエットのセッティングで走ることになってしまった。そのために、あっという間にフロントタイヤが消耗して、厳しい戦いになった。9位になれたのはうれしいけれど、悔しい気持ちもある。とても複雑な心境だ」
富沢祥也(250cc 13位)
「5戦ぶりにチェッカーを受けてすごくうれしかった。今日は転倒者も多かった。雨のために赤旗中断になったり、集中するのがとても難しいレースだった。とにかく今日は完走しようと自分を抑えて走った。フロントのセッティングがウエットのままだったことで思ったような走りはできなかったが、タイヤを消耗させないようにタイヤをセーブしながら走った。転倒者で順位をあげられたこともあるが、しっかりと抜いて順位も上げられた。久しぶりの完走でチームも喜んでくれた。次のドニントンも完走してポイントを獲得したい」