第9戦 ドイツGP

ドイツGPプレビュー

第9戦ドイツGPが、7月17日、ザクセンリンクで開幕する。ザクセンリンクは、1927年に開催された公道レースに端を発する伝統あるサーキットで、96年に新コースが完成した。以来、ドイツGPの舞台として定着して、今年で12回目を迎える。

ザクセンリンクは、アップダウンに富むテクニカルコース。前半がスローセクション、後半は高速セクションとメリハリのある独特なレイアウトとなっている。パッシングポイントが少ないことから、上位グリッドの獲得に向けて、予選から厳しい戦いが繰り広げられる。全長ではラグナセカに続いてシーズン2番目のショートコース。新サーキット完成から数度の改修を経て全体的にスピードアップしているが、機敏な運動性とレスポンスのいいエンジン、そしてライダーにはシビアなアクセル操作が要求される。過去、11回の大会でHonda勢は6回の優勝を飾っている。

一昨年の大会では、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がすばらしい走りで独走優勝している。雨になった昨年もトップを快走したが、痛恨の転倒。そのときの負傷が影響してタイトル争いから後退した。しかし、今年は前戦アメリカGPで今季初優勝を達成、勢いに乗るだけに2年ぶりのドイツGP制覇に期待がかかる。ペドロサは、第5戦イタリアGPで負傷した右足大たい骨の負傷も順調に回復し、アメリカGP後には自転車のトレーニングも再開して準備万端。得意のコースで今年は今季初の2連勝を狙う。

ペドロサとともに、中盤戦になって調子を上げているアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今大会は今季初表彰台と初優勝を狙う。過去2戦はトップグループに迫りながらも痛恨の転倒。好調な走りを結果につなげられない悔しい戦いとなっているだけに、その雪辱に挑む。125cc、250cc時代は一度も表彰台に立っていないサーキット。しかし、MotoGPクラスにデビューを飾った昨年は予選4位、決勝5位と苦手意識を克服した。前戦アメリカGPでチームメートのペドロサが初優勝を達成しているだけに、今大会は気合も満点。ドヴィツィオーゾの走りに大きな注目が集まる。

過去2戦、予選で苦しみ、好グリッドを得られず悔しいレースが続いているランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、今大会はその雪辱に挑む。昨年は予選6位、決勝8位とまずまずのリザルトを残している。ザクセンリンクはパッシングポイントが少ない難しいサーキットだけに、予選から全力を尽くす意気込み。また、前戦アメリカGPで、予選6位、決勝6位と今季ベストリザルトを刻んだトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)も気合満点。今季初表彰台に闘志を燃やす。

125cc、250cc時代にこのサーキットで何度も表彰台に立っているアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、ここから巻き返す意気込み。昨年の大会は、予選こそ10番手だったが、雨になった決勝レースでは猛烈に追い上げて4位でフィニッシュしている。ここまで低迷が続いているデ・アンジェリスだが、今大会をターニングポイントする構えだ。MotoGP4戦目を迎えるガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)も今季ベストリザルトに闘志満々。前戦アメリカGPでは好スタートを切って、初めて後続を従えるポジションにつけたが、4周目に痛恨の転倒。今大会は母国ハンガリーも近いことから母国応援団の前で、前戦の雪辱と初ポイントを獲得する意気込みだ。

250ccクラスは、青山博一(Scot Racing Team 250cc)が総合首位で、ドイツ、イギリスの2連戦を迎える。前戦オランダGPでは、総合首位を争うアルバロ・バウティスタ(アプリリア)との一騎打ちを制して今季2勝目。その勢いを得意のザクセンリンクにつなげる意気込みだ。7戦を終えてトップ10入りしているラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)もザクセンリンクに闘志満々。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)、富沢祥也(CIP Moto-GP250)も今季ベストリザルトを狙う。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「前回のラグナセカでの勝利は、自分にとって、そしてチームにとって、とても重要なものだった。ザクセンリンクは、昨年こそ残念な結果に終わっているが、一昨年は優勝しているし、ここまでのいい流れを、相性のいいサーキットでさらに推し進めたい。今年はいいレースができると信じている。ラグナセカを終えてスペインに戻り、週末はツール・ド・フランスを見ることができた。今、自転車のトレーニングを再開できるようになっているし、ツールを見られたことは大きなモチベーションになった。ザクセンリンクは大好きなコース。すごく楽しみにしている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング6位)

「転倒に終わったアッセンとラグナセカのレースは、本当にがっかりした。しかし、この2戦でトップとの差を確実に縮められたと思うし、大きな自信にもなった。ザクセンリンクは、特別好きなサーキットではないが、この2戦の進歩を、結果に残せると思っている。自信もあるので、すごく楽しみにしている。ザクセンリンクは前半のスローセクション、後半の高速セクションと2つのキャラクターを持つ。難しいコースだが、チームのモチベーションは高いし、マシンの戦闘力もある。いい週末にしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング9位)

「ザクセンリンクは独特なレイアウトで難しいコースだ。前半はペースが遅く、後半は一気にスピードが上がる。昨年はいいペースで走れていたが、決勝が雨になり、その調子のよさを発揮できなかった。過去2戦、予選でいいグリッドを得られなかったことがレースを厳しくしているので、今回は予選で好グリッドを獲得して、決勝ではトップ8を目標に戦いたい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング13位)

「開幕戦から前回のアメリカGPまで、厳しい戦いが続いている。しかし、この数戦はバイクの状態もよく、やっと、自分の走りができるようになってきた。今年はいいベースセッティングを見つけるために長い時間を要したが、ここまで苦労した分、ここからの9戦で巻き返したい。ザクセンリンクは、正直、好きなコースではない。その理由は、この大会を迎えるときにケガをしていることが多かったからというのもある。昨年は雨が降らなければいいレースができたと思う。今年はいい天候になることを願っているし、ラグナセカ以上の結果を残したい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング14位)

「前回のラグナセカは、決勝レースでセッティングに失敗したが、全体的には大きく前進することができたと思う。ザクセンリンクでは250cc時代に何度も表彰台に立っているし、全体的にいいレースをしているので、ラグナセカでつかんだ手応えを今大会で結果につなげたい。ザクセンリンクは独特なコースで、全体のバランスがとても重要になる。ここまで厳しいレースを続けているが、今回はいい結果を残したい」

ガボール・タルマクシ(MotoGP ノーポイント)

「ラグナセカは転倒しなければいいレースができたと思う。まだMotoGPマシンで3戦しかレースをしていないが、レースをこなすごとに自信になっている。ザクセンリンクは、アップダウンに富み、とても難しい。125cc時代は、1コーナーがとても難しかった。それはMotoGPも同じだと思う。ザクセンリンクはハンガリーが近いので、ファンが来てくれると思うし、とても楽しみにしている。今回がMotoGP4戦目。いいレースをして、ポイントを獲得したい」

青山博一(250cc ランキング1位)

「ザクセンリンクはバイクのいいバランスを見つけるのがとても難しく、加えて、天候が不安定なので、厳しいレースになることは間違いない。しかし、ザクセンリンクは好きなコースで、今回はいくつか新しいパーツをテストする予定だ。ザクセンリンク、そしてドニントンパークと続く2連戦は、Hondaにアドバンテージがあると思うが、アプリリア勢も反撃してくると思うので、気を緩めず全力で戦う。この2戦は、総合首位をキープして、さらにリードを広げたい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング7位)

「ザクセンリンクは好きなサーキットではないが、ここはHondaにアドバンテージがあると思うし、いいレースにしたい。ここはタイヤの選択がリザルトの良しあしのカギを握っている。特に左コーナーが多いので、左側のタイヤのグリップをキープできるように、しっかりとセットアップを進めたい」

ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング8位)

「前回のオランダGPから2週間、しっかりと休養を取ることができたし、今大会は気持ちを新たにしてレースに挑める。前回のオランダGPは、レース序盤にポジションを落としてしまう運のなさはあったが、8位でフィニッシュできた。バイクの仕上がりのよさを感じたし、今回のレースがすごく楽しみだ」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング11位)

「この2週間、休養をとれたし、トレーニングも十分にできた。ザクセンリンクは好きなサーキットだし、Hondaにも合っていると思う。今回も厳しい戦いになると思うが、ベストリザルトを残せるように全力を尽くしたい」

富沢祥也(250cc ランキング17位)

「テレビで見る限り、ザクセンリンクはとても面白そうなコースで、走るのをすごく楽しみにしている。とにかく、フランスGPから4戦連続でリタイアしているので、今回はなんとしてもチェッカーを受けてポイントを獲得したい。ザクセンリンクは天気が不安定だと聞いているので、いい天気で3日間走りたい」