第9戦ドイツGPのフリー走行は、朝から青空が広がるすばらしい天候だったが、午後になって夏の雲が空を覆い、125ccクラスのセッション中に激しいスコールとなった。そのために、125ccクラスはドライからウエット。続くMotoGPクラスはウエットからドライへと変化する難しいセッションとなった。250ccクラスは再び青空が広がり、ドライコンディションで行われた。
ウエットからドライコンディションへ変化したMotoGPクラスは、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がトップタイムを刻み、2番手にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、3番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と続いた。以下、Honda勢は、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)4番手、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)5番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)7番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)9番手とトップ10に5台が名を連ねる好調なスタートとなった。この日はトップのストーナーから1秒以内に12台という大接戦。MotoGP4戦目を迎えるガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は17番手だった。
Honda勢トップ、前戦アメリカGPで今季初優勝を飾ったペドロサは、刻々と変化する路面コンディションの中で慎重な走りを見せた。今大会ではニューエンジンが投入された。そのため初日の走行は、従来型と新型エンジンとを乗り比べるテストに多くの時間を割いたが、セッションが終わってみればトップから0.255秒差の2番手と好調な出だしとなった。アメリカ大会後には、久しぶりに本格的なトレーニングを再開している。ケガも順調に回復し、優勝の勢いに乗るペドロサだが、微妙なコンディションの変化をものともせず、新型エンジンのパフォーマンスを早くも発揮することに成功した。
4番手にはデ・ピュニエ。この数戦は、フリー、予選で本来のパフォーマンスを発揮できずフラストレーションをためる戦いが続いていたが、この日の快走は、その悪い流れを断ち切るものだった。ウエットでもドライでも快調にラップを刻んだ。2日目の予選では、今季初のフロントロー獲得が期待される。開幕戦から苦戦が続いているデ・アンジェリスも5番手。復調を印象づけた。昨年の大会では表彰台にあと一歩の4位。ザクセンリンクを得意とするだけに、2日目の予選、決勝での活躍に注目される。
前戦アメリカGPで今季ベストリザルトの6位でチェッカーを受けているエリアスも7番手と好調なスタートを切った。ペドロサとともに、新型エンジンのテストに集中したドヴィツィオーゾも大接戦の中で9番手。ともに、2日目の予選では今季初のフロントロー、決勝では今季初表彰台の期待が膨らむ。こうしてトップ10に5台が名前を連ねたHonda勢。2日目の予選では、さらに上位を狙う意気込みだ。
250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がトップタイム。以下、11番手までが1秒以内という大接戦の中で、総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が7番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が9番手だった。前戦オランダGPから2連勝、今季3勝目が期待される青山は、前半のスローセクションでセッティングが決まらずタイムロス。しかし、2005年に3位、一昨年は優勝とザクセンリンクを得意とするだけに2日目のばん回に期待される。ザクセンリンクを得意とするウイライローも好調なスタートを切った。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)14番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)15番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は転倒を喫し18番手。Honda勢の2日目のポジションアップに注目される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:22.779 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.255 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.309 |
4 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +0.354 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.503 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.516 |
7 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +0.572 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.588 |
9 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.591 |
10 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +0.687 |
11 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.717 |
12 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.926 |
13 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.311 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.538 |
15 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.129 |
16 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.382 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.637 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:24.951 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.461 |
3 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.464 |
4 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.530 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.542 |
6 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +0.579 |
7 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.769 |
8 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +0.820 |
9 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.862 |
10 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.883 |
14 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.469 |
15 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.537 |
18 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.153 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.564 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +4.652 |
DNQ | 66 | J.シュテンスモ | Honda | +6.567 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:28.594 |
2 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.671 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.829 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.984 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.182 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.258 |
7 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +1.373 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +1.403 |
9 | 6 | J.オリベ | デルビ | +1.433 |
10 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.458 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「今日はウエットコンディションで始まったが、転倒した昨年のレースのことがあるので、徐々にペースを上げていけるウエットで走り出すのは気分的に楽だった。しかし、ウエットからドライへと変化したので、セットアップを進めるには難しい一日だった。今日はニューエンジンを試したが、微妙なコンディションだったので、明確な結論は出せなかった。しかし、フィーリングは悪くなかった。エンジンの評価をするためにも、明日はたくさん周回したい。大事なのはバイクをベストな状態に仕上げること。セッティングが決まれば、ドライでもウエットでもかまわないし、いいレースをする自信はある。やり残したことはたくさんあるが、初日としてはまずまずだった」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 4番手)
「いいスタートが切れたし、今日の結果に満足している。今日はウエットで始まったが、1周目からフィーリングはよく、セッティングも調整程度で済んだ。路面がドライになってからはソフトで走った。最初は慎重に走った。ペースがだんだん上がっていったが、そのままソフトで走り続けた。23ラップをこなしたが、ペースは悪くなかった。ソフトでいい走りができたので、明日の予選に向けて自信になった。今回はセッティングもすぐに決まり、明日も微調整だけでいいと思っている」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 5番手)
「難しいセッションだったが、ウエットでもドライでもうまく走れたのでうれしい。今日は路面コンディションが微妙だったので、何人かのライダーがスリックを履いて走り出すまで、タイヤを交換するタイミングを待った。スリックに替えてからは、徐々にペースを上げていった。スローセクションで旋回性が悪かったが解消することができた。しかし、リアのスピニングが収まらず、それを解決しなくてはいけない。今日は後半の高速セクションでいい走りができたと思う。明日は、もう少しアベレージを上げられる状態に仕上げたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 9番手)
「いいコンディションではなかったが、ニューエンジンのフィーリングは悪くなかった。今日は、ウエットで始まりドライへと変化した。最初はこれまでのエンジンで走り、乾き始めてからは、これまでのエンジンとニューエンジンの比較を行った。タイムを気にせず、とにかく、ニューエンジンのテストに集中した。今日はハードコンパウンドを試せなかったので、明日も新しいエンジンのテストを続けながら、決勝に向けてタイヤの選択をしたい。天気予報は不安定だが、できることならドライで走りたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日はウエットとドライ、両方のコンディションを走れてよかった。今回も接戦となっているので、明日も引き続き、セットアップに集中したい。明日の天気は予想がつかないが、ダニ、ドヴィツィオーゾともにほぼ同じコメントをしているので、明日に向けての作業もスムーズに進んだ。今回は新しいスペックのエンジンを投入した。これまでより、扱いやすい方向のエンジンとなっているが、走り出しから違和感なく乗れたようだ。さらにセットアップを進めていきたい。ダニは、体調もよく、前回のラグナセカで勝っていることでモチベーションも高い。チームの士気もこれまで以上に高まっている。ドヴィツィオーゾは、セッション終盤にタイムを上げられずポジションを落としたが、ニューエンジンに手応えを感じ取っている。明日に向けてセットアップの項目を絞ることができたこともよかった。ドヴィツィオーゾは過去2戦転倒リタイアに終わっているので、今回は確実にチェッカーを受け、表彰台に立つことを目標にしたい」
青山博一(250cc 7番手)
「走り出しの感じは悪くなかったのだが、タイムを上げていくうちに、このサーキットでは、これまでのセットアップと違うセッティングが必要なことがわかってきた。特に前半のスローセクションで思いきり攻められず、タイムをロスした。切り返しのハンドリングの重さを解消して、もう少し旋回性を上げられる状態に仕上げたい。今までのいい部分を残しながらウイークポイントを改善するという難しさはあるが、この部分を克服しないと優勝争いには絡めない。天気が心配だが、ドライできっちりとバイクを仕上げたい」
富沢祥也(250cc 18番手)
「この数戦、問題になっている高速域での息つきが出て、その対策でほとんどの時間を費やした。初めてのサーキットなので、セッション終盤は、ピットインしないでコース攻略に方向転換した。しかし、下りの12コーナーでギャップに乗り上げてフロントから転んでしまった。ここは下りのコーナーが多く、日本では経験したことのないサーキット。とまどう部分もあるが、ちゃんと走れたら面白い。明日はトラブルを解消してきっちりと走りたい」