第8戦アメリカGP決勝は、予選4番手から好スタートを切ってホールショットを奪ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、以後も快調にラップを刻み、今季初優勝を達成した。2位はバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。以下、Honda勢はトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が6位。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)9位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)11位という結果だった。予選5番手から序盤トップグループにつけたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は転倒リタイア。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)も転倒リタイアに終わった。
昨年のカタルニアGP以来、1年ぶりの優勝を飾ったペドロサは、スタートからフィニッシュまで一度も首位を譲らなかった。2列目から好スタートを切ってホールショットを奪うと、1分21秒から22秒台前半の快速ラップで後続を引き離した。中盤には、2番手を走るロッシに3秒以上のリードを築いた。終盤になってペースを緩めたことでロッシに追いつかれたが、危なげない走りで振りきった。ペドロサは、フリー走行、予選と1分22秒台でロングランをこなした。決勝では、さらにペースを上げることに成功し、ライバルを圧倒した。ペドロサとHondaにとっては、昨年のカタルニアGP以来の優勝となった。3位にはロッシとバトルを繰り広げたロレンソ。4位にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)という結果だった。
ペドロサとともに、好スタートからトップグループにつけたドヴィツィオーゾは、ペドロサ、ストーナー、ロッシに続いて4番手を走行していたが、7周目の5コーナーの立ち上がりで痛恨の転倒を喫してリタイアに終わった。
その後方では、今季ベストグリッドとなる予選6番手からまずまずのスタートを切ったエリアスが、序盤はロレンソ、中盤からはニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)とし烈な接戦を繰り広げて6位。今季ベストリザルトでチェッカーを受けた。予選14番手から決勝に挑んだデ・ピュニエはクリス・バーミューレン(スズキ)を追ったが届かず9位。マルコ・メランドリ(カワサキ)を最後まで追いかけたデ・アンジェリスが11位。MotoGP3戦目となるタルマクシは、15番手を走行していた4周目に転倒してリタイアに終わった。アメリカGP決勝レースは17台が出場。完走12台という厳しい戦いだった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | 44:01.580 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.344 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +1.926 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +12.432 |
5 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +21.663 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +22.041 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +30.201 |
8 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +32.857 |
9 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +40.325 |
10 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +48.028 |
11 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +48.810 |
12 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:18.531 |
RT | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +26Laps |
RT | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +26Laps |
RT | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +29Laps |
RT | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +29Laps |
DQ | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | - |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | V.ロッシ | ヤマハ | 151 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 142 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 135 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 92 |
5 | C.エドワーズ | ヤマハ | 76 |
6 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 69 |
7 | M.メランドリ | カワサキ | 61 |
8 | C.バーミューレン | スズキ | 61 |
9 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 58 |
10 | L.カピロッシ | スズキ | 56 |
11 | J.トーズランド | ヤマハ | 39 |
12 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 38 |
13 | トニー・エリアス | Honda | 37 |
14 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 36 |
15 | M.カリオ | ドゥカティ | 26 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 16 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 12 |
18 | 高橋裕紀 | Honda | 9 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 185 |
2 | ドゥカティ | 135 |
3 | Honda | 123 |
4 | スズキ | 79 |
5 | カワサキ | 61 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 優勝)
「長い間、優勝することができなかったので、今日は本当にうれしい。シーズン序盤は体調が万全でなかったので勝てなかった。ここまで100%の状態で戦えたことがないし、それは昨年のザクセンリンクから続いている。トレーニングも十分にできなかった。しかし、チームもHondaも決してあきらめることはなかった。全力を尽くしてくれているみんなのためにも、これからも、こうしたリザルトを残したい。今日は序盤からリズムよく乗れた。ペースもよかったと思う。唯一のミスは、最終ラップにちょっとペースを落としすぎたこと。バレンティーノがあんなに近くに来ていて驚いた。とにかく、すばらしいレースだったし、最高の気分だ。ポイントリーダーとは差が開いているが、シーズンはまだまだ長い。一戦一戦、全力を尽くしていきたい」
トニー・エリアス(MotoGP 6位)
「それほど悪い結果ではなかったが、もう少し上の順位でフィニッシュしたかった。今日は予選と同じペースで走ることができた。何周かは、それ以上のペースで走ることもできた。しかし、全体的にペースが速くて、これ以上のリザルトは無理だった。今日のトップグループのペースは予想より速かった。6位というのはあまり喜べる数字ではないが、これまでのことを考えればよかったと思う。ここから先のレースでは、もっともっと上の順位でフィニッシュしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 9位)
「5列目からのスタートだったし、それを思えば、このコースで9位になれてよかった。今大会は、初日からグリップを出せず苦悩した。決勝になっても100%の状態にすることができなかった。今日はスタートで前に出られず、オープニングラップの渋滞にはまった。しかし、それからはリズムのある走りができたと思う。今日はリアにソフトをチョイスした。序盤はよかったが、終盤はグリップが落ちて厳しかった。8戦を終えて総合10位から9位へとランキングを上げることができた。自分にとってもチームにとってもいい結果を残せたと思う」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 11位)
「昨日からセッティングを変えたのだが、朝のウオームアップは気温も路面温度も低かった。しかし、決勝は気温も路面温度も上がり、苦しい走りになってしまった。特に序盤はバイクの動きが大きくて、ペースを上げられなかった。後半はそれも収まり激しくプッシュしたが、すでに遅かった。できることなら、バーミューレンのグループについていって、8位争いに加わりたかった。残念だった」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP リタイア)
「スタートからいいリズムで走ることができた。転倒したのは、これからペースを上げようと思っているときだった。いいレースができると思っていた。バレンティーノの後ろにいて、彼に追いつこうと思っていた。転倒は自分のミスだったし、本当に残念だ。今日はメインストレートとピットロードを分離するプラスチックのポールにあたり、そのときにクラッチレバーを曲げてしまった。それが原因でエンジンブレーキのコントロールがおかしくなり、うまく乗れなくなった。そういう状態だったがトップグループについていきたかった。次のレースでは、トップグループで最後まで戦いたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP リタイア)
「今日はいいスタートが切れたし、いい感じで走れていた。15番手を走っていたが、どうしてなのかわからないがフロントから転んでしまった。本当に残念。今日はいいリザルトを残せると思っていた。次のレースでは、今回の自信を結果につなげたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「1年以上優勝から遠ざかっていたので、今日の勝利は本当にうれしい。今の我々には大きな勝利になった。レースに勝つセオリーというのは十分知っているはずだが、この1年、なかなかそこにたどり着けなかった。それを払拭する勝利になったと思うし、この1勝を次につなげていきたい。今回のダニは、フリー、予選とメニューを完ぺきにこなした。厳しいレースだったし、最後は差を縮められたが、後ろの距離をしっかり見ながら真っ先にチェッカーを受けてくれた。アンドレアは残念ながら転んでしまったが、アンドレアもトップで戦える状態が出来上がったと思う。チームのモチベーションはとても高かったが、それをやっと形にすることができた。応援していただいているファンの方々には、今までがっかりさせてきたが、今回のようなレースをこれからも見せられるようにがんばりたい。これからも応援よろしくお願いします」