第8戦アメリカGPの予選は、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われた。トップタイムをマークしたのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。2番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。2日間のフリー走行でトップ3につけた3選手がフロントローを獲得した。今大会は、PPを獲得したロレンソから1秒差以内に10台という大接戦となり、Honda勢は、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)の3選手が2列目を獲得した。以下、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)12番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)14番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)17番手だった。
この日の予選は、PPを獲得したロレンソがセッション中に2回の転倒、3番手につけたストーナーも転倒する激しいアタック合戦となり、2番手につけたロッシと2列目につけたHonda勢の3選手が、転倒もなく順調にセットアップを進めた。
Honda勢トップのペドロサは、初日のフリー走行で4番手、2日目のフリーで6番手。そして予選で4番手と順調にセットアップを進めた。フロントローを獲得することはできなかったが、セッションをこなすごとにトップ3との差を確実に縮めた。アベレージでもPPのストーナーと2番手のロッシのヤマハ勢に匹敵するもので、ケガの回復はもちろんのこと、バイクの仕上がりのよさを感じさせる走りだった。昨年は決勝をキャンセルしているのでアメリカGPは2年ぶりの決勝出場となる。ラグナセカは、MotoGPにデビューを飾った06年に2位表彰台に立っている。今大会は、3年ぶりの表彰台と今季初優勝に闘志を燃やす。
5番手につけたドヴィツィオーゾもセッションをこなすごとに確実にタイムを上げた。フリー、予選ともに決勝に向けてハードタイヤでロングランをこなした。予選のアタックでは、転倒者が出たことでスピードを落とさねばならず、完ぺきなアタックは果たせなかったが、念願の今季初表彰台に大きく前進。ペドロサとともに優勝争いの期待が膨らんだ。
エリアスは、今季ベストグリッドとなる6番手。この数戦、調子を上げていたが、今大会は見事、予選結果につなげた。初日のフリー走行で5番手。2日目には4番手に浮上。予選でもペドロサ、ドヴィツィオーゾと僅差の6番手。本来の走りを取り戻し、明るい表情だった。
ペドロサとドヴィツィオーゾ。そして今季最高の仕上がりとなったエリアス。2列目から決勝に挑むHonda勢の3選手に大きな注目が集まっている。
デ・アンジェリスはタイヤと車体のマッチングにやや苦しんだが、トップから1.326秒差の12番手。セットアップに苦しんだデ・ピュニエは14番手だったが、両選手ともに追い上げのレースに挑む。タルマクシは17番手からポイント獲得を目指す。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:21.678 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.167 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.232 |
4 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.435 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.457 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +0.468 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.812 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.862 |
9 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +0.955 |
10 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.984 |
11 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.164 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.326 |
13 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +1.428 |
14 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.469 |
15 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.712 |
16 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.234 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.850 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)
「とてもいい感じで予選セッションが始まり、最後まで気持ちよく走ることができた。ただ、セッション終盤に向けて、タイヤの温度が上がりにくかった。そして、終盤になって何人かが転倒しているのを見たので、ラップタイムを上げるのは難しかった。もちろん、フロントローに並びたかったが4番手は悪くない。今回の目標の1つはたくさん周回することだったし、それを達成できてうれしい。明日のウオームアップで、さらにアベレージを上げたい。このサーキットは、いつも厳しいレースになる。集中を切らさないようにしないといけない。昨日、今日と順調だった。トップグループについていけたら、自分のリズムを取り戻すことができると思う。決勝が楽しみだ」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「午後の予選は気温が上がることを予想してハードタイヤで走行した。思ったほど上がらなかったが、午前中のフリー走行よりラップタイムを改善することができてよかった。決勝レースは、さらに路面のコンディションがよくなると思うし、ハードタイヤにはいい条件がそろうはずだ。今日はいいペースで走れたと思う。2列目に並べたこともよかった。予選セッションでは、ソフトタイヤでアタックしているときに、ロレンソが転びイエローフラッグが出たので、完ぺきなアタックにはならなかった。それを考えれば、今日の結果には満足している。明日はいいスタートを切ってトップグループに加わりたい」
トニー・エリアス(MotoGP 6番手)
「初日から好調で今日もすべてが順調だった。バイクの状態はよかった。今年のベストグリッドとなる6番手から決勝に挑めることもうれしい。すべてが完ぺきだった。明日はいいレースをするチャンス。ロッシとストーナーについていける自信はあるし、スタートを決めてトップグループで戦いたい。今年はチーム一丸となってバイクのセットアップに取り組んできたが、ここまでなかなか結果につなげられなかった。今回のレースは、我々にとって大きなターニングポイントになると思う。今度こそ結果につなげたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12番手)
「バイクのセットアップに苦しんできたが、今回は大きなステップを刻めたと思う。予選12番手というのは、決して喜べるものではないが、レースに向けてのアベレージはよかった。特にフロントの安定性が出たので気持ちよく走ることができた。1つだけ問題があるとすれば、ハードタイヤでちょっとだけチャタリングが出たこと。これもソフトタイヤにチェンジしたら解決した。明日のウオームアップでもう一度セットアップを確認したい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 14番手)
「午前中のフリー走行から午後の予選にかけて、バイクのセットアップはかなり進んだ。しかし、ソフトタイヤでアタックしたときに、セッティングが完ぺきでないことを感じた。加えて、クリアラップが取れなかったし、アタックしているときにミスもした。順調だったとは言えない一日だった。バイクの状態は決して完ぺきではないし、明日のウオームアップでさらにセットアップをしなければならない」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「ラグナセカは挑戦的なコースで、とにかく気を抜けるところがないサーキットだ。フリー走行ではラップするごとにタイムを上げられた。しかし、予選ではタイムアタックのときにタイヤをうまく使えなかった。明日の決勝に向けてウオームアップでトライしてみたいことがある。それがうまくいけばアベレージをもう少し改善できると思う」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「小さなステップだが、確実にバイクのポテンシャルを向上させることができた。両ライダーともに、それを体感できたと語っていた。しかし、強力なライバルたちからは、まだまだ劣っている部分もあり、決勝に向けて、最後までバイクのセットアップに努めたい。この2日間、全体的には順調に推移した。明日はいいレースをしてくれると信じているし、楽しみにしている」