今季初の2連戦。第7戦オランダGPから2週連続開催となるアメリカGPが、カリフォルニア州のラグナセカ・レースウェイで3日に開幕する。ラグナセカにグランプリが復活して5年目。通算11回目の開催となる。
ラグナセカはアップダウンに富んだ独特なコースレイアウト。選手たちの評判はよく、毎年、熱いバトルが繰り広げられる。一周3.610kmとシーズンを通じて最も距離が短いショートコース。急こう配を駆け上がり、上りきったところから急降下するS字コーナー「コークスクリュー」は、このサーキットを象徴するポイントであり、世界で最も有名なコーナーでもある。
ラグナセカがカレンダーに復活した2005年、翌06年は、地元の期待に応えたニッキー・ヘイデン(当時Honda)が2連覇を達成。06年にはHonda勢が表彰台を独占した。しかし、07年、08年は、タイヤパフォーマンスが勝敗に大きく影響したこともあり優勝から遠ざかった。ブリヂストンの1社独占供給となった今年は、これまでにない大接戦が予想されている。Honda勢は、優勝を逃している過去2年と、表彰台を逃した前戦オランダGPの雪辱を期す戦いとなる。
Honda勢でランキングトップの総合4位につけるアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、昨年、ルーキーとしては最上位の4位でフィニッシュ。ヘイデンとのし烈なバトルは地元ファンを大いに沸かせた。前戦オランダGPでは、すばらしい追い上げで4番手まで浮上したが、痛恨の転倒を喫してリタイア。ラグナセカ2年目となる今年は、悔しいレースに終わった前戦オランダGPからの巻き返しに闘志満々。今季初の表彰台を狙う。
総合5位につけるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)も前戦オランダGPで転倒を喫した。トップグループに絡んだ走りは表彰台が確実だっただけに悔しいレースとなった。しかし、第5戦イタリアGPで痛めた右足は、レースをこなすごとに回復。復調を印象づけた前戦オランダより体調もよくなっているだけに、第4戦フランスGP以来の表彰台と今季初優勝の期待が膨らんでいる。昨年は、前戦ドイツGPで負傷、連戦となったアメリカGPは初日のフリー走行の後にキャンセルしているだけに、2年ぶりのラグナセカに気合を入れている。
開幕戦から順調な走りを見せているランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、得意とするラグナセカで今季ベストリザルトを狙う。前戦オランダGPでは、フリー走行でトップタイムをマークするなど上り調子。決勝でも安定した走りでシングルフィニッシュを果たしている。昨年は6位。今年は、第3戦スペインGPの4位をしのぐベストリザルト、今季初表彰台が期待される。
前戦オランダGPで復調を感じさせる走りを見せたエリアスも、今大会は、その勢いをリザルトにつなげる意気込みだ。アッセンでは、最終ラップのシケインでコースアウトを喫し、レースディレクションの裁定で8位から12位へ降格した。しかし、後方からのすばらしい追い上げは、今季初表彰台が近いことを感じさせている。チームメートのアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、昨年の大会では、初めて経験するラグナセカを果敢に攻めた。しかし、予選で転倒したことが影響して決勝では13位と悔しい結果に終わっているだけに、今年はその雪辱に挑む。
MotoGP3戦目を迎えるガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は、ラグナセカを初めて経験する。デビュー戦となった第6戦カタルニアGP、2戦目の第7戦オランダGPと着実にMotoGPマシンを乗りこなし、今回はポイント獲得を目標に全力を尽くす。
今年からMotoGPクラスのルーキーとして戦ってきたScot Racing Team MotoGPの高橋裕紀は、チームの決定により今大会以後の参戦を取りやめることになった。MotoGPクラス唯一の日本人ライダーとして今後の活躍が期待されていただけに、非常に残念な結果となった。
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング4位)
「ラグナセカは、サーキットのレイアウトはもちろんのこと雰囲気もすばらしく、本当に楽しみにしている。MotoGPにデビューして初めて走った昨年のレースは感動の連続だった。いままで経験してきたコースとは違うし、危険なポイントも若干あるが、好きなサーキットだ。昨年は初めてだったが4位でフィニッシュ。今年もいいレースができると信じているし、4位以上の目標にしたい。この数戦、トップとの差は確実に縮まっているが、その差をさらに縮めるために全力を尽くしたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング5位)
「前回のオランダGPが始まる前から、オランダからの連戦となるラグナセカを楽しみにしていた。アッセンでは、いいレースができると信じていたが、結果を残せなかった。しかし、ラグナセカでいいレースができない理由はなく、開幕が待ち遠しい。アッセンの後、いつものようにトレーニングができなかったので体調は100%ではないが、着実によくなっている。前回よりもっといい走りができると信じている、ラグナセカは他にないレイアウトでとても面白いが、うまく乗れないときは、その反対にとてもつまらないコースになる。とにかく、トップグループと戦えるパッケージにするためにチームとともに全力を尽くしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング10位)
「ラグナセカは独特なレイアウトで、こういうサーキットにチャレンジするのはとても面白い。昨年は6位でチェッカーを受けている。今年も、金曜日と土曜日にセットアップが決まれば、いいレースができると思っている。今年は、バイクの状態もよく、タイヤのパフォーマンスにも満足しているし、今回も開幕が待ちきれない」
トニー・エリアス(MotoGP ランキング12位)
「前回のアッセンは、8位でチェッカーを受けながら、レースディレクションの裁定で12位になった。落胆する結果だったが、それだけに、今回のレースに向けて気合が入っている。アッセンではたくさんのライダーをパスすることができたし、大きな自信になった。バイクの状態が確実によくなっていることを証明できた。トップ4に近づいていることは間違いなく、今度は結果につなげたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング13位)
「これまで抱えていたセッティングの課題も徐々に克服されてきている。今回のレースがとても楽しみだ。これまで悩んできたのはリアのトラクション不足だが、その問題を解決する方向性が見つかり、理想的な状態に近づいていることを感じている。ラグナセカは大好きなコース。昨年、初めて走ったけれど、最初からうまく乗ることができた。今年はセカンドグループで戦うことを目標にしたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP ノーポイント)
「ラグナセカは初めてのサーキットなので楽しみにしている。だれに聞いても、独特なレイアウトで難しいと言われた。しかし、今は何もかもが初めて経験することばかりなので、初めての出来事には慣れてしまった。前回のアッセンでは、ポイント獲得に一歩近づいた。とにかく、今回のレースは一歩前進して、最後尾はだれかに譲りたい」