Honda勢最上位はデ・ピュニエの7位
ペドロサ、ドヴィツィオーゾは転倒リタイアに終わる
- 2009年6月27日(土)
決勝
- 会場:アッセン・サーキット
天候:曇り/晴れ
気温:24℃
コースコンディション:ドライ
観客:9万6152人(3日間:13万8707人)
第7戦オランダGPの決勝は、Honda勢にとって厳しい戦いとなった。予選2番手から好スタートを切ってトップグループにつけたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が5周目に転倒。予選8番手から4番手まで浮上したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も11周目に転倒を喫しリタイアと、優勝候補の2人が中盤までにコース上から姿を消す残念な結果となった。
その後方からスタートしたランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は7位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)は10位。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は8位でチェッカーを受けるも、最終ラップのシケインでコースアウトを喫したことによる20秒のペナルティで、12位へ降格。以下、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)15位、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)16位だった。
第5戦イタリアGPで負傷した右足大たい骨が順調に回復、予選2番手につけたペドロサは、この日、ホールショットを奪う絶好のスタートを切った。オープニングラップにケーシー・ストーナー(ドゥカティ)、2周目にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)にかわされたが、後方のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)を加えた4人でトップグループを形成。復調を感じさせる力強い走りを披露した。その後、4周目にロレンソに抜かれて4番手へ。トップの3台を追う形となった5周目の1コーナーで痛恨の転倒を喫した。
予選8番手から決勝に挑んだドヴィツィオーゾも転倒を喫した。ドヴィツィオーゾは前半、クリス・バーミューレン(スズキ)、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)とし烈な戦いを繰り広げた。その後、エドワーズとバーミューレンとの戦いに決着をつけ、単独4位に浮上。トップグループの3台を追うも、11周目の1コーナーで痛恨の転倒。Repsol Honda Teamの両選手がリタイアに終わった。
デ・ピュニエは、大集団に膨れ上がった6位争いの集団の中で、Honda勢最上位の7位でチェッカーを受けた。厳しいバトルの中での他車との接触で何度もポジションを落としたが、粘り強い走りでポジションを復活させた。そのデ・ピュニエをかわして、ロリス・カピロッシ(スズキ)とともに最終ラップに入ったエリアスは、最終コーナーのシケインで止まりきれずコースアウト。デ・ピュニエに続く8番手でチェッカーを受けるも、シケイン不通過のペナルティで12位に降格した。しかし、オープニングラップで最後尾にポジションを落としながら、すばらしい追い上げで6位争いのトップまで浮上したエリアスの走りに大きな拍手が送られていた。
6位争いの大集団の中で、後半、フロントタイヤの消耗でペースを落としたデ・アンジェリスが10位。初日のフリー走行の転倒の影響で、万全な体調でレースに臨めなかった高橋が15位、タルマクシは16位だった。
250ccクラスは、予選2番手から好スタートを切り、アプリリア勢とトップ争いを繰り広げた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が今季2勝目を達成。総合でも首位に浮上した。この日の青山は、アプリリア勢の集団の中で落ち着いた走りを見せた。5台で形成されたトップグループで、中盤までは4番手を走行。後半に入るとヘクトール・バルベラ(アプリリア)をかわし3番手に浮上。さらにマルコ・シモンセリ(ジレラ)を抜いて2番手へ。終盤はアルバロ・バウティスタ(アプリリア)との一騎打ちに持ち込んだ。ラスト2周となった最終コーナーのシケインで、青山と接触したバウティスタが転倒し、青山は独走で優勝を飾った。
以下、Honda勢は、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8位、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)9位、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)10位と、優勝の青山を含め4台のRS250RWがトップ10フィニッシュ。富沢祥也(CIP Moto-GP250)はオープニングラップで、他車との接触でブレーキレバーを破損、コースアウトを喫し転倒リタイアに終わった。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 42:14.611 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +5.368 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +23.113 |
4 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +29.114 |
5 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +33.605 |
6 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +39.347 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +39.543 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +39.823 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +40.673 |
10 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +46.010 |
11 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +57.777 |
12 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +59.774 |
13 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +1:05.366 |
14 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:09.897 |
15 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1:09.930 |
16 |
41 | ガボール・タルマクシ |
Honda |
+1:25.099 |
RT | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1Lap |
RT | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +16Laps |
RT | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +22Laps |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 4 | 青山博一 | Honda | 40:44.008 |
2 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +4.424 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +10.339 |
4 |
41 |
A.エスパルガロ |
アプリリア |
+11.383 |
5 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +11.596 |
6 | 6 | A.デボン | アプリリア | +14.265 |
7 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +17.982 |
8 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +19.012 |
9 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +20.926 |
10 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +21.033 |
|
14 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:12.451 |
RT | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5Laps |
RT | 54 | T.マーカム | Honda | +10Laps |
RT | 48 | 富沢祥也 | Honda | DNS |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 33 | S.ガデア | アプリリア | 39:07.577 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.901 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +12.356 |
4 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +12.400 |
5 | 18 | N.テロール | アプリリア | +20.078 |
6 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +20.468 |
7 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +20.755 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +21.263 |
9 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +21.558 |
10 | 93 | M.マルケス | KTM | +21.941 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
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|
1 | V.ロッシ | ヤマハ | 131 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 126 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 122 |
4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 69 |
5 | ダニ・ペドロサ | Honda | 67 |
6 | C.エドワーズ | ヤマハ | 67 |
7 | L.カピロッシ | スズキ | 55 |
8 | M.メランドリ | カワサキ | 54 |
9 | C.バーミューレン | スズキ | 53 |
10 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 51 |
11 | J.トーズランド | ヤマハ | 39 |
12 | トニー・エリアス | Honda | 31 |
13 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 30 |
14 | M.カリオ | ドゥカティ | 26 |
15 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 26 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 12 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 12 |
18 | 高橋裕紀 | Honda | 9 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | ヤマハ | 165 |
2 | ドゥカティ | 122 |
3 | Honda | 98 |
4 | スズキ | 71 |
5 | カワサキ | 54 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | 青山博一 | Honda | 121 |
2 | A.バウティスタ | アプリリア | 108 |
3 | H.バルベラ | アプリリア | 95 |
4 | M.シモンセリ | ジレラ | 77 |
5 | M.パシーニ | アプリリア | 64 |
6 | T.ルティ | アプリリア | 52 |
7 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 51 |
8 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 49 |
9 | R.ロカテリ | ジレラ | 47 |
10 | A.デボン | アプリリア | 43 |
|
11 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 38 |
17 | 富沢祥也 | Honda | 14 |
21 | 青山周平 | Honda | 10 |
23 | V.ドゥビーズ | Honda | 5 |
24 | T.マーカム | Honda | 2 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 153 |
2 | Honda | 133 |
3 | ジレラ | 84 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 104 |
2 | B.スミス | アプリリア | 98.5 |
3 | A.イアンノーネ | アプリリア | 84.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 84 |
5 | N.テロール | アプリリア | 68.5 |
6 | M.マルケス | KTM | 55 |
7 | J.フォルガー | アプリリア | 54 |
8 | P.エスパルガロ | デルビ | 51.5 |
9 | S.コルテセ | デルビ | 45 |
10 | S.ブラドル | アプリリア | 44 |
|
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 162.5 |
2 | デルビ | 72 |
3 | KTM | 55 |
4 | Honda | 5 |
5 | ロンシン | 4 |
コメント
ランデイ・デ・ピュニエ(MotoGP 7位)
「集団の中でフラストレーションがたまるレースになったが、同時に、とてもエキサイティングだった。トーズランド(ヤマハ)がバックストレートの進入で限界のスピードで入ってきて接触、その影響でエリアスとも接触した。最終ラップのシケインでは、カピロッシとエリアスが目の前で接触してコースアウトしたので、彼らを抜いてチェッカーを受けることができた。今日はスタートが悪く、がんばって追い上げた。しかし、追いついたと思ったら接触で飛び出し、順位を落とすという戦いだった。厳しい戦いだったが、目標の8位以内でチェッカーを受けられてうれしい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 10位)
「今日はスタートもよく、中盤まではいい走りができたと思う。前回のカタルニアGP後のテストで、リアのセッティングがよくなったことが、今回の好走につながった。しかし、終盤になって、リアではなく、今度はフロントのグリップに苦しんだ。それでペースが落ち、順位も下げてしまった。しかし、いい状態にバイクが近づいていることは間違いないことを実感した。次のラグナセカが楽しみだ」
トニー・エリアス(MotoGP 12位)
「今日はスタートに失敗、最後尾に落ちてしまったことで、ジベルノー(ドゥカティ)と高橋、タルマクシを抜くのに時間を費やしてしまった。しかし、前が開けてからはすごくいいペースで走れたし、6、7番手争いの集団に追いつくことができた。その中でのバトルはすごく楽しかった。最終ラップのシケインで止まりきれず、カピロッシと一緒にコースアウトしてしまった。彼には本当にすまないことをしたと思う。コースに復帰して8位でチェッカーを受けたが、20秒のペナルティで12位。この裁定は仕方がない。順位は悪いが、内容は悪くなかった。いいパフォーマンスが見せられたと思う」
高橋裕紀(MotoGP 15位)
「難しいレースだった。スタートがうまくいかず、1コーナーでイン側から誰かと接触したことで、最後尾グループから追い上げる展開になってしまった。今日はハードタイヤを選択したので、だんだんペースを上げて順位を少し上げられたが、中盤からは、腰とヒザ、前回のカタルニアGPで痛めた右手中指の痛みがひどくて思うように走れなかった。特に右手は、痛みだけでなく力が入らず苦しかった。中盤はセテ(ジベルノー)、終盤はカネパ(ドゥカティ)とバトルになった。不完全燃焼のレースだった。でも、イタリア、カタルニアと完走していないので、完走できてよかった」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 16位)
「自分はまだMotoGPマシンの走りを学んでいる段階だが、序盤は、実に楽しかった。何人かのライダーについていくことができたからね。しかし、今日はソフトコンパウンドのタイヤをチョイスしたので、中盤以降は、ペースをキープできず、徐々に離されてしまった。しかし、序盤のラップタイムには満足しているし、また、自分が前進できたと思う。次のラグナセカGPが本当に楽しみだ」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP リタイア)
「スタートはよかったが、集団の中にもまれてなかなか抜け出せなかった。序盤はフリー走行や予選と同じペースで走ることができた。自分としてはよいラップだと思うし、4番手までポジションを上げることができた。ストーナーに追いついたかどうかは分からないけれど、いい感じで走れていた。しかし、1コーナーでフロントから転んでしまった。残念なレースになったが、次のレースは1週間後なので、気持ちを切り替えて挑みたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP リタイア)
「残念なレースだったが、ケガがひどくならなかったことだけは幸いだった。転ばなかったら……と言っても仕方ないが、あのまま走っていれば、表彰台には立てたのではないかと思う。バイクのフィーリングはよかったし、自分の現状の力を出しきれる状態だった。スタートも、走りのリズムもよかった。転びそうな感じはまるでなかった。フィーリングがよかっただけに、本当に残念な結果だった。今回のことは忘れて、次のラグナセカGPに向けて気持ちを切り替えたい」
青山博一(250cc 優勝)
「今日はアプリリア勢の集団の中でバトルになったので、できるだけ少ない数で戦いたいと思った。なかなか前には出られなかったが、なるべくペースを上げて台数を減らしていこうという作戦だった。できれば、バウティスタと一騎打ちになればと思っていた。終盤はその通りの展開になった。しかし、バウティスタがなかなか抜いていかないので、自分のリズムでペースを上げていった。最終ラップに入る前のシケインで、僕が進入ではらんでしまった。ラインを戻したところでバウティスタと接触してしまった。マフラーにフェンダー、シートカウルも壊れ、最後まで走りきれるか心配だった。転んだバウティスタのことも心配だった。最後まできっちり戦って勝ちたかったが、優勝できて本当によかった。総合で首位に立てたこともうれしい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 8位)
「ひどいレースだった。今日はスタートもよく、1コーナーで5〜6台を抜くことができた。しかし、ディ・ミリオ(アプリリア)と接触してオーバーラン、クラッチレバーも曲がってしまった。そのために1周目は19位までポジションを落とし、2周目には目の前の転倒車を避けるためにまたしてもオーバーラン。最後まで全力で追い上げるレースだった。バイクがいい状態だっただけに本当に残念だ。序盤の混乱がなければ、もっと、いいレースができたはずだ」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 9位)
「今日はスタートもよく、レース中も自分のリズムで走ることができた。しかし、このサーキットは右コーナーが多く、中盤からリアの右側のグリップが苦しくなって、なかなかペースを上げられなかった。終盤は、デ・ロサとバトルとなったが、彼を抑えて9位でチェッカーを受けられてよかった」
富沢祥也(250cc リタイア)
「スタートした直後の混戦の中で他車と接触して遅れた。そのときにフロントブレーキのレバーが当たり、レバーが曲がってしまった。それに気づかずコーナーに入っていってブレーキレバーを握ろうとしたらレバーがなくて止まりきれずコースアウトして転んでしまった。ここ3戦はリタイアしているので、絶対に完走しようと思っていただけに、本当に悔しいレースだった」