第7戦オランダGPの予選は、雲の多い天候となったが、終日、ドライコンディションで行われた。気温も前日よりやや低い23℃。エンジンにもタイヤにも好条件がそろい、初日より大幅にタイムが短縮された。ポールポジション(PP)を獲得したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。そのロッシを追走したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がわずか0.085秒差の2番手。ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が3番手。以下Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)8番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)10番手、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)11番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)15番手、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)18番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)19番手という結果だった。
今季3回目、3戦ぶりのフロントローを獲得したペドロサ。午前中のフリー走行では、ニューシャシーのセッティングに集中して7番手、順調にセットアップを進めた午後の予選では、一気にタイムを上げて2番手まで浮上した。第5戦イタリアGP決勝の転倒で右足大たい骨を痛め、前戦カタルニアGPでは痛み止めの注射を打っての熱走だったが、予選8位、決勝6位と本来の走りにはほど遠いものだった。しかし、ケガの状態がかなり回復した今大会は、ニューシャシーのポテンシャルを遺憾なく発揮してフロントローを獲得した。昨年の大会は2位。万全な体調ではないが、今大会は表彰台はもちろん、今季初優勝の期待も膨らむ。
初日5番手のドヴィツィオーゾは、2日目のフリー走行で3番手。得意とするサーキットで順調にメニューをこなした。そして午後の予選では今季初のフロントローに標準を定めていたが、ソフトタイヤでのアタックに失敗、8番手へとポジションを落とした。3列目という厳しいグリッドからの決勝となるが、レースタイヤのアベレージではトップ争いに加わるもので、今季初表彰台、初優勝に向けて、追い上げのレースが期待される。
一方、初日トップタイムのデ・ピュニエにとっては悔しい一日となった。午前中のフリー走行で痛恨の転倒を喫し12番手と大きくポジションを落とした。この転倒で、好グリッドを狙うことより決勝に向けてのセットアップに集中することを決断。予選では着実な走りで10番手。期待されたフロントロー獲得はならなかったが、決勝は追い上げのレースに挑む。
以下、デ・アンジェリスはアタックが不発に終わり11番手も、仕上がりは良好。15番手のエリアスもアタックに失敗したがバイクの状態はよく、ともに後方からの追い上げに気合が入る。高橋は初日の転倒の影響で100%の走りができず18番手。タルマクシは19番手だった。
250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がPPを獲得。青山博一(Scot Racing Team 250cc)が2番手で、2戦ぶり今季5回目のフロントローを獲得した。以下、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)7番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)11番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)13番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)16番手だった。Honda勢トップの2番手につけた青山は、初日8番手から2日目のフリー走行でトップに浮上。午後の予選では、セッション開始から終始、トップにつけたが、終盤にバルベラに惜しくも逆転されてPPを逃した。しかし、仕上がりは上々で、2戦連続表彰台と、第3戦スペインGP以来の2勝目の期待が膨らむ。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:36.025 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.085 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.368 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.608 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.735 |
6 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.928 |
7 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.169 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.212 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.298 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.448 |
11 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.612 |
12 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.724 |
13 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.734 |
14 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.923 |
15 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.111 |
16 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +2.428 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.580 |
18 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +2.594 |
19 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.382 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:40.019 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.173 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.191 |
4 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.301 |
5 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +0.777 |
6 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.811 |
7 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.004 |
8 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.036 |
9 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.053 |
10 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +1.171 |
11 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.216 |
13 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.443 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.019 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.634 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +4.685 |
25 | 54 | T.マーカム | Honda | +6.739 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 11 | S.コルテセ | デルビ | 1:45.430 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.011 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.214 |
4 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.249 |
5 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.282 |
6 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.481 |
7 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.526 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.633 |
9 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.695 |
10 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.734 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「セッション終盤はコース上が混雑して、とても難しいアタックだった。それでも2番手になれたのだからうれしい。フロントローに並ぶのはいつも重要なことだし、今日の結果にはとても満足している。最後のアタックのときは前にバレンティーノ(ロッシ)がいて、彼を目標にできたこともラッキーだった。セットアップは完全ではないが、全体のフィーリングはすごくいい。明日のウオームアップでさらに調整をしたい。身体の状態は前回のバルセロナに比べたら、はるかにいい。ライディングに集中することもできた。レースを戦うということではまだ万全ではないが、明日はいいスタートを切ってベストを尽くしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「このサーキットで3列目からのスタートというのはとても厳しく、今日の結果には本当にがっかりしている。レースタイヤでのペースはよかったし、すべてが順調だった。しかし、ソフトタイヤでのアタックに失敗してしまった。こういう結果になったので、とにかく、いいスタートを切ってトップグループに追いつくしかない。決勝のタイヤはハードを使うと思うが、フリーから予選にかけてハードでアベレージを上げることができたのも、自信になっている。明日は天気が崩れるかもしれないが、今年はドライもウエットもいい走りができているので不安はない。3列目から追い上げていいレースをしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 10番手)
「午前中のフリー走行で転倒した後、とにかく決勝に向けてロングランをこなそうと決めた。ハードタイヤでのラップタイムは悪くないが、リアタイヤのエッジのグリップにちょっと苦しんだ。その後ソフトを試したが、ソフトはスライドが激しくてレースで使うには厳しい感じだった。昨日のリザルトがよかったので、今日は好グリッドを期待していた。10番手に終わって残念だったが、明日の決勝はトップ8を狙っていきたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 11番手)
「11番手だったけれど、今日の内容には満足している。最後のアタックのときに、最終コーナーでトーズランド(ヤマハ)とカピロッシ(スズキ)にラインをふさがれなければ、もっとタイムはよかったと思う。たぶん、デ・ピュニエかトーズランドと同じくらいのポジションにはいけたと思っている。2人には腹を立ててはいないが、とても残念だった。11番手という厳しいグリッドだが、レースタイヤのアベレージは悪くない。明日は天気が崩れそうだ。もし雨になれば自分には追い風になる」
トニー・エリアス(MotoGP 15番手)
「今日はすべて順調だったのだが、自分の判断ミスでタイムを出せなかった。セッション終盤、誰かについていこうと思っていたのだが、そうしている間にタイヤの温度が下がり、ベストラップを刻むことができなかった。結局15番手に終わってしまい、チームには本当に申し訳ないと思っている。明日はいいスタートを切って追い上げるしかない」
高橋裕紀(MotoGP 18番手)
「昨日の転倒で打った腰と右ヒザ、前回のレースで痛めた右手中指が、一日経ったらすごく痛くて、今日は痛み止めの薬を飲んで走った。思っていたよりも身体の状態が悪く、100%の走りができなかった。バイクのセッティングも完全には決まらず、前半部分のスローセクションでうまく走れず苦労した。フロントフォークの動きはよくなっているし、進入はよくなっているのだが、今年の課題となっているスローコーナーの旋回性という部分では同じ状態だった。ソフトの方がタイムは出るが、決勝はハードで走ることになると思う」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 19番手)
「今回も走るごとに前進することができた。着実にタイムを上げられたし、予選セッションでも終盤にベストをマークすることができた。最後のアタックのときに前にいた選手同士が接触して、それを避けるためにコースアウトしたのが残念だった。今、MotoGPマシンの最初の段階を終了した。次の段階に向けて新たなセットアップにトライするときがきたと思う」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日のダニは、身体の状態が確実によくなっていることを感じさせてくれる走りだった。バイクの状態はまだ完ぺきではなく、明日は雨が降る確率が高く、天候をみながらウオームアップでさらにセッティングを詰めたい。アンドレアは、レースタイヤでは常にトップ6にいたし、状態は決して悪くない。予選で8番手に終わったのは残念だった。2人ともに仕上がりは悪くないし、明日はいいスタートを切って優勝争いをしてくれるはずだ。チームも全力でサポートしていく」
青山博一(250cc 2番手)
「昨日の問題点をかなり改善したし、全体的にタイムを上げることができた。特にコース前半のスローセクションでタイムを短縮、後半の高速セクションでもギアを見直してタイムアップにつながった。今日は序盤からトップに立てて、PPを取れるかなと思ったのだが最後に逆転されて、残念だった。今日と同じようなコンディションなら明日はいいレースができると思う」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 7番手)
「2列目7番手というグリッドに満足している。ここはスタートがとても大事なサーキットなので、1周目にいいポジションを取りたい。もしトップグループに絡めたら、いいレースができると信じている。今日はバイクのセッティングも決まり、全体的に順調だった」
富沢祥也(250cc 16番手)
「昨日のトラブルはほぼ解消した。ときどき6速でちゃんと回らないときがあったけれど、フリー、予選と攻める走りができた。何個所か難しいところがあって、まだ完全にコースを攻略できていないけれど、走っていて楽しかった。特に後半部分はタイムの詰めどころがたくさんあって面白い。まだトップとの差はあるけれど、決勝ではその差を少しでも縮めて10位前後でチェッカーを受けたい。明日は絶対に完走したい」