ドヴィツィオーゾが3戦連続4位
ペドロサも6位でフィニッシュする
- 2009年6月14日(日)
決勝
- 会場:カタルニア・サーキット
天候:晴れ
気温:37℃
コースコンディション:ドライ
観客:8万8502人(3日間:17万1805人)
カタルニアGP決勝が、3日連続で快晴となったカタルニア・サーキットで行われた。決勝日には最高気温が37℃まで上昇。選手、バイク、そしてタイヤに厳しいレースとなった。優勝したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。3位にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。そのストーナーを猛追撃したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が4位でチェッカーを受けた。以下、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)6位、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)8位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)12位、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)17位と続いた。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)と高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は転倒リタイアに終わった。
Honda勢最上位となる4位でチェッカーを受けたドヴィツィオーゾは、終盤、ストーナーを猛烈に追い上げた。しかし、わずか0.052秒差で表彰台を逃した。予選は4番手。スタートでやや出遅れてオープニングラップは6番手。4周目にデ・ピュニエをかわし5番手、6周目にペドロサをかわし4番手へとポジションを上げた。トップグループはロッシとロレンソ、やや遅れてストーナーという展開だった。そのストーナーと、4番手に浮上したドヴィツィオーゾの差は約2秒。その差はなかなか縮まらず、終盤にはストーナーに肉薄したが、惜しくも表彰台を逃した。しかし、フランス、イタリア、カタルニアと3戦連続で僅差の4位。トップグループとの差を着実に縮めているだけに、中盤戦からのブレイクに期待が集まった。
予選8番手から決勝に挑んだペドロサは、序盤こそトップグループの3台を追ったが、ドヴィツィオーゾ、ロリス・カピロッシ(スズキ)にかわされて6位でチェッカーを受けた。ペドロサは、前戦イタリアGPで右足大たい骨の付け根部分を骨折。今大会は痛み止めの注射を打って決勝レースに挑んだ。そのため終盤はペースが上がらず、苦しい戦いとなり、カタルニアGP2連覇は果たせなかった。しかし、最後まで熱走を見せたペドロサに、サーキットに詰めかけた地元ファンから大きな拍手が送られた。
予選7番手から好スタートを切ったデ・ピュニエは8位。オープニングラップは4番手。その後、ペドロサ、ドヴィツィオーゾ、カピロッシ、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)に抜かれたが、Honda勢3番手でフィニッシュした。この日は、厳しい戦いの中でジリジリとポジションを落としたが、デ・ピュニエのアグレッシブな走りにファンも大喜びだった。予選14番手、オープニングラップ14番手のアンジェリスは、中盤以降ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)、マルコ・メランドリ(カワサキ)と接戦を繰り広げ、12位でフィニッシュした。MotoGP初挑戦となったタルマクシは17位で完走を果たした。
予選5番手から、地元の声援を受けてスタートしたエリアスは、序盤は8番手を走行。中盤になると11番手までポジションを落とし、10周目に転倒リタイアとなった。高橋はオープニングラップでクリス・バーミューレン(スズキ)に追突して転倒、リタイアに終わった。
250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)が優勝。予選6番手から好スタートを切り、序盤に2番手につけた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、2位表彰台に立った。青山は中盤までペースが上がらず6番手までポジションを落とした。しかし、終盤に猛烈にスパートを掛けて2位でチェッカーを受けた。以下、チームのホームGPに闘志を燃やしたラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が7位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)9位。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10位と、トップ10に4台のRS250RWが名前を連ねた。デ・ロサ、ファウベルとし烈な戦いを繰り広げた富沢祥也(CIP Moto-GP250)は12番手を走行中の13周目、冷却系のトラブルのためリタイアに終わった。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
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|
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 43:11.897 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.095 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +8.884 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +8.936 |
5 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +19.831 |
6 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +22.182 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +23.547 |
8 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +25.265 |
9 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +31.797 |
10 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +33.593 |
11 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +36.683 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +36.874 |
13 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +39.433 |
14 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +44.788 |
15 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +46.754 |
16 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +55.873 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +1:27.640 |
RT | 24 | トニー・エリアス | Honda | +16Laps |
RT | 72 | 高橋裕紀 | Honda | - |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
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|
1 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 41:09.018 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +7.185 |
3 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +7.282 |
4 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +10.784 |
5 | 6 | A.デボン | アプリリア | +15.740 |
6 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +15.780 |
7 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +28.654 |
8 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +31.600 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +33.760 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +33.843 |
|
17 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:28.826 |
19 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +1:47.958 |
21 | 54 | T.マーカム | Honda | +1Lap |
RT | 48 | 富沢祥也 | Honda | +10Laps |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
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|
1 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | 41:10.494 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +2.245 |
3 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +2.330 |
4 | 60 | J.シモン | アプリリア | +2.331 |
5 | 93 | M.マルケス | KTM | +2.356 |
6 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +2.531 |
7 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +10.795 |
8 | 38 | B.スミス | アプリリア | +10.824 |
9 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +14.984 |
10 | 35 | R.クルメンナッハ | アプリリア | +15.089 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
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|
1 | V.ロッシ | ヤマハ | 106 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 106 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 106 |
4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 69 |
5 | ダニ・ペドロサ | Honda | 67 |
6 | C.エドワーズ | ヤマハ | 54 |
7 | M.メランドリ | カワサキ | 50 |
8 | L.カピロッシ | スズキ | 49 |
9 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 42 |
10 | C.バーミューレン | スズキ | 42 |
11 | J.トーズランド | ヤマハ | 29 |
12 | M.カリオ | ドゥカティ | 26 |
13 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 25 |
14 | トニー・エリアス | Honda | 23 |
15 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 19 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 10 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 9 |
18 | 高橋裕紀 | Honda | 8 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | ヤマハ | 140 |
2 | ドゥカティ | 106 |
3 | Honda | 89 |
4 | スズキ | 60 |
5 | カワサキ | 50 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | A.バウティスタ | アプリリア | 108 |
2 | 青山博一 | Honda | 96 |
3 | H.バルベラ | アプリリア | 75 |
4 | M.パシーニ | アプリリア | 64 |
5 | M.シモンセリ | ジレラ | 61 |
6 | T.ルティ | アプリリア | 52 |
7 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 45 |
8 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 41 |
9 | R.ロカテリ | ジレラ | 36 |
10 | J.クルーゼル | アプリリア | 33 |
|
12 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 31 |
17 | 富沢祥也 | Honda | 14 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 133 |
2 | Honda | 108 |
3 | ジレラ | 68 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 84 |
2 | B.スミス | アプリリア | 82.5 |
3 | A.イアンノーネ | アプリリア | 71.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 59 |
5 | N.テロール | アプリリア | 57.5 |
6 | M.マルケス | KTM | 49 |
7 | J.フォルガー | アプリリア | 45 |
8 | S.コルテセ | デルビ | 45 |
9 | P.エスパルガロ | デルビ | 44.5 |
10 | S.ブラドル | アプリリア | 34 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 137.5 |
2 | デルビ | 65 |
3 | KTM | 49 |
4 | ロンシン | 4 |
5 | Honda | 3 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「今日はいいレースだった。トップから9秒差でフィニッシュした。これはすごく重要なポイントで、毎戦、確実にトップとの差が詰まっている。自分はこのコースが好きだし、レースウイークを通じていいペースで走ることができた。表彰台に立つのが目標だったけれど、1000分の52秒差で表彰台を逃し残念だった。今日はスタートがよくなかった。その後、ダニ(ペドロサ)とランディ(デ・ピュニエ)を抜くのに時間がかかり、ストーナーとのギャップを縮めるのが大変だった。今日は本当に暑かった。厳しい条件のレースだったが、次につながるレースができた」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 6位)
「今日は厳しいレースだった。とても疲れた。終盤は痛みもひどく、いい結果を残せず残念だった。今日は最後まで走ろうと思ったし、6位という結果はファンの期待に応えるものではないが、ベストは尽くせたと思う。レースウイークを通じて大きな声援を送ってくれたファンに感謝したい。痛み止めの注射は効果があったけれど、25ラップを走りきるには十分ではなかった。ケガが治るまでには時間がかかるし、次のアッセンに向けて休養をとりたい。今日はカピロッシを抑えられなくて残念だったが、自分にとっては価値のあるレースだった」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 8位)
「今大会は全体的によかったと思う。今日は厳しいレースだったが、3列目からスタートして1周目で4番手と、いいスタートを切れた。それからいいリズムで走ることができた。その内、ペドロサとドヴィツィオーゾ、そしてカピロッシが追いついてきて抜かれてしまったが、これは仕方がない。エドワーズも自分より少しだけ速かったが、スリップを使ってなんとか抜こうとがんばった。今日は8位だったが、ベストは尽くせたと思う。総合でも9番手にいる。この調子でこれからも戦っていきたい。チーム、スタッフに感謝したい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12位)
「期待外れのリザルトに終わった。予想していたレースにならなかったし、自分の力を十分に発揮することができなかった。今抱えている課題は解決していないが、開幕戦カタールのときからすれば、今日はトップグループとのギャップを縮めることができていると思う。いま、必要なのは、グリップを増すこと。自分のアドバンテージであるコーナリングスピードを上げることだ。明日のテストでは、それを改善したい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17位)
「スタートしてから4ラップはがんばってペースを上げたが、今の自分にはちょっと速すぎて危険なペースなので、自分のリズムで走ることに決めた。全力で走れていないこともあり、125ccで経験したような疲れもなかった。まだまだバイクに慣れる時間が必要だと思った。今日は、貴重な経験ができたし、とても楽しかった」
トニー・エリアス(MotoGP リタイア)
「今日は限界まで攻めた。転んだのは自分のミスではなかった。速すぎたわけでもなく、ブレーキングで無理をしたわけでもない。前のラップと同じように走っていたけれど、フロントから切れ込んで転んでしまった。期待外れの結果に終わった。今日は速いラップを刻めたと思うが、もっとペースを上げる必要がある。明日のテストで、ペースを改善できるようにしたい」
高橋裕紀(MotoGP リタイア)
「スタートはまずまずで、その後も気持ちよく乗れた。2コーナーと3コーナーでデ・アンジェリスと何回かぶつかって転びそうになったが、前に出ることができた。その後、8コーナーの手前で前を走っていたバーミューレンが急に減速。止まりきれずぶつかってしまった。そのときにフロントのブレーキレバーがバーミューレンのシートカウルに当たり、あっという間に転んでしまった。今日は朝のウオームアップから調子がよくて、決勝もいい感じで乗れていた。あのまま走っていればいい結果が出たと思うし、本当に残念だ。ぶつかったときに、ブレーキレバーとバーミューレンのシートカウルの間に指をはさんで中指を痛めてしまった」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「厳しいコンディションだったが、両ライダーともにファイトあるレースを見せてくれた。アンドレア(ドヴィツィオーゾ)が3位になれず残念だったが、3位になるために激しくプッシュしてくれた。今日の彼のペースはすばらしかったし、表彰台に立つ日が近いと感じた。ダニは、勝利を目指したが、今日はかなわなかった。しかし、多くのポイントを獲得した。アッセンまで休むことがこれからの戦いに向けてベストな選択だ。今回は勝てなかったが、勝利を目指しこれからも全力を尽くす」
青山博一(250cc 2位)
「予選のときのタイムを考えれば、2位になれてうれしい。しかし、レース内容としては、エンジンの伸びがなく、中盤にペースを上げられずポジションも落としてしまった。それがなければトップ争いもできたと思うし、残念だ。今回は予選、ウオームアップとエンジンの調子がいまいちで、それを改善するためにスタッフが色々とやってくれた。完全には直らなかったけれど、こうして表彰台に立てて感謝している。終盤は思っていた以上に追い上げることができた。あの位置から2位になれるとは思わなかった」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 7位)
「スタートがうまくいかず、序盤にポジションを落としてしまったが、いい感じで走ることができた。とにかく、ポジションを上げることに全力を尽くした。今日は気温が高くて水温も上がり過ぎてしまった。それでエンジンのパワーがなくなり、苦しい走りになった。それでも7位でチェッカーを受けられたし、ポイントも獲得できた。今回もチームがいい仕事をしてくれたので、チームとスタッフに感謝したい。この調子で総合ランキングも上げていきたい」
富沢祥也(250cc リタイア)
「今日はいいレースができたと思う。デ・ロサ、ファウベル、クルーゼル(アプリリア)、アブラハム(アプリリア)の集団の中でいい走りができたと思う。しかし、水温が上がり始めて、気がついたら100℃を超えていた。冷却系にトラブルがあって水温が上がったが、初めてのサーキットで思った通りのレースができた。今回はライディングポジションを変えて乗り方がよくなった。完走できなかったが成果は大きかった」