2日連続で快晴となったカタルニア・サーキット。前日の34℃から2日目の予選はさらに気温が上昇し、38℃を記録する猛暑となった。厳しい条件の中で行われた予選では、初日から好調だったホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)がポールポジション(PP)を獲得。2番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)と続いた。Honda勢は、初日4番手につけたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が予選でも4番手をキープ。初日15番手と苦しいスタートになっていたトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が地元ファンの声援の中で一気に5番手に浮上。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)7番手、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)8番手とトップ10に4台のHonda勢が名前を連ねた。以下、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)14番手、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)16番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)19番手だった。
Honda勢トップの4番手につけたドヴィツィオーゾは、午前中のフリー走行で2番手。初日より約1.1秒タイムを短縮する好調な走りを見せた。さらにタイムを短縮しようとセッティングを変更して午後の予選に挑んだが、フリー走行のベストタイムを更新できず惜しくもフロントローを逃した。しかし、決勝レースに向けてのアベレージでは、フロントローに並んだ3選手をしのぐ快走を披露。今季初表彰台、初優勝の期待が膨らんだ。
初日15番手のエリアスは、2日目のフリー走行でさらにポジションを落とす18番手。しかし、問題解消のために車体を組み立て直し午後の予選に挑み、一気に5番手に浮上した。地元の声援に応えられず苦悩していたエリアスだが、今季最高グリッドに明るい表情。決勝でも今季ベストリザルトが期待される。
初日5番手と好調なスタートを切ったデ・ピュニエは、2日目のフリー走行でも5番手と好調をキープ。午後の予選では2列目以上を狙ったが、最後のアタックでクリアラップが取れず、7番手へとポジションを落とした。しかし、レースに向けてのセットアップは順調で、第3戦スペインGPの4位以上のベストリザルト獲得に挑む。
前戦で右足大たい骨のつけ根を骨折し、痛み止めの注射を打って熱走を見せているペドロサは、初日慎重な走りで14番手だったが、2日目のフリー走行で一気に4番手に浮上し、地元ファンを喜ばせた。予選ではフロントロー獲得が期待されたが、セッション終盤にコースアウトを喫し、グラベルで転倒。8番手にポジションを落とした。しかし、本来の走りができれば優勝候補の筆頭。決勝では3列目からの追い上げのレースとなるが、フリー走行で決勝に向けて手ごたえある走りをしているだけに、地元ファンの大声援の中で、カタルニアGP2連覇に挑むことになる。
この日は、予選5番手のエリアスから18番手のニコロ・カネパ(ドゥカティ)まで1秒差以内という大接戦となった。その中でアンジェリスが14番手。高橋はアタックに失敗して16番手に終わったが、決勝では追い上げのレースが期待される。MotoGP初挑戦のタルマクシは19番手。セッションをこなすごとに1秒ずつタイムを短縮、決勝ではさらにベストタイムを更新する意気込みだ。
250ccクラスはヘクトール・バルベラ(アプリリア)がPPを獲得。Honda勢は、青山博一(Scot Racing Team 250cc)6番手。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8番手。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が10番手とトップ10に3台が入った。初日3番手の青山は、予選セッション前半に痛恨の転倒を喫し6番手。ポジションを落としたがセットアップも進み、決勝では今季3回目の表彰台と今季2勝目を狙う。地元の声援を受けたファウベルも予選8番手から今季2回目の表彰台に闘志満々。チームの地元GPとなるウィライローも10番手とまずまずのグリッドを獲得。以下、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)13番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)15番手。トップから1秒差以内に13台。富沢まで1.283秒差という大接戦となっているだけに、追い上げのレースが期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:41.974 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.013 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.452 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.620 |
5 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.165 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.194 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.201 |
8 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.233 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.259 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.362 |
11 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.391 |
12 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.437 |
13 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.440 |
14 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.448 |
15 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +1.740 |
16 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1.803 |
17 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.818 |
18 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.017 |
19 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.859 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:46.749 |
2 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.150 |
3 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.159 |
4 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.332 |
5 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.376 |
6 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.417 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.476 |
8 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.630 |
9 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.677 |
10 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.810 |
13 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +0.998 |
15 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +1.283 |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.904 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +4.480 |
25 | 54 | T.マーカム | Honda | +6.107 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:51.448 |
2 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.020 |
3 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +0.339 |
4 | 35 | R.クルメンナッハ | アプリリア | +0.356 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.376 |
6 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.510 |
7 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.761 |
8 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.936 |
9 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.984 |
10 | 45 | S.レディング | アプリリア | +1.088 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4番手)
「フロントローに並びたかったが、今日の4番手には満足している。今日はすごく気温が高く、タイヤのスライドも激しかった。しかし、このサーキットが大好きだし、ライディングを楽しむことができた。午前中のフリー走行ではセットアップが進んだが、午後の予選では予想したようなリザルトは残せなかった。明日のウオームアップで午前中の状態に戻して走ってみたい。今日はとても暑くて、みんなリアのグリップに苦労していた。レースタイヤでは1分43秒台前半で走ることができた。今日のアベレージは悪くないし、明日は表彰台を目指したい」
トニー・エリアス(MotoGP 5番手)
「フリー走行まで思うようにいかなかったが、予選では見違えるような走りができた。バイクを全部ばらして組み立て直したのがよかった。すばらしい仕事をしてくれたメカニックに心から感謝したい。チーム全体がベストを尽くしてくれたし、結果としてすばらしい予選になった。しかし、まだまだポテンシャルを十分に発揮しているとは思えないし、まだまだやることはたくさんある。自分の前にいる4人のライダーを打ち負かすのは本当に大変だが、今日のポジションを決勝でもキープしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 7番手)
「今日は2列目までに並ぶことを目標にしていたので、7番手3列目に終わり残念だった。最後のアタックがうまくいっていれば目標は達成できたと思うが、クリアラップが取れずタイムをロスしてしまった。3列目に終わったが、レースに向けてのラップタイムには満足している。明日はいいレースができると思う。とにかく、好スタートを切ってトップグループについていきたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 8番手)
「昨日のタイムを考えれば今日のペースに満足している。できれば2列目までに並びたかったが、明日は十分にレースを戦えると思う。セッション終盤に転倒したが、今日のベストタイムはレースセットで出した。転ばなければもっとタイムは出せたと思う。転倒したのは、ちょっとオーバースピードでコーナーに入ってしまいコースアウトしてしまったからだ。スピードが速かったのでグラベルをまっすぐ走ることになり、フェンスにぶつかりそうだったのでバイクから飛び降りた。フリー走行は痛み止めの注射を打ったが、午後は打たなかった。明日のレースは痛み止めの注射を打ってベストを尽くしたい。今日は暑くて大変な一日になったが、明日も大勢のファンのためにベストを尽くしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 14番手)
「昨日から今日にかけてバイクの状態は大きく前進した。しかし、すごい接戦で、チームメートより0.3秒遅かっただけで、このグリッドになってしまった。5列目から決勝に挑まなければならないのは残念だが、ほとんど差はない。トップの4人とはタイム差はあるが、それ以下とはいいバトルができるはずだ。明日は追い上げのレースをしたい」
高橋裕紀(MotoGP 16番手)
「フリー走行はブレーキの調整に問題があって、止まりきれずにコースアウトを喫して転んでしまったが、すぐにピットに戻ってバイクを修復し、再スタートすることができた。タイムもすごく接近していたし、初日9番手だったので、それ以上のグリッドを狙っていた。セッション終盤のアタックは、ダニの後ろについて走った。最終セクションまで順調だったのだが、1か所、コーナーの進入でミスしてタイムをロスしてしまった。それが今日のベストタイムだったので、最後までうまく走れていれば、目標の8番手くらいはいけたかもしれない。決勝は今年の目標となっているシングルを狙っていく」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 19番手)
「今日は転倒もなく大きなミスもなく一日を終えることができた。初めてのMotoGPマシン。もちろん、力を出し切れているわけではないが、昨日よりは格段にマシンに慣れることができた。今日は暑くて大変だったが、もう最高としかいいようだない」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日は非常に暑い一日となったが、両選手ともにいい仕事をしてくれた。アンドレアはセットアップも順調に進み、明日はいいレースをしてくれるはずだ。ダニも、彼の身体の状態を考えれば、いい走りをしてくれた。明日も暑い一日となり、厳しいレースが予想されるが、両選手ともにベストを尽くして欲しい。いいレースを期待している」
青山博一(250cc 6番手)
「今日はとても暑くてタイヤに厳しいコンディションだった。早い段階でタイムを出しておこうと思ったのだが、バックストレートからの進入、コーナリングでミスをして転んでしまった。ピットに戻ってマシンを修復、コースに復帰したが、転倒の影響でマフラーがつぶれてしまったせいか、エンジンの伸びがなくなってしまった。今日は、午前中のフリー走行でも思うようにセッティングが進まず、全体としては厳しい一日だった。しかし、最後はそれなりにバイクのセットアップをまとめることができた。決勝はコンディション次第だが、どちらかといえばもっと気温が下がって欲しい」
富沢祥也(250cc 15番手)
「昨日ほとんど走れなかったので、今日はコースを覚えるのと攻略するために、もう、誰でもいいから必死になってついていった。思ったよりもタイムも出たし、すごく自信になった。ただ、コーナーで思うように向きが変えられず、決勝に向けて、このあたりを改善できればいい。15番手は今年になってベストグリッド。できることなら47秒台に入れたかった。この2戦、転倒しているので明日は完走を目指したい」