第6戦カタルニアGPが12日、カタルニア・サーキットで開幕する。同地でのグランプリ(1992〜94年のヨーロッパGPを含む)は今年で通算18回目。観客席の増加で、この数年は観客数が10万人を超えるイベントとして定着、過去2年は11万人を超える大観衆を集めている。
その最大の要因は地元ファンの期待に応えてきたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の存在にある。過去には125ccクラスと250ccクラスで優勝。昨年は最高峰クラスでも念願の優勝を果たした。今年は前戦イタリアGPで転倒して右足を負傷したが、今週はじめに行った検査で出場の許可が下りた。5戦を終えて総合4位。完ぺきな体調ではないが、地元ファンの期待に応え、今季初優勝とカタルニアGP2連覇を狙う意気込みだ。
過去2戦連続で4位と調子を上げているチームメートのアンドレア・ドヴィツィオーゾも、チームのホームGPとなるカタルニアGPで、今季初表彰台、初優勝を狙っている。第4戦フランスGPではペドロサとし烈な3位争いを展開。第5戦イタリアではバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)にわずかに及ばなかったが、表彰台争いの常連として定着した。カタルニアでは250cc時代の2005年に3位、06年に優勝している。MotoGPデビューシーズンとなった昨年は4位。5戦を終えて総合5位。今年の大会は、ドヴィツィオーゾの活躍に大きな注目が集まっている。
5戦を終えて総合10位のランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)もカタルニアを得意とする。250cc時代は03、04年に2年連続で優勝している。その後、MotoGPクラスにスイッチ。Honda LCRに移籍した昨年は、好調な走りを見せたが転倒リタイア。今年は得意のサーキットで、その雪辱に挑む。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)も地元大会に闘志を燃やす。今年は5戦を終えて総合12位と納得のいかないリザルトになっているが、マシンのセットアップは着実に進んでいる。しかし、不運なレースも多く、得意とするカタルニアからの巻き返しに気合を入れている。
総合13位のアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、250cc時代にカタルニアでは表彰台に立っている。MotoGPクラスにデビューを飾った昨年は、猛烈な追い上げも他車と接触して転倒リタイアに終わった。今年もここまで思うようなリザルトを残せていないが、今大会をターニングポイントにする意気込みだ。前戦イタリアGPで転倒リタイアに終わり総合18位の高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)も、今大会は今季ベストリザルトを狙う。第4戦フランスGP、第5戦イタリアGPと、フリー走行、予選では確実にバイクのポテンシャルを引き出しているだけに、今大会は目標とするシングルフィニッシュを目指す。
250ccクラスは、総合2位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、3戦ぶりの表彰台と今季2勝目に闘志を燃やす。バルセロナはGPデビュー以来、シーズン中の拠点としている。第2のホームGPとなるだけに必勝態勢の地元スペイン勢との厳しい優勝争いに挑む。以下、総合7位のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)は、250ccデビューシーズンながら、この数戦は確実にトップ10フィニッシュを果たし、今大会は開幕戦カタールGPの5位をしのぐベストリザルトを狙う。総合9位のヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は、地元大会で今季2回目の表彰台に闘志を燃やす。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)もチームのホームGP。第4戦フランスGPの5位を上回るベストリザルトの更新に気合いを入れている。フランス、イタリアと2戦連続で転倒リタイアに終わっている富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、今大会も初めて経験するサーキットとなるが、3戦ぶりの完走とポイント獲得を目指す。
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)
「完ぺきな体調ではないが、自分にとってバルセロナはホームGPなので本当に楽しみにしている。この1週間、身体を休めていたので退屈だったし、余計に開幕が待ち遠しい。火曜日に病院に行き検査をしたが、かなりいい状態だった。しかし、レースウイークは毎日、走る前に痛み止めの注射を打つことになると思う。ムジェロでははっきりわからなかったが、今日の検査で痛み止めの注射をどこに打てばいいのかということも正確にわかった。完ぺきな状態ではないが、ホームGPなのでベストを尽くす。応援してくれるファンの期待にも応えたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ (MotoGP ランキング5位)
「バルセロナは大好きなサーキット。特に1コーナー先の右の高速コーナーはすごい迫力。このサーキットの雰囲気も最高だ。サーキット終盤の4つのコーナーはスタジアムの中を走っているような気分になる。毎年、このレースを楽しみにしている。昨年もいいレースができたし、4位でチェッカーを受けた。前回のムジェロではトップを走ったし、最後もトップと接近した状態でフィニッシュできた。今は、やる気満々。チームも今回のレースに期待していると思う。前回はウエットからドライという厳しいレースだったが、バイクの状態はすごくよかった。バルセロナではもっといいレースができると思う」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング10位)
「バルセロナは自分にとって特別なレース。250cc時代に2度勝っているからね。スペインのレースの雰囲気も好きだ。昨年は転倒したけれど、ラップタイムは悪くなかった。前回のムジェロでもいい走りができたし、今大会もいい走りができると思う。今回はムジェロのセッティングでスタートする。昨年も、ムジェロからカタルニアに向けていい方向性を見つけた。今年もそれを参考にいい状態に仕上げたい。とにかく、今回は天気がいいことを願っている」
トニー・エリアス(MotoGP ランキング12位)
「今大会に向けて準備をしてきたが、結果がどうなるかは走ってみないとわからない。前回のレースからここに向けていくつかセッティングを変更した。これまでは、不運なレースが多かったが、これからも全力でプッシュしていく。前回のムジェロでいい方向性を見つけた。今回はそれを結果につなげたい。依然としていくつか課題はあるが、このレースでさらに前進できるはずだ。地元レースなのでファンの声援が大きな力になる。その声援に応えるためにもベストを尽くしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング13位)
「前回のイタリアGPは残念なレースだった。ムジェロではリアの最適なグリップを見つけられなかった。今回もその課題に取り組みたい。昨年は、ウエットコンディションでいい走りができた。しかし、今年はドライでもウエットでも同じ問題を抱えている。バルセロナは好きなサーキット。昨年、カピロッシと接触するまでいいペースで走ることができた。そのときの状態に仕上げられればと思う。今回も最後まで全力を尽くす」
高橋裕紀(MotoGP ランキング18位)
「前回のイタリアGPで転んでいるので今回は完走したい。前回は、ウエットではいい感じで走れなかったが、ドライのときは調子がよかった。そのいい流れを今回は決勝につなげたい。カタルニアは、あまり好きなサーキットではなかったが、昨年から苦手意識がなくなった。中高速コーナーが多いので、イタリア同様に、バイクの長所を生かせるはず。バイクも以前より操れるようになってきたし、乗っている楽しさと順位が一致するようにしたい。5戦を終えて、そろそろ結果が欲しい。目標は一ケタ。それ以上に、内容あるレースにしたい」
青山博一(250cc ランキング2位)
「バルセロナはシーズンの拠点にしている場所なので、僕にとっては第2のホームGPになる。いいレースをしたい。カタルニアは難しいサーキットなので、しっかりといいセッティングを見つけていきたい。スペイン人選手もここでは速いし、結果を残すために全力を注いでくるはず。そのスペイン人たちとしっかり絡んで優勝争いができればと思っている。今年課題だったウエットも、前回のイタリアでいい感じになってきた。ドライでもウエットでもいいが、どちらかといえばドライで走りたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング7位)
「カタルニア・サーキットはベストサーキットの1つ。難しいが好きなコースだ。スペイン人選手はここで速いので、厳しい戦いになる。前回のイタリアは雨のレースになってすべてが振り出しに戻った。今回も天候が心配だが、ドライコンディションで走りたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc ランキング9位)
「カタルニアGPはホームGPなのでモチベーションが高い。ここは好きなサーキット。2006年の125ccクラスでは表彰台に立っている。いい思い出もたくさんある。ここはファンの声援もすごくて、忙しい1週間になるが、今年もいい思い出にできるレースにしたい」
富沢祥也(250cc ランキング17位)
「フランス、イタリアとリタイアしているので、今回は絶対に完走したい。水曜日にサーキット入りして下見をした。想像していた通りのコースだったが、微妙にアップダウンがあって、その高低差をしっかりと叩き込んでセッティングしたい。ル・マン、ムジェロ、そして今回と初めてのサーキットが続いているが、ムジェロよりは攻略しやすい印象。ウエットでもドライでも、最後までしっかり走りきりたい」