第6戦カタルニアGPの1日目は快晴となり、最高気温が34℃まで上昇する今季一番の暑さとなった。タイヤにもバイクにも厳しい条件の中でトップタイムをマークしたのは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。そして、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が4番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)が5番手と続き、ここまでがトップから1秒差以内の接戦となった。
以下、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)が今季ベストとなる9番手。右足大たい骨の付け根部分を骨折しているダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)14番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)15番手、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)16番手。今大会から高橋のチームメートとして参戦しているガボール・タルマクシは19番手だった。
トップのロッシから0.646秒差の4番手につけたドヴィツィオーゾは、セットアップも順調に進み、得意とするサーキットで伸び伸びとした走りを見せた。2日目の予選に向けて、2台のバイクで異なったセットアップにトライし、2号車で試みたセッティングがよく、一気にタイムを短縮。予選では、今季初のフロントローを狙う。
ドヴィツィオーゾ同様、このサーキットを得意とするデ・ピュニエは、5番手につけた。タイヤのセットアップを集中的にこなし、手応えを感じる一日となった。前戦イタリアGPで予選5番手とレースをこなすごとに調子を上げているだけに、予選ではドヴィツィオーゾとともに、今季初のフロントローの期待が膨らむ。
前戦イタリアGPで予選10番手と調子を上げている高橋も、今大会は好調なスタートを切った。フロントのセッティングを重点的に行い、大幅にフィーリングが向上。快調にラップを刻み、今季ベストの9番手につけた。予選では今季ベストグリッドとなるシングルを目指す。
イタリアGPの決勝で転倒し、右足大たい骨の付け根部分を骨折したペドロサは、痛み止めの注射を打ってフリー走行に臨んだ。セッティングを進めながら慎重に走る、手探りの一日となった。痛みがあることで100%の走りにはほど遠かったが、地元ファンの大声援を受け、予選での巻き返しを誓っていた。昨年は独走で優勝したサーキット。今大会は完ぺきな体調ではないため、決勝に向けて極力、体力を温存する構えだ。
250ccクラスは、アレックス・デボン(アプリリア)がトップタイム。Honda勢は、青山博一(Scot Racing Team 250cc)3番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)9番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)10番手と3台のRS250RWがトップ10内で初日を終えた。
Honda勢トップの青山は、雨になった第4戦フランスGP、前戦イタリアGPと2戦連続で表彰台を逃しているだけに、今大会は3戦ぶりの表彰台登壇に闘志を燃やす。予選では今季5回目のフロントローと今季初のPPを狙う。地元GPに気合十分のファウベル、チームの地元となるウィライローも好調なスタートを切っている。11番手のラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)と、電気系のトラブルで周回をこなせず20番手だった富沢祥也(CIP Moto-GP250)も、予選でのばん回に気合を入れていた。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:43.038 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.302 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.598 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.646 |
5 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +0.833 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.114 |
7 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.302 |
8 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.381 |
9 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1.446 |
10 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.542 |
11 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.611 |
12 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +1.640 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.706 |
14 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +2.005 |
15 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.063 |
16 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +2.088 |
17 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.356 |
18 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.416 |
19 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +4.616 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 6 | A.デボン | アプリリア | 1:47.291 |
2 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.038 |
3 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.131 |
4 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.163 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.384 |
6 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.862 |
7 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.869 |
8 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.900 |
9 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.127 |
10 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.228 |
11 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.349 |
19 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.473 |
20 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +5.813 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +6.349 |
24 | 54 | T.マーカム | Honda | +7.387 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:52.311 |
2 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.495 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.787 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.896 |
5 | 8 | L.サネッティ | アプリリア | +0.909 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.996 |
7 | 93 | M.マルケス | KTM | +1.005 |
8 | 45 | S.レディング | アプリリア | +1.063 |
9 | 35 | R.クルメンナッハ | アプリリア | +1.254 |
10 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.372 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4番手)
「トップとそれほど離れていないし、悪くない一日だった。今日はコーナーの進入と、そこから先のコーナリングのセットアップに集中した。セカンドバイクで違うセッティングを試したら、それがとてもよくて、トップとの差を縮めることができた。初日4番手というのは悪くない。明日は前の3台とのギャップを縮めたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 5番手)
「初日からいい感じで走れているし、5番手という結果に満足している。今日はフロントのリムサイズを変えるなど、セットアップに集中した。ハードタイヤの方がフィーリングがよく、エンジンのパフォーマンスもよかった。セッションを通じて速いペースで走ることができた。明日はエンジンブレーキのセッティングに集中したい」
高橋裕紀(MotoGP 9番手)
「今日はフロントフォークに新しいパーツを入れたが、すごくいい感じで走ることができた。バイクとカタルニア・サーキットの相性もよくて、これまで課題になっていたスローコーナーのネガティブな問題もなく、気持ちよく走ることができた。今日のベストタイムは、セッション終盤にドヴィツィオーゾの後ろについて出した。前戦のイタリアGPは予選10番手だったので、明日はシングルグリッドを狙う。明日はセットアップを進めてベストタイムもアベレージも上げたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 14番手)
「初日から大勢のファンの信じられないような大きな声援を受けた。その声援に応えられるような結果ではなかったので、明日は期待に応えたい。走る前に痛み止めの注射を打った。フィーリングはあまりよくなく、いつものように乗ることができなかった。MotoGPマシンは体力を要求するし、すべての条件がそろわないとベストな走りができない。しかし、ここは大好きなサーキットであるし、ホームGPなので、あきらめるつもりはない。明日はいい走りを見せたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「アンドレアはマシンのセットアップが順調に進み、ラップタイムも悪くはなかった。いいスタートが切れたと思うし、よいレースをするためにも明日の予選で好グリッドを獲得する必要がある。ダニは、本来のパフォーマンスを発揮することができなかった。痛み止めの注射を打って走ったが、それでもかなり痛みがあるようだ。彼の身体の状態を見ながら明日も確実に前進していきたい」
青山博一(250cc 3番手)
「路面のコンディションが思ったほどよくなく、ラインを外すと滑りやすかった。コーナーでも思いきり攻められなかったし、明日はもっとグリップを出せるようにセッティングしていきたい。今日は34℃まで気温が上がった。暑いのは歓迎だが、バイクには厳しい一日だった。ストレートも思ったより伸びがなかった。今回はアプリリア勢が初日からタイムを上げてきているので、明日はもっとがんばらなければいけない」
富沢祥也(250cc 20番手)
「走り出してすぐにエンジンの高回転域で息つきが出て、思うように走れなかった。電気系を全部取り替えるのに時間がかかり、5周しか走れなかった。しっかり走れたのは1周だけだったが、基準タイムの107%を超えられてよかった。初めてのサーキットなのに、少ししか走れなくて残念だった。でも、走った印象は、嫌いなコースではない。明日が楽しみだ」