ドヴィツィオーゾがホームGPで
今季ベストリザルトタイの4位フィニッシュ

2009年5月31日(日)
決勝
会場:ムジェロ・サーキット
天候:曇り/雨
コースコンディション:ドライ/ウエット
気温:18℃
観客:8万1657人(3日間:12万3058人)

イタリアGP決勝は、朝から断続的に雨が降り続いた。125ccクラスはドライコンディションで行われたが、250ccクラスはフルウエット、MotoGPクラスはウエットからドライになる難しいレースとなった。

前戦フランスGPから2戦連続で“フラッグ・トゥ・フラッグ”となったMotoGPクラスは、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が優勝、2位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。その後方で繰り広げられた3台による3位争いは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が制し、4位アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、5位ロリス・カピロッシ(スズキ)と続いた。

以下、Honda勢は、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)8位、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)14位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)15位。ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)と高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は転倒を喫してリタイアに終わった。

Honda勢トップの4位でチェッカーを受けたドヴィツィオーゾは、地元ファンの声援を受けて、今季最高の走りを見せた。予選3列目から好スタートを切ると、オープニングラップでストーナー、クリス・バーミューレン(スズキ)に続き3番手に浮上。4周目には、その2人をかわしてトップに立つと、8周目までレースの主導権を握った。

その後、次第に路面は乾き始め、選手たちは次々にピットインしてバイクを乗り換えた。ドヴィツィオーゾは9周を終えてピットイン。このバイク交換で一時的に8番手までポジションを落とすも、11周目に再びトップに浮上。14周目までトップを快走した。

その後、ストーナー、カピロッシ、ロレンソにかわされ4番手へ。終盤はカピロッシと追い上げてきたロッシとし烈な3位争いを繰り広げ、ロッシにわずか0.053秒及ばず4位に終わった。惜しくも表彰台を逃したドヴィツィオーゾだが、これで2戦連続4位。上り調子をアピールした。

予選5番手から好スタートを切ったデ・ピュニエは、ウエットコンディションの序盤にペースを上げられず、15番手まで後退。しかし、バイクをチェンジしてからペースを取り戻し、8位でチェッカーを受けた。

一方、ウエットコンディションで快調にラップを刻んだエリアスは、バイクをチェンジしてからペースを上げられず14位。デ・アンジェリスはバイク交換した直後にオーバーランを喫して転倒。再スタートをするも15位だった。

土曜日のフリー走行で腰と右足を痛めたペドロサは、予選8番手から好スタートを切って序盤は4番手まで浮上したが、思うようにペースを上げられず8番手へ後退。バイクをチェンジしてからも思うようにリズムをつかめず、13周目に転倒を喫してリタイアに終わった。

今季ベストグリッドとなる10番手から決勝に挑んだ高橋は、ウエットコンディションでペースが上がらず、バイクをチェンジした直後に転倒を喫してリタイアに終わった。

フルウエットで行われた250ccクラスは、マティア・パシーニ(アプリリア)が優勝。予選4番手から序盤4番手につけた青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、中盤以降、エンジンが伸びずジリジリ後退。最終的に6位でフィニッシュした。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)9位と、3台のRS250RWがトップ10フィニッシュ。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は14位だった。ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、好スタートから1周目8番手に浮上するも、その後ジリジリ後退し、15番手を走行中の7周目に転倒リタイアだった。

コメント

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)

「イタリアのファンの前でレースをリードしたときの気持ちは、言葉では言い表せないほどだった。今日は3位になろうと全力を尽くした。わずか0.053秒差で表彰台を逃したが、いいレースができたと思う。今日はバイクをチェンジするタイミングもよかった。とにかく、トップをキープしようとベストを尽くした。終盤、ロッシが追いついてきて、ラスト3周は本当に厳しい戦いだった。最後、彼のスリップから抜けて前に出ようとしたが届かなかった。今日はエキサイティングなレースだった。次はドライコンディションで優勝争いができるようにしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 8位)

「リザルトは前回よりよかったが、前回のル・マンと同じようなレースになって残念だった。スタートはよかった。しかし、序盤にペースを上げられずにポジションを落とした。バイクをチェンジするタイミングは悪くなかったが、2ラップほど、なかなかペースを上げられなかった。トーズランド(ヤマハ)とのバトルは楽しかった。彼の前でフィニッシュしたかったが、かわせなかった。最後に2人をかわして6位でチェッカーを受けたかったが果たせなかった。決して悪いリザルトだとは思わないが、できることなら6位でフィニッシュしたかった。今日は全力を尽くしてくれたチームに感謝したい」

トニー・エリアス(MotoGP 14位)

「今日は本当に残念なレースだった。ウエットコンディションではまずまずの走りができたと思う。スリックタイヤのバイクに乗り換えたときは、バレンティーノ(ロッシ)とケーシー(ストーナー)のすぐ後ろにいた。しかし、タイヤの温度を上げるのに4周もかかり、タイムをロスしてしまった。なにが原因なのかデータを分析しなければ分からないが、次のレースに向けて原因を追究しなければならない。今週はいいポイントもあったし、それだけに残念だった」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 15位)

「難しいレースだったが、バイクを交換するタイミングはよかったと思う。しかし、バイクをチェンジしたあと、ペースが速すぎて2コーナーでコースアウトを喫し、グラベルで転んでしまった。再スタートすることはできたが、その転倒でポジションを落としてしまった。今回はドライのセットアップも完全ではなかったし、ウエットでも決して完ぺきではなかった」

ダニ・ペドロサ(MotoGP リタイア)

「今日は転倒してしまったし、なにも言うことはない。ウオームアップは痛み止めの注射を打って走った。決勝もなんとか走ることができたが、痛みがあってベストな状態ではなかった。金曜日、土曜日はドライコンディションだったし、ウエットになった決勝レースのセッティングはギャンブルだった。足の状態が悪かったこともあり、よいリズムで走ることができなかった。バイクをチェンジしたあともなかなかフィーリングをつかめず、リアから転んでしまった。次はホームGP。足の状態が心配だが、レースに出られることを願っている」

高橋裕紀(MotoGP リタイア)

「ウエットになった朝のフリーでうまく乗れなかった。決勝に向けてセッティングを変えたのだが、それでもダメだった。コーナーの立ち上がりでスピニングがひどく、ポジションを落とした。路面が乾いてきたので、バイクをチェンジするタイミングを待っていた。昨日までのドライでまずまずの走りができていたし、バイクを変えてからペースを上げようと思ったのだが、コースインした1周目の1コーナーでハイサイドで転んでしまった。もてぎやフランスの雨はうまく走れていたので原因が分からない。チームのホームGPだったので本当に残念だった」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「難しいレースだったが、アンドレア(ドヴィツィオーゾ)は表彰台にあと一歩に迫る走りだった。今回、優勝することも表彰台に立つこともできなかったが、Repsol Hondaのバイクがトップを走っているのを見られたことはよかった。アンドレアは、ドライコンディションでは優勝争いをする状態になかったが、それだけに今日のレースは次に向けて大きな自信になったはずだ。ダニ(ペドロサ)にとっては厳しいレースだった。転倒で、さらにケガをしなかったのは幸いだった。転倒がなかったとしても、今回は厳しい戦いになっていたと思う。次のカタルニアGPでは勝てるように全力を尽くしたい」

青山博一(250cc 6位)

「今回もスタート直前に雨になって、前回のフランスGPと同じような状況のレースになってしまった。ル・マンのウエットはあまりいいイメージがなかったけれど、今回はバイクのフィーリングもよくて攻める走りができた。最初はよい感じだったが、そのあとエンジンに少し問題が出てきてペースをキープすることができなかった。最後はエンジンをもたせる走りになってしまった。今日はシモンセリ(ジレラ)とバウティスタ(アプリリア)が接触して2人ともコースアウトするなど、表彰台に立てるチャンスがあった。6位に終わったのは残念だが、チャンピオンシップを考えれば、悪くない結果だったと思う」

富沢祥也(250cc リタイア)

「スタートが決まって1周目に8番手まで上がれた。その後、15、16番手までポジションを落としてしまった。それでも、だんだんフィーリングがよくなってきたのでペースを上げようとしたが、最終コーナーの入口で転倒してしまった。2戦連続の転倒に終わり悔しい。チームのスタッフにも申し訳ない気持ちでいっぱいだ」

決勝リザルト

MotoGP

順位 No. ライダー マシン タイム/差
127C.ストーナードゥカティ45:41.894
299J.ロレンソヤマハ+1.001
346V.ロッシヤマハ+2.076
44アンドレア・ドヴィツィオーゾHonda+2.129
565L.カピロッシスズキ+3.274
65C.エドワーズヤマハ+24.451
752J.トーズランドヤマハ+25.621
814ランディ・デ・ピュニエHonda+26.046
988N.カネパドゥカティ+31.815
107C.バーミューレンスズキ+34.814
1133M.メランドリカワサキ+35.090
1269N.ヘイデンドゥカティ+39.122
1336M.カリオドゥカティ+52.462
1424トニー・エリアスHonda+52.478
1515アレックス・デ・アンジェリスHonda+1Lap
RT3ダニ・ペドロサHonda+11Laps
RT72高橋裕紀Honda+13Laps

250cc

順位 No. ライダー マシン タイム/差
175M.パシーニアプリリア45:38.391
258M.シモンセリジレラ+0.117
319A.バウティスタアプリリア+1.293
412T.ルティアプリリア+24.557
540H.バルベラアプリリア+27.014
64青山博一Honda+30.037
76A.デボンアプリリア+31.325
855ヘクトル・ファウベルHonda+35.178
935ラファエレ・デ・ロサHonda+44.856
1015R.ロカテリジレラ+46.483
1414ラタパーク・ウィライローHonda+1:25.519
188バスティン・シェゾーHonda+1Lap
1953V.ドゥビーズHonda+1Lap
RT48富沢祥也Honda+15Laps

125cc

順位 No. ライダー マシン タイム/差
138B.スミスアプリリア40:09.523
218N.テロールアプリリア+0.216
360J.シモンアプリリア+7.114
444P.エスパルガロデルビ+11.829
593M.マルケスKTM+12.315
614J.ザルコアプリリア+14.605
745S.レディングアプリリア+15.305
817S.ブラドルアプリリア+22.255
932L.サバドーリアプリリア+22.392
1011S.コルテセデルビ+29.239

ポイントスタンディング

ライダー | MotoGP

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1C.ストーナードゥカティ90
2J.ロレンソヤマハ86
3V.ロッシヤマハ81
4ダニ・ペドロサHonda57
5アンドレア・ドヴィツィオーゾHonda56
6M.メランドリカワサキ48
7C.エドワーズヤマハ45
8L.カピロッシスズキ38
9C.バーミューレンスズキ37
10ランディ・デ・ピュニエHonda34
11J.トーズランドヤマハ26
12トニー・エリアスHonda23
13アレックス・デ・アンジェリスHonda21
14M.カリオドゥカティ19
15N.ヘイデンドゥカティ13
16N.カネパドゥカティ10
17S.ジベルノードゥカティ8
18高橋裕紀Honda8

コンストラクター | MotoGP

順位 コンストラクター 総合ポイント
1ヤマハ115
2ドゥカティ90
3Honda76
4スズキ49
5カワサキ48

ライダー | 250cc

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1A.バウティスタアプリリア83
2青山博一Honda76
3M.シモンセリジレラ61
4H.バルベラアプリリア59
5M.パシーニアプリリア51
6T.ルティアプリリア42
7ラファエレ・デ・ロサHonda38
8R.ロカテリジレラ36
9ヘクトル・ファウベルHonda35
10J.クルーゼルアプリリア28
15ラタパーク・ウィライローHonda22
17富沢祥也Honda14
19青山周平Honda10
22V.ドゥビーズHonda3
23T.マーカムHonda2

コンストラクター | 250cc

順位 コンストラクター 総合ポイント
1アプリリア108
2Honda88
3ジレラ68
4ヤマハ2

ライダー | 125cc

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1B.スミスアプリリア74.5
2J.シモンアプリリア71
3A.イアンノーネアプリリア46.5
4P.エスパルガロデルビ44.5
5S.ガデアアプリリア43
6M.マルケスKTM38
7S.コルテセデルビ38
8N.テロールアプリリア37.5
9J.フォルガーアプリリア35
10D.エジャーターデルビ26.5

コンストラクター | 125cc

順位 コンストラクター 総合ポイント
1アプリリア112.5
2デルビ58
3KTM38
4ロンシン4
5Honda3