イタリアGP決勝は、朝から断続的に雨が降り続いた。125ccクラスはドライコンディションで行われたが、250ccクラスはフルウエット、MotoGPクラスはウエットからドライになる難しいレースとなった。
前戦フランスGPから2戦連続で“フラッグ・トゥ・フラッグ”となったMotoGPクラスは、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が優勝、2位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。その後方で繰り広げられた3台による3位争いは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が制し、4位アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、5位ロリス・カピロッシ(スズキ)と続いた。
以下、Honda勢は、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)8位、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)14位、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)15位。ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)と高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は転倒を喫してリタイアに終わった。
Honda勢トップの4位でチェッカーを受けたドヴィツィオーゾは、地元ファンの声援を受けて、今季最高の走りを見せた。予選3列目から好スタートを切ると、オープニングラップでストーナー、クリス・バーミューレン(スズキ)に続き3番手に浮上。4周目には、その2人をかわしてトップに立つと、8周目までレースの主導権を握った。
その後、次第に路面は乾き始め、選手たちは次々にピットインしてバイクを乗り換えた。ドヴィツィオーゾは9周を終えてピットイン。このバイク交換で一時的に8番手までポジションを落とすも、11周目に再びトップに浮上。14周目までトップを快走した。
その後、ストーナー、カピロッシ、ロレンソにかわされ4番手へ。終盤はカピロッシと追い上げてきたロッシとし烈な3位争いを繰り広げ、ロッシにわずか0.053秒及ばず4位に終わった。惜しくも表彰台を逃したドヴィツィオーゾだが、これで2戦連続4位。上り調子をアピールした。
予選5番手から好スタートを切ったデ・ピュニエは、ウエットコンディションの序盤にペースを上げられず、15番手まで後退。しかし、バイクをチェンジしてからペースを取り戻し、8位でチェッカーを受けた。
一方、ウエットコンディションで快調にラップを刻んだエリアスは、バイクをチェンジしてからペースを上げられず14位。デ・アンジェリスはバイク交換した直後にオーバーランを喫して転倒。再スタートをするも15位だった。
土曜日のフリー走行で腰と右足を痛めたペドロサは、予選8番手から好スタートを切って序盤は4番手まで浮上したが、思うようにペースを上げられず8番手へ後退。バイクをチェンジしてからも思うようにリズムをつかめず、13周目に転倒を喫してリタイアに終わった。
今季ベストグリッドとなる10番手から決勝に挑んだ高橋は、ウエットコンディションでペースが上がらず、バイクをチェンジした直後に転倒を喫してリタイアに終わった。
フルウエットで行われた250ccクラスは、マティア・パシーニ(アプリリア)が優勝。予選4番手から序盤4番手につけた青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、中盤以降、エンジンが伸びずジリジリ後退。最終的に6位でフィニッシュした。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)9位と、3台のRS250RWがトップ10フィニッシュ。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は14位だった。ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、好スタートから1周目8番手に浮上するも、その後ジリジリ後退し、15番手を走行中の7周目に転倒リタイアだった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 45:41.894 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +1.001 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +2.076 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +2.129 |
5 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +3.274 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +24.451 |
7 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +25.621 |
8 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +26.046 |
9 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +31.815 |
10 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +34.814 |
11 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +35.090 |
12 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +39.122 |
13 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +52.462 |
14 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +52.478 |
15 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1Lap |
RT | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +11Laps |
RT | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +13Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | 45:38.391 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.117 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.293 |
4 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +24.557 |
5 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +27.014 |
6 | 4 | 青山博一 | Honda | +30.037 |
7 | 6 | A.デボン | アプリリア | +31.325 |
8 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +35.178 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +44.856 |
10 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +46.483 |
14 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1:25.519 |
18 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +1Lap |
19 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1Lap |
RT | 48 | 富沢祥也 | Honda | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 40:09.523 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.216 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +7.114 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +11.829 |
5 | 93 | M.マルケス | KTM | +12.315 |
6 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +14.605 |
7 | 45 | S.レディング | アプリリア | +15.305 |
8 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +22.255 |
9 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | +22.392 |
10 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +29.239 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | C.ストーナー | ドゥカティ | 90 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 86 |
3 | V.ロッシ | ヤマハ | 81 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 57 |
5 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 56 |
6 | M.メランドリ | カワサキ | 48 |
7 | C.エドワーズ | ヤマハ | 45 |
8 | L.カピロッシ | スズキ | 38 |
9 | C.バーミューレン | スズキ | 37 |
10 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 34 |
11 | J.トーズランド | ヤマハ | 26 |
12 | トニー・エリアス | Honda | 23 |
13 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 21 |
14 | M.カリオ | ドゥカティ | 19 |
15 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 13 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 10 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 8 |
18 | 高橋裕紀 | Honda | 8 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 115 |
2 | ドゥカティ | 90 |
3 | Honda | 76 |
4 | スズキ | 49 |
5 | カワサキ | 48 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||||
1 | A.バウティスタ | アプリリア | 83 | |||||||||||||||||
2 | 青山博一 | Honda | 76 | |||||||||||||||||
3 | M.シモンセリ | ジレラ | 61 | |||||||||||||||||
4 | H.バルベラ | アプリリア | 59 | |||||||||||||||||
5 | M.パシーニ | アプリリア | 51 | |||||||||||||||||
6 | T.ルティ | アプリリア | 42 | |||||||||||||||||
7 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 38 | |||||||||||||||||
8 | R.ロカテリ | ジレラ | 36 | |||||||||||||||||
9 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 35 | |||||||||||||||||
10 | J.クルーゼル | アプリリア | 28 | |||||||||||||||||
15 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 22 | |||||||||||||||||
17 | 富沢祥也 | Honda | 14 | |||||||||||||||||
19 | 青山周平 | Honda | 10 | |||||||||||||||||
22 | V.ドゥビーズ | Honda | 3 | |||||||||||||||||
23 | T.マーカム | Honda | 2 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
1 | アプリリア | 108 |
2 | Honda | 88 |
3 | ジレラ | 68 |
4 | ヤマハ | 2 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | B.スミス | アプリリア | 74.5 |
2 | J.シモン | アプリリア | 71 |
3 | A.イアンノーネ | アプリリア | 46.5 |
4 | P.エスパルガロ | デルビ | 44.5 |
5 | S.ガデア | アプリリア | 43 |
6 | M.マルケス | KTM | 38 |
7 | S.コルテセ | デルビ | 38 |
8 | N.テロール | アプリリア | 37.5 |
9 | J.フォルガー | アプリリア | 35 |
10 | D.エジャーター | デルビ | 26.5 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
1 | アプリリア | 112.5 |
2 | デルビ | 58 |
3 | KTM | 38 |
4 | ロンシン | 4 |
5 | Honda | 3 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「イタリアのファンの前でレースをリードしたときの気持ちは、言葉では言い表せないほどだった。今日は3位になろうと全力を尽くした。わずか0.053秒差で表彰台を逃したが、いいレースができたと思う。今日はバイクをチェンジするタイミングもよかった。とにかく、トップをキープしようとベストを尽くした。終盤、ロッシが追いついてきて、ラスト3周は本当に厳しい戦いだった。最後、彼のスリップから抜けて前に出ようとしたが届かなかった。今日はエキサイティングなレースだった。次はドライコンディションで優勝争いができるようにしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 8位)
「リザルトは前回よりよかったが、前回のル・マンと同じようなレースになって残念だった。スタートはよかった。しかし、序盤にペースを上げられずにポジションを落とした。バイクをチェンジするタイミングは悪くなかったが、2ラップほど、なかなかペースを上げられなかった。トーズランド(ヤマハ)とのバトルは楽しかった。彼の前でフィニッシュしたかったが、かわせなかった。最後に2人をかわして6位でチェッカーを受けたかったが果たせなかった。決して悪いリザルトだとは思わないが、できることなら6位でフィニッシュしたかった。今日は全力を尽くしてくれたチームに感謝したい」
トニー・エリアス(MotoGP 14位)
「今日は本当に残念なレースだった。ウエットコンディションではまずまずの走りができたと思う。スリックタイヤのバイクに乗り換えたときは、バレンティーノ(ロッシ)とケーシー(ストーナー)のすぐ後ろにいた。しかし、タイヤの温度を上げるのに4周もかかり、タイムをロスしてしまった。なにが原因なのかデータを分析しなければ分からないが、次のレースに向けて原因を追究しなければならない。今週はいいポイントもあったし、それだけに残念だった」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 15位)
「難しいレースだったが、バイクを交換するタイミングはよかったと思う。しかし、バイクをチェンジしたあと、ペースが速すぎて2コーナーでコースアウトを喫し、グラベルで転んでしまった。再スタートすることはできたが、その転倒でポジションを落としてしまった。今回はドライのセットアップも完全ではなかったし、ウエットでも決して完ぺきではなかった」
ダニ・ペドロサ(MotoGP リタイア)
「今日は転倒してしまったし、なにも言うことはない。ウオームアップは痛み止めの注射を打って走った。決勝もなんとか走ることができたが、痛みがあってベストな状態ではなかった。金曜日、土曜日はドライコンディションだったし、ウエットになった決勝レースのセッティングはギャンブルだった。足の状態が悪かったこともあり、よいリズムで走ることができなかった。バイクをチェンジしたあともなかなかフィーリングをつかめず、リアから転んでしまった。次はホームGP。足の状態が心配だが、レースに出られることを願っている」
高橋裕紀(MotoGP リタイア)
「ウエットになった朝のフリーでうまく乗れなかった。決勝に向けてセッティングを変えたのだが、それでもダメだった。コーナーの立ち上がりでスピニングがひどく、ポジションを落とした。路面が乾いてきたので、バイクをチェンジするタイミングを待っていた。昨日までのドライでまずまずの走りができていたし、バイクを変えてからペースを上げようと思ったのだが、コースインした1周目の1コーナーでハイサイドで転んでしまった。もてぎやフランスの雨はうまく走れていたので原因が分からない。チームのホームGPだったので本当に残念だった」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「難しいレースだったが、アンドレア(ドヴィツィオーゾ)は表彰台にあと一歩に迫る走りだった。今回、優勝することも表彰台に立つこともできなかったが、Repsol Hondaのバイクがトップを走っているのを見られたことはよかった。アンドレアは、ドライコンディションでは優勝争いをする状態になかったが、それだけに今日のレースは次に向けて大きな自信になったはずだ。ダニ(ペドロサ)にとっては厳しいレースだった。転倒で、さらにケガをしなかったのは幸いだった。転倒がなかったとしても、今回は厳しい戦いになっていたと思う。次のカタルニアGPでは勝てるように全力を尽くしたい」
青山博一(250cc 6位)
「今回もスタート直前に雨になって、前回のフランスGPと同じような状況のレースになってしまった。ル・マンのウエットはあまりいいイメージがなかったけれど、今回はバイクのフィーリングもよくて攻める走りができた。最初はよい感じだったが、そのあとエンジンに少し問題が出てきてペースをキープすることができなかった。最後はエンジンをもたせる走りになってしまった。今日はシモンセリ(ジレラ)とバウティスタ(アプリリア)が接触して2人ともコースアウトするなど、表彰台に立てるチャンスがあった。6位に終わったのは残念だが、チャンピオンシップを考えれば、悪くない結果だったと思う」
富沢祥也(250cc リタイア)
「スタートが決まって1周目に8番手まで上がれた。その後、15、16番手までポジションを落としてしまった。それでも、だんだんフィーリングがよくなってきたのでペースを上げようとしたが、最終コーナーの入口で転倒してしまった。2戦連続の転倒に終わり悔しい。チームのスタッフにも申し訳ない気持ちでいっぱいだ」