2日連続で快晴に恵まれたムジェロ。イタリアGPの予選は、最高気温25℃と絶好のコンディションで行われた。ポールポジション(PP)を獲得したのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。以下、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)、ロリス・カピロッシ(スズキ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と僅差で続き、5番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)、6番手にコーリン・エドワーズ(ヤマハ)、7番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)と、ここまでがトップから1秒差以内の接戦となった。そのほかのHonda勢は、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)8番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)9番手、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)10番手とトップ10に5台のHonda勢が名前を連ねた。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)は12番手だった。
Honda勢トップのデ・ピュニエはこの日、順調にセットアップを進めた。初日のフリー走行では8番手。2日目午前中のフリー走行では10番手へとポジションを落としたが、このセッションでセッティングが決まったデ・ピュニエは、予選で5番手に浮上した。第3戦スペインGPでは予選5番手から決勝4位と好リザルトを残している。ホームGPとなった前戦フランスGPでは14位と不本意なレースに終わっているだけに、今大会はその雪辱に挑む。
初日9番手のドヴィツィオーゾは、地元の声援の中で7番手へとポジションを上げた。ホームGPで3列目スタートというのは、ドヴィツィオーゾにとって満足できるものではないが、セッションをこなすごとにトップグループとの差を縮めた。決勝では追い上げのレースを期待したい。
初日4番手とまずまずのスタートを切ったペドロサは、午前中のフリー走行で激しく振られた際に腰を痛め、右足に影響を及ぼした。そのため完ぺきな走りができず8番手へとポジションを落とした。痛み止めの処置を施し、苦しい走りを強いられたが、なんとか3列目グリッドを獲得した。決勝も苦しい走りを強いられる可能性が高い。
フリー走行で4番手と好調な仕上がりを見せたエリアス。予選では今季ベストグリッドが期待されたが、セッション終盤に転倒を喫し9番手へとポジションを落とした。しかし、内容では今季最高の仕上がり。4戦を終えて9位が最高位のエリアスだが、決勝では今季ベストリザルトが期待される。
初日16番手と苦しいスタートになっていた高橋が、予選では今季ベストグリッドとなる10番手に浮上した。昨日から今日にかけて車体のセットアップが進み、フリー走行から約1秒のタイム短縮を果たした。決勝ではシングルフィニッシュを目指す。
250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)がPPを獲得。以下、マルコ・シモンセリ(ジレラ)、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)と続き、青山博一(Scot Racing Team 250cc)が4番手で今季4回目のフロントローを獲得した。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が今季ベストグリッドとなる7番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)9番手と3台のHonda勢がトップ10入り。前戦フランスGPで表彰台に立ったヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は13番手。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は16番手から追い上げのレースに挑む。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:48.987 |
2 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.021 |
3 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.134 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.161 |
5 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +0.512 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.560 |
7 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.661 |
8 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.086 |
9 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.091 |
10 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1.318 |
11 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.418 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.461 |
13 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1.541 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.550 |
15 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.723 |
16 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.937 |
17 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.021 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1:52.804 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.014 |
3 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.038 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.246 |
5 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.769 |
6 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.898 |
7 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.007 |
8 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.071 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.137 |
10 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.184 |
13 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.547 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.188 |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.895 |
24 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +6.813 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:58.134 |
2 | 45 | S.レディング | アプリリア | +0.297 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.441 |
4 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.487 |
5 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.813 |
6 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.987 |
7 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +1.044 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +1.052 |
9 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.224 |
10 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +1.344 |
コメント
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 5番手)
「今日の予選は完ぺきな走りができた。朝のフリー走行でジオメトリーを変え、サスペンションのセッティングに集中した成果が出た。5番手という結果に満足している。今回はセットアップが順調だったが、すべてがうまくいったわけではなかった。リアのグリップに課題を抱えているが、それでも予想以上にタイムを短縮することができた。明日は、2列目から決勝に挑めるし、いいスタートを切って、いい結果を残したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 7番手)
「セッションをこなすごとに確実にタイムを上げられた。セットアップも進んだ。昨日はトップと1.3秒のギャップがあったが、朝のフリー走行では1秒まで縮めることができた。予選ではそれを0.6秒まで縮めた。今日はコーナーの進入が改善されたことでタイムを短縮することができた。予選では、さらに違うセットアップを試みたがあまりうまくいかなかった。明日のウオームアップで違うセッティングを試したい。決勝は厳しい戦いになるので、最低でも2列目に並びたかった。今回はホームGP。ファンの熱い声援に応えたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 8番手)
「朝のフリー走行で激しく振られたときに右の腰の筋肉を痛めてしまった。そのため右足に刺すような痛みがあり、フリー走行は早めに走行を切り上げた。予選は痛み止めを使ったが、完ぺきなライディングにはほど遠かった。この状態でどのくらいのペースをキープできるのかわからないが、決勝はベストを尽くす。この体調で8番グリッドを得られて本当によかった」
トニー・エリアス(MotoGP 9番手)
「今回はバイクのセットアップが大きく進んだ。午前中のフリー走行ではロレンソについていくことができた。予選ではバレンティーノを追った。そのときに転んでしまい残念だったが、いい走りができたと思う。今日はバイクのセッティングも決まり、気持ちよく乗れている。モチベーションも高い。今日は転倒したにもかかわらず3列目に並べたこともよかった。明日、いいスタートを切って、いいレースにしたい」
高橋裕紀(MotoGP 10番手)
「昨日から今日にかけて、フロントサスのセッティングを行い、リアのピボット位置も変えてみた。どちらの変更がタイム短縮につながったのかはわからないが、これまでに比べるとバイクを振り回して乗ることができた。進入の安定性の悪さは変わらないが、クリップでのリアのグリップが上がったことで旋回性がよくなった。目標のシングルグリッドは果たせなかったが、決勝ではシングルフィニッシュしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 12番手)
「予選では、ほぼベストな走りができたと思う。しかし、今回はすごい接戦で、もう少しタイムを上げられればグリッドも上げられただけに、残念だった。ただ、レース用タイヤではいいアベレージを刻めたし、決勝はいいレースができると思う。このコースは体力的に厳しい。スタートからフィニッシュまで休むときがないが、今回はチームのホームGPなのでベストを尽くしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニは身体を痛めたことで満足のいく走行ができなかった。午前中のフリー走行の際、コーナーで振られた。そのときに身体をひねり、右足太ももを痛めたようだ。予選でも痛みがあり、完ぺきなアタックができなかった。決勝に向けて体調に不安を残すことになったが、バイクに大きな問題はなく、ベストリザルトを目指してくれるはずだ。アンドレアは、バイクのセットアップが完ぺきに仕上がらなかったが、昨日から今日にかけて確実に前進している。その成果を明日の決勝でリザルトで証明したい。チーム全体のモチベーションは高い。今回も厳しいレースになるが総力戦で挑みたい」
青山博一(250cc 4番手)
「ムジェロはシーズンを通じてもっとも難しく、厳しいサーキット。アプリリアの地元サーキットなので、毎年アプリリア勢がいい結果を残しているが、対等に走れてよかった。セッションの流れもよかった。最初から順調にタイムが出たし、セッション終盤にタイムを更新できた。今年は天候がいいときはバイクのフィーリングがいいので、明日の決勝はドライで戦いたい。今回はチームのホームGP。トップ争いに加わりたい」
富沢祥也(250cc 16番手)
「昨日の走行が終わったときに、ギアのセッティングなど、いろいろ悩んだが、最終的にあまり大きな変更はしなかった。金曜日のフリーから予選まで、約2.3秒もタイムを短縮することができた。ベストタイムは(青山)博一さんの後ろについて出した。今日はいろんな人の後ろについてコース攻略に全力を尽くした。決勝はどうなるかわからないが、シングルフィニッシュを目指したい」