第5戦イタリアGPの1日目は、好天に恵まれた。最高気温は30℃を記録し、今季最も暑い中でフリー走行が行われた。トップタイムをマークしたのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。以下、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)と続き、4番手のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)までが1秒差以内の接戦。今季表彰台を争ってきた4選手が順当にトップ4につけた。
以下、地元大会に燃えるアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が6番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)8番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)9番手と、トップ10に4台のHonda勢が名前を連ねた。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は12番手。高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は16番手だった。
前戦フランスGPで今季初PPを獲得したペドロサは、今大会も順調にセットアップを進めた。ラップタイムでは4番手となったが、最高速ではムジェロの最高速記録となる時速349.3kmをマーク。セッション中のアベレージでも時速345.2kmというすばらしい速さを披露。トップタイムは逃したが、2日目に向けてセッティングの方向性が見えているだけに、2戦連続PPへの期待が膨らんだ。
6番手につけたデ・アンジェリスも好調なスタートを切った。MotoGPクラスでデビューを飾った昨年も、このサーキットでは、シーズンベストリザルトとなる4位でチェッカーを受けている。今年も好調なスタートとなり、念願のMotoGP初表彰台に向けて大きく前進した。
デ・ピュニエも8番手とまずまずのスタートを切った。ホームGPとなった前戦フランスGPは14位と不完全燃焼に終わった。今大会はその雪辱を果たす大会となる。
前戦フランスGPで表彰台まであと一歩の4位でチェッカーを受けたドヴィツィオーゾは9番手。この日はセッティングを詰めきれなかったが、地元ファンの声援に気合も満点。地元大会で今季初表彰台を狙っているだけに、2日目からの巻き返しが期待される。
エリアスは12番手。セットアップは順調に進んだが、クリアラップが取れなかったことでトップ10入りを逃した。チームの地元大会に気合を入れる高橋は16番手。セッション序盤は好調な走りを見せたが、セッティングに時間を取られたことで、不完全燃焼の一日となった。しかし、2日目に向けてHonda勢の6選手全員が手応えをアピール。2日目のタイム短縮が注目される。
250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)がトップタイム。総合ポイントでバウティスタを1点差で追う青山博一(Scot Racing Team 250cc)が2番手。チームメートのラファエレ・デ・ロサが5番手。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は7番手。前戦フランスGPで2位表彰台に立ったヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)が10番手と、トップ10に4台のRS250RW勢が名前を連ねた。ルーキーの富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、初めてのコースで17番手。2日目のポジションアップが期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:49.870 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.195 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.274 |
4 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.938 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.021 |
6 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.028 |
7 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.137 |
8 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.160 |
9 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.336 |
10 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.489 |
11 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.531 |
12 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.953 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.124 |
14 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.449 |
15 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.533 |
16 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +2.737 |
17 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.749 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1:53.814 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.244 |
3 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.458 |
4 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.560 |
5 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +0.770 |
6 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.847 |
7 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.898 |
8 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.031 |
9 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.306 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.628 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.428 |
19 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +5.838 |
DNQ | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +8.176 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:59.437 |
2 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.284 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.317 |
4 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.425 |
5 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.535 |
6 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.110 |
7 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.209 |
8 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.294 |
9 | 45 | S.レディング | アプリリア | +1.298 |
10 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | +1.439 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)
「今日はドライコンディションで走ることができてよかった。ル・マンは天候が不安定だったし、今日のように完全なドライで1時間を走れなかったからね。今日はすばらしいコンディションで走れたし、ラップタイムも悪くなかった。しかし、コーナーの進入が決まらず、フィーリングもそれほどよくはなかった。まだ完ぺきな状態ではない。トップグループとタイム差もあるので、明日はそのギャップを埋めたい。最高速はあまり気にしたことはないが、今日はタイミングスクリーンを見るまで自分が最高速をマークしているとは思わなかった。最高速より大事なのはラップタイム。明日はレースに向けてセットアップを決めたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 6番手)
「これまで抱えていた課題が、このサーキットではそれほど大きな問題にならず、初日から好調だった。ムジェロは、ハイスピードコーナーが続く。前回のル・マンのようなストップ&ゴーのサーキットではないからね。去年もここではいいレースができた。今年も順調にスタートが切れてよかった。明日もドライコンディションになってほしい。決勝に向けて、さらにセットアップを進めたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 9番手)
「ムジェロは自分にとって特別なサーキットだし、ここで走れることはすばらしいことだ。ムジェロは難しくて魅力的なコースだが、それを今日は改めて感じた。ここは体力的に厳しく消耗も激しい。速く走るためにはいいリズムで走ることが求められる。今日はハンドリングが完ぺきではなく、切り返しがうまくいかなかった。しかし、明日に向けての方向性が見えているし、心配はしていない。明日は完全な状態に仕上げたい」
高橋裕紀(MotoGP 16番手)
「走り出しはよかったのだが、スローコーナーでこれまでと同じ問題点が出て、その解消のために違うセッティングを試していた。セッション終盤にはハードタイヤのテストもして、あっという間に1時間が終わった。今日はセットアップをまとめきれなかったが、今日できなかったことを2日目に試してみたい。明日は朝のフリー走行からペースを上げて、いいリズムで走りたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニ、アンドレアともに、フリー走行を終えて2日目の方向性が見えてきた。今日はセッティングをしている段階だったが、ライバル勢のアベレージが速かったので、2日目は相当にがんばらないといけない。しかし、ライダーもバイクの状態も悪くないし、大きな問題もなかった。明日はマシンのセットアップをきっちりと決めて、2人とも、いいレースができるように仕上げたい」
青山博一(250cc 2番手)
「初日のフリー走行で自己ベストを更新することができた。フィーリングも悪くなかったし、走り出しとしては悪くなかった。今日はブレーキングはよかったが、コーナリングのバランスは、アプリリア勢の方がいいように感じた。現状のいい部分を残し、明日は、今日の課題をクリアしたい。今日は気温が高くて今年になって一番の暑さだった」
富沢祥也(250cc 17番手)
「これまで経験したサーキットに比べると、格段に体力を必要とするコースだった。高速コーナーが多く、ハイスピードで切り返すポイントが多かった。他のサーキットに比べて今日はすごく疲労感があった。バイクのフィーリングは悪くない。初めてのコースなのでまだまだ詰められるポイントも多いし、2日目が楽しみだ」