ペドロサ3位で3戦連続表彰台獲得
ドヴィツィオーゾは今季ベストリザルトの4位
- 2009年5月17日(日)
決勝
- 会場:ル・マン・サーキット
天候:雨/曇り
コースコンディション:ウエット/ドライ
気温:13℃
観客:7万5903人(3日間:15万505人)
フランスGP決勝は、125ccクラスと250ccクラスがウエットコンディション。MotoGPクラスは、ウエットからドライへと変化する難しいコンディションとなった。MotoGPクラスは、3年連続でレース中にバイクをチェンジできる“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用された。
グリッドについたときは全車レインタイヤ。序盤はウエットコンディションの中でバトルが繰り広げられた。しかし、路面が乾き始めた中盤以降は、全車がスリックタイヤを装着したマシンに交換。目まぐるしくポジションを入れ替える厳しい戦いとなった。
この厳しいレースを制したのは、バイクチェンジを最も遅らせたホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。2位にマルコ・メランドリ(カワサキ)。3位にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)で、6周目にバイクチェンジを行い、15番手までポジションを落としたが、すばらしい追い上げを見せた。好スタートからウエットタイヤで2番手を快走したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、12周目にバイクを交換、最終ラップまで3番手を走った。しかし、最終ラップにペドロサに抜かれ、今季ベストリザルトとなる4位でチェッカーを受けた。
バイクチェンジのタイミングが難しいレース。優勝こそ逃したがペドロサ3位、ドヴィツィオーゾ4位と、Repsol Honda Teamの両選手が厳しいレースをきっちりと戦い抜いた。
以下、Honda勢は、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)10位。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)11位。高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)13位。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)14位という結果だった。
前戦スペインGP後に右腕の手術を行ったエリアスは、ウエットコンディションでは思うようにペースを上げられず14番手までポジションを落とした。しかし、スリックタイヤを装着したバイクに乗り換えてからはリズムを取り戻し、10位でチェッカーを受けた。デ・アンジェリスもウエットコンディションでペースが上がらず15番手までポジションをとしたが、中盤以降ペースを上げて11位でフィニッシュした。
対照的に、ウエットコンディションでペースをつかみ、バイクの乗り換えのタイミングで6位まで順位を上げた高橋は、スリックタイヤになってからペースが上がらず13位。地元大会に気合満点のデ・ピュニエは、序盤からペースをつかめず14位と残念な結果に終わった。
ウエットコンディションで行われた250ccクラスは、24台が出場し完走14台という厳しい戦いとなった。優勝したのはマルコ・シモンセリ(ジレラ)。予選10番手から1周目5番手と好スタートを切ったヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)が今季初表彰台となる2位でフィニッシュした。以下、Honda勢は、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が自己ベストとなる5位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)6位。予選3番手から優勝の期待が寄せられた青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、ペースを上げられず8位に終わった。予選17番手からスタートした富沢祥也(CIP Moto-GP250)はオープニングラップに転倒、再スタートを切ったがピットに戻り、リタイアに終わった。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 47:52.678 |
2 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +17.710 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +19.893 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +20.455 |
5 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +30.539 |
6 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +37.462 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +40.191 |
8 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +45.421 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +50.307 |
10 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +53.218 |
11 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +53.550 |
12 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +56.647 |
13 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +56.688 |
14 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1:11.299 |
15 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:15.385 |
16 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +2Laps |
RT | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +17Laps |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 49:07.591 |
2 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +18.128 |
3 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +21.642 |
4 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +31.087 |
5 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +50.497 |
6 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +56.366 |
7 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +1:16.025 |
8 | 4 | 青山博一 | Honda | +1:22.882 |
9 | 10 |
I.トース | アプリリア | +1:35.556 |
10 | 56 | V.レオーノフ | アプリリア | +1:47.990 |
|
13 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1Lap |
14 | 54 | T.マーカム | Honda | +1Lap |
RT | 48 | 富沢祥也 | Honda | +25Laps |
RT | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | DNS |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 47:08.273 |
2 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +27.084 |
3 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +30.916 |
4 | 38 | B.スミス | アプリリア | +31.530 |
5 | 73 | 中上貴晶 | アプリリア | +1:09.235 |
6 | 77 | D.エジャーター | デルビ | +1:12.223 |
7 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1:13.063 |
8 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1:19.912 |
9 | 18 | N.テロール | アプリリア | +1:40.036 |
10 | 8 | L.サネッティ | アプリリア | +1:42.700 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
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|
|
1 | J.ロレンソ | ヤマハ | 66 |
2 | V.ロッシ | ヤマハ | 65 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 65 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 57 |
5 | M.メランドリ | カワサキ | 43 |
6 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 43 |
7 | C.エドワーズ | ヤマハ | 35 |
8 | C.バーミューレン | スズキ | 31 |
9 | L.カピロッシ | スズキ | 27 |
10 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 26 |
11 | トニー・エリアス | Honda | 21 |
12 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 20 |
13 | J.トーズランド | ヤマハ | 17 |
14 | M.カリオ | ドゥカティ | 16 |
15 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 9 |
16 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 8 |
17 | 高橋裕紀 | Honda | 8 |
18 | N.カネパ | ドゥカティ | 3 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | ヤマハ | 95 |
2 | ドゥカティ | 65 |
3 | Honda | 63 |
4 | カワサキ | 43 |
5 | スズキ | 38 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | A.バウティスタ | アプリリア | 67 |
2 | 青山博一 | Honda | 66 |
3 | H.バルベラ | アプリリア | 48 |
4 | M.シモンセリ | ジレラ | 41 |
5 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 31 |
6 | R.ロカテリ | ジレラ | 30 |
7 | T.ルティ | アプリリア | 29 |
8 | J.クルーゼル | アプリリア | 28 |
9 | G.タルマクシ | アプリリア | 28 |
10 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 27 |
|
14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 20 |
15 | 富沢祥也 | Honda | 14 |
18 | 青山周平 | Honda | 10 |
21 | V.ドゥビーズ | Honda | 3 |
22 | T.マーカム | Honda | 2 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 83 |
2 | Honda | 78 |
3 | ジレラ | 48 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 55 |
2 | B.スミス | アプリリア | 49.5 |
3 | A.イアンノーネ | アプリリア | 46.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 38 |
5 | J.フォルガー | アプリリア | 33 |
6 | S.コルテセ | デルビ | 32 |
7 | P.エスパルガロ | デルビ | 31.5 |
8 | M.マルケス | KTM | 27 |
9 | D.エジャーター | デルビ | 26.5 |
10 | E.バスケス | デルビ | 19 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 87.5 |
2 | デルビ | 45 |
3 | KTM | 27 |
4 | ロンシン | 4 |
5 | Honda | 3 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3位)
「ウエットだった最初の数周はペースも上げられず、ポジションも落とした。そのために早めにピットに戻り、スリックタイヤを装着したバイクに乗り換えることにした。ロッシ(ヤマハ)も同じタイミングだったが、直後はとても滑りやすく、目の前でロッシが転んだことで、より慎重になった。しばらくの間、濡れているところと乾いているところがわからず、この間にかなりタイムをロスした。終盤はいいリズムで走ることができ、最終的にアンドレアをパスすることができた。こんな難しいレースで表彰台に立てて、本当にうれしい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「終盤ペースが上がらず、特に最終ラップのペースが遅かった。しかし、今大会はとても順調な3日間だった。それだけに、表彰台に立てず、チームには申し訳ないと思っている。今日は本当に難しかった。ウエットで十分にテストできていなかったが、ウエットのときのペースは悪くなかった。バイクを乗り換えたときは2位だった。もう少し早くチェンジしてもよかったが、タイミングは悪くなかったと思う。コースに戻ったときは3番手だったし、いいリズムで走れていた。しかし、最終ラップにダニに抜かれてしまった。終盤の彼のペースは、本当にすばらしかった」
トニー・エリアス(MotoGP 10位)
「ファンにとっては面白いレースだったと思うが、我々にとっては厳しいレースだった。スタートはよかったが、ウエットコンディションでは、あまりいいフィーリングではなかった。その後、路面が乾いてきて、スリックタイヤを装着したバイクに乗り換えてレースを戦えたのはラッキーだった。それからは速いラップを刻めた。今日も、腕の力が入らず苦しいレースだったが、それでもリズムある走りができた。腕の状態を考えれば、今日の結果には満足している。このレースをきっかけに、次からはいい結果を残せるようにしたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 11位)
「今大会はセットアップに苦しんだが、決勝に向けて行った変更は、かなり手応えのあるものだった。ウエットコンディションでは、あまりいい走りができなかった。バイクを交換してからも何度も転びそうになったが、ペースをキープすることに全力を尽くした。次第にいいリズムになりペースを上げることができた。期待したような結果ではないが、次のムジェロに向けて大きく前進できたと思う」
高橋裕紀(MotoGP 13位)
「スタートはうまくいかなかったけれど、それからはテンポよく走ることができた。ポジションも上げることができた。そのうち、ピットに入ってバイクを交換する選手が出てきたが、スリックで走るにはまだ早いと思い、レインタイヤで引っ張ることにした。交換のタイミングとしては、決して悪くなかったと思う。ただ、スリックになってからはリズムよく走れず、オーバーランしたことが影響した。終盤はニッキー(ヘイデン、ドゥカティ)とのバトルになったが、抜いても抜き返される厳しい戦いだった」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 14位)
「今日は最悪のレースになってしまった。チームにもファンにも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。今日はレインタイヤで走ったときに、フロントのフィーリングに自信が持てずペースを上げられなかった。その後、スリックを履いたマシンに乗り換えたが、4コーナーでミスをして遅れてしまった。とにかく、レインもスリックもいい走りができず、自分が期待したようなレースができなかった。今日のレースのことは忘れて、次のイタリアGPに向けて気持ちを切り替えたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日は2人のライダーがすばらしい仕事をしてくれた。難しいコンディションのレースでベストを尽くしてくれたことに感謝したい。今日のコンディションの変化を考えれば、3位、4位という結果に満足している。チーム全体のパフォーマンスはとてもよかったと感じている。マシンのセットアップもいい方向に向かっているし、確実に前進していることを感じた。まだ改善しなければならない部分はあるので、次のレースに向けて全力を尽くしたい。3戦連続で表彰台に立ったダニは、チャンピオンシップでトップとの差を大幅に詰めることができた。ダニとアンドレアが、これから優勝争いできるようなバイクを作り上げなくてはいけない。アンドレアは、今回惜しくも表彰台を逃したが、次のイタリアはホームGPなので、さらにいいレースをしてくれることを期待している」
ヘクトル・ファウベル(250cc 2位)
「今日は本当に難しいレースだった。雨が降ったり止んだりで、路面の状況がコロコロ変わったので、最後まで集中しなければならなかった。とにかくリスクを犯さないようにペースをキープすることを心がけた。たくさんのライダーが転んでいたので、同じような運命にならないように全力を尽くした。長い間、表彰台に立てていなかったし、本当にうれしい。このレースをきっかけに、こうした戦いを続けられるようにしたい」
青山博一(250cc 8位)
「スタートしてから全然フィーリングがつかめず、ペースを上げることができなかった。速く走ろうとすると転びそうになり、何回もオーバーランをした。無理をすると転ぶと思ったので、探りながら走っていた。今日は接地感が全然なかったので、止まれない、曲がれないという状態だった。攻めたいけど攻められないという苦しいレースだった。残念な結果だが、こういうレースで8位でフィニッシュできてよかった」
富沢祥也(250cc リタイア)
「すごく滑りやすかった。最初のシケインの出口でアクセルをあけるのが少し早すぎたように思う。初めてのサーキットだったのに、天候が変わり続けたので難しい週末だった。とはいえ、チームはすばらしいし、次戦のムジェロが楽しみだ」