前日に続き、フランスGPの予選は不安定な天候の中で行われた。MotoGPクラスは両セッションともにドライコンディションで行われたが、125ccクラスは、フリー、予選ともにウエットからドライへ。250ccクラスは、フリー走行がドライからウエット。予選がドライと目まぐるしくコンディションが変化した。
両セッションともに天候に恵まれたMotoGPクラスは、周回を重ねるごとに着実にタイムが短縮された。予選では最終ラップまで激しいアタック合戦が繰り広げられ、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が見事、今季初ポールポジション(PP)を獲得した。2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。4番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と続き、初日のフリー走行でトップタイムをマークしたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が5番手。トップから6番手のコーリン・エドワーズ(ヤマハ)までのタイム差が、わずか0.356秒という大接戦となった。
今季初PPを獲得したペドロサは、初日5番手から2日目のフリー走行で2番手に浮上。両セッションともにドライコンディションで走れたことで順調にセットアップが進んだ。予選では、セッション終盤にロレンソ、ストーナー、ロッシらと激しく首位を入れ替えたが、最終ラップのアタックでベストラップを刻んだペドロサがPPを獲得した。ウインターテストで痛めた左ひざの状態も順調に回復し、今季一番の走りを見せた。
初日トップのドヴィツィオーゾも順調にセットアップを進めた。不安定な天候に合わせ、ソフト、ハードの両方のタイヤでレース用のセットアップを行った。予選では、ソフトタイヤでのアタックがやや不発に終わり5番手だったが、ペドロサ同様、今季最高の仕上がりとなった。
初日3番手のランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、この日も快調にラップを刻んだ。しかし、今季ベストグリッドを狙った予選では、セッション開始早々に転倒を喫した。そのため、1号車ほどセッティングが完ぺきではない2号車でタイムアタックしなければならず、10番手に終わった。しかし、レースに向けてのセットアップが順調だっただけに、決勝では地元ファンの期待に応える意気込みだ。
初日11番手のトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は、スペインGP後に行った腕上がりの手術の影響でペースを上げられず、苦しい走りを強いられ、ポジションを上げることができなかった。初日17番手の高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は、フリー走行から予選にかけて大幅にセッティングを変え、タイムを短縮し、15番手へとわずかにポジションを上げた。レースに向けてのセットアップが順調に進んだアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)は、ソフトタイヤでのアタックが決まらず16番手。エリアス、高橋裕紀、アンジェリスは、追い上げのレースに期待される。
250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)がPPを獲得。2番手にマルコ・シモンセリ(ジレラ)。初日のフリー走行で2番手と好調なスタートを切った青山博一(Scot Racing Team 250cc)が3番手。今季3回目のフロントローを獲得した。トップのバウティスタとの差は0.412秒。アベレージでは大接戦となっているだけにスペインGPからの2連勝の期待が膨らむ。チームメートのラファエレ・デ・ロサが7番手。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10番手。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)12番手。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、ミッショントラブルのため思うように周回をこなせず17番手だった。
決勝日も不安定な天候が予想されるフランスGPだが、MotoGP、250ccクラスともに好リザルトが期待される結果だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:33.974 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.005 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.075 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.132 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.326 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.356 |
7 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +0.702 |
8 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.865 |
9 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.034 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.425 |
11 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.457 |
12 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.550 |
13 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.708 |
14 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.767 |
15 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1.800 |
16 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.811 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.162 |
DNS | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1:38.270 |
2 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.382 |
3 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.412 |
4 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.526 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.733 |
6 | 6 | A.デボン | アプリリア | +1.095 |
7 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.097 |
8 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +1.111 |
9 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.241 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.247 |
12 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.397 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.391 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.072 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 93 | M.マルケス | KTM | 1:47.080 |
2 | 45 | S.レディング | アプリリア | +0.093 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.703 |
4 | 77 | D.エジャーター | デルビ | +0.915 |
5 | 6 | J.オリベ | デルビ | +1.005 |
6 | 38 | B.スミス | アプリリア | +1.035 |
7 | 60 | J.シモン | アプリリア | +1.254 |
8 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.428 |
9 | 71 | 小山知良 | ロンシン | +2.233 |
10 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +2.359 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP PP)
「厳しい戦いだったが、PPを取れてうれしい。セッション終盤はいいラップを刻むことができた。フロントローからスタートするのはとても重要だからね。今日は、フリー、予選ともにドライで走れたので、いくつかセッティングを試すことができた。まだ完ぺきではないので、決勝に向けて最後の調整をしたい。明日は長くて厳しいレースになると思う。いいレースをするためにも、ウオームアップでさらにいい状態に仕上げたい。ここのレースは天候が大きなカギを握っている。どんな天候になっても戦えるように準備したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「ソフトタイヤでのアタックが完ぺきだったら、もう少し前のグリッドを獲得できたと思う。しかし、今日はいいリズムで走れたし、レースに向けてのロングランでは、ソフトでもハードでも速いペースで走ることができた。ここは天候が変わりやすく、明日の決勝はタイヤの選択が重要になるので、天候を見定めて決めたい。ウオームアップでさらにセットアップを完全にしたい。このサーキットは好きなので、決勝を楽しみにしている」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 10番手)
「セッションが始まってすぐに転んでしまった。白線の上でブレーキをかけたのだが、おそらく、まだ濡れていたのだと思う。この転倒で時間をロスしてしまった。転んだ後、ピットに戻って2号車で走行したが、完ぺきな走りをすることができなかった。しかし、決勝に向けてセットアップは順調に進んだ。明日はいいスタートを切っていいレースをしたい。トップ6はすごく速い。彼らに続いてフィニッシュするためにもベストを尽くしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 11番手)
「手術をしたばかりの右腕の力が足りなくて、今日は厳しい走りを強いられた。ほかのライダーの後ろについてタイムを出したが、とても厳しかった。フリー走行はあまりいい状態ではなく、昨日のタイムを更新できなかった。しかし、午後の予選に向けて状態がよくなって、タイムを上げることができた。自分もチームも、できることはすべてやった。決勝は少しでも多くのポイントを獲得できるようにがんばりたい」
高橋裕紀(MotoGP 15番手)
「フリー走行は昨日と違うセッティングを試したのだがあまりよくなく、午後の予選は、前回のスペインと同じセットに戻した。それでフリー走行より3秒近くタイムを上げることができた。結果論だが、午前中もこのセッティングで走っていればよかったかなと思った。タイムは上げられたが、スペインで抱えていた問題は、ある程度までタイムが上がってくると変わらなかった。天気がどうなるかわからない。ドライでもウエットでも厳しいレースになると思うが、シングルフィニッシュを目標に全力を尽くしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今年になって初めてのPP獲得となったが、ダニにとって、そしてチームにとってスタッフにとっても、よい一日になった。アンドレアも2列目に並べたし、いいスタートを切れば優勝争いに加われるはずだ。Repsol Honda Teamは今日、すばらしい仕事をしたと思う。しかし、まだマシンの状態は完ぺきではないので、ウオームアップでさらに万全を期したい。ル・マンはHondaファンが大勢いるし、応援してくれる彼らのためにもいい結果を残したい」
青山博一(250cc 3番手)
「順位的にはまずまず。あとは、いいスタートを切って、どれだけタイムをキープできるかにかかっている。そういう意味では1列目からスタートできるのはうれしい。ロングランでは、そこそこのタイムで走れている。ただ、ウエットになったときにどうなるかが少し不安。今年になってウエットで走ったのは、日本GPのフリー走行とウオームアップだけ。明日は天候が自分たちにとって、いい方向に行ってもらえることを願っている」
富沢祥也(250cc 17番手)
「フリー走行でギアにトラブルが出て、ほとんど走れなかった。その影響で予選も最初の15分は走れず、最後の30分だけだった。昨日も転んで30分ちょっとしか走れていないし、それを思えば、今日のタイムとポジションには満足している。今日は1分41秒を切るのが目標の1つだった。それを果たせてうれしい。決勝ではいいスタートを切って、1つでも上の順位でチェッカーを受けたい」