第4戦 フランスGP

フランスGPプレビュー

第4戦フランスGPが、5月15日、ル・マン・サーキットで開幕する。この季節、雨が多いことで知られるル・マン。過去2年、MotoGPクラスはレース中のマシン乗り換えが認められる“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用される難しいレースとなった。タイヤメーカーの戦いが厳しかった一昨年は、レース中に強い雨が降る厳しいレースとなり、ブリヂストン勢が表彰台を独占した。ドライコンディションでスタートし、レース中に雨が降った昨年は、優勝争いを演じていたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が悪天候に翻弄されて4位に終わった。今大会も週末を通じて曇りの予報。不安定な天候をどう克服するかが勝敗のカギを握ることになりそうだ。

第2戦日本GPで3位、前戦スペインGPで2位と、ウインターテストで負傷した左ヒザの状態が回復するにつれて確実にリザルトを上げているペドロサは、今大会は優勝の期待が膨らむ。2003年に125ccクラスで勝ち、04年、05年は250ccクラスで2連勝。MotoGPクラスでは06年の3位が最高位。それ以降は悪天候に翻弄され2年連続で4位に終わっているだけに、今年はMotoGPクラスでのル・マン初制覇に闘志を燃やしている。

ル・マンを得意とするアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今季初表彰台に気合を入れる。250cc時代には3年連続で表彰台に立っている。今年は開幕戦から5位、5位、8位。前戦スペインGPは表彰台争いにからみながら痛恨のコースアウトで大きく遅れた。今大会はその雪辱に挑む大会。レースをこなすごとにRC212Vのセットアップが進んでいるだけに、今季初表彰台に期待がかかる。

ホームGPを迎えるランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、前戦スペインGPで表彰台にあと一歩の4位と好走を見せた。昨年の大会では、難しいコンディションの中で大きくポジションを落とすも、猛烈な追い上げを見せて9位でフィニッシュ、地元ファンを大いに喜ばせた。今年も地元大会に向け、気合満点。スペインGPの好走で勢いに乗るだけに、今季初表彰台獲得に向け気合を入れている。

一方、ここまで厳しい戦いを強いられているアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)とチームメートのトニー・エリアスの2人も、ル・マンは得意とするサーキット。開幕から3戦は不完全燃焼のレースが続いているだけに、今大会から巻き返しを期す。

ルーキーの高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)も、250cc時代の06年にGP初優勝を達成したル・マンで、開幕戦から目標とするシングルフィニッシュを狙う。前戦スペインGPでは終盤にペースを落として12位に終わったが、セカンドグループで見せた熱走を、今大会はチェッカーまでつなげる意気込みだ。

250ccクラスは、青山博一(Scot Racing Team 250cc)を筆頭に、Honda勢の活躍に期待が集まる。前戦スペインGPで今季初優勝、総合でも首位に立った青山は、過去、Honda勢が好成績を残すル・マンでさらにリードの拡大を目指す。このサーキットを得意とするラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)、今季Hondaに乗り換えたラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)とヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)も、今季ベストリザルトを狙う。ルーキーの富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、テストを行っていないサーキットでの初めての大会となるが、チームの地元大会に気迫を見せている。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)

「ヘレスでいいレースができたので、ル・マンがすごく楽しみだ。このコースは好きなサーキットの1つだからね。ただ、ル・マンは天候が不安定で、コンディションにレース結果が左右されることが多いので、ドライになってもウエットになってもいいように、セッティングを決めておかなくてはいけない。今回からセッションが15分間延びたことで、セッティングはもちろん、タイヤの選択も少し楽になった。このサーキットは、ライバルたちがいいリザルトを残している。今回も全力を尽くさなければならない。ここでは、125cc、250ccで優勝しているし自信のあるサーキット。今年こそいい結果を残したい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ (MotoGP ランキング5位)

「ル・マンは大好きなサーキットなので、いつもこの大会を楽しみにしている。ここで自分のリザルトを一歩前進させたいし、マシンのセットアップも進めたい。もてぎとヘレスで表彰台に立ったダニの走りは、バイクのポテンシャルを十分に見せてくれたし、自信になった。これまでル・マンではいつもいい結果を残してきた。今年もそうなることを願っている。ここは、典型的なテクニカルコース。スピードもそれほど速くはない。ここは雨が多いけれど、今年はもう、ずいぶん雨が降ったからね。今回は晴れて欲しい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング7位)

「前回のスペインGPは、ほとんど完ぺきな戦いができた。今回は地元グランプリなので勢いに乗っていきたいが、一段と気を引きしめて戦いたい。シーズンは長い。優勝するためには厳しい戦いが待ち受けるが、チーム全体のモチベーションは高い。3戦を終えて総合7位。これまで以上にいいリザルトを残し、多くのポイントを獲得したい。ここは自分にとってホームGPであり、特別なレースになる。しかし、これまで同様、目標に向かってしっかりと走りたい。ル・マンはとても面白いコース。ブレーキングと、そこからの加速が大好きだ。いいレースができると思っている」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング12位)

「カタールでは6位になれていいシーズンのスタートが切れたと思った。しかし、もてぎとヘレスでは、マシンのセットアップに苦しみ、2度の転倒も経験した。カタールのあと、厳しいレースを行ってきたが、これから自分たちのペースを取り戻せるはずだ。今回からセッションが本来の1時間に戻った。セッティングする時間が増えたことが何よりもうれしい。ル・マンはスターティンググリッドがとても重要になる。もてぎとヘレスは15番グリッドからと厳しいレースになったので、今回は予選でいいグリッドを得たい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング13位)

「ヘレスはとても残念だった。しかし、時間を戻すことはできないし、ここからまた一歩一歩前進していかなければならない。全体的に見れば、確実によくなっているのだが、それをなかなか結果につなげられていない。大事なのは、今回のル・マンでトップとの差を縮めていかなければならないということだ。ル・マンは大好きなサーキット。ハードブレーキングのポイントが多く、自分には合っていると思う。ここはいいバランスが必要になるし、それを見つけなければならない。ここでいい走りができたことも多い。今年もそんなレースにしたい」

高橋裕紀(MotoGP ランキング16位)

「前回のスペインでやっとレースが始まった感じがする。ただ、スペインは、もてぎの転倒の影響で右手の状態があまりよくなかった。今大会の目標は、これまで通りシングルフィニッシュすること。できれば前回のように6位争いに加わりたい。ここまでの3戦は、低速コーナーでうまく走れないのが課題だったし、そういう意味でも、ここでそれを克服できるようなセッティングができればいいと思っている。ここは天気が難しいけれど、いまはすべてが経験になるので、ベストを尽くしたい」

青山博一(250cc ランキング1位)

「ル・マンは好きなサーキット。もてぎに似ているし、今年はもてぎで優勝争いに加われた。前回のヘレスで優勝できたし、今回もいいレースができるようにがんばりたい。3戦を終えて総合首位にいるというのは、正直、うれしい。ここまでの結果は考えていなかった。マシンが熟成しているアドバンテージを生かせていると思う。しかし、アプリリア、ジレラ勢もきっと巻き返してくると思うし、これまで以上にがんばりたい」

ラファエレ・デ・ロサ(250cc ランキング9位)

「ル・マンは決して好きなサーキットではないが、このコースはHondaのマシンに合っていると思うので楽しみにしている。今年はまだ、RS250RWのポテンシャルを完全に引き出しているとはいえないが、すごく楽しく乗れている。今回の目標はトップ6でフィニッシュすること。いいレースにしたい」

富沢祥也(250cc ランキング13位)

「今回はチームの地元なので、チームや応援してくれる人たちの期待に応えたい。開幕から3戦は、テストを経験したコース。もてぎは走り慣れているサーキットだったけれど、今回は、見るのも走るのも初めてになる。ここから先は、初めてのサーキットが続くので、これまで以上にがんばらないといけない。とにかく、転ばないように一周でも多く周回して、決勝で力を出せるようにしたい」