第2戦 日本GP

日本GPプレビュー

ロードレース世界選手権第2戦日本GPが栃木県のツインリンクもてぎで開催される。これまでは、シーズン終盤戦の秋に行われていたが、今年は1999年の大会以来、10年ぶりに春の開催となった。

ナイトレースで行われた開幕戦カタールGPは、予想もしなかった大雨のために、MotoGPクラスの決勝レースが一日順延された。優勝したのはケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。2位にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)という結果だった。Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が5位。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)6位。トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)9位、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)10位と、Honda勢はトップ10に4台が名前を連ねたが、優勝と表彰台を逃す悔しいレースだった。

今大会はHonda勢にとって、何としても勝ちたいレース。5年ぶりの日本GP制覇に必勝態勢で挑む。

開幕戦カタールGPで5位になったドヴィツィオーゾは、125cc、250cc時代からもてぎを得意とし、125ccでは優勝、250ccクラスでは2位表彰台に立っている。Repsol Honda Team入りして2戦目となる今大会は、今季初表彰台を目指すことになる。開幕戦カタールGPでは表彰台争いに絡むも、後半ジリジリ後退して5位と表彰台を逃したが、ワークスチーム入りして気力も走りも充実しているだけに、今大会の活躍に注目が集まる。

Hondaのワークスライダー、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)ももてぎを得意とするだけに、今季初表彰台と初優勝を狙う。ウインターテストで左ヒザを負傷、完ぺきにはほど遠い体調で挑んだカタールGPでは痛みをこらえながら11位に終わった。あれから一週間のインターバルを経てヒザの状態もどんどん回復しているだけに、今大会はどこまでポジションを上げるかが注目される。125cc、250cc時代には優勝を飾っている大好きなサーキット。依然として100%の体調ではないが、本番での快走が期待される。

ルーキーながら、2戦目にして地元グランプリを迎える高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)も気合満点。前戦カタールGPでは15位と苦しい走りを強いられた。しかし、レース中のバトルでMotoGPマシンのブレーキングとフロントタイヤの使い方のコツをつかんだという。今大会は走り慣れているサーキット。カタールで身につけたテクニックを生かし、目標とするシングルフィニッシュを狙うことになる。ウインターテストでは徹底的に走り込んだ。今年はレギュレーションの変更で走行時間が短縮されたが、地元の利を生かし上位に食い込む意気込みだ。

デ・アンジェリスも、もてぎでは250cc時代に表彰台に立っている。開幕戦カタールGPでは、フリー、予選と快調な走りを見せ、決勝でも6位と順調なスタートを切った。得意とするもてぎでは、さらに一歩前進する意気込みだ。デ・ピュニエも、もてぎは思い出のサーキット。2年前の大会では、MotoGPクラス初表彰台となる2位になっている。開幕戦カタールGPでは、やや不完全燃焼の走りで10位に終わっているが、今大会は日本GP2度目の表彰台を狙う。

過去4年、ホームGPで優勝のないHonda勢だが、その要因の一つに、タイヤメーカーの厳しい戦いがある。今年はブリヂストン(BS)タイヤのワンメイクとなり、すべての選手が同じ条件となる。もてぎで圧倒的な強さを見せてきたBSタイヤを使うHonda勢6名の選手の活躍に期待したい。

250ccクラスでは、2005年、06年と2年連続でツインリンクもてぎ戦を制している青山博一(Scot Racing Team 250cc)に、今年は3年ぶりの優勝に期待が集まる。開幕戦カタールGPでは予選2番手、決勝4位。わずかの差で、PPと表彰台を逃しているだけに、今大会はその雪辱を果たす意気込みだ。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も全日本選手権からGPに飛び立っていった選手。日本GPがホームGPとなるだけに闘志満々だ。ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)も、地元日本GPでシングルフィニッシュを目指す意気込みだ。

コメント

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「HRCとHondaにとって、もてぎはホームGPになるので、いい結果を残したい。このサーキットは典型的なストップ&ゴー。ブレーキングとコーナーの立ち上がりが難しい。開幕戦カタールGPで多くのデータを残すことができたし、カタールで学んだことをもてぎで生かしたい。カタールではいくつかの課題を残したが、今回はそれを解消することができればいいと思っている。もてぎはHondaライダーを応援してくれる大勢のファンがいるから楽しみだ」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング6位)

「もてぎは独特なレイアウトだが、とても好きなサーキットだ。得意なのは、トンネルを抜けてからの高速セクション。250cc時代は、ここで多くのライダーを抜いてきた。しかし、スローコーナーのブレーキングと加速は、とても難しい。ここを攻略するために、セッティングをきちんと出さないといけない。カタールではまずまずのシーズンのスタートが切れた。もてぎでは、さらにいいレースにしたい」

トニー・エリアス(MotoGP ランキング9位)

「もてぎは大好きなサーキット。しかも、Hondaのホームコースなので、よけいに気合が入る。しかし、今年は着実に前進していかなければならない。得意なサーキットなので、セットアップが進むことを願っている。もてぎのように、ハードブレーキングを必要とするサーキットは得意だが、カタールでは、そういうコーナーでうまくいかず苦労した。もてぎでは、この問題をきっちりと解消したい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング10位)

「レースが一日延期されたカタールGPでは10位だったが、それほど悪くはなかった。本当なら5位、悪くても8位までに入れると思っていただけに、ちょっと期待はずれだったけれどね。カタールではフロントに課題を抱えていたし、それを改善しなくてはならない。もてぎは、自分の走り方に合っているサーキット。去年はケガをしていたが、それでも12位になることができた。もてぎは2年前にMotoGPクラスで初めて表彰台に立ったサーキット。あの興奮をもう一度味わいたい」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング11位)

「まだ完ぺきではないが、左ヒザの状態は日ごとによくなっている。カタールに比べれば格段の進歩だ。レース中にデ・アンジェリスと接触して痛めたヒジもよくなっている。もてぎのレースに影響はないと思う。とにかく、100%の状態で乗れるようにコンディションを整えることが、今は一番の目標だ。冬のテストもほとんどできなかったので、マシンのセットアップも進めなくてはいけない。もてぎは好きなサーキット。HondaのホームGPなので、いい結果を残したい」

高橋裕紀(MotoGP ランキング15位)

「もてぎをMotoGPマシンで走るのは初めてなので不安はある。でも、よく知っているサーキットなので、今までとは違って、いろんな発見があるような気がする。とにかく、結果よりも、自分の限界を高められるようにしたい。カタールGPでは、実戦を戦うことで多くのことを学べた。それをもてぎで実践し、次のステップを刻みたい。目標はシングルフィニッシュ。いい走りを見せたい。カタールGPで果たせなかった目標を、日本GPで達成したい」

青山博一(250cc ランキング4位)

「去年、一昨年と勝てていないし、悔しい思いをしているので、今年は勝ちにいきたい。シーズン2戦目ということで、地元の強みをいつも以上に発揮できると思っている。それを存分に生かしたい。カタールGPは、PPを逃し、表彰台も逃した。悔しいけれど、思った以上にいい走りができたと思っている。バイクの状態もかなり仕上がってきたし、日本GPでいい流れを作り、ヨーロッパラウンドにつなげたい」

富沢祥也(250cc ランキング12位)

「まだ2戦目だけど、地元日本GPなのでいい走りをしたい。みんなが思ってくれている以上の走りができれば最高だと思っている。今回は、転倒しないこと。完走することが目標。そして、みんなの印象に残るレースをしたい。もてぎは走り慣れているし、自分がどのくらい成長したかを知るチャンス。楽しみにしている」