カタールGP初日のフリー走行は、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がトップタイム。2番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と、ウインターテストで好調だった両選手が上位に並んだ。Honda勢は、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が5番手。アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)8番手。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)10番手。以下、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)12番手、高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)15番手。3月上旬のカタールテストで負傷し開幕戦に復帰を間に合わせたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は18番手だった。
ロードレース世界選手権は、今年からレギュレーションが変更されて、金曜日の走行が3クラスともに1回となった。ナイトレースで行われる開幕戦カタールGP。初日のフリー走行は、午後8時半から125ccが40分間、午後9時半から250cc、午後10時半からMotoGPクラスが、それぞれ45分間で行われた。
Honda勢でトップタイムをマークしたデ・アンジェリスは、このサーキットを得意とする。3月上旬のテストでは、いくつか課題を抱えて思うようにタイムを伸ばせなかったが、その問題を解決して快調にラップを刻んだ。3月上旬のテストでのベストタイムにはまだ届かないが、手応えを感じるスタートとなった。
Repsol Honda Teamからデビューを飾ったドヴィツィオーゾは8番手。トップのストーナーと2番手のロッシには1秒以上の差をつけられたが、3番手以下は接戦。2日目にセッティングを決めて一気に上位に浮上する意気込みだ。
この日は路面コンディションが悪く、風も強かったため、全体的にタイムが伸び悩んだ。10番手のデ・ピュニエも3月上旬のテストでの自己ベストに約1.3秒届かず。12番手のエリアス、15番手の高橋も1秒前後、自己ベストに届かなかった。しかし、2日目には路面コンディションが回復するので、一気にタイムが上がることが予想される。Honda勢のタイム短縮にも期待がかかる。
3月上旬のカタールテストで左手首と左ヒザを負傷。開幕戦になんとか復帰を間に合わせたペドロサは、この日、自身の慣熟走行とライディングポジションなどの確認を行った。そのために順位は最下位18番手だったが、2日目のポジションアップに注目だ。
250ccクラスは、ガボール・タルマクシ(アプリリア)が暫定PPを獲得。青山博一(Scot Racing Team 250cc)はトップから0.444秒差の4番手。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は0.481秒差の6番手とまずまずのスタートを切った。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)10番手。ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)13番手、ルーキー富沢祥也(CIP Moto-GP250)は17番手だった。250ccクラスは、大会直前に2日間の合同テストを行っているが、MotoGPクラス同様、全体的にタイムは伸びなかった。路面のグリップが上がる2日目の予選では、厳しい接戦が繰り広げられることは間違いない。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:57.053 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.386 |
3 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.782 |
4 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +1.219 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.399 |
6 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.415 |
7 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.446 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.453 |
9 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.704 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.718 |
11 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.797 |
12 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.041 |
13 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.105 |
14 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.295 |
15 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +2.384 |
16 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +3.542 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +3.544 |
18 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +4.382 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 28 | G.タルマクシ | アプリリア | 2:01.902 |
2 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.041 |
3 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.294 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.444 |
5 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.481 |
6 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.481 |
7 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.524 |
8 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +0.799 |
9 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +0.862 |
10 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.880 |
13 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.257 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.189 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +6.975 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 2:07:791 |
2 | 38 | B.スミス | アプリリア | +1.032 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +1.374 |
4 | 93 | M.マルケス | KTM | +1.475 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.575 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.792 |
7 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.878 |
8 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +2.084 |
9 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +2.379 |
10 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +2.631 |
コメント
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 5番手)
「Honda勢のトップタイムだったのでうれしい。45分間というのはセットアップするには短く、本当に厳しいが、走り出しからフィーリングはよかった。今日は、3月上旬のテストで抱えていたいくつかの問題を解決できたことで、ほかに比べてタイムはよかった。明日もこのポジションをキープしながらさらに上を狙いたい。今年は去年と違うシーズンにしたい。自分のポテンシャルを発揮できるシーズンにしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「HRCのライダーとして初めての公式セッションだったので、とても緊張した。MotoGPデビューを飾った昨年の大会より興奮した。夜の走行はとても魅力的で、こうしてナイトレースのカタールからシーズンが始まるのがすごくうれしい。バイクは、開幕前の最後のテストになったヘレスに比べてよくなった。今日はレースに向けてセットアップを行った。45分間という走行時間は短いので、有効に使っていかなければならない。バイクの状態はよくなっているけれど、まだ、いくつか解消しなければいけない問題がある。明日のセッションでそれを解決したい」
高橋裕紀(MotoGP 15番手)
「3月上旬のカタールテストに比べて、自分自身がバイクに慣れていることをはっきりと感じた。タイム的には、まだ3月のテストのベストには届いていないが、要所ではよくなっていることを感じた。今日は、新品のツナギを着たのだが、ちょっとサイズが合わず腕上がりの状態になってしまったのが残念。45分間というのは、本当に短い。やりたいことがたくさんあったのに、やり残したことがいっぱいあった。明日は大きくセッティングを振って、いい方向性を見つけたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 18番手)
「今日の目標は、フリー走行を走りきることだった。正直言って、乗った感じはあまりよくなかったが、長い間乗っていなかったのだから仕方がない。まず、スピードとブレーキングポイントに慣れなくてはいけない。ヒザの状態は100%の状態ではない。思ったように曲げられないし、本来のライディングポジションではないので、ぎこちない感じがする。今日は、セットアップをするような走りではなかったし、明日は、もう少しペースを上げて走れるようにしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニは、決してよい状態ではないし、まだ痛みもあるが、45分間のフリーを最後まで走れてよかった。レースに向けてのモチベーションも高く、チーム全体でバックアップしていきたい。今日は最下位だったが、走れるかどうかの確認だけだったので心配はない。明日のフリー、予選、そして日曜日の決勝と、確実にペースを上げていけるようにしたい。ドヴィツィオーゾは8番手だったが、今はマシンのセットアップをしている段階。タイヤの合わせ込みをメインに着実にステップアップしていくはずだ」
青山博一(250cc 4番手)
「初日としてはまずまず。満足のいくポジションではないが、内容は悪くなかった。大会前のテストで課題になったバイクのバランスの問題を今日、解決したかった。セッティングをいくつか試したが、すべて確認することができなかった。ロサイルは、路面コンディションがすぐに変わるので、セットアップが難しい。明日は、もう少しレースで無理の利く状態に仕上げたい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「ウインターテストでは、一日の走行時間が長かったので、今日の45分は、本当にあっという間に終わってしまった。今日は、テストと違うセッティングでスタートした。それが外れてしまったのが痛かった。ライディングのフィーリングは悪くないが、今日は風の影響もあって、テストのときより、まだ3秒近くタイムが遅い状態。今日試したセッティングで方向性が分かったので、明日は大丈夫だと思う。今日は緊張もなく、いつも通りに走ることができた」