モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > 第18戦 バレンシアGP プレビュー
第18戦 バレンシアGP 第18戦 バレンシアGP

バレンシアGPプレビュー

シーズン中にスペインで開催される第3のグランプリとしてスタートしたバレンシアGP。1999年に第1回大会が開催され、今年で10周年を迎える。2002年からは最終戦として定着。ファンの脳裏に刻み込まれる、数多くの名勝負とドラマが繰り広げられてきた。

2006年には、ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)とバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)のタイトル争いの最終決着の舞台となり、ヘイデンが見事にチャンピオンを獲得した。昨年は地元ファンの期待に応えたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝を飾った。過去2年、Repsol Honda Teamが、最終戦に集まった12万人を超えるファンを魅了してきたが、今年もペドロサとヘイデンが、最終戦に並々ならぬ闘志をかきたてられている。

ペドロサは、前戦マレーシアGPで2位。ブリヂストン(BS)にタイヤをスイッチしてから4戦を戦い、2度の表彰台に立った。レースをこなすごとにBSタイヤの特性をつかみ、リザルトを上げているペドロサだけに、最終戦は優勝候補の筆頭に挙げられている。今年は第2戦スペインGP、第7戦カタルニアGPで優勝と、地元スペイン大会でパーフェクトな戦いを見せてきただけに、スペイン3大会完全制覇とバレンシアGP2連勝への期待が膨らんでいる。

Repsol Honda Teamでの最後のレースとなるヘイデンも、ラストランに闘志満々。ロッシと最終戦決着となった戦いで3位表彰台に立ち、チャンピオンを獲得した一昨年の大会は、いまでも多くのファンの脳裏に焼きついている。それはヘイデンにとっても同じであり、「自分にとって特別なサーキット」というバレンシア。Hondaラストランとなる最終戦は今季初優勝を狙う意気込み。ペドロサとの優勝争い、そして、Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュへの期待も大きい。

前戦マレーシアGPで3位になり、MotoGP初表彰台を獲得したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)も、2戦連続表彰台に気合を入れる。来季はRepsol Honda Teamからの参戦が決まっており、今大会は、長年所属した「Team Scot」での最後のレース。同チームでのラストランを、表彰台で飾る意気込みだ。

オーストラリアGP、マレーシアGPと2戦連続5位と上り調子の中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、得意とするバレンシアで今季ベストリザルトを狙っている。250cc時代の2000年には優勝している。最高峰クラスではこれまで表彰台はないが、今季最高の状態で最終戦を迎えた。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も250cc時代の2003年に優勝、2004年に表彰台に立つなど、バレンシアは得意なサーキット。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、250cc時代の過去2年は、優勝、2位と好リザルトを残しているだけに、Honda勢の好走が期待される。

250ccクラスの高橋裕紀(JiR Team Scot 250)とラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も最終戦でベストリザルトを狙う。来季、MotoGPクラスにスイッチする高橋は、前戦マレーシアGPで4位と表彰台にあと一歩に迫った。バレンシアは、これまで表彰台に立ったことはないが、最も得意とするサーキットの1つ。今季3回目の表彰台はもちろん、250ccラストランを優勝で飾る意気込みだ。オーストラリアGP、マレーシアGPと上り調子のウィライローも今大会はベストリザルトを狙う。前戦マレーシアでは、過去最高の予選5番手から、自己ベストタイの8位でフィニッシュした。今大会は、予選、決勝ともに、自己ベストを更新する意気込みだ。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)

「スペインの大会はいつも大勢のファンの声援が大きな力になる。今年もその期待に応えたい。今年も、バレンシアを本当に楽しみにしていた。ここは一周4.005kmと短いサーキットだが、観客にとっては、すべてを広く見渡せるレイアウトなので、そういう点では大きなサーキットなのかもしれない。ここはタイトなコーナーが連続するのでバイクには機敏な動きが要求される。そして、コーナーによってライディングスタイルを変えなければいけない。左回りのコーナーが多いので、タイヤの左側の持ちが厳しく、リアのグリップがここはとても重要になる。最終戦ということもあるけれど、バレンシアの雰囲気は最高だ。当然、モチベーションも高いので、みんなに喜んでもらえるようなレースにしたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「スコット・チームからグランプリにデビューして7年。今回がこのチームでの最後のレースになる。今年は最高峰クラスにチャレンジして、表彰台に立つことを目標に戦ってきた。もっとたくさん立ちたかったが、前回のマレーシアでやっと表彰台に立つことができた。バレンシアは、これまで得意とするサーキットではなかった。今回も表彰台に立つよ、とは簡単には言えないが、最後のレースになるので何としても、チームに表彰台をプレゼントしたい。とにかく、ベストを尽くすつもりだ」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング6位)

「バレンシアは大好きなサーキット。ムードは最高だし、スペインの大観衆の前で走るときは、いつも特別な気持ちになる。そして今回はRepsol Honda Teamで最後のレースなので、これまでとはまた違う気持ちで走る大会になる。このチームで走るようになって6年。僕にとってRepsol Honda Teamは家族のようなものだった。ケンタッキーからヨーロッパに来たときは、まだ21歳。それから6年、一緒に戦ってきた。アメリカ時代を含めて9年間、Hondaファクトリーで戦ってきたが、Hondaが僕に与えてくれた多くのチャンスに、心から感謝している。バレンシアは、自分にとって特別なサーキット。僕にとってもチームにとっても、最高のレースにしたい」

中野真矢(MotoGP ランキング9位)

「あっという間の一年だった。今週がもうシーズン最終戦だとは思えない感じがする。過去2戦、オーストラリア、マレーシアと、いいレースができているので、最終戦は、さらにいいリザルトを目指したい。チャンピオンシップでも、上のランキングを狙える位置にいるので、チャレンジしていく。バレンシアは独特なコースで、250cc時代から大好きなサーキット。今年はまだ表彰台がないので、狙っていきたい。タイヤの選択が難しいサーキットなので、フリー走行からセットアップに集中したい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング14位)

「前回のマレーシアは、まだ完治していない右手首の影響で、レース終盤は厳しい状態だった。バレンシアでは、最後までペースをキープできることを願っている。この競技はベストな体調をキープしなければならない。シーズン最終戦なので、チームが喜んでもらえるようなレースにしたい。250cc時代、ここではいいレースができている。今回もそういうレースがしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング15位)

「GPにデビューしてから、バレンシアは苦手なサーキットだった。しかし、250cc時代の2006年に優勝、去年も2位になっているので、この数年は、得意のサーキットに変化した。ここはタイトなコーナーが多いけれど、ハイスピードコーナーもいくつかある。こういうサーキットで今年はいいリザルトを残してきたし、今回もそうなることを願っている。とにかく来年に向けていい形でシーズンを終えたい。そして来年につながるレースにしたい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「ダニは、オーストラリアで転倒したときに痛めたヒザが、ほぼ完全な状態に戻った。去年のここでの大会から、ダニはスペインでは3レース連続で勝ち続けている。今回も、絶対に勝つという意気込みだ。地元ファンの声援も、大きな力になると思う。ニッキーは、Repsol Honda Teamで最後のレースとなるが、彼がチェッカーを受けるまでチームは全力でサポートしたい。バレンシアは、ニッキーも好きなコース。十分、優勝のチャンスはある。いいレース、いい勝ち方で最後のレースを飾ってほしい。今大会も、チーム一丸となって勝利を目指したい」

高橋裕紀(250cc ランキング5位)

「バレンシアは大好きなサーキット。一昨年に大きなケガをしたサーキットだが、毎年、楽しみにしている。今年は、ここまでベストを尽くしてきたが、みんなの期待に応えるリザルトを残すことがあまりできなかった。自分のミスもあるし、不運なトラブルもあった。しかし、チームは常に全力で僕をサポートしてくれた。前回のマレーシアで4位に終わったときに、最終戦はみんなに喜んでもらえるレースにしようと誓った。自分の走りができれば優勝のチャンスはある。250ccで最後のレース。悔いのないレースにしたい」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング13位)

「バレンシアはいつも最高に盛り上がる大会。雰囲気はいいし、コースレイアウトも好きなサーキットだ。2月のウインターテストでは、あまりいい走りができなかったけれど、後半戦になってから好調なので、今回もいいレースがしたい。金曜日のフリー走行からペースを上げていきたい」