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第16戦 オーストラリアGP 第16戦 オーストラリアGP

オーストラリアGPプレビュー

今年で20回目を迎えるオーストラリアGPの歴史は、1989年、フィリップアイランド・サーキットでスタートした。その後、シドニー郊外のイースタンクリークへと移ったが、97年から再び、フィリップアイランドにGPの舞台は戻っている。

フィリップアイランドは、島内に数々の自然動物園があり、一年を通じて観光客でにぎわっている。昨年は、地元オーストラリアのケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が前戦でタイトル獲得を決めて凱旋を果たし、大いに盛り上がった。今年は前戦日本GPでバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)がタイトル獲得を決め、ここからの3戦は、ストーナーとダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の2位争いに焦点が移っている。

フィリップアイランド・サーキットは、アップダウンに富み、ハイスピードコーナーが多く、これまで数多くの名勝負を生んできた。しかし、天候が変わりやすく、コンディションが安定しないことから、バイクのセットアップとタイヤの選択が難しく、選手たちにとっては厳しいサーキットの1つとして知られている。

前戦日本GPでは、ペドロサが6戦ぶりとなる3位表彰台に立った。第10戦ドイツGPのケガの影響でシーズン中盤戦は厳しい戦いを強いられた。しかし、第14戦インディアナポリスGPからニュウマチックバルブ仕様のニューエンジンで出場、タイヤをミシュランからブリヂストンへとスイッチして2戦目の日本GPで、第9戦オランダGP以来、6戦ぶりに表彰台に立った。ペドロサにとっては、過去、MotoGPクラスでの優勝がないオーストラリアGPだが、ここからの反撃に大いに注目が集まる。15戦を終えて2位のストーナーと3位のペドロサのポイント差は11点。両者のランキング2位争いに注目される。

このサーキットを得意とするニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)の走りにも期待がかかる。第14戦インディアナポリスGPで今季初表彰台。前戦日本GPでは今季3回目のフロントローから5位でフィニッシュした。8月に負傷した右足かかとの状態もかなり回復。ほぼ100%に近いコンディションになっているだけに、今大会は、オーストラリアGP3回目の表彰台と今季初優勝への期待が膨らむ。

前戦日本GPで、来季の「Repsol Honda Team」入りが発表されたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)。日本GPでは序盤の遅れが影響して9位に終わったが、今大会はその雪辱を期す。フィリップアイランドでは、125cc時代に優勝、250ccでは昨年の3位表彰台が最高位。決して得意とはいえないサーキットだが、来季に向けてモチベーションも高く、今季初表彰台に闘志を燃やしている。

中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、オーストラリアGPで今季ベストリザルトを狙う。前戦日本GPでは8位。トップ10入りを果たせなかったサンマリノGP、インディアナポリスGPからは一歩前進も、地元グランプリとしては不本意なリザルトだった。シーズンも残り3戦。得意とするフィリップアイランドでさらに一歩前進する意気込みだ。

チームメートのアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も日本GPでは転倒が続き、決勝でも17位と低迷した。250cc時代、フィリップアイランドでは2度表彰台に立っているだけに、その雪辱に期待大。第13戦サンマリノGPで右手首を負傷したランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、ストップ&ゴーのツインリンクもてぎでは厳しい戦いを強いられた。今大会も決してベストの体調とはいえないが、予選、決勝ともに今季ベストを狙う。

250ccクラスは高橋裕紀(JiR Team Scot 250)が今季3回目の表彰台を狙う。日本GPでは5台に膨れ上がったし烈な6位争いを制した。しかし、地元ファンの前で表彰台に立てなかった悔しさを、フィリップアイランドで晴らす意気込みだ。高橋は、来季のMotoGP参戦が決まり、モチベーションは高く、今大会はオーストラリアGP初表彰台を狙う。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)もホームGPと位置づける日本GPで13位。目標とするトップ10入りを果たせなかっただけに、今大会は今季4回目のトップ10フィニッシュを目指す。


コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)

「ニューエンジンとブリヂストンタイヤで2戦目を迎えた日本GPは、かなりいいフィーリングを得ることができた。今大会はさらに、セットアップが進むだろう。フィリップアイランドで最大の課題は不安定な天候だ。もし天候が崩れたら、かなり厳しい戦いになると思う。フィリップアイランドはペースが速く、路面のグリップもそれほどよくはない。荒れている部分もあって難しい。ここを速く走るためには、アグレッシブなライディングが必要になるし、それをキープしなくてはならない。左コーナーが多く、左側のリアタイヤにも厳しいサーキットだ」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「フィリップアイランドは高いレベルのテクニックが求められる厳しいサーキットだ。天候が不安定で、寒くて風が強いところも難しい。正直、これまで好きなサーキットではなかったが、去年は3位表彰台に立てた。ここのハイスピードコーナーは難しい。このパートでいかにタイムを短縮するかが攻略のカギとなる。日本GPは残念な結果だった。今回は結果につなげたい」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング8位)

「フィリップアイランドは大好きなコース。世界で一番のレーストラックかもしれない。天気がいいときは、いつも最高のサーキットだと思う。ここは、いいリズムで乗れないといけない。乗れていないときは、かなり厳しい状況になる。タイヤにも厳しく、高速コーナーでは、長い時間、エッジのグリップを必要とする。ミシュランとともにいいタイヤをチョイスしていきたい」

中野真矢(MotoGP ランキング10位)

「フィリップアイランドは、前回のもてぎとは完全に性格の異なるサーキット。高速コーナーが多く、ライダーにとって厳しい走りを要求される。いいセッティングも必要で、セットアップが決まれば気持ちよく乗れるコース。シーズンを通じてベストサーキットの1つだと思う。前回のもてぎは残念な結果に終わったが、サンマリノ、インディアナポリスに比べると一歩前進できた。今回もいいレースにしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング14位)

「もてぎのレースが残念な結果だったので、最高の状態でフィリップアイランドに来たとはいえない。しかし、フィリップアイランドは大好きなサーキット。250ccでは何度か表彰台に立っているから、最悪のレースに終わった日本GPの雪辱を果たしたい。ウインターテストで一度走っているので初日からペースを上げていきたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング17位)

「前回の日本GPは、残念な結果に終わった。ケガをしている手首の状態は決してよくなかったし、特に、もてぎのコースレイアウトには、厳しい走りを強いられた。今回も楽観できるコースではないが、もてぎよりは手には優しいコースだと思う。フラストレーションのたまるレースが続いているので、今大会でその雪辱を果たしたい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「ダニは、日本GPから今回にかけて大きなチェンジはなく、基本的にもてぎの仕様で、月曜日のテストで得られたデータを取り込んでいきたい。ダニは、ウインターテストでフィリップアイランドを走っていないので、久しぶりのフィリップアイランドとなる。ここまでの流れは悪くないので確実にセットアップを進めていきたい。ニッキーも大きな変更もなく、ダニ同様、確実にセットアップを進めていく。ウインターテストのときとバイクのスペックは違うけれど、テストのデータを生かし、速いテンポでセットアップを進めていく。チームのモチベーションは高いし、残り3戦、優勝を目指していきたい」

高橋裕紀(250cc ランキング7位)

「フィリップアイランドは好きなサーキットではないが、今年はライディングスタイルを変えて、そういったコースをたくさん攻略してきたので、今回もどんな印象になるのか楽しみにしている。来年はMotoGPクラスにチャレンジすることになる。ここからの3戦、いいレースをしてランキング5位を狙いたい」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング14位)

「去年は19位という厳しいリザルトだったが、今年は4回目のトップ10フィニッシュを狙いたい。チームのモチベーションは高く、全力を尽くしてくれている。それに応えられるようなレースにしたい」