日本GPプレビュー
ハリケーンの直撃を受けた第14戦インディアナポリスGP。雨と強風で大荒れとなった大会から2週間、グランプリの舞台は、いよいよツインリンクもてぎへ移る。Hondaにとっては必勝体制で挑むホームGP。今年は4年ぶりの日本GP制覇を目指す。
昨年は、金曜日、土曜日と35℃前後の最高気温をマークする猛暑となったが、決勝日は断続的に雨が降る難しいレースとなった。MotoGPクラスは、レース中にバイクを乗り換えることができる“フラッグ・トゥ・フラッグ”ルールが適用され、波乱の展開となった。
その予選でPPを獲得したダニ・ペドロサと予選3番手につけたニッキー・ヘイデン。ともにフロントロー・スタートと優勝の期待が寄せられたRepsol Honda Teamの両選手だったが、トップ争いを繰り広げたペドロサは転倒リタイア、ヘイデンも9位と悔しいレースに終わっている。あれから一年、今年はその雪辱を期す戦いとなる。
前戦インディアナポリスGPから、ペドロサはニュウマチックバルブ仕様のニューエンジンとブリヂストン(BS)タイヤでレースに挑んでいる。インディアナポリスでは、レース用タイヤでは好調な走りを見せるも、初めて経験するBSの予選用タイヤのアタックでは8番手。雨になった決勝レースも、初めて経験するBSのレインタイヤで実戦に挑んで8位と、天候に翻弄された。しかし、今大会はニューパッケージで挑む2戦目のレース。125cc、250cc時代からもてぎではすばらしい走りを見せてきた。今大会は今季3勝目と、3クラス制覇を狙う大会となる。
ヘイデンは、地元インディアナポリスで、今季初表彰台となる2位に入った。8月に負傷した右足のかかとは依然として完全な状態ではないが、ペドロサと並んで、今大会は優勝候補の一角。MotoGPクラスでデビューを飾った03年に3位。以来、もてぎではなかなか表彰台に立てないでいるヘイデンだが、上り調子で迎える今大会は、Repsol Honda Teamの両選手そろっての表彰台が期待される。
また、ホームGPを迎える中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、今季初表彰台に闘志を燃やしている。第12戦チェコGPからニュースペックのマシンで実戦に挑み、そのデビュー戦で4位。その後、第13戦サンマリノGP、第14戦インディアナポリスGPと苦戦しているが、今大会は知り尽くしているコース。地元の声援を追い風に、今季ベストリザルトとなる表彰台入りを狙う。グランプリが開催されて今年で10年目を迎えるツインリンクもてぎ。第1回大会となる1999年にGPへのフル参戦を開始して、この年の250ccクラスでGP初優勝を達成している中野だけに、今大会は大きな注目を集めそうだ。
中盤戦以降、確実にトップグループに迫る走りを見せるアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)も大いに注目を集めそうだ。ドヴィツィオーゾは、125cc、250cc時代からもてぎを得意としている。前戦インディアナポリスGPではオープニングラップにトップを快走。最終的に5位に終わったが、今、最も勢いのある選手。今季初表彰台への期待が膨らむ。
ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、今季初表彰台に闘志を燃やす。フラッグ・トゥ・フラッグが適用された昨年は、難しいレースを冷静に走り抜いて2位表彰台を獲得している。今年は2年連続表彰台を狙う。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、もてぎを得意とする。課題となっている予選タイヤのアタックがうまくいけば、今季初の表彰台が現実的なものとなる。前戦インディアナポリスGPで来季の継続参戦が発表された両選手。気力充実のレースを見せてくれそうだ。
前戦インディアナポリスGPでは、ハリケーンの影響でレースがキャンセルされた250ccクラス。ホームGPを迎える高橋裕紀(JiR Team Scot 250)とラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は、前戦のうっぷんをもてぎで晴らす意気込みだ。今季、安定した走りを見せる高橋は、日本GPでは優勝候補の一人。雨になった昨年の大会は、トップを走りながらタイヤの消耗で4位に終わっているだけに、今年はその雪辱戦となる。フル参戦してから地元で表彰台がない高橋は、「今年は絶対に立つ」と気合満点だ。ウィライローは、全日本選手権から世界に羽ばたいていった選手。日本GPが事実上のホームGPとなるだけに今季ベストリザルトを狙う。 |