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第14戦 インディアナポリスGP 第14戦 インディアナポリスGP

インディアナポリスGPプレビュー

第14戦インディアナポリスGPが、9月12日から14日の3日間、インディアナポリス・モータースピードウェイで開催される。一部にオーバルのトラックを使用しつつ、サーキットのインフィールドに新設されたコースは、左回りの一周4.216km。左コーナーが10、右コーナーが6つ。低速と高速コーナーを組み合わせたテクニカルコースで、メインストレートは644m。世界最大の4輪レースイベント、Indy500で有名なインディアナポリスでのMotoGP初開催に、大きな注目が集まっている。

今大会は、すべての選手が初めて経験するサーキットとなるため、フリー走行の時間が延長される。タイヤメーカーはすでにニューコースでのテストを行い、今大会に向けて準備を進めてきた。開幕前日の木曜日は30℃近くまで気温が上がる絶好のコンディション。初開催となるインディアナポリスGPでは、前戦サンマリノGP同様、3日間好天に恵まれることを全選手が願っている。

その中で、今大会、最も注目を集めるのがRepsol Honda Teamの両選手。自宅からインディアナポリスまでクルマで3時間というニッキー・ヘイデンにとっては、まさにホームGPとなる。今年のIndy500開催時には、30万人を超える大観衆を前に、オーバルコースでRC212Vによるデモランを披露、地元ファンの大きな声援を集めた。

ヘイデンにとっては、ラグナセカに続くアメリカ2度目のグランプリ。サマーブレイク中に負傷した右足も順調に回復している。復帰戦となった前戦サンマリノGPは残念ながら決勝をキャンセルしているが、今大会はヘイデンが主役を務めそうだ。

チームメートのダニ・ペドロサも、今大会は大きな注目を集めている。今大会から最終戦までの5戦、ペドロサはブリヂストンタイヤを使用する。すでに、前戦サンマリノGP後にブリヂストンタイヤの初テストを行い、順調にセットアップを進めた。また今大会は、ヘイデンに続きニュウマチックバルブ仕様のエンジンを実戦に投入する。前戦サンマリノGPでは4位と、7月のドイツGPで痛めた左手も順調に回復して、久しぶりの快走を見せた。初めてのコースと初めてのタイヤ、ニューマシンで挑む今大会。ペドロサの巻き返しに期待が高まる。

13戦を終えて総合5位につけるルーキーのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)も開幕を待ちきれない様子だ。初体験となったラグナセカでの第11戦アメリカGPでは、今季ベストリザルトタイの4位でフィニッシュ。ニューサーキットへの高い順応性を見せているだけに、今大会も注目を集めそうだ。

第12戦チェコGPから、ニューマシンを手にした中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も気合満点。チェコで今季ベストリザルトとなる4位。前戦サンマリノGPでは車体とタイヤのマッチングに苦戦して12位に終わったが、今大会は今季初表彰台を狙う。チームメートのアレックス・デ・アンジェリスも、ここまで4位が2回。念願の初表彰台にあと一歩と迫っているだけに、すべてのライダーが同じ条件で挑む今大会に闘志満々。前戦サンマリノGP後のテストでは、これまで課題になっていた予選タイヤのアタックで前進しているだけに注目したい。

シーズン中盤戦に入ってフリー走行、予選ですばらしいパフォーマンスを見せているランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、今大会は今季初表彰台に意欲を見せる。予選のパフォーマンスを決勝になかなかつなげられないというフラストレーションを、初開催のインディアナポリスで晴らす意気込みだ。

250tクラスは、前戦サンマリノGPで今季2度目の表彰台に立った高橋裕紀(JiR Team Scot 250)が、2戦連続の表彰台に気合を入れる。次戦日本GPに向けてチームのモチベーションも高く、インディアナポリスGP、日本GPと連続表彰台と今季初優勝を狙う。ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も中盤戦に入って上り調子。高橋同様、インディアナポリスGP、日本GPと2戦で今季ベストリザルトを狙っている。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)

「初めてのサーキットなので、それほど多く語ることはできないが、今大会は我々にとってとても重要なレースになる。サンマリノGP後のニューエンジンとブリヂストンのテストは、とても順調だった。テストのあとも、今回に向けてデータの分析など十分に準備をしてきた。今回は、初めてのサーキット。そして、新しいタイヤ、新しいマシンで走ることになるので、決勝に向けて全力でセッティングを進めたい。ドイツでの左手のケガのために7月のラグナセカは決勝を走れなかったので、今回はアメリカのファンにいいレースを見せたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位)

「今回は初めてのサーキット。今はコースの知識もそれほどなく、あまり多くは語れない。しかし、初めて経験したラグナセカを順調に攻略できたので、それほど心配はしていない。いつもミシュランにはいいサポートをしてもらっているが、今回も期待している」

中野真矢(MotoGP ランキング8位)

「今大会は、ライダー全員が初めてのサーキット。いかに早くコースを覚えるかが大きなポイントになる。サーキット入りした日にすでに下見をしたが、低速、高速コーナーとバリエーションに富み、難しい印象だった。とにかく、金曜日にテンポよくセッティングを進めて、土曜日の予選で好グリッドを獲得して決勝に挑みたい」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング11位)

「今大会は、すべてのライダーにとって大きな挑戦になる。ニューコースは、オーバルコースの中にあるのでそれほど壮観な印象はないが、インディは長い歴史と伝統を誇るサーキット。レースを盛り上げることを知り尽くしているだけに、すばらしい大会になるはずだ。インディアナポリスは、自宅から車で3時間の距離にある。地元グランプリなので、とても興奮している。右足の状態はまだ完ぺきではないが、かなりよくなっている」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング13位)

「前戦サンマリノGP後のテストで、課題だった予選タイヤのテストに集中して、かなり前進することができた。ほかにもいくつかのニューパーツを試したが、それにも手応えを感じた。今回は初めてのサーキットでのレースになるが、いいグリッドを得たい。今大会を前にチームと来季の契約を交わした。MotoGPマシンで速く走れることをチームが認めてくれたことに感謝したい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング16位)

「初めてのサーキットなので、どれだけ早くセットアップを決めるかが重要になる。中盤戦に入って、セッティングの進め方は順調で、予選ではいつもいいグリッドを獲得している。今回も、そうなることを願っている。コースはところどころタイトなコーナーがあり、それほどアベレージも高くなさそうだ。とにかく金曜日の走行を楽しみにしている」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「ダニは、今回から違うメーカーのタイヤを使う。前戦サンマリノGP後にミサノで約5時間の走行を行い、テストの内容も悪くなかった。しかし、実戦でのデータがないので、慎重に確実にセットアップを進めたい。ダニ自身もすごく気合が入っている。ライダーが空回りしないように配慮していきたい。今回は、ダニもニュウマチックバルブ仕様のエンジンを使う。限られた時間を有効に使っていきたい。ニッキーは、足の状態が前回よりかなりよくなっている。まだ完全ではないが、ホームGPなので気合いで走ってくれるはずだ。足の痛みをカバーしてあげられるよう、全力でサポートしていきたい」

高橋裕紀(250t ランキング7位)

「初開催のレースなので、みんなにチャンスがあるのでがんばりたい。正直、なにもかもが初めてなので、全く流れが読めない。初めてのサーキットは、初日が重要なので、テンポよく走って、コースを攻略して、セッティングを進めたい。これまで初めてのサーキットでの自分の走りは、特別よくもないが、悪くもないという印象。しかし、終盤戦に入って気持ちよく乗れているので、今回もいけそうな気がしている。気負わず、しっかりと走りたい」

ラタパーク・ウィライロー(250t ランキング14位)

「みんな同じだと思うが、何もインフォメーションがないので、いまは多くを語れない。しかし、この数戦、バイクの状態はいい。気持ちよく乗れているので、今回のレースも楽しみにしている。みんな同じ条件なので、目標は絶対にトップ10入りすること。いまは総合14位だが、前の2選手と接戦なのでランキングを上げるチャンスなのでがんばりたい」