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第11戦 アメリカGP

アメリカGPプレビュー

第10戦ドイツGPから2週連続開催となる第11戦アメリカGPが、カリフォルニア州モントレーにあるラグナセカ・レースウェイで18日に開幕する。今年もMotoGPクラスのみの開催となり、サポートレースでAMAシリーズが行われる。

ラグナセカは、一周3.610km。シーズンを通じて最も距離の短いサーキットだが、アップダウンに富み、中高速コーナーが連続する高速テクニカルコース。上り急こう配のストレートの頂上から急降下するS字コーナー「コークスクリュー」は、世界的にも有名だ。

ラグナセカは、2005年に11年ぶりにグランプリカレンダーに復活した。この年は地元の期待に応えてニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)がMotoGP初優勝を飾り、翌06年には2連覇を達成、2位ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、3位マルコ・メランドリ(現在ドゥカティ)とHonda勢が表彰台を独占、すばらしい成績を残した。

昨年はブリヂストン勢が表彰台を独占。ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が優勝、2位にクリス・バーミューレン(スズキ)、Honda勢では、ブリヂストンユーザーだったメランドリが3位表彰台に立った。ミシュラン勢は苦戦して、ペドロサ5位、3連覇を狙ったヘイデンはスタート直後の接触でブレーキを破損、リタイアという残念な結果に終わっている。

その雪辱に闘志を燃やすヘイデンは、地元アメリカGPで、今季初表彰台はもちろん、2年ぶり3度目となるアメリカGP制覇を目指す。雨となった前戦ドイツGPでは、予選までの好調を結果に反映できず13位という悔しいレースに終わった。シーズン途中から投入したニュウマチックバルブ・エンジン搭載マシンで参戦するのは今大会が4戦目。地元の大声援とニューエンジンのパフォーマンスを追い風に、今大会は優勝を狙う。

前戦ドイツGPでトップを快走しながら痛恨の転倒を喫し、左手を負傷したペドロサは、地元スペイン・バルセロナの病院で検査と治療を受け、水曜日にモントレー入りした。医者から出場する同意を得ての参戦。一昨年は2位表彰台、昨年はブリヂストン勢が上位を独占する中で5位と健闘しているだけに、今大会のペドロサの走りに大きな期待がかかる。

前戦ドイツGPで今季ベストリザルトの4位でフィニッシュしたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)にも注目だ。ドイツGPが行われたザクセンリンクとラグナセカは、アップダウンに富み左コーナーが多いという点で共通点が多い。こうしたレイアウトが「大好き」と語るデ・アンジェリスだけに、イタリアGP、ドイツGPの4位を越えるベストリザルトが期待される。

前戦5位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)も、ラグナセカは初めて走るサーキットとなる。しかし、初コースを得意とするドヴィツィオーゾ。シーズン中盤に入って安定したリザルトを残しているだけに、初体験というハンディキャップを感じさせない好走を見せる可能性は高い。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も昨年の大会では6位と好走しているだけに、今季ベストリザルトへの期待は大きい。今年は不運な事故や転倒などで、予選の好パフォーマンスを結果につなげられていないだけに、前半戦の締めくくりとなるアメリカGPに闘志を燃やす。

シーズン中盤戦に入って、確実にマシンのポテンシャルを引き出している中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、今大会は今季ベストリザルトへの期待が膨らむ。昨年の大会では、ブリヂストン勢が好走して表彰台を独占している。今年はミシュラン勢の反撃は必至の状況だが、Honda勢でブリヂストンを使う、中野とデ・アンジェリスの走りに注目される。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位)

「医者の同意を得てアメリカGPに出場することを決めた。決して容易なことではないし、金曜日のフリー走行を走ってみないとわからない。しかし、ベストを尽くしたい。ラグナセカは、上りも下りもきつく、昔のスタイルのサーキット。100%の体調でも厳しいサーキットだが、全力でサポートしてくれるすべての人の期待に応えたい。このサーキットは、ライダーを尊敬してくれるすばらしいファンも大勢来てくれる。ファンのためにもいいレースを見せたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング6位)

「昨年は、サンフランシスコに休暇で訪れ、ラグナセカのレースを見た。このサーキットは、コークスクリューをはじめ、ヨーロッパにはない独特なコーナーが多い。難しいと思うが、初めてのサーキットは大好きだし楽しみにしている。どんなレースができるのか、いまは何とも言えないが、いいリザルトを残して夏休みを迎えたい」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング8位)

「先週は不運なレースだったが、今週のラグナセカに向けてとてもエキサイトしている。金曜日から日曜日までいい走りができるようにしたい。そして、どんな状況でも、全力を尽くしたい。ラグナセカは、決して大きなサーキットではないが、すべてのコーナーが、続くコーナーに影響していく。たとえば、コークスクリューでミスをすると、そこから先、3、4のコーナーに影響がでる。ここはとてもテクニカルなコースで大好きだ。ホームGPはいつだって特別。今年で4年目の大会になるし、ホームだからといってアドバンテージはない。去年は苦しいレースだった。ミシュラン勢にとって難しいレースの1つだったからね。今年はミシュランがどのくらい進歩しているのか、それを知るのも楽しみだ」

中野真矢(MotoGP ランキング10位)

「初めてコークスクリューを走ったときは本当に驚いた。しかし、年々、このコーナーを攻略できている。このサーキットで速い選手は、コークスクリューでタイムを稼いでいるからね。深いブレーキング、素早くマシンの向きを変え、なおかつ、スムーズに走らなければいけない。ここは好きなサーキット。しかし、昨年は車体とタイヤのマッチングに苦しんでいいレースができなかった。昨年はブリヂストンが表彰台を独占しているサーキット。今年はどうなるかわからないが、タイヤのアドバンテージを生かせるレースをしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング12位)

「昨年、MotoGPのレースに見るためにラグナセカに来て、スクーターで何周かしているけれど、レース用バイクでラグナセカを走るのは初めてだ。誰もが話題にするコーナー、シーズンを通じて最も有名な“コークスクリュー”を経験するところからアメリカGPはスタートすることになると思う。今回は自分の中に何もデータがないので、前回のドイツGPのベースセッティングから始めることになるが、恐らく、そう簡単ではないと思っている。しかし、ラグナセカは、ザクセンリンクに似ているサーキットで、自分のライディングスタイルには合っていると思う」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング17位)

「今年もシーズン前半戦が終わろうとしている。ここまで、予選ではいい走りができているのに、決勝では思うような結果を残せていない。オランダもドイツもアンラッキーなレースだった。ラグナセカは思いきりのよさが必要になる。昨年、ここで6位になっているし、好きなサーキットだ。06年には、Hondaはここで表彰台独占を果たしている。前回のドイツもHonda勢は好調だったし、予選まではその可能性があった。今回もいいレースができると思う。そして自分もベストリザルトを狙いたい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「アメリカGPに出場することになったダニのケガの状況だが、今日(木曜日)、出場に向けて準備を行ったところ、左手、右足の操作は、シート合わせの段階では問題なかった。しかし、実際に金曜日の走行を終えた状況を見て、出場できるかどうかなど判断していきたい。今日はダニのファイティングスピリットを強く感じた一日だった。チーム一丸となってダニをサポートしていきたい。ニッキーは、母国GPということで当然気合の入るレースになる。この数戦、結果につながらないレースが多かったが、今回は、表彰台はもちろん、優勝を狙っていきたい」