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第7戦 カタルニアGP 第7戦 カタルニアGP

カタルニアGPプレビュー

今季初の2連戦。イタリアGPからわずか4日のインターバルで第7戦カタルニアGPが始まる。カタルニア・サーキットが完成したのは1991年。翌年から94年までの3年間は「ヨーロッパGP」として開催され、95年から「カタルニアGP」となった。カタルニアでは今年で通算17回目の開催となる。

当地バルセロナでは、モンジュイック(公道)でグランプリが行われていた61年のスペインGPで、125ccクラスのトム・フィリスがHonda初優勝を達成、この年のシリーズチャンピオンに輝いている。現在は、郊外のカタルニア・サーキットへとグランプリの舞台は移ったが、Hondaにとってはバルセロナで行われるグランプリは記念すべき大会。カタルニアでの過去16回の大会では最高峰クラスで通算7勝。Hondaとしては決して勝ち星の多いサーキットではないが、アレックス・クリヴィーレ、カルロス・チェカなど、地元バルセロナのライダーが優勝、大会を盛り上げてきた。過去5年は優勝を逃しているだけに、今年は必勝体制を敷く。

現在総合2位のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、バルセロナ出身。今季、スペインではグランプリが3大会行われるが、今大会こそ地元グランプリと呼ぶに最もふさわしい。最高峰クラスデビューの2006年はスタート直後の多重クラッシュに巻き込まれて結果を残せず。昨年は優勝争いに加わるも3位表彰台。過去2年、地元ファンの声援に応えられていないだけに、闘志を燃やしている。ペドロサは125ccと250ccクラスでは、カタルニアで優勝を果たしている。MotoGPクラスで勝てば、第2戦スペインGPに続き、2つ目の全クラス制覇を成し遂げる。前戦イタリアGPでは、地元ファンの声援を追い風に快走するバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と、ムジェロをホームコースとするドゥカティのケーシー・ストーナーに届かず3位。悔しい結果に終わっているだけに、今大会は、地元ファンの声援を武器にライバルたちを突き放す意気込みだ。

ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)も今大会は、今季初表彰台、初優勝に向けて気合十分。イタリアGPでは、予選6番手から好スタートを切るも、マシンの不具合で13番手に沈んだ。カタルニア・サーキットは、ヘイデンが得意とするサーキットの1つ。チャンピオンを獲得した06年には2位表彰台に立っている。

その2人の意気込みに応えようと、HRCはニュウマチック(pneumatic)バルブ仕様のエンジンを搭載したRC212Vの開発を進めている。前戦イタリアGPでは元GPライダーでHRCテストライダーの岡田忠之が、実戦テストのためにワークスチームRepsol Honda Teamよりワイルドカード参戦した。

前戦イタリアで今季ベストリザルトとなる4位に入ったアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、250cc時代の昨年、2位表彰台に立っている得意のサーキットだけに初表彰台を狙う。チームメートの中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、前戦イタリアで第2戦スペインGP以来となる9位。カタルニアGPでは250cc時代の2000年に3位表彰台、最高峰クラスでは01年に4位、03年に5位と好結果を残しているサーキット。開幕戦から掲げている「まずは6位」の目標を達成する意気込みだ。

先週、地元イタリアで好スタートからじりじり後退して8位という不本意な結果に終わっているアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)は、250cc時代には、05年に3位、06年に優勝している得意なサーキット。ここからの巻き返しに闘志と自信を見せている。イタリアで転倒リタイアのランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、250cc時代の03年にカタルニアで初優勝を達成、04年に2年連続優勝という思い出深いサーキット。最高峰クラスでも昨年カワサキで5位に入っているだけに、ここからの復活に闘志を燃やす。

250ccクラスも、高橋裕紀(JiR Team Scot 250)とラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)の2選手が、今季ベストリザルトに挑む。高橋は過去3戦、表彰台争いに加わりながら、トラブルや転倒で表彰台を逃している。悔しいレースが続いているだけに、今大会は今季2回目の表彰台を目指す。バルセロナをベースにグランプリを戦うウィライローも、今大会は事実上のホームGP。地元ファンの声援の中でベストリザルトを狙う。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位)

「今週は自分にとって大事なレースになる。ここではいつも地元ファンの声援を感じるし、ファンのおかげでここまで成長してこられたと思っている。もちろん、サーキットの雰囲気は特別なもので、いつも熱狂に満ちている。ファンの期待に応えられるよう全力を尽くしたい。このサーキットは好きなコース。特に左コーナーから下って、左から右のシケイン、そして上り坂から右に抜ける区間が大好きだ。ストレートは長く、このサーキットはバイクにも速さが要求される。路面はF1の影響でバンピー。タイヤのパフォーマンスをキープするのが重要になる。今回、ニューエンジンを使うかどうかの最終決断は、ギリギリになる。新しいエンジンのセットアップをするのは、簡単ではないからね」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング7位)

「先週のムジェロの雪辱を果たすために、バルセロナへ向かう。このサーキットは、過去いいレースをしてきたし、大好きなコース。今回は初めてのMotoGPクラスでの戦いとなるが、いいレースができると信じている。そして、総合ランクを再び上げるチャンスだと思っている。このサーキットは、高速のロングコーナーで車体とタイヤのいいバランスを見つけなければならない。ここまでのレースは、あまり期待に応えられていない。リカバリーを始めるのにバルセロナは、いいサーキットだと思っている」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング9位)

「このサーキットは大好きだ。ほとんどのコーナーは、マシンをバンクさせている時間が長く、タイヤのエッジグリップが必要とされる。特に右コーナーは重要だ。同時にマシンのハンドリングも重要になる。コース終盤の2つのコーナー。右コーナーから坂を下り、さらに右コーナーからストレート。この2つのコーナーはストレートのスピードにも影響するし、この2つのコーナーは特に好きだ。しかし、1コーナーのシケインはタイトなので、ここでは予選グリッドがとても重要になる。とにかくいいグリッドを得なければならない」

中野真矢(MotoGP ランキング10位)

「カタルニアは好きなサーキットの1つ。過去、ここではいい結果を残して来ているので、今年もここではいいレースをしたい。前回のイタリアは9位だったが、前を走る選手たちとそれほど離れていなかった。車体のセッティング、タイヤのチョイスをしっかりやって、まだ果たせていないトップ6を目標に全力を尽くしたい。バルセロナは3年住んでいて友人も多いので、みんなの声援に応えたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング13位)

「先週のレースは100%持っている力を出せたと思う。スタートは悪かったが、そこから自分でも信じられないくらい追い上げることができたからね。今年はウインターテストでいい結果を残していたにもかかわらず、それを結果につなげるのにイタリアGPまでかかってしまった。ムジェロは、初めてレースで自分の力を出せたと思うし、チームのモチベーションも高い。去年、250ccで2位なっている。しかも6回連続表彰台に立ったうちの1回がここだった。MotoGPとは比較できないが、ここからそういうレースができるようにしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング16位)

「カタルニアは大好きなサーキットの1つ。ここでは250cc時代に、LCRチームで2度勝っているし、いい印象ばかりだ。ストレートは長く、エンジンの速さが要求される。しかしインフィールドは自分のライディングスタイルに合っていると思う」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「ニューエンジンを使うかどうかは、いま開発チームと話し合っている段階だ。木曜日の時点で最終的に判断したい。ここはタイヤに厳しいサーキット。早めにタイヤを決めて早い段階でレース用の仕様をフィックスしたい。この3戦、ロッシに負けている。ストーナーも調子が出てきた。厳しい戦いになるのは覚悟しているが、少しでも優位に立てるようにマシンのセットアップに全力を尽くしたい」

高橋裕紀(250cc ランキング6位)

「カタルニアは、これまであまりいい思い出はないが、今年はここまでまずまずのレースができているし、今回もいいレースができると信じている。先週のムジェロは、終盤にペースを落とし、最後は転んでしまった。残念なレースだったし、今回は、ムジェロで落としたポイントを少しでも取り戻したい。今年は乗り方を変えて、それが結果につながっている。今回も厳しいレースになると思うがベストを尽くす」

ラタパーク・ウィライロー(250cc ランキング13位)

「先週のイタリアは、体調もよく、レースの内容もよかった。去年のカタルニアは苦戦してポイントも取れなかった。今年はポイントを取る自信がある。ここは自分にとってホームGP。チームためにもいい結果を残したい」