モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > 第6戦 イタリアGP プレビュー
第6戦 イタリアGP 第6戦 イタリアGP

イタリアGPプレビュー

今季初の2連戦。その最初のレースとなる第6戦イタリアGPが、30日、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開幕する。ムジェロは、一周5.245km。起伏に富んだハイスピードコースで、昨年の大会では、オーストラリアGPの行なわれるフィリップ・アイランドに次ぐ169km/hというアベレージを記録した。下り勾配の最終コーナーから約1.1kmのロングストレートで繰り広げられる超高速のバトル。フィニッシュラインを6速で駆け抜けるために、最終ラップの駆け引きが大きな見どころとなる。

ムジェロは1976年に初めてグランプリが開催された。当時のイタリアGPは、モンツァ、イモラなど、いくつかのサーキットの持ち回り開催で、80年代には、イタリアGPだけでなく、サンマリノGPの舞台となった。そして、91年に全面改修を受けた新サーキットが完成。この年にサンマリノGPが開催され、94年以降は、イタリアGPの舞台として定着した。この16年間でHondaは最高峰クラスで通算11勝。過去4年はバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が優勝しているが、今年は5年ぶりの優勝を目指す。

前戦フランスGPで優勝争いに絡みながら、惜しくも4位に終わったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)にとっては、第2戦スペインGP以来、4戦ぶりの優勝を狙う大会となる。フランスGP終了後のル・マンでは、今大会に向けてニューパーツのテストを行い、手ごたえを感じ取っている。ムジェロでは250cc時代の05年に優勝している。昨年は優勝まであと一歩の2位。今大会はMotoGP初のイタリアGP制覇を目指し、連戦となる地元での第7戦カタルニアGPに向けて一気に攻勢をかける意気込み。前戦フランスGPの4位で、ホルヘ・ロレンゾ(ヤマハ)と同ポイントの3位へと総合ランクを落としているが、首位のロッシとの差も、わずか3ポイント。この2連戦で首位奪還を目指す。

前戦フランスGPで8位に終わったニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は、一昨年の大会で3位表彰台に立っている。「ムジェロの熱狂的な雰囲気が大好き」と語るだけに、今季初表彰台と初優勝を狙う。フランスGP後のテストでは徹底的に走り込んだ。ムジェロ入りする直前には、アメリカ・インディアナポリスで開催されたカーレース、Indy500でRC212Vのデモランを行い、9月に開催されるMotoGPのPRを行った。地元アメリカで30万人を超える大観衆の声援を受たあとのイタリア入りだけに、今大会は気合満点だ。

RC212Vを駆るサテライト勢の3チーム(4選手)は、ホームGPを迎える。Team San Carlo Honda Gresiniの中野真矢は、住まいをチームの本拠地のあるミサノに移している。チームの地元で迎える初めてのGPだけに今季ベストリザルトを狙う。250cc時代の2000年に優勝。最高峰クラスでは5位が最高位。「チームの地元なのでいいレースをしたい」と、闘志をかき立てている。チームメートのアレックス・デ・アンジェリスはサンマリノ出身。最高峰クラスにスイッチして、事実上、初のホームGPとなるだけに闘志満々。250cc時代は昨年まで3年連続表彰台に立っている。得意のサーキットだけに、今季ベストリザルトを狙う。

JiR Team Scot MotoGPのアンドレア・ドヴィツィオーゾも地元イタリアで今季初表彰台を狙う。今年はMotoGPルーキーながら開幕戦で4位とすばらしいデビューを飾ったが、第2戦以降は、フリー走行の好結果を決勝レースに反映できない悔しいレースが続いている。しかし、前戦フランスGPでは6位と勢いを取り戻しているだけに、優勝争いへの期待も膨らむ。LCR Honda MotoGPのランディ・デ・ピュニエは、地元グランプリとなった前戦フランスGPで不完全燃焼の9位に終わっているだけに、チームの地元イタリアで、その雪辱に挑む。

イタリアGP、カタルニアGPと続く今季初の2連戦。シーズンを通じて、最もヒートアップする2大会だけに、初日から熱い戦いが繰り広げられそうだ。また、今大会は、Repsol Honda Teamから岡田忠之が、ニューマシンで参戦する。

250ccクラスは、高橋裕紀(JiR Team Scot 250)とラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)の2選手が、RS250RWで参戦する。第4戦中国GP、第5戦フランスGPと、2戦連続で惜しくも表彰台を逃している高橋は、チームの地元イタリアで、今季2回目の表彰台と今季初優勝を狙う。一昨年の大会では4台によるし烈な優勝争いに加わって4位。昨年はケガの影響で11位と低迷しているだけに、今年は地元ファンの声援に応える意気込みだ。ウィライローも第4戦中国GPの8位以上のリザルトを目標に戦う。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)

「前戦フランスGPのあとのテストで、今大会に向けて前進することができた。ここから数週間で、いくつものレースをこなすことになるが、ここでいいリズムをつかみ、それをキープしていきたい。ムジェロは超高速サーキットなので、常に100%集中しなければならない。コーナリングスピードは高く、マシンのバランスが重要で、安定した走りが要求される。ムジェロはすばらしいサーキット。ムードも最高。いいレースにしたい」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP ランキング7位)

「ムジェロは、すばらしいサーキットだ。恐らく、ベストサーキットの1つではないだろうか。サーキットの雰囲気も独特で、シーズンを通じてベストグランプリの1つだと思う。テレビではまっすぐに見えるかもしれないが、ムジェロのストレートは、微妙にアップダウンがあり、フロントも浮く。そして、高速で起伏に富んだ変化のあるコーナーが続く。すべての要素が組み込まれたサーキットだ。ここは、フロントのフィーリングがとても重要になる。今回も厳しいレースになることは間違いないが、いいレースができるはずだ」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング8位)

「ホームGPはいつも特別な気持ちになるが、今年も地元ファンの大きな声援が、我々チームにとって大きなモチベーションになると信じている。今回も厳しい戦いになると思うが、ベストを尽くしたい。とにかく決勝に向けてバイクのセットアップを完ぺきにすること。それに集中したい」

中野真矢(MotoGP ランキング10位)

「今回はチームのホームGP。自分にとってもホームGPのような気持ちになるし、モチベーションは高い。ル・マンのあとのテストでいいパッケージを見つけることができた。特に今大会に向けて、いいリアタイヤを見つけることができた。第2戦スペインで9位。それからは3戦連続で10位なので、トップ6を目標に全力を尽くしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング15位)

「ムジェロはハイスピードコースで、好きなサーキットの1つ。これまでは、それほどいい結果を残していないが、このグランプリはいつも楽しみだ。この数戦、バイクのセッティングは進み、トップ10内で走れる状態ができたと思う。ここはストレートのスピードが重要になるが、ハイスピードコーナーには自信がある。前回のル・マンよりは自分のライディングスタイルに合っていると思う」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング16位)

「イタリアGPは、いつも僕にとって特別なレースだ。過去3年、表彰台に立つことができた。今年は、みんなをビックリさせることはできないかもしれないが、ベストリザルトを目指したい。僕のホームGPはサンマリノGPになるが、ムジェロにも大勢のファンが来てくれる。みんなの声援に応えたい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「前戦フランスGP後のテストで、ダニ、ニッキーともに車体関連で好結果を得ることができたので、ル・マン・テストの好結果を、ムジェロに合わせていくことをターゲットにしている。このサーキットは、1コーナーと最終コーナーが大きなキーポイントになる。基本となるセッティングを早く決めて、レース用のセッティングをフィックスしていきたい。ここは気温も路面温度も上がりそうなのでタイヤの選択も重要になる。今回はワイルドカードで岡田が出場する。これまで行ってきたテスト車の実戦検証が大きな目的となる」

高橋裕紀(250cc ランキング4位)

「中国、フランスと表彰台を目前に残念な結果に終わっているので、今回は何としても表彰台に立ちたい。一昨年の大会は予選2位、決勝では4位だったが、優勝争いに加われた。去年はケガが治っていない状態で全然ダメだったが、今年は一昨年のようなレースをしたい。チームの地元グランプリ。応援団もたくさんいるので、その声援に応えたい」