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第4戦 中国GP 第4戦 中国GP

中国GPプレビュー

第4戦中国GPが5月2日、上海国際サーキットで開幕する。2005年に初めて開催され、今年で4回目。このサーキットは、2本の長いストレートを、高速・低速のバリエーションに富んだ14のコーナーで結んだ独特なレイアウト。ストレートでのエンジンの速さはもちろん、インフィールドでは車体の好バランスも要求される。さらに、この季節の上海は雨が多く、シーズンを通じてもっとも難しい条件となる。過去3年、表彰台に立つ顔ぶれは大きく変化しており、予想のつかない大会となっている。

その中で、2006年にMotoGPクラスのデビューを飾ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、同年に上海国際サーキットでMotoGPクラス初優勝を果たし、昨年も4位と健闘している。今季、ペドロサは開幕戦から3戦連続表彰台と好調なスタートを切り、総合ポイントでも首位のホルヘ・ロレンゾ(ヤマハ)と同ポイントの2位。得意とするサーキットで、再び首位に立つ意気込みだ。

前戦ポルトガルGPで2位だったペドロサは、大会終了後のテストで、中国GPに向けてテストに取り組んだ。上海国際サーキットには、ロングストレートからハードなブレーキングを要求されるポイントが2カ所ある。そのため、ブレーキやエンジンブレーキなどのセッティングを詰め、今大会に向けて順調に準備を進めた。ペドロサはMotoGP初優勝を達成した記念すべき上海で、今季2勝目に向けて気合を入れている。

また、前戦で好走を見せながら惜しくも転倒を喫したニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)も、大会終了後のテストで順調にセットアップを進めた。一昨年の大会ではペドロサに続く2位を獲得し、Repsol Honda Teamが1-2フィニッシュを飾っている。今季はペドロサとヘイデンの優勝争い、そして中国GPで2年ぶりとなるRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュが期待される。

このほか、ポルトガルGPで初めて優勝争いに加わり、惜しくも転倒を喫したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)も、中国GPに向けて気合を入れている。上海は250ccクラスでは3年連続で表彰台に立っている得意のサーキット。ポルトガルGP後のテストでペドロサに次ぐHonda勢2番手のタイムを記録し、さらに自信を深めているだけに、今大会の台風の目となることは確実。MotoGP初表彰台への期待は大きい。

ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、昨年まで所属していたカワサキ時代に上海で好リザルトを残している。今季はHonda RC212Vに乗りかえ、すばらしいパフォーマンスを披露しながらも、最高位は開幕戦カタールGPの9位となかなか結果につなげられていないが、今大会で今季ベストリザルトを狙う。

前戦はインフルエンザのために体調を崩し、思うような結果を残せなかったアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、今季ベストリザルト獲得に向けて気合満点。中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、レースをこなすごとに確実にマシンのセットアップが進んでいるだけに、今大会はシーズン前半戦の目標となるトップ6達成に気合を入れている。

250ccクラスは、開幕戦から好調をキープする高橋裕紀(JiR Team Scot 250)が、今季2回目の表彰台、そして今季初優勝に燃えている。昨年の中国GPでは予選で負傷して決勝をキャンセルしているだけに、その雪辱と、もっとも得意とする次戦フランスGPに向けて、さらに調子を上げていく意気込みだ。「ここで表彰台に立って、次のフランスにつなげたい」と闘志満々。また、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も、開幕戦カタールGPで13位、第2戦スペインGPで12位、第3戦ポルトガルGPで13位と、ここまで確実にポイントを獲得。第4戦中国GPでは、目標のトップ10入りを目指す。

コメント

ダニ・ペドロサ(ランキング2位)

「3戦を終えた時点で優勝を含む3回の表彰台と、シーズンのスタートとしては、まずまずだと思う。前戦ポルトガルGPの後に行ったテストは、とても大きな収穫があった。今回の上海国際サーキットに向けて、いろいろと準備することができたからね。このサーキットは、好きなサーキットのひとつ。レイアウトもいい。いくつかのタイトなコーナーとロングストレートの組み合わせは、ほかのサーキットにはないものだ。F1の影響でどうなっているか分からないが、路面のコンディションもいいと思う。接戦が続いているが、今回のレースも楽しみにしている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ランキング9位)

「ポルトガルGPは最後まで走りきることができなかったものの、自分にとってはすごく自信につながるレースだった。こんなに早くトップグループで戦えるようになるとは思ってもいなかったからね。ポルトガルGP後のテストは、とても大きな成果を得ることができた。上海は2本の長いストレートと高速コーナーや低速コーナーが組み合わさったとても難しいサーキットだが、250ccクラス時代はまずまずの結果を残せている。とにかくレースが待ちきれない」

ニッキー・ヘイデン(ランキング10位)

「この数戦、確実に前進している。チームもミシュランも、全力でサポートしてくれている。ポルトガルGPは残念な結果に終わったが、内容は悪くなかった。レース後のテストも、とても有意義だった。上海は独特なコースレイアウトだが、路面のコンディションはいい。2本の長いストレートからの低速コーナーでは、ブレーキの安定性がとても重要になる。ポルトガルGP後のテストでは、この対策に取り組んだ。今年は、マシン、タイヤ、チームのサポートなどすべてが最高だ。レースが楽しみだ。今回は結果につなげたい」

中野真矢(ランキング11位)

「上海は、ロングストレートだけでなくテクニカルな部分もあり、GPサーキットの中でも難しいサーキットのひとつ。今年で4回目の開催になるが、徐々に攻略できるようになってきた。前戦は天候が不安定だったが、ここも天気が変わりやすい。どんなコンディションになっても対応できるようにセットアップを進めたい。ポルトガルGP後のテストで、いいタイヤがあったので、それを今回は試したい」

ランディ・デ・ピュニエ(ランキング14位)

「上海はF1のコースとしてはよいかもしれないが、あまり好きなサーキットではない。長いストレートではトップスピードが必要になるからね。ポルトガルGP後のテストでは、この点に関していい結果を得られ、順調にセットアップを進めることができた。スペインGP、ポルトガルGPを経て、マシンの状態もタイヤも、かなり前進できた。昨年のレースはハイペースの戦いとなり8位だったが、今季はHondaとミシュランのサポートで、さらにいいレースにしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(ランキング15位)

「上海はストレートが長く、トップスピードが要求される。過去2戦、この点に関してはやや物足りない部分もあるが、楽しみにしている。ポルトガルGP後のテストでブリヂストンが提供してくれたニュータイヤのフィーリングはよく、これも楽しみにしている。中国GPは雨が降ることが多いが、ポルトガルGPのウエットセッションでいい走りができているので心配はない。とにかく今回もベストを尽くす。目標はトップ10に入ることだ」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「上海国際サーキットには2本の長いストレートがあり、このストレートでどう戦うかが重要になる。それ以上に大きなカギとなるのが、インフィールドをどう攻略するか。この2つの要素を両立させることがとても大事だ。今回もマシン的に大きな変化はなく、通常のセッティングを着実に進めていきたい。ここは天候が不安定なので、ドライでもウエットでもベストな状態に合わせていけるようにしておくことが大切だ。今年は接戦になっているが、チャレンジャーとして積極的にやっていきたい。ダニとニッキーの両選手ともに体調もよく、いいレースをしてくれると信じている」

高橋裕紀(ランキング4位)

「開幕戦から前戦ポルトガルGPまで、いい流れできている。この流れを崩さず、この調子をキープしていきたい。去年の大会は予選のケガで決勝に出場できなかったので、今季はきっちりと結果を残したい。そして、次戦フランスGPに向けて、さらに調子を上げていきたい」