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第3戦 ポルトガルGP 第3戦 ポルトガルGP

ポルトガルGPプレビュー

第3戦ポルトガルGPが11日、リスボン郊外のエストリル・サーキットで開幕する。エストリル・サーキットは1972年に完成。歴史あるサーキットだが、パドックが全面改修された2000年に初めて2輪のグランプリが開催された。これまで8回のGPが開催され、Hondaは過去5回、優勝を飾っている。

エストリル・サーキットは、一周4.182km。約1kmの長いストレートとテクニカルコーナーが続く独特のコースレイアウト。ストレートでは最高速度が310km/hを超え、もっともスピードが落ちるヘアピンでは50km/h台と、シーズンを通じてもっとも速度差のあるコース。そのため、ハード的には幅広い速度域をカバーする高度なセッティングが要求される。また、右コーナーが多いために、タイヤの左右の温度差が激しく、タイヤメーカーにとっても高度なタイヤ作りが要求される。前戦スペインGPでは、予選から大接戦となったが、エストリルもタイム差の少ない大接戦が予想される。

昨年の大会では、1日目のフリー走行ではトップから1秒差以内に17台、予選では11台という大混戦となり、ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)が予選を制した。決勝では、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と緊迫した戦いを繰り広げて、2位。ヘイデン4位という結果だった。

昨年、僅差の2位に終わっているペドロサは、タイトルを獲得した125cc、250ccクラス時代もポルトガルでは未勝利。それだけに今年は、念願のポルトガルGP初制覇と今季2連勝を目指す。前戦スペインGPではライバルを圧倒する速さで今季初優勝を達成、昨年の最終戦バレンシアGP以来2戦ぶりの優勝を果たした。あれから2週間、ウインターテストで痛めた右手はさらに回復して体調はほぼ万全。スペインGPでは、地元スペインのファンの期待に応え、スペイン国王、フアン・カルロス1世から名誉あるトロフィーを受け取った。今大会は地元スペインの隣国ポルトガル。再び、スペインから押し寄せるファンの大きな声援に応える意気込みだ。

前戦スペインGPで4位。表彰台こそ逃したが、タイトルを獲得した一昨年の勢いを取り戻しつつあるヘイデンも、今大会は、今季初表彰台、初優勝を目指す。昨年は予選でPP獲得。レース中にファステストラップをマークするなど快走を見せた。惜しくも終盤にペースが上がらず4位に終わったが、今年は、その雪辱を期すレースとなる。ヘイデンは、前戦スペインGP後に2日間のテストに参加、たっぷりと走りこんだ。マシンのセットアップも進み、スペインGP大会中の自己ベストを更新。大きな収穫を得ている。テスト終了後にはアメリカ・インディアナ州インディアナポリスに向かい、初開催となる第14戦インディアナポリスGPのプレゼンテーションに参加。CBR1000RRでデモランを行うなど、大会のPRに協力した。多忙なスケジュールの中でも気力は充実している。

今大会は、ルーキーのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)の活躍にも注目が集まる。開幕戦カタールGPでは4位とすばらしい走りも、第2戦スペインGPでは8位と苦戦した。しかし、今大会が開催されるエストリルはもっとも得意とするサーキットの1つ。再び、その存在感をアピールすることになりそうだ。250cc時代には優勝を含め表彰台の常連。今大会では、MotoGPクラス初表彰台を狙う。

ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)もエストリルは、250cc時代に3度表彰台に立っている、得意なサーキット。今年のウインターテストでは快速ぶりを見せつけたが、開幕戦では中団グループに沈み、第2戦スペインGPでは転倒を喫しているだけに、今大会はベストリザルトを狙う。

アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)も、250cc時代にエストリルでは表彰台に立っている。今年は開幕戦カタールGPで転倒リタイア、第2戦スペインGPで14位とウインターテストの好調を結果につなげられていないだけに、得意のコースで弾みをつける意気込み。中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)も、開幕戦カタールGP、第2戦スペインGPと確実に調子を上げているだけに、今大会は、今季最初の目標であるベスト6を目指す。

250ccクラスは、開幕戦カタールGPで5位、第2戦スペインGPで3位表彰台に立った高橋裕紀(JiR Team Scot 250)の今季初優勝への期待が膨らむ。今年の目標は、昨年250ccクラスで総合2位となった、チームメートのドヴィツィオーゾの記録を破るというもの。序盤の2戦は、ドヴィツィオーゾの予選、決勝タイムを更新。今大会、過去3年表彰台に立っているドヴィツィオーゾの記録を上回ることができれば、優勝も現実のものとなりそうだ。今季、高橋とともにRS250RWで参戦しているラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)も、開幕戦カタールGPで13位、第2戦スペインGP12位と着実にリザルトを上げている。今大会は、昨年のイギリスGPの8位をしのぐベストリザルトを目指す。

コメント

ダニ・ペドロサ(ランキング1位)

「スペインGPのレース後に行ったテストで、08年型RC212Vを一段と乗りこなすことができた。ミシュランのフロントタイヤもよかった。エストリルは、ハードなブレーキングが必要になるし、厳しいライディングが要求される。リアタイヤのグリップも求められる。路面が荒れているので体力も必要だ。常にアグレッシブに走らなければならないが、同時に体力を消耗させないようにしなければならないという難しいトラックだ。エストリルの観客はほとんどスペイン人なので、今回もいいレースを見せたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ランキング5位)

「ここは、125ccと250ccクラスでこれまでいいリザルトを残してきた。MotoGPマシンではまだ一度もエストリルは走っていないが、125ccや250ccと同じように走る自信がある。これまで2戦を戦ってきて、予選グリッドの重要性を痛感した。今回は、いいグリッドを得ることに集中したい。スペインGPのあと、リラックスすることができた。休養は十分だ」

ニッキー・ヘイデン(ランキング7位)

「ヘレスはそれほど悪くはなかったが、エストリルを楽しみにできるほどよくはなかった。しかし、スペインGP後のテストでは、マシンのセットアップも進み、タイヤテストも順調で収穫はあった。この調子でエストリルも前進していきたい。このサーキットは、コース幅が狭いオールドタイプのコース。面白いけれど難しい。バックストレートの右高速コーナー、最終コーナーの高速右コーナーが大好きだ。ここは右コーナーが多いので、左コーナーのグリップを得るのが難しい。ここはストレートが長いのでエンジンの馬力も必要だ。その半面、低速コーナーもあるので求められるものがたくさんある。マシンにとってもライダーにとっても厳しいサーキットだ」

中野真矢(ランキング10位)

「過去、エストリルでは記憶に残るような結果を出したことも、いいレースをしたこともない。あるのは、残念な結果に終わったことばかりだ。好きなサーキットなのに、なぜか結果につなげることができていない。今年は、カタール、スペインと調子が上向いている。その勢いを今回のレースにもつなげたい。スペインGP後のテストでは、レースタイヤで大きな進歩があった。今回は、いままでよりワンステップ上のグループで走れるようにしたい。そしていい結果を残したい」

ランディ・デ・ピュニエ(ランキング13位)

「エストリルは、長いストレートがあり、低速のシケインもある。たぶん、このシケインはシーズンを通じてもっともスピードの出ないコーナーだと思う。エストリルは本当に面白いサーキットだ。このコースは、ブレーキングの安定性がとても重要になる。去年の印象では、ブレーキングに自信があるし、いいレースができると思っている。ここはウエットになるととても滑りやすいが、天候のことはあまり気にしていない」

アレックス・デ・アンジェリス(ランキング17位)

「今回は、カタールGP、スペインGPと違って、MotoGPマシンで初めて走ることになるので、いまは、何とも言えない。ただ、ウインターテストの成果を、序盤の2戦で発揮できていないので、ここから結果につなげていきたい。スペインGP後のテストで試したブリヂストンのニュータイヤは安定性が増して大きな成果があった。今回は満足のいく結果を残したい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「前回のスペインGP同様、フリー、予選、決勝と勝利に向けて着実に前進していきたい。過去、このサーキットでは、ダニ、ニッキーともに優勝はないが、スペインGPの勢いをキープして、スペインGP後のテストの成果を、このレースで発揮したい。マシンは、これまでの延長線上で大きな変化はない。ここは天候が不安定なので、どんな天候になろうとも、着実にマシンのセットアップを進められるようにしたい」

高橋裕紀(ランキング4位)

「開幕戦からここまで、いい流れできていると思う。この流れを崩さないよう、今回もいいリザルトを残したい。今年はここまで、ドヴィツィオーゾのタイムを更新している。今回もそれが目標になるし、当然、優勝争いに加わりたい」