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リザルト ポイント
第2戦 スペインGP 第2戦 スペインGPview

地元の声援に応え、ペドロサが母国GPを制する。ヘイデンも4位と健闘

2008年3月30日(日)
決勝
会場:ヘレス・サーキット
天候:晴れ
気温:19℃
コースコンディション:ドライ
観客;13万1563人(3日間24万3004人)

13万人を超える大観衆。3日連続で好天に恵まれたスペインGPでは、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が地元ファンの声援に応え、見事、優勝した。予選2番手からホールショットを奪うと快調にラップを刻み、後続を突き放した。昨年の最終戦バレンシアGPに続き、これで地元グランプリ2連勝。250ccクラスに続き、最高峰クラスでもスペインGPを制した。2位にはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。3位にホルヘ・ロレンゾ(ヤマハ)。この2人を激しく追ったニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は惜しくも4位。以下、Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(JiR Team Scot MotoGP)8位、中野真矢(Team San Carlo Honda Gresini)9位。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)14位と、それぞれポイントを獲得。ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は転倒リタイアに終わった。

この日のペドロサの快進撃は、地元ファンを魅了した。開幕戦カタールに続いて、今大会もホールショットを奪い、2周目から1分40秒台の快速ラップを刻んで、レースの主導権を握った。ペドロサを追うことができたのは、予選5番手からスタートのロッシとPPスタートのロレンゾ。そしてヘイデンの3人だけ。序盤は、この4人がトップグループを形成するが、中盤まで40秒台のハイペースをキープ、ライバルを突き放す独走劇だった。

ペドロサは過去2年連続2位と優勝を逃してきたが、今年は見事、期待に応えた。表彰式では、フアン・カルロス国王から優勝トロフィーを授与された。開幕戦カタールGPから2戦連続表彰台でチャンピオンシップでも首位に浮上。満面の笑みを浮かべた。

予選4番手、2列目から好スタートを切ったヘイデンは、ロッシとロレンゾをピタリとマークしてトップグループに加わった。中盤以降は、ペドロサがリードを広げたために、3台による2位争いとなった。終盤には3番手のロレンゾの背後に迫るが、惜しくも表彰台には届かなかった。終盤には、転倒寸前のスリップを喫して表彰台争いから脱落したが、不完全燃焼に終わった開幕戦カタールGPのうっぷんを晴らした。車体、エンジンともにフルモデルチェンジした08年型RC212Vは、今大会も開発を続けながらの参戦。発展途上のマシンだが、ニューマシンの高いポテンシャルを証明した。

その後方では、ロリス・カピロッシ(スズキ)、ジェームズ・トーズランド(ヤマハ)、ジョン・ホプキンス(カワサキ)、ドヴィツィオーゾ、中野、クリス・バーミューレン(スズキ)がひとつの集団を形成。ワンミスがリザルトに大きく影響する緊張感あふれる戦いとなった。終盤、一度はグループの首位に浮上したドヴィツィオーゾは、大接戦の中で惜しくも8位、中野は9位と健闘した。14番グリッドから決勝に挑んだデ・アンジェリスは、必死の追い上げを見せたが14位でフィニッシュ。デ・ピュニエは序盤の混戦の中で3周目に転倒、リタイアとなった。

250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)とマルコ・シモンセリ(ジレラ)がトップグループを形成、し烈な戦いを繰り広げたが、最終ラップで接触してともに転倒。その後方にいたミカ・カリオ(KTM)が優勝、2位にマティア・パシーニ(アプリリア)。3位に高橋裕紀(JiR Team Scot 250)が入った。予選19番手から決勝に挑んだラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は12位でフィニッシュ。2戦連続でポイントを獲得した。

一昨年のドイツGPで優勝して以来、2年ぶりに表彰台に立った高橋は、序盤、7台に膨れ上がったトップグループにつけた。中盤には、カリオ、トーマス・ルティ(アプリリア)と3位争いを繰り広げ、最終ラップでトップの2台が接触転倒したことで2番手に浮上。猛烈な追い上げを見せたパシーニに、ゴール直前にかわされたが、見事、3位表彰台を獲得した。一昨年の最終戦で右足大たい骨を骨折し、昨年はリハビリを続けながら苦しい戦いを続けていた。今年は開幕戦カタールGPで5位と上り調子。その勢いを結果につなげた。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP 優勝)

「MotoGPクラスでは、ヘレスで初めて優勝することができた。今年はウインターテストで右手を痛めた。テストがちゃんとできなかったことを思えば、今日のパフォーマンスに満足している。開幕からの2戦は難しいレースだったが、チャンピオンシップで首位に立ててよかった。今日はベストを尽くした。カタール同様、いいスタートが切れたので、ミスをしないように集中した。ヘレスの観客のサポートは信じられないほどだった。レースも楽しめた。国王から優勝トロフィーを受け取れたことは、とても名誉なことだった。とてもハッピーだが、ドゥカティとヤマハとの競り合いは厳しい。これからも全力を尽くさなければならない」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 4位)

「13万人の大観衆の中でのレースはすばらしいものだった。バイクの状態もよくて、今大会はレースウイークを通じてプッシュすることができた。レースでは、途中、遅れてしまったが、その遅れを取り戻そうと全力を尽くした。終盤には、ブレーキングに失敗して、ほとんど転んだ状態になったが、ヒジで支えて何とか立て直すことができた。Hondaにとっては、すばらしい一日になった。チームはもちろん、サポートしてくれたすべての人たちのおかげだった。表彰台に立てなかったのは残念だが、大きな自信になった。これからどんどんよくなるはずだ」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8位)

「13番手という厳しいグリッドで、しかもスタートもよくなかった。しかし、今日は追い上げることができたし、いいレースができたと思う。1コーナーでは最後尾だった。そのためにタイヤが温まる前からペースを上げなければならなかった。リスクのある走りを強いられたが、カピロッシの前に出るまで全力で走った。そのために後半は苦しい走りになった。タイヤを温存しながら最後の戦いに備えたが、コーナーではらみ、トーズランドと接触して、抜かれてしまった。これでポジションを大きく落としてしまった。今回は自分にとって100戦目。いい結果を望んでいただけに残念だった」

中野真矢(MotoGP 9位)

「11番グリッドだったので、いいスタートを切らなければならないと思っていた。スタートはうまくいって、予定通り、前のグループについていくことができた。最後まで5位のカピロッシが見える位置で走ることができた。フリー、予選に比べれば、いい走りができたと思う。今日は、タイヤの選択もよく、セットアップもよかった。次のレースに向けての課題は、序盤にペースを上げられなかったこと、後半にペースが落ちるのがほかの選手に比べて早かったこと。これを改善したい。しかし、カタールに比べれば、はるかにいい内容だった。次につながるレースができたと思う」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 14位)

「残念な結果だった。14番手とグリッドは悪かったが、スタートはよかった。しかし、オープニングラップで大きくポジションを落としてしまった。今日はブレーキングで抜くことができたのだが、ストレートで抜き返されてしまった。リアタイヤがスライドして、トラクションコントロールが利いているときも大きくロスしていた。明日からのテストで、今、抱えている問題を解決したい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP リタイア)

「転倒に終わり、とてもがっかりしている。今日はスタートに失敗、1周目に大きくポジションを落としてしまった。そのあと、ペースを取り戻したが、3周目にフロントから転んでしまった。前回のカタールで9位に終わったあと、今回はもっといいリザルトを残そうと思っていただけに、残念だった。次のポルトガルに向けて、明日のテストでいいセットアップを見つけたい」

山野一彦|Repsol Honda Team 監督

「ダニの優勝は、ライダーとチームががんばってくれたおかげだ。日本サイドの力強いバックアップも、我々にとっては、いいプレッシャーとなっているし、今日の結果につなげられたと思っている。今日は、ダニの強さを痛感させられた。あと16戦、シーズンはこれからが本番であり、スタッフ全員、気持ちを引き締めていきたい。ニッキーは4位と惜しくも表彰台に届かなかったが、今回のレースでは、08年型マシンのいい部分とネガな部分がクリアになった。マシン開発の方向性、またニッキー本人にとっても、自信を持てるようになった。次につながるレースになった。今日の優勝は、Hondaを応援してくれるすべての人たちのおかげであり、これからも、期待に応えていきたい」

高橋裕紀(250cc 3位)

「今日の表彰台は、自分でも信じられなかった。でも、最後まであきらめず全力を尽くしたことが表彰台につながったと思う。一昨年のドイツで優勝して以来の表彰台だが、ドイツで優勝したときより、今日の3位表彰台はうれしかった。ケガをしてから、本当につらいレースが続いていた。まだ完全な状態ではないが、いままで地道に努力してきたかいがあったと思う。今年は、ドヴィツィオーゾが出した去年のタイムをすべて更新することが目標の1つ。今回もそれを果たせたし、表彰台に立つこともできた。次のポルトガルも表彰台に立てるようにがんばりたい」

決勝リザルト

MotoGP

順位 No. ライダー マシン タイヤ タイム/差
1 2 ダニ・ペドロサ Honda M 45:35.121
2 46 V.ロッシ ヤマハ B +2.883
3 48 J.ロレンゾ ヤマハ M +4.339
4 69 ニッキー・ヘイデン Honda M +10.142
5 65 L.カピロッシ スズキ B +27.524
6 52 J.トーズランド ヤマハ M +27.808
7 21 J.ホプキンス カワサキ B +28.296
8 4 アンドレア・ドヴィツィオーゾ Honda M +28.449
9 56 中野真矢 Honda B +32.569
10 7 C.バーミューレン スズキ B +35.091
11 1 C.ストーナー ドゥカティ B +42.223
12 33 M.メランドリ ドゥカティ B +44.498
13 13 A.ウェスト カワサキ B +45.807
14 15 アレックス・デ・アンジェリス Honda B +45.871
15 24 T.エリアス ドゥカティ B +1:09.558
16 50 S.ギュントーリ ドゥカティ B +1:14.442
RT 5 C.エドワーズ ヤマハ M +22Laps
RT 14 ランディ・デ・ピュニエ Honda M +25Laps

250cc

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 36 M.カリオ KTM 45:27.908
2 75 M.パシーニ アプリリア +4.277
3 72 高橋裕紀 Honda +4.287
4 4 青山博一 KTM +4.876
5 21 H.バルベラ アプリリア +5.968
6 6 A.デボン アプリリア +13.633
7 60 J.シモン KTM +16.372
8 15 R.ロカテッリ ジレラ +22.571
9 41 A.エスパルガロ アプリリア +28.606
10 52 L.ペセック アプリリア +32.726
12 14 ラタパーク・ウィライロー Honda +43.371

125cc

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 24 S.コルシ アプリリア 41:46.100
2 18 N.テロール アプリリア +3.206
3 38 B.スミス アプリリア +4.986
4 17 S.ブラドル アプリリア +5.022
5 22 P.ニエト KTM +6.254
6 51 S.ボンジー アプリリア +20.563
7 45 S.レディング アプリリア +22.517
8 77 D.エジャーター デルビ +23.002
9 63 M.ディ・ミリオ デルビ +23.928
10 11 S.コルテセ アプリリア +33.541

ポイントスタンディング

ライダー:MotoGP

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 ダニ・ペドロサ Honda 41
2 J.ロレンゾ ヤマハ 36
3 V.ロッシ ヤマハ 31
4 C.ストーナー ドゥカティ 30
5 アンドレア・ドヴィツィオーゾ Honda 21
6 J.トーズランド ヤマハ 20
7 ニッキー・ヘイデン Honda 19
8 L.カピロッシ スズキ 19
9 J.ホプキンス カワサキ 13
10 中野真矢 Honda 10
13 ランディ・デ・ピュニエ Honda 7
17 アレックス・デ・アンジェリス Honda 2

コンストラクター:MotoGP

順位 コンストラクター 総合ポイント
1 Honda 41
2 ヤマハ 40
3 ドゥカティ 30
4 スズキ 19
5 カワサキ 13

ライダー:250cc

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 M.パシーニ アプリリア 45
2 M.カリオ KTM 41
3 H.バルベラ アプリリア 31
4 高橋裕紀 Honda 27
5 A.デボン アプリリア 23
6 R.ロカテッリ ジレラ 16
7 J.シモン KTM 14
8 A.エスパルガロ アプリリア 14
9 青山博一 KTM 13
10 K.アブラハム アプリリア 12
12 ラタパーク・ウィライロー Honda 7

コンストラクター:250cc

順位 コンストラクター 総合ポイント
1 アプリリア 45
2 KTM 41
3 Honda 27
4 ジレラ 16

ライダー:125cc

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 S.コルシ アプリリア 34
2 S.ブラドル アプリリア 29
3 N.テロール アプリリア 26
4 S.ガデア アプリリア 25
5 J.オリベ デルビ 20
6 M.ディ・ミリオ デルビ 20
7 S.レディング アプリリア 20
8 B.スミス アプリリア 16
9 P.ニエト KTM 11
10 S.コルセテ アプリリア 11

コンストラクター:125cc

順位 コンストラクター 総合ポイント
1 アプリリア 50
2 デルビ 28
3 KTM 11

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