今年で9回目を迎えるポルトガルGP。80年代にスペインのサーキットで2度、ポルトガルGPが開催されているが、リスボン近郊のエストリルでグランプリが開催されるようになって、今年で7回目を迎える。これまでポルトガルGPは、シーズン序盤に行われていたが、今年は後半戦に組み込まれた。
エストリル・サーキットは、ヨーロッパでも有数のリゾート地にあって、選手、チーム関係者に人気の高いサーキットの一つだ。コースは、長いストレートとテクニカルセクションが組み合わされた独特なレイアウトを持つ。グランプリサーキットの中では、もっとも速度差が大きく、さらに、パッシングポイントが少なく、選手たちには厳しい戦いを強いる。今年は、これまで問題になっていた路面の改修が行われた。全長は変わらないが、レイアウトが若干変わったことで、ニューサーキットとして開催される。
また、エストリルは、風が強く、天候が変わりやすいことでも知られている。しかし、今年は気候の安定した10月の開催となり、予選1日目は、快晴、最高気温28℃という絶好のコンディションの中で行われた。
その中でトップタイムをマークしたのは、昨年250ccクラスで優勝を飾っているケーシー・ストーナー選手(Honda LCR)で、得意なサーキットで順調なスタートを切った。前戦日本GPでは痛恨の転倒リタイアを喫している。シーズンも残り2戦。念願の初優勝に向けて闘志満々のストーナー選手だけに、今大会の活躍に注目だ。
2番手には、念願のタイトル獲得に向けて総合首位に立つニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)。過去4戦は、チャンピオン争いのプレッシャーの中で苦しい戦いを演じてきた。特に初日の出遅れが決勝レースに影響していたが、今大会は、フリー走行1回目4番手、2回目の走行で2番手と、初日から快調なラップを刻んだ。
3番手にはHondaエンジンを搭載するKR211Vに乗るケニー・ロバーツJr.選手(Team Roberts)。前戦日本GP後にツインリンクもてぎで行われたテストで、これまで抱えていたリアのトラクション不足を解決し、好調なスタートを切った。
第13戦マレーシアGPで転倒して、両足を負傷。その影響で過去3戦、苦しいレースを強いられていたダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)は、やっと本来の体調に戻り、初日から好走を見せた。この日はセットアップに集中したものの、それでいて5番手タイムをマーク。チャンピオンの可能性を残すペドロサ選手だけに、今季3勝目に向けて気合の入った走りを見せた。
この日は、トップタイムをマークしたストーナー選手から1秒差以内に11台という接戦となった。そのしんがりとなる11番手につけたのが、トニ・エリアス選手(Fortuna Honda)だった。エリアス選手は、250cc時代にエストリルで2回の優勝を経験している。この日は、転倒を喫するなどタイムを思うように伸ばせなかったが、得意なサーキットだけに、2日目に大きな期待が寄せられる。
この日、タイヤテストをメインに走り込んだ玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda)は、15番手と思うようにタイムを伸ばせなかった。また、1回目の走行で10番手だったマルコ・メランドリ選手(Fortuna Honda)は、午後の走行で転倒、初日総合16番手に終わった。メランドリ選手は、ヘイデン選手、バレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)に続いて総合3位につけている。チャンピオン争いの一角にいるだけに、左腕を強打して医務室に運ばれたときは、周囲をヒヤッとさせたが、骨折はなく、2日目は走行する予定だ。
250ccクラスは、青山博一選手(KTM)が暫定PPを獲得。Honda勢は、チャンピオンの可能性を残すアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Humangest Racing Team)が7番手。高橋裕紀選手(Humangest Racing Team)はセッション開始早々に転倒を喫して9番手、エストリル初走行となるルーキー青山周平選手(Repsol Honda Team 250)は11番手。日本GPから引き続き、マーチン・カルデナス選手(Repsol Honda Team 250)の代役として出場のデイビット・デ・ゲア選手は15番手だった。
125ccクラスは、アルバロ・バウティスタ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。ガボール・タルマクシ選手(Honda)4番手。ファブリツィオ・ライ選手(Honda)が8番手。前戦日本GPで今季ベストリザルトの8位に入ったルーキーのブランドリー・スミス選手(Honda)が12番手。代役出場の渡辺一馬選手(Honda)は、海外グランプリ初体験、エストリル初走行ながら32番手と健闘した。 |