シーズン終盤戦最大のヤマ場となるマレーシア、オーストラリア、日本と続く3連戦。その2戦目となるオーストラリアGPが、15日、メルボルン近郊のフィリップアイランドで開幕した。先週のマレーシアGPから移動日を含めて、この日が5日目。しかし、選手たちは疲れた表情も見せずに、元気いっぱいに初日の走行に挑んだ。
オーストラリアGPは今年で18回目を迎える。フィリップアイランドは1950年代に完成。1989年に第1回目が行われ、翌90年の2年間開催された。その後の6年間は、シドニー郊外のイースタンクリークにオーストラリアGPの舞台は移ったが、97年から再び、フィリップアイランドで開催されることになり、今年で10年目となる。
フィリップアイランドは、自然動物園などがある観光地で、一年を通じて観光客で賑わっている。それだけにシーズンを通じて、最も人気のある大会だ。さらに、アップダウンのあるハイスピードコースの戦いは、これまで多くの名勝負を生んできた。しかし、フィリップアイランドは周囲を海に囲まれている島のために、天候が変わりやすく、コンディションが安定しないことでも知られている。選手たちにとっては体調管理の難しい大会だが、開幕日は、青空が広がる比較的、穏やかな天候の中で行われた。
この中で、念願のタイトル獲得に向けて、総合首位を走るニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)が、好調なスタートを切った。前戦マレーシアGPでは表彰台を逃す4位。後続のライバルたちに、わずかにポイントを詰められる苦しい戦いとなっていたが、今大会は初日3番手と、再びライバルたちを突き放す勢いを感じさせた。
その後方6番手には、地元オーストラリアGPに闘志を燃やすケーシー・ストーナー選手(Honda LCR)がつけた。地元GPを迎え、1回目のセッションから気合の入った走りをみせた。このセッションで手ごたえをつかんだストーナー選手は、午後2回目の走行ではタイヤテストなど、たくさんのメニューをこなした。最終的に6番手だったが、元気あふれる走りに、初日から詰めかけた大勢のファンも大喜びだった。
7番手には、午前中1回目の走行から快調にラップを刻んだマルコ・メランドリ選手(Fortuna Honda)がつけた。フィリップアイランドでは、125cc、250cc時代に優勝経験がある。メランドリ選手にとって、デビュー以来、大好きなサーキットの一つというコースだけに、初日から自信あふれる走りを披露。2日目の予選、決勝に期待を膨らませた。
11番手には、玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda)がつけた。前戦マレーシアGPでは、タイヤのチョイスに失敗して下位に低迷した。その雪辱を期して、初日からたっぷりと走り込みを行った。午前中30ラップ。午後の走行では、電気系の調整をしながら23ラップ。ロングランをしっかりこなし、2日目に向けて自信をみせた。
16番手にはトニ・エリアス選手(Fortuna Honda)。先週のマレーシアGPと、気温で10℃以上、路面温度で20℃以上低いフィリップアイランドに、終始、苦しめられた。路面温度が低いためにリアのグリップ不足に悩み、コンディションの変化に車体のセッティングを合わせられず、この日は、タイムを伸ばすことができなかった。
そしてHonda勢最後尾の17番手には、ダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)がつけた。前戦マレーシアでは、フリー走行で両足を負傷、苦しいコンディションの中で見事3位表彰台に立った。あれから中4日間の休養で、負傷した足は順調に回復に向かったが、万全にはほど遠い状態。そのためにこの日は、体調のチェック、路面コンディションのチェックなどに時間を割き、慎重なスタートを切った。そして、午後の走行でも、バイクのセットアップに重点を置いた。初日は17番手だったが、2日目の予選、決勝と、確実にポジションを上げてくるペドロサ選手に注目だ。
250ccクラスは、ホルヘ・ロレンゾ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。Honda勢は、チャンピオン争いをしているアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Humangest Racing Team)が5番手。ルーキーの青山周平選手(Repsol Honda Team 250)が10番手とまずまずのスタート。ケガから復帰2戦目となる高橋裕紀選手(Humangest Racing Team)は13番手。前戦マレーシアGPで転倒負傷したマーチン・カルデナス選手(Repsol Honda Team 250)は、フリー走行で3周をこなしたが、体調が思わしくなく、午後の予選を取りやめた。
125ccクラスは、ミカ・カリオ選手(KTM)が暫定PP。Honda勢は、ディフェンディングチャンピオンのトーマス・ルシ選手が2番手と好調なスタートを切った。以下、マイク・ディ・ミリオ選手が10番手、ガボール・タルマクシ選手13番手、ファブリツィオ・ライ選手14番手だった。
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